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寺久保エレナインタビュー ~『NEW YORK ATTITUDE』

昨年、デビュー作『NORTH BIRD』でデビューを果たし、衝撃を与えたサックス奏者、寺久保エレナ。
渡辺貞夫、日野皓正、山下洋輔、ロン・カーター、オマー・ハキムなどなど、
数々のビッグミュージシャンとの共演を経て、待望のセカンドアルバム『NEW YORK ATTITUDE』を発表しました!

19歳の女性へのインタビューは初めてでしたが、自分に厳しく、しっかりとした考えの持ち主でした。

ニューヨークで行われたレコーディングについてなどのインタビューをお届けします。



寺久保エレナ


寺久保エレナ インタビュー

■前作に続き、ニューヨークでのレコーディングですね。ニューヨークは好きですか?

大好きですね。あらゆるものの中心だという気がするので、いるだけでテンションが上がります。


■ライブも見に行ったりしたんですか?

時間がなくていけなかったんですが、、、震災を受けてのジャパン・ベネフィット・コンサートは見に行きました。


■どうでした?

いやー、すごかったです。ほんとに。いろんなスターが集まっていて、今回のレコーディングメンバーのロン・カーターやケニー・バロンはもちろんのこと、ミッシェル・カミロとか、みんなが知っている人が50人くらい同じステージに立っていて。おかしくなるくらい興奮しました。


■そのロン・カーターやケニー・バロンとレコーディングするきっかけとなったのは、やはり東京ジャズ2010での共演ですか?

そうですね。その時にロンさんから「またいつでもやってあげるよ」みたいなことを言ってもらえて。「じゃあ、レコーディングお願いします」って言ったら「はい」って(笑)決まったんです。


■東京ジャズでの演奏はいかがでした?

すごい感動しましたね。あれがジャズなんだなという感じでした。


■具体的には?

口では説明できなくて、聴いたらわかると思うんですけど、あの人が弾けば全部がジャズなんだと思わせる演奏とエネルギー。あと、私なんかのバックでやっているのに全力でやってくれたというのがスゴイことですよね。


■日本でも渡辺貞夫さんや日野皓正さん、山下洋輔さんなど、大御所と呼ばれている方々と共演されていますが、緊張はしないのですか?

お会いするまでは緊張します。でも演奏を一曲やったら全然緊張しないで、友達みたいに接することができますね。


■音でつながるという感じですか?

そうですね。お会いするまでは本当に緊張しますけど。(笑)


■レコーディング中のコミュニケーションはどうでしたか?

ジョークばっかり言われてずっと笑っていました。(笑)去年よりも私が英語を少し良く聞き取れるようになったこともあるかもしれないですけど。本当にアットホームで楽しいレコーディングでしたね。ずーーっと楽しい話をしていました。演奏中もロンがヘンな顔とかして。(笑)


■作業はスムースに進んだんですか?

いえ。私のオリジナル(アルバム8曲目「Fascination」)だけは手こずりましたね。
ベースとピアノのパートが難しいのを書いちゃったので。。。「え~、こんなんできないよ」(笑)って感じだったんですけど、「でも、私はこれをやって欲しいんだ」って伝えたら、練習を何回もしてきてくれて、、、


■笑

きっちりとやってくれましたね、最終的には。


■音楽的なところでもコミュニケーションがあって、さらにリーダーシップもとっているんですね。

そうですね。リーダーシップを取らなきゃ自分のアルバムにもならないんで、いくらケニー・バロンやロン・カーターがいても、もう一回やりたいとか、ダメなものはダメと言いますし、それでやっとむこうも本気になってくれますね。


■そういったところは前作のレコーディングの経験からですか?

前作でも、思ったことは全部伝えていたので全然悔いはないんです。
デビューする前に録音したアルバムがあるんですけど、その時に私は、すごい後悔をしたんですね。一番最初のアルバムで、レコーディングというものがどういうものか全く知らなくて、適当に行って適当に吹いたのがアルバムになって一生残っちゃったというのを一回経験しているんで、それをもう二度とやりたくないと思っているんです。
だから、もう一回やりなおして欲しいと思ったら、いくら嫌な顔をされても、絶対やり直してくださいとお願いするようになりました。(笑)


■収録曲の選曲はどのように進めたのですか?

これは全部自分で選んだんですけど、メンバーもメンバーなので、全部オリジナル曲ということではなくてスタンダードを中心にやりたいなと思いました。


■アルバムタイトルにもなっている「ニューヨーク・アティチュード」は?

ピアノのケニー・バロンの曲なんですけど、その演奏を聴いてかっこいいなと思っていて、一緒にやれるチャンスがあればこの曲をやろうと思っていました。だって、本人とやれることなんて滅多にないですもんね。


■アルバムにはのびのびと演奏している感じが出ていますね。

そうですね。やっぱりリラックスしないといいレコーディングができないと思っていたんですけど、みんながうまくそういう雰囲気を作ってくれました。ピリピリした空気はなかったです。


■アルバムレコーディング前にフランスとアフリカに行かれたそうですが、いかがでした?

いやもう、フランスは普通に良かったんですけど、アフリカはすっごいインパクトがありますね。


■アフリカ、行ったことがないんですよ。

絶対行ったほうがいいですよ。いろんな苦労はしますけど。(笑)考え方が全く変わっちゃいますね。食料とか電気とか生活の違いから自分の暮らしを考え直したり。現地の音楽、民族音楽を聴いたんですけど、生きている喜びだとか音楽をやる楽しさが伝わってきました。そういうのを、今回のアルバムに込めることができたらなと思っていました。


■このアルバムに影響を与える体験でしたね。

本当にそうですね。レコーディングの直前でしたし。


■演奏はしたんですよね?

はい。すごい喜んでもらえました。


■楽器は持っていったんですか?

持って行ってひどい感じになりましたけど。(笑)毎日気温が40度なんでね、そりゃあ当然ひどい状態になるんですけど、でも、持って行って演奏した甲斐はありました。


■アルバムが発売されてツアーをした後に、バークリーに留学されるんですよね?

はい。たぶん2、3年は行っていると思います。


■何を期待していますか?

アメリカで生活をしてみたいんですよね。むこうの同世代と音楽をやって、というような生活がしたいです。英語もうまくなりたいですし。


■同世代という言葉が出ましたが、エレナさんの世代がトライできる新しいジャズというものがあるとしたら、どういったものだと思いますか?

無理して新しいものをやろうやろうとしても、適当でしかなくなっちゃうと思うので、歴史をさかのぼって原点を確認して、その原点もちゃんとできるしバップもできるし、マイルスの後期とかも聴いているしとかいう人が新しいことをやって行くのであって、私が新しい音楽をこれからやるというのは、まだ早いと思います。だから、もっと全部できるようになってからそういう事は考えたいです。


■よくわかりました。留学までびっしりとツアースケジュールが入っていますが大丈夫ですか?(笑)

ぜんぜん大丈夫じゃないです。(笑)ほんとに大変です。(笑)でも、ツアーは楽しみです。アフリカとフランスで一緒に演奏したすごいメンバーなんですよ。いっぱいあるけど、全部最高の演奏ができるように頑張ります。


■最後になりますが、目標や夢は?

目標というのは特にないんですけど、やっぱりうまくなりたいですよね。無限に。なんか目標を立ててしまうとそこで終わっちゃうような気がして。だから目標はつくらずに、無限にうまくなっていきたいです。あとは、オーケストラのアレンジとかもしてみたいです。何でもできるようになりたいです。

[Interview:樋口亨]


NY Attitude


■タイトル:『NEW YORK ATTITUDE』
■アーティスト:寺久保エレナ
■発売日:2011年6月22日
■レーベル:キングレコード(Blue in Green)
■カタログ番号:KICJ−615
■価格:3,000円(税込)




寺久保エレナ プロフィール】
1992年札幌生まれ。2002年〜2007年(10才〜15才)札幌ジュニア・ジャズ・オーケストラに参加。
2005年(13才)最年少でボストン・バークリー・アワードを受賞。2007年、2008年ボストン・バークリー音楽院に奨学生としてサマープログラムに短期留学。2009年バークリー・サマー・ジャズ・ワークショップに日本人として初めて選抜される。
2010年3月高校在学中にニューヨークにてKenny Barron(p)、Christian Mcbride(b)といったジャズの巨匠たちを従えて1stアルバム『NORTH BIRD』をレコーディングし、6月キングレコードからメジャーデビュー。ジャズ専門誌Swing Journalのゴールドディスクにも選定される。
同年8月【札幌シティジャズ2010】ではオープニングライブを務め、9月には【東京ジャズ2010】に出演。Ron Carter(b)、Omar Hakim(ds)らと共演したステージは多くのジャズファンに衝撃を与えた。
10月【LAWSON JAZZ WEEK 大阪】(共演:Michel Camilo(p))出演。
11月【NAGOYA AKARI JAZZ】(共演:山下洋輔(p))出演。
12月【HTB朝日ジルベスターコンサート】(共演:札幌交響楽団)出演。
2011年3月札幌市内の高校を卒業。国際交流基金の主催によるフランス、ブルキナファソ(西アフリカ)での海外公演を行う。
4月NYにてジャズベースの巨匠Ron Carter(b)と2ndアルバムをレコーディング。秋からのボストン・バークリー音楽院留学を控え、2011年夏には全国ツアーが予定されている。


【ライブスケジュール】
【寺久保エレナ・カルテット・ライブツアー2011】
musicians
sax:寺久保エレナ
piano:大林武司
bass:井上陽介/中村健吾/坂崎拓也 *日程により異なります。
drums:マーク・ホイットフィールド・Jr

7/7(木)東京/調布グリーンホール
7/11(月)新宿 Pit Inn
7/12(火)山梨/甲府:Cotton Club
7/17(日)新潟/上越:多田金G&MCP
7/18(月)長野:Back Drop
7/20(水)広島:Speak Low
7/21(木)岡山:Cafe SOHO
7/22(金)名古屋:Blue Note
7/23(土)福岡/中間:なかまハーモニーホール
7/24(日)山口/岩国:周東パストラルホール
7/27(水)山形/新庄:Lexington Shinjo
7/28(木)福島:Mingus
8/1(月)、2(火)大阪:Mister Kelly's (2days)
8/4(木)北海道:大空町教育文化会館
8/5(金)北海道:函館市民会館
8/6(土)北海道:豊浦町地域交流センター とわにー
8/7(日)北海道:幕別町百年記念ホール


【Special Concert】
6/26(日)西東京市保谷こもれびホール
『Jazz Live 2011 produced by 笹路正徳』共演:笹路正徳、三好"3吉"巧郎、納浩一、本田珠也
6/29(水)苫小牧市民会館
『Fride Prideと仲間たち「THE PARTY」』共演:Fride Pride、日野晧正、coba


【Jazz Festival出演】
7/15(金)札幌シティジャズ2011
7/16(土)13thビッグバンドジャズフェスティバル with エリック・ミヤシロ EM BAND
7/30(土)22th南郷サマージャズフェスティバル
7/31(日)23thモントレージャズフェスティバルin能登


【東日本大震災復興支援コンサート"子どもたちが元気な未来へ"Bravo! Piano】
出演:寺久保エレナ、佐山雅弘、川嶋あい、木下航志、中園理沙

6/24(金)札幌コンサートホールKitara大ホール
6/28(火)中京大学文化市民会館 プルニエホール
6/30(木)大阪 新歌舞伎座
7/1(金)福岡国際会議場メインホール
7/8(金)東京国際フォーラム ホールC

*詳細は寺久保エレナOfficial Web Site をご覧下さい。

問合せ先:株式会社オフィスエム・ツー TEL03-5468-0662

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