DM:David Murray
JJ:JJazz.Net

DM:
“Jazz”を深く知りたいってこと? 一番いいのはヘビーなのから聞くより・・・それって、リスナーへのアドバイス?それとも演奏者へ? 
JJ:
両方にかな。
DM:
OK。とにかく、“これがスキ!本当にスキ!”っていう曲を探すことかな。 僕の一番のお気に入りは・・・、例えば・・・いちじき良く聞いていたのは、僕は“Blue Saxophones”という ベン・ウェブスターとコールマン・ホーキンスがリズムセクションと一緒にやってるアルバムの「You'd Be So Nice To Come Home To」。空気を伝わってくるというか、ヴァイブといい、メロウでもあり、とても“居心地のいい”曲なんだよね。ほら、クリスマスの時期や朝起きるとお母さんが朝食の支度をしている暖かい光景のような、そういった安心感のある、すごくリラックスできてとにかく落ち着けるカンジ。多くのJazzって、そういった雰囲気をもっていると思うんだ。自分を一番落ち着かせてくれて、居心地のいい曲を探すのはスゴクいいと思うよ。ハードなJazzから聞かなきゃなんて意気込む必要はないと思うんだ。誰もわざわざ最初にセシル・テイラーから聞いてみようって思わないでしょ?!(笑) もちろん、僕はセシル・テイラーは大好きだよ! (笑) 
JJ:
僕もすきだよ! (笑)
DM:
だけど初めて聞くには難しすぎるでしょ?! セシル・テイラー に手をだすよりも、それだったらデューク・エリントンとか、セロニアス・モンクとか、もっとシンプルで、ソウル感あって聞きやすいもの、とにかく自分が聞いていて気分良くなれるもの、それでいて自然と自分がその曲にはまっていけるもの、自然とタップ踏んだりとか、鼻歌うたったりとか。そうしているうちに、テンポの速いものを聞いてみたり、もっとハードなものを聞いてみたりと、そういったことを繰り返しているうちに、自然と自分がJazzのとりこになっているんだよね。他のタイプへの興味もひろがって、あれも聞いてみよう、これも聞いてみよう、今度はこんなタイプを聞いてみようとか、どんどん欲望が増していくっていうか・・・。
例えば・・・、僕のいい例で言うと、僕はジョギングに夢中なんだけど、僕がジョギング始めた当初は、“身体がキツイなぁ〜、なんかオモシロイかなぁ〜”ってカンジだったけど、一度その楽しさにハマッてしまうと、むしろ“やらざるにはいられない感覚”って言うのかな、“走るぞぉ〜!僕は走るんだっ!走っちゃうぞぉ〜!”(笑)、って言うくらいものすごく欲求してて、もう“欲望”してるわけ(笑) Jazzを聞くのも同じ感覚だと思うんだ。好きなことにガッツくのが、“もっと!もっと!あれも!これも!”って、だんだんエスカレートして、今でこそレコード店もあまりいかないけど、昔はよく行ったんだよ(笑)、そうすると、欲望がスゴイから前は1枚しか買わなかったのに、もっともっとって、3枚くらい買って帰ってきちゃうような(笑)。きっとそうなった頃にはセシル・テイラーの曲で目覚めるくらいになっているだろうし(笑) サン・ラやアートアンサンブル・オブ・シカゴ, アンソニー・ブラクストンとか、それこそデヴィッド・マレイとかさっ(笑)、 他にもたくさん素晴らしいアーティストは沢山いるわけだしね(笑) とにかく、最初の“聴き始め”、スタート地点ってモノスゴク大切で重要なコトなんだと思うよ。