feed markRSS
JJazz.Net Blog Title

Monthly Disc Reviewの最近のブログ記事

1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11

曽根麻央 Monthly Disc Review2024.03_Jacob Collier : Djesse Vol. 4:Monthly Disc Review

みなさんこんにちは。ジャズ二刀流ことマルチインストゥルメンタリストの曽根麻央です。
今日は、つい先月末にリリースされたばかりのジェイコブ・コリアーの超大作アルバム
『Djesse Vol. 4』をみなさんにご紹介できることが本当に嬉しいです。

私の肌感からして恐らく音楽史においても最高傑作の一つになってしまったのではないかと思っています。本当に興奮を抑えることができません。彼と同じ時代に生きれたこと、その世界観を見ることができたのに感謝しているぐらいです。
ジェイコブ自身もアーティストとして、一人の人間がコントロールできる範囲を大幅に超えて、現時点での最高地点に到達したと感じました。
また、ジャンルや国境を超えた作品としてもかつてない広大なアプローチを展開しています。


91ujiKw1z9L._AC_SL500.jpg

Title : 『Djesse Vol. 4』
Artist : Jacob Collier


Djesseシリーズは今作で4作品目、そして最終作ということらしいですが、私は自身これまでジェイコブのアルバムはノーマークでしたので、この作品が出会いとなりました。もちろんYouTubeなどでこの素晴らしい存在がいることは十分承知していたのですが、「天才すぎる」音楽故に敬遠していた部分があったのかもしれません。
この作品においても素晴らしい15曲と1曲のカバーアレンジを生み出しただけでなく、ボーカリスト、マルチインストゥルメンタリスト、アレンジャー、録音エンジニア、プロデューサー、そしてミックスエンジニアとしての多彩な才能を見せてくれています。

作品の特徴としてはほぼ全ての楽曲にフィチャーリング・アーティストがいて、その一人一人(またはグループ)のキャラクターが最も引き立つ形で曲が書かれています。
その中でも最も特徴的だったのは「Over You」でした。
この曲では、フィーチャーリングアーティストであるChris Martinが歌う場所ではゴスペル、Aespaという人気K-Popユニットが登場する場面ではK-Popらしいサウンドとなっていて、その変化と多様な音楽への理解は常識を超えています。

またプロデューサー、トラックメーカーとしてのジェイコブの実力も見事で、全体を通して最高のMixを体感できると思います。
低音から高音まで全ての場面で整頓されていて、不必要な音が何一つない状態が常にキープされています。
また楽器の音だけでなくレンガが転がる音や、映画の予告編で使われるような音、ガラスの割れる音など、そういったインパクトを拾ってきてはミックスで上手に使っていて、聴き手を飽きさせることがありません。

シンプルに作曲家、ソングライターとしても素晴らしく、名曲となるであろう曲が何曲も量産されています。ジャズのインストで演奏しても良さそうです。



M1. 100,000 Voices
これはOverture的な存在でさまざまな音楽や環境音、そしてAudience Choirなどが混ざり合いここから始まる広大な世界を提示してくれます。



M2. She Put Sunshine
先ほどのM1から続けて登場するこの曲は少しボリュームはダウンするチルなポップソング。最後の1分で誰にも気づかれないように一度半音上に転調し、最後にまるでDJがレコードの回転速度を下げて遅くしたかのような転調をするのが見事なアレンジとなっています。



M3. Little Blue
美しいバラード曲。静けさの中に時折聞こえる低音のエフェクトが美しく、ジェイコブのこういった音色のチョイスのセンスが光る作品です。



M4. WELLLL
少し、QueenやBeatlesを彷彿とさせるハードロックでコーラスが美しい曲。



M5. Cinnamom Crush
特徴的な音色で始まり終始それがバックグラウンドのように曲の後ろで鳴り続ける面白いサウンドの曲。インタビューでは最初の効果音はレンガがぶつかる音をインターネットで見つけてミックスに入れたといっていました。 



M6. Wherever I Go
Wurlitzer という特徴的な電気ピアノの音でスタートするR&B調の曲。ホーンのアレンジが際立つ作品の一つ。 



M7. Summer Rain
見事なバラード曲です。本来であれば禁じ手とも言えるようなハーモニーを重ねていルバ面もあるのですが、それが緊張を高め、この曲から観客を飽きさせない、アテンションを逃さない素晴らしいスパイスになっています。



M8. A Rock Somewhere
こちらはシタールをフィーチャーした珍しい曲。M7から流れが繋がっていて構成も美しいです。



M9. Mi Corazón
ラテンポップ調の曲。コーラスの間をシンセベースが縫ってベースライン構築してるのですが、こういったディテールも聞いていきたい名曲です。



M10. Witness Me
ゴスペルのような雰囲気を纏った曲。ラップのフィーチャリングもあります。



M11. Never Gonna Be Alone
ジョン・メイヤーをギターソロに迎えた作品。



M12. Bridge Water Troubled Water
唯一のカヴァー曲。至上のコーラスアレンジと、低音から高音まで駆使するジェイコブのコーラス隊に乗っかって、にJohn LedgenとTori Kellyという最高の歌声をフィーチャーしています。



M13. Over You
K-popやR&Bといった世界の音楽のニュアンスを取り入れた、新しい形のワールドミュージックです。



M14-15 Box of Stars Pt. 1 & 2
こちらもワールドミュージックのコラージュのような楽曲になっています。M1で使われた音なども登場するのでストーリー性を感じることもできます。ゴスペル、サンバ、モロッコ、キューバ、ロック、ミドルイースト、インド、レゲトン、EDM、クラシカル、ラップなどの音楽がコラージュされています。




M16. World O World
一曲を通してコーラスのみで構成されていて、古典の讃美歌のようで、しかしハーモニーのセンスは常識を覆すもので、それがスパイスとして人間の耳の栄養となることをあらためて証明してくれる曲です。クラシカル的な讃美歌っぽい曲なのかなと思いきや、ゴスペル風の歌い方も登場し、ジェイコブの独特の歌の世界へと聴衆を引き入れます。



それではまた次回。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

91ujiKw1z9L._AC_SL200.jpg
Title :『Djesse Vol. 4』
Artist : Jacob Collier
LABEL : DECCA
発売年 : 2024年





アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】

01.100,000 Voices
02.She Put Sunshine
03.Little Blue (feat. Brandi Carlile)
04.WELLLL
05.Cinnamon Crush (feat. Lindsey Lomis)
06.Wherever I Go (feat. Lawrence & Michael McDonald)
07.Summer Rain (feat. Maddison Cunningham & Chris Thile)
08.A Rock Somewhere (feat. Anoushka Shankar & Varijashree Venugopal)
09.Mi Corazón (feat. Camilo)
10.Witness Me (feat. Shawn Mendes, Stormzy & Kirk Franklin)
11.Never Gonna Be Alone (feat. Lizzy McAlpine & John Mayer)
12.Bridge Over Troubled Water (feat. John Legend & Tori Kelly)
13.Over You (feat. aespa & Chris Marin)
14.Box Of Stars Pt. 1 (feat. Kirk Franklin, CHIKA, D Smoke, Sho Madjozi, Yelle & Kanyi Mavi)
15.Box Of Stars Pt. 2 (feat. Metropole Orkest, Suzie Collier, Steve Vai & VOCES8)
16.World O World



曽根麻央『プレイズ・スタンダード』

71CCYhwTYzL._AC_SL1281_.jpg


トランペット/ピアノの"ジャズ二刀流"として話題の曽根麻央がソロピアノで紡ぐスタンダードソング集が全国発売決定!
往年のジャズの名曲をフレッシュな感性で解釈。
抒情性と気品に彩られた曽根のジャズ・ミュージシャン、ピアニストとしてのアティテュードが表現されている作品に仕上がった。


曽根麻央『プレイズ・スタンダード』


1.Reflections in D
2.Serenade
3.In Your Own Sweet Way
4.The Star-Crossed Lovers
5.Wave
6.Stella by Starlight
7.All The Things You Are
8.Luminous (Piano Solo Ver.)
9.I Loves You, Porgy
10.Lady Luck11.Danny Boy
12.Home (Piano Solo Ver.)
13.Some Other Time
14.Ask Me Now
15.The Days of Wine And Roses
16.What A Wonderful World

Mao Soné (piano, trumpet)


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』2023.10『MAINS / J3PO』2023.11『Knower Forever / Knower』2023.12『Ella Wishes You A Swinging Christmas / Ella Fitzgerald』2024.01『Silence / Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins』2024.02『Rhapsody in Blue Reimagined / Lara Downes』

Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

曽根麻央 Monthly Disc Review2024.02_Lara Downes : Rhapsody in Blue Reimagined:Monthly Disc Review

みなさんこんにちは、ジャズ二刀流ことマルチインストゥルメンタリストの曽根麻央です。

今日はみなさんに、ガーシュウィンの初演100年を記念して今年発表された『Rhapsody in Blue Reimagined』というデジタルリリースのアルバムを紹介します。
ジョージ・ガーシュウィンが当時のアメリカ社会を映し出す作品として完成させた「Rhapsody in Blue」。
1924年にポール・ホワイトマン・オーケストラと自身のピアノのためのジャズ協奏曲としてガーシュウィン自身が初演して以来、世界各国で愛されてきた名曲を、100年を記念して、2024年を生きるアーティストたちがどのようにReimagined=再解釈したのか見ていきたいと思います。
聴くだけでまるで世界旅行をしたかのような作品作りに驚くでしょう。

その前に宣伝です。
4月は福岡にソロで二ヶ所伺います!
ソロアルバム『プレイズ・スタンダード』のリリースライブです。
お近くの方はぜひきてください!詳しくはウェブサイトで!


4/12 (Fri) border -live music & drinks- <福岡>
Mao Sone "Plays Standards" CDリリースライブ in 福岡
Artist: Mao Sone (piano & trumpet)
open 18:30 / start 19:30
【料金】
全席自由 4,000円(税込)※当日は+500円(ご飲食代別※要2オーダー制)
【border 電話予約】
TEL: 092-406-8448 <16:00~22:00(月曜定休日)>


4/13 (Sat) 音楽館Twilight<北九州>
Mao Sone "Plays Standards" CDリリースライブ in 北九州
Artist: Mao Sone (piano & trumpet)
18:30 開場|19:00 開演
【チケット】
前売 ¥3,000 | 当日 ¥3,500
【お問い合わせ】
Office ミスマル 080-6467-1115 または 080-5256-6971
【会場】
〒803-0841 福岡県北九州市小倉北区清水2-10-15 2F
TEL: 093-562-2311 (マックスオーディオ小倉店2F)

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


Lara-Downes-Gershwin-500.jpg


Title : 『Rhapsody in Blue Reimagined』
Artist : Lara Downes


ジョージ・ガーシュウィンは言わずと知れたアメリカを代表する偉大な作曲家で、ジャズスタンダードとなった数多くのミュージカル・ソングだけでなく、アメリカ・クラシックの代表的な作品をいくつも残した人です。すでにブロードウェイの人気のミュージカル作家であったガーシュウィンが、世界的な一流作曲家の仲間入りを果たすきっかけとなった作品がこの「Rhapsody in Blue」です。
ガーシュウィン自身が「巨大なるつぼ = アメリカを写す万華鏡のような音楽」と評したこの作品。
1924年に当時オーケストラを率いていて有名なバンドリーダーであったポール・ホワイトマンのジャズ・コンチェルトを書いて欲しいという依頼から始まりました。期限は5週間。ガーシュウィンはそれまでそのような音楽を書いたことがなく最初は困惑しましたが、ラッキーなことにインスピレーションがすぐ降りてきて、ガーシュウィンは2台ピアノのアレンジでこの作品を書きました。そしてファーディ・グローフェというホワイトマンの専属アレンジャーによってあの有名な、みんなが耳にするオーケストラバージョンに仕立て上げられました。


さて今回の『Rhapsody in Blue Reimagined』は、当時の人種や文化のるつぼ=アメリカを投影した「Rhapsody in Blue 」を、初演100年を記念し、改めて2024年を生きるピアニスト Lara Downesと、サックス奏者でありアレンジャーのEdmar Colonが再解釈をしたプロジェクトです。


Lara Downesはアメリカのアフリカ系女性クラシック・ピアニストとして活躍しているだけでなく、社会活動化として女性やアフリカ系の作品に焦点を当てる活動もしています。
今回の作品では流暢なクラシカルなテクニックや表現だけでなく、アフリカ的なリズム、ラテン的な情熱、またアジア的な表現も必要な作品ですので、彼女のさまざまな文化への理解の深さが表れています。インタビューを聞く限りではジャマイカ系の家族の出身だそうです。


Edmar Colonはプエルトリコ出身のジャズ・サックス奏者として世界的に活躍するだけでなく、エスペランザ・スパルディングのグラミー賞受賞作品『12 Little Spells』やテリ・リン・キャリントンのアルバム『Waiting Game』でもオーケストラのアレンジを務めたり、ボストン・ポップスや、DCのナショナル・オーケストラに委嘱作品を提供するなど、作曲家としても幅広く活躍しています。
私、曽根麻央とは実は、16歳の時からの親友で、いまだに月に30-40分は電話をする仲です。お互いの実家に何度も行ったことがあります。数多くのステージも一緒に演奏してきました。


現在私たちは、100年前とは形は違うけれども、さまざまな社会問題の中に生きています。『Rhapsody in Blue Reimagined』ではそんな現在の社会を投影するかのように再構築されました。


1. Rhapsody in Blue





有名なクラリネットのトリルが聴こえるかと思えば、ここではグリッサンドで駆け上がらずに、全く新しいイントロがこのReimaginedの世界に連れて行ってくれます。長3和音が短3度で降りてくる、ジョン・ウィリアムズのような、ウェイン・ショーターのような世界観で幕を開けます。
ガーシュウィンは「Rhapsody in Blue」ではドミナント7コードと短3度で動かすことで独特のブルージーな雰囲気を作り出していますが、7度の音がなくなるだけでとても斬新な響きになります。
>もう一度トリルがあらゆる楽器から聴こえてくると、ようやくみんなが知るイントロが、しかしオープニングの世界観を残すオリジナルのイントロが展開されます。

ピアノが登場してからしばらくは原曲の再現を行いますが、すぐに中東の雰囲気を予感させるモチーフも登場し始めます。
有名なピアノのフレーズでは同時にボンゴが登場し、ラテンアメリカの音楽が少しずつ顔を見せます。その後ゆったりとしたソンのリズムが現れ、ダニーロ・ペレスやダヴィ・サンチェスのような現代のラテンジャズのセクションが登場します。その上でウェイン・ショーターのオーケストラ作品のような細やかなフレーズが登場し始めます。と思うとリズムは急にさっていき、徐々に次の世界へと向かいます。

ピアノの原曲パートをインタルードとしてを挟み、そのあとは中東の世界観へ一気に観客を連れていきます。

そのあともう一度舞台はラテンジャズに戻ります。繰り返されるベースラインとグルーヴが特徴的です。マイケル・ブレッカーの『Wild Angle』を思わせる曲想が聴こえてきます。

その後、アレンジャーであるEdmar Colonのソプラノ・サックスソロに移ります。
彼のソロはウェイン・ショーター的でありながら、音色やフレーズは私とColonの共通の師である、デイヴ・リーブマンを思わせてくれます。彼のソロで一旦曲は第一クライマックスを迎えます。
と同時にキューバのリズムLulabancheが演奏されます。その上で西洋的なマーチのようなリズムが重なり原曲のモチーフが演奏されます。そのモチーフはさらに複雑なハーモニーへ誘導します。原曲の減5度のピアノフレーズも聞こえてきます。原曲のピアノ譜をもとに展開させた見事なアレンジです。さらに原曲にもある短3度の音形も入れつつ音楽を展開します。

そしてまた一つの区切りがくると原曲のピアノソロに入ります。
このト調のピアノソロの部分は、原曲の中でもピアノの聴かせどころなので、そのままというのは原曲ファンとしてもとても嬉しいですね。そのパートもところどころ中東の鼓笛隊が顔を出します。

そしてピアノパートを終えると通常であれば有名なホ調のバラードのテーマですが、なんと中国の1弦ヴァイオリンと琴によって奏でられる大胆なアレンジになっています。
そのあとに続く原曲オーケストラによる、ホ調のメロディーの提示部にも中国のサウンドがプラスされることで、この曲の新たな魅力と世界観を追加してくれています。

その後の原曲中最も難関と言われるピアノのリズミカルなパートは、Edmarの故郷であるプエルトリコ南部のリズムPlenaになっています。そのままPlenaのリズムの上でPlenaのリズムを奏でながら登場するEdmarのソプラノサックスソロがあります。そのモチーフをフルートが引き継ぎ音楽を原曲に引き戻します。そして音楽は一気に最終局面に向かいます。
原曲に忠実にありつつ独自のハーモニーとPlenaやプエルトリコのもう一つのリズム、Bombaのリズムが加わります。
そして、フィナーレでは原曲と、このバージョンのイントロをの再現を見事に合体させ、クライマックスを迎えます。


2. Study in Blue

これはショパンの夜想曲とガーシュウィンのラプソディーを掛け合わせてアレンジしなおしたものでLara DownesとEdmar Colonのデュオとなっています。
ショパンとガーシュウィンが混じり合う繋ぎのぶぶんはまるでモリコーネの映画音楽のようでとても美しいのでぜひ聴いてみてください。


それではまた次回。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

Lara-Downes-Gershwin-200.jpg
Title :『Rhapsody in Blue Reimagined』
Artist : Lara Downes
LABEL : Pentatone
発売年 : 2024年



【SONG LIST】

01.Rhapsody in Blue (arr. Edmar Colón)
02.Study in Blue (arr. Edmar Colón)
03.Commentary Track



曽根麻央『プレイズ・スタンダード』

71CCYhwTYzL._AC_SL1281_.jpg


トランペット/ピアノの"ジャズ二刀流"として話題の曽根麻央がソロピアノで紡ぐスタンダードソング集が全国発売決定!
往年のジャズの名曲をフレッシュな感性で解釈。
抒情性と気品に彩られた曽根のジャズ・ミュージシャン、ピアニストとしてのアティテュードが表現されている作品に仕上がった。


曽根麻央『プレイズ・スタンダード』


1.Reflections in D
2.Serenade
3.In Your Own Sweet Way
4.The Star-Crossed Lovers
5.Wave
6.Stella by Starlight
7.All The Things You Are
8.Luminous (Piano Solo Ver.)
9.I Loves You, Porgy
10.Lady Luck11.Danny Boy
12.Home (Piano Solo Ver.)
13.Some Other Time
14.Ask Me Now
15.The Days of Wine And Roses
16.What A Wonderful World

Mao Soné (piano, trumpet)


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』2023.10『MAINS / J3PO』2023.11『Knower Forever / Knower』2023.12『Ella Wishes You A Swinging Christmas / Ella Fitzgerald』2024.01『Silence / Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins』

Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

明けましておめでとうございます。マルチインストゥルメンタリストの曽根麻央です。

来月2/3と2/4に、恒例の「Mao Sone Plays Latin Jazz」公演が恵比寿Blue Note Placeであります。ぜひお越しください!
また4/12と4/13には福岡でソロ公演もあります。福岡の読者の皆様、お待ちしております!  
詳しくはウェブサイトのスケジュールを見てください。


さて、今日はCharlie Hadenの1989年のアルバム『Silence』をご紹介します。


91vZwKNSyyL._AC_SL500.jpg



Title : 『Silence』
Artist : Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins



レコーディングは1987年で、このアルバムにおいてゲスト的存在のChet Bakerが亡くなる6ヶ月前の演奏が収録されている、ということでも有名です。


メンバーはベーシストCharlie Hadenがリーダーとして、またはバンドのサウンドの中心的存在として素晴らしい演奏を披露しています。

イタリアのピアニストEnrico Pieranuziの限定的な和音と美しい旋律、タッチでも印象的なアルバムであります。

名ドラマーBilly Higginsも参加しています。私は彼のことを名盤製造人間だと思っているのですが、今回も的確で非常に綺麗なシンバル・レガートが全体を通して聴くことができます。

そしてChet Baker。私の大好きなトランペッターです。即興演奏ではまるで元々書かれているかのように、美しくもシンプルな旋律を組み立てる。そんな彼がゲスト的な立ち位置でアルバム全体に参加しています。

Hadenのベースはピッチが正確なのは言うまでもなく、音色に芯があり、この上ない美しい音色を奏でることができたジャズ・レジェンドの一人です。彼オンリーのユニークな音色だと思います。
Ornette Colemanとのフリージャズ演奏が最も有名かもしれません。Ornetteの一見ルールに縛られないように感じるフリージャズですが、実はその中には数多くの制約や、ユニークな作曲活動があってこその美があります。その根底を支えていたのがCharlie Hadenです。そのバンドでもバッテリーを組んでいたBilly Higginsとのコンビネーションがこのアルバムでも聴けるのは嬉しいですね。

またHadenはPat MethenyやMichael Breckerなどのフュージョン・サウンドとも相性が良く、数多くの名盤を残しています。
個人的にはBreckerのアルバム『Nearness of You』でもHadenの素晴らしさがキャプチャーされていると感じます。

この『Silence』はHaden1人が音色が美しい奏者というわけでではなく、参加している4人とも、楽器の音色をシンプルに美しく奏でることに長けたミュージシャンであると思います。
特にHigginsのシンバルワークは素晴らしく、彼の演奏動画を見るとその正確さと細やかなスティックの運びを見ることができます。
演奏内容は全然違うのですが、Charles Lloydととのデュオ動画は特に彼の特色を感じ取ることができるので、是非、番外編として見ていただけると嬉しいです。




さて、この『Silence』では最初の3曲(おそらくアナログのA面)が特に素晴らしく、各ミュージシャンの特色をよく捉えて、バラエティーに富んだ選曲。普段の演奏では聴けない参加ミュージシャンの一面を見ることができます。

1曲目の「Visa」はCharlie Pakerのビバップ曲。
しかしこのメンバーで演奏するとまるで違う、ウエスト・コースト・ジャズのようなサウンドで表現されています。
Chet Bakerのソロ中にはピアノが和音を伴奏してない時間が長く、まるでバリトンサックスのGerry MulliganとChet Bakerのカルテットでウエストコーストサウンドを築き上げた時代の演奏のように聞こえます。それに触発されたEnrico Pieranuziのソロ演奏も和音が少なくシンプルな中低音を使った旋律で表現されています。




2曲目の「Silent」はCharlie Hadenの有名なオリジナル・バラードです。この音色の美しい4人が奏でるのに相応しい曲と言えると思います。




3曲目の「Echi」はピアニストのEnrico Pieranuziのオリジナル曲。
このアルバムでは珍しくコンテンポラリーな作品になっています。ベースとピアノの左手で旋律のユニゾンがあったり、あまり古典的なジャズには見られない和音や構成です。
作品としてはこの同時期か少し後のTom Harrellのような雰囲気に近いかもしれません。こういったコンテンポラリーな作品をChetが吹くのは珍しい気がします。
Higginsのコンポジションの解釈も素晴らしくドラムセットで上手くオーケストレーションしています。スネアのサウンドもとても美しいです。




続く3曲はスタンダードで構成されており、「My Funny Valentine」ではChetの歌も収録されています。
「Conception」はGeorge Shearing の書いたいわゆるジャズの難曲の一つですが、このメンバーにかかると難しさは感じられずただひたすら美しく心地よい演奏になっています。




それではまた次回。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

91vZwKNSyyL._AC_SL200.jpg
Title :『Silence』
Artist : Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins
LABEL : Soul Note
発売年 : 1989年



アマゾン詳細ページへ

【SONG LIST】

01.Visa
02.Silence
03.Echi
04.My Funny Valentine
05.'Round About Midnight
06.Conception



曽根麻央『プレイズ・スタンダード』

71CCYhwTYzL._AC_SL1281_.jpg


トランペット/ピアノの"ジャズ二刀流"として話題の曽根麻央がソロピアノで紡ぐスタンダードソング集が全国発売決定!
往年のジャズの名曲をフレッシュな感性で解釈。
抒情性と気品に彩られた曽根のジャズ・ミュージシャン、ピアニストとしてのアティテュードが表現されている作品に仕上がった。


曽根麻央『プレイズ・スタンダード』


1.Reflections in D
2.Serenade
3.In Your Own Sweet Way
4.The Star-Crossed Lovers
5.Wave
6.Stella by Starlight
7.All The Things You Are
8.Luminous (Piano Solo Ver.)
9.I Loves You, Porgy
10.Lady Luck11.Danny Boy
12.Home (Piano Solo Ver.)
13.Some Other Time
14.Ask Me Now
15.The Days of Wine And Roses
16.What A Wonderful World

Mao Soné (piano, trumpet)


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』2023.10『MAINS / J3PO』2023.11『Knower Forever / Knower』2023.12『Ella Wishes You A Swinging Christmas / Ella Fitzgerald』

Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

みなさんこんにちは、ジャズ二刀流ことマルチインストゥルメンタリストの曽根麻央です。
今日、私はBlue Note Beijingへのソロ出演のため北京へ来ています。こちらは氷点下続きでとても寒いです。
こんなに寒いですが、心温まるホリデーシーズンにぴったりなジャズアルバムがあります。今日はそのアルバムを皆さんにご紹介しようと思います。


81a5OzVi12L._500.jpg


Title : 『Ella Wishes You A Swinging Christmas』
Artist : Ella Fitzgerald


『Ella Wishes You a Swinging Christmas』は、ジャズの歴史に永遠にその名を刻むエラ・フィッツジェラルドと名プロデューサー、ノーマン・グランツとのコンビが生んだ名作です。
アレンジはFrank De Volという作曲家・アレンジャー(俳優という肩書きもある方)が書いていています。
彼はナット・キング・コールやトニー・ベネットと行ったアメリカを代表するシンガーたちのアレンジを担当していたことで有名です。「Nature Boy」のアレンジが彼の代表的なアレンジです。

 
このアルバムでメロディーの歌い回しとアレンジが密接に関わっていますのでアレンジャーとエラで念密な打ち合わせと練習があったことが予想されます。

最初の2曲「Jingle Bell」や『Santa Claus Is Coming To Town」は子供から大人まで誰でも知っているクリスマスソングなので、自分の知っているメロディーと、ジャズシンガーであるエラが歌う歌い回しの違いに注目しても面白いかもしれません。
そしてその変更されたメロディーが伴奏のアレンジにも大きく関わっていて、使い回されたホリデーソングを新鮮なものにしてくれます。





エラの歯切れよいリズムと、ライトにシャウトするかの様な高音が心地よく本当に楽しい気分にさせてくれます。そしてビブラートが本当に美しい。
おそらくこの時代ですとバンドと一緒に一発録音でしょうし、シンガーとして技量がとにかく必要だった時代です。

「The Christmas Song」などはそもそも跳躍が激しので歌唱が難しい曲ですが、そう言った難しさは一切聴衆に感じさせずただただ美しく完璧、そしてその中に彼女の人生があり抑揚がしっかりとあります。





エラのピッチ感は全体的にややフラット(やや低め)なのですが、それが本当に気持ち良いのです。人間味があるというか、暖かさがあるというか、ナチュラルというか。全てを完璧にしてしまう現代のレコーディングではなかなか聴くことができない持ち味ですね。
特に「Sleigh Ride」ではエラの絶妙に低いピッチ感が心地よく味わえるトラックだと思います。





アレンジの幅は広く、ベイシー風とホリデーを思わせるコーラスがかけ合わさった様なアレンジから、「Good Morning Blues」ではブルース風のアレンジもあったりします。
「Have Yourself A Merry Little Christmas」はクリスマスの名バラード曲ですがここでは心地よいゆったりとしたスウィングで演奏されています。ジョージ・シアリング風のアレンジがとても良いです。





「What Are You Doing New Year's Eve?」はピアノからのデュオで始まるバラード曲です。
現代のレコーディングと比べるとピアノが小さいのかなと思うのですが、小さい音量でもはきり聴こえてくるので絶妙なバランス感覚だなと驚きました。
長時間聴いても耳が疲れない的音量とバランスになっているアルバムです。





録音としては全体的にとてもよいバランスで収められていると思いました。
特にエラがきちんとフロントでフィーチャーされるのに十分な音量でいるためにオケやコーラスやドラムが若干小さめにミックスされていますが、それであっても物足らなさはなく、それどころかエレガントに聴こえます。車や部屋で流して聴いていて最高に心地よいミックスです。
執筆するために本気で集中リスニングをするのにオーディオスピーカーで聴くと、ベースとドラムのパンが右側に極端によっており、この時代のステレオ・ミックスにありがちではありますが、私はモノラル・ボタンをこちらのプレイヤーで押してモノラル再生で聴く方が好みでした。

ただ先程も言った通り、もっと広い空間や部屋で流して聴くのには最高の音でしたので、音楽の用途とミックスはとても親密な関係にあって興味深いなと改めて思いました。


『Ella Wishes You a Swinging Christmas』この冬是非皆さんに聴いていただきたい一枚です。
SpotifyやApple Musicにもありますので、慌ただしい年の瀬ではありますが、アルバムを聴く50分、ひとときの息抜きをこの時期に暖かい部屋の中で得られるのはとても幸せなことではないかなと思います。


それでは今年も沢山CD Reviewを読んでいただきありがとうございました。また来年もよろしくお願いいたします。

良いお年をお迎えください。



文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

81a5OzVi12L._200.jpg
Title :『Ella Wishes You A Swinging Christmas』
Artist : Ella Fitzgerald
LABEL : Verve Records
発売年 : 1960年



アマゾン詳細ページへ

【SONG LIST】

01.Jingle Bells
02.Santa Claus Is Coming To Town
03.Have Yourself A Merry Little Christmas
04.What Are You Doing New Year's Eve?
05.Sleigh Ride
06.The Christmas Song
07.Good Morning Blues
08.Let It Snow, Let It Snow, Let It Snow
09.Winter Wonderland
10.Rudolph, The Red-Nosed Reindeer
11.Frosty The Snow Man
12.White Christmas



曽根麻央『プレイズ・スタンダード』

71CCYhwTYzL._AC_SL1281_.jpg


トランペット/ピアノの"ジャズ二刀流"として話題の曽根麻央がソロピアノで紡ぐスタンダードソング集が全国発売決定!
往年のジャズの名曲をフレッシュな感性で解釈。
抒情性と気品に彩られた曽根のジャズ・ミュージシャン、ピアニストとしてのアティテュードが表現されている作品に仕上がった。


曽根麻央『プレイズ・スタンダード』


1.Reflections in D
2.Serenade
3.In Your Own Sweet Way
4.The Star-Crossed Lovers
5.Wave
6.Stella by Starlight
7.All The Things You Are
8.Luminous (Piano Solo Ver.)
9.I Loves You, Porgy
10.Lady Luck11.Danny Boy
12.Home (Piano Solo Ver.)
13.Some Other Time
14.Ask Me Now
15.The Days of Wine And Roses
16.What A Wonderful World

Mao Soné (piano, trumpet)


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』2023.10『MAINS / J3PO』2023.11『Knower Forever / Knower』

Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

曽根麻央 Monthly Disc Review2023.11_Knower : Knower Forever :Monthly Disc Review

みなさんこんにちは、マルチインストゥルメンタリストの曽根麻央です。

今、僕がプロデュースしたアルバムCity Pop Rendez-Vousのツアー中で、昨日岡山公園が無事終了し、本日15日は名古屋Mr. Kenny's、そして明日16日は浜松Hermit Dolphinで公演があります。
詳しくは僕のウェブサイトをチェックしていただきたいのですが、このCity Pop Rendez-Vousをまだ聴いていない方も是非、アルバムを聴いて欲しいです!


曽根麻央スケジュール
https://maosone.com/gigs.jp


CITY POP RENDEZ-VOUS
https://amzn.asia/d/9LyV113



さて、今日は僕の大好きなjazz/popユニット、Knowerの今年リリースされたアルバム
『Knower Forever』を紹介したいなと思います。


41bkTZprZGL._AC_SL1000_.jpg

Title : 『Knower Forever』
Artist : Knower



Knowerはドラマー、ルイス・コールとシンガー、ジェネヴィーヴ・アルターディの2人からなるLAのユニットで、2010年ごろからYouTubeに音楽をアップロードし始め、すぐにその知名度をあげました。
ちょうど2010年からアメリカに留学していた私もその頃から彼らの音楽に夢中でした。
特にこのトラックは音大生の間でも話題になりました。





今のサウンドに比べるとかなり打ち込み色が強くクリーンなサウンドかなと思います。


それに比べ、『Knower Forever』を含む近年のサウンドは、あえて宅レコ感とドラムのモノラルレコード感が強くなり、昔のゲームボーイのビットシンセの様な音色など、チープな音を最大限に効果的に使用することにより、Knowerサウンドを確率したものになっている気がします。
それがホームビデオの様な粗めのMV映像と上手く一体化しており、素晴らしい作品になっています。


レコーディング風景も実はアップされており、基本自宅で同時録音でした。
こちらはM2の「I'm The President」の映像ですが、このレコーディングスタイルが今のKnowerサウンドを作り上げてるといってよいでしょう。





1. Knower Forever
オーケストラオンリーの映画音楽の様なルイス・コールの作品。
シンプルなテーマに半音階の伴奏で始まり、半音階がテーマになったりしているうちに徐々に混沌となり、それがピークに達し曲が終わります。


2. I'm The President
Knowerのユーモラスな面とタイトなグルーヴが見事に合わさった楽曲。
このアルバムのリードトラックに当たる曲かと思います。
Paul Cornishの見事なアップライトピアノソロが収録されています。
このソロはトランスクライブがYouTubeに上がっていました。




3. The Abyss
ベースにMononeon、キーボードにRai Thistlethwayteを迎えた最高にファンキーな楽曲。
途中ルイス・コールのドラムソロと、Rai Thistlethwayteのキーボードソロがフィーチャーされています。


4. Real Nice Moment
アナログシンセの様な不安定なピッチの音色で幕を開ける、ポップな作品。
Paul Cornishのジャズ的なボイシングを思いっきり使い、レイドバックして少し気だるさもある雰囲気のピアノソロが素晴らしです。


5. It's All Nothing Until It's Everything
激しいビートが初めから展開されます。
Rai Thistlethwayteのソロが途中フィーチャーされていて、このアルバムのクライマックスの一つになっています。
このソロはトランスクライブがYouTubeに上がっていました。
素晴らしくタイトでアイディアも豊富です。僕も来週のお休みで練習しようと思います(笑)。




6. Nightmare
シンセブラスのサウンドと、Mononeonが作り出すグルーヴが特徴的なトラック。
こちらも途中のclavi solo(恐らくJacob Mann?)が素晴らしいです。


7. Same Smile, Different Face
ジェネヴィーヴ・アルターディの素晴らしい歌唱が聞けるトラックで、このアルバム随一の美しいpopバラードとなっています。
ルイス・コールの作曲で本人はピアノで参加しています。


8. Do Hot Girls Like Chords
このアルバム一のロックなトラックで、Adam Ratnerのギターソロがフィーチャーされています。


9. Ride That Dolphin
こちらもポップな作品の一つ。途中2:12過ぎからコーラスとキーボードのアレンジが素晴らしく心つかまれます。




10. It Will Get Real
このアルバムに僕が出会うきっかけを作ってくれた曲で、素晴らしいトラックです。
J-WAVEで偶然流れていて、これはなんだ!となりました。
こちらもRai Thistlethwayteのキーボードソロがフィーチャーされていて、シンセの波形が少しずつソロ中に変化していて、音色へのこだわりも素晴らしいソロになっています。Sam Gendelのサックスもフィーチャーされています。
彼のサックスソロは金管と言うより、リードシンセなのかなと一瞬耳を疑うほど、Knowerとの親和性が高いサックス奏者です。


11. Crash The Car
美しいバラード曲。こちらもジェネヴィーヴ・アルターディの素晴らしい歌唱が聴けます。
名ジャズ・サックス奏者David Binneyがフィーチャーされています。



それではまた次回。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

41bkTZprZGL._AC_SL200.jpg
Title :『Knower Forever』
Artist : Knower
LABEL : BEAT RECORDS
発売年 : 2023年



アマゾン詳細ページへ

【SONG LIST】

01.Knower Forever
02.I'm The President
03.The Abyss
04.Real Nice Moment
05.It's All Nothing Until It's Everything
06.Nightmare
07.Same Smile, Different Face
08.Do Hot Girls Like Chords?
09.Ride That Dolphin
10.It Will Get Real
11.Crash The Car
12.Bonus Track



曽根麻央『プレイズ・スタンダード』

71CCYhwTYzL._AC_SL1281_.jpg


トランペット/ピアノの"ジャズ二刀流"として話題の曽根麻央がソロピアノで紡ぐスタンダードソング集が全国発売決定!
往年のジャズの名曲をフレッシュな感性で解釈。
抒情性と気品に彩られた曽根のジャズ・ミュージシャン、ピアニストとしてのアティテュードが表現されている作品に仕上がった。


曽根麻央『プレイズ・スタンダード』


1.Reflections in D
2.Serenade
3.In Your Own Sweet Way
4.The Star-Crossed Lovers
5.Wave
6.Stella by Starlight
7.All The Things You Are
8.Luminous (Piano Solo Ver.)
9.I Loves You, Porgy
10.Lady Luck11.Danny Boy
12.Home (Piano Solo Ver.)
13.Some Other Time
14.Ask Me Now
15.The Days of Wine And Roses
16.What A Wonderful World

Mao Soné (piano, trumpet)


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』2023.10『MAINS / J3PO』

Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

曽根麻央 Monthly Disc Review2023.10_J3PO : MAINS :Monthly Disc Review

こんにちは。マルチインストゥルメンタリストことジャズ二刀流の曽根麻央です。みなさんいかがお過ごしでしょうか? 
私は先月9月に初のアコースティック・ソロ・アルバム『Plays Standards』をリリースさせていただいたばかりです。
これからリリースライブの海外公演も控えていますし、サポートのお仕事でツアーもあり、年内はスケジュールがみっちり組まれています。


Mao Sone Plays Standards Release Live


10/29 (Sun) 水戸(茨城) Girl Talk
Open 16:00, Start 17:00 (2 sets)
https://www.girltalk.co.jp/index.shtml


12/10(Sun) 柏(千葉) Studio WUU
Open 17:30, Start 18:00
https://www.wuu.co.jp/


さて、アコースティック・ピアノを中心に置いたアルバムをリリースしたばかりなのですが、実は今年、Sequentialというメーカーのフラグシップとも言えるアナログ・シンセサイザー「Prophet 6」を年始に手に入れることができました。
私の音楽人生では初の本格的アナログ・シンセで、レコーディングやライヴでの実用化に向けて毎日挑戦中なのです。
最初は一回のレコーディングに必要で購入しようと決意したのですが、その無限の可能性に気づき研究の日々を重ねています。


そんな中、Prophet 6のあらゆる使い方を模索するのにネットサーフィンをしていたところ出会ったのが、今回紹介する「J3PO」ことJulian Waterfall Pollackというアーティストです。

Mains.jpg

Title : 『MAINS』
Artist : J3PO

彼はYouTubeで、演奏動画だけでなく、シンセサイザーの使い方やトラックの作り方までも、とても素晴らしいコンテンツを配信しています。


最初は私も勉強材料として彼の動画を見続けていたのですが、徐々にJ3POが実はただのシンセマニアではなく、素晴らしい鍵盤奏者だったことに気づきました。
この人がどんな音楽を作るのか気になり、今回のアルバムに出会いました。


J3POことJulian Waterfall Pollack。
本名名義ではアコースティック・ピアノを中心にジャズ・アルバムを出していて、J3PO名義ではシンセサイザーを中心にエレクトロ・ミュージックを製作しているようです。


アコースティック・ピアニストとしての作品を聴くと、ブラッド・メルドーやケニー・ワーナー、アーロン・パークスといったアーティストの影響を色濃く感じ取れます。
キーボーディスト/ピアニストとして、そもそも、マーカス・ミラーやクリス・ボッティーといった世界的アーティストのツアーに参加するなどしていますので、ジャズ奏者としての経験は十分にある人物といってよいでしょう。



J3PO名義のキーボードやシンセの音色作りがとても綺麗で私はすごく好みで、彼の動画を参考に、耳コピで自分のシンセサイザーで音を再現しようと試みていました。
どうして彼の音色はそこまで魅力的なのか?とずっと疑問に思っていましたが、今回ご紹介するのに彼の経歴を調べてみると、どうやら私が実際にレコーディングやライヴで使っているシンセ音源、SpectrasonicsのOmnisphereやKeyscapeといったプログラムの開発に携わっているようで、実際に私が使っているキーボードNord Stage 3のパッチ(音色)の開発にも携わっているようです。
なるほど、実際に使っている機材の音の開発に携わった人物か...見事にツボを抑えられていたといった感じですね。


さてJ3POの『Mains』は2021年のアルバムで、全ての曲が彼の打ち込みによる作品になっています。
打ち込みといってもシンセサイザーを多用した多重録音作品で、ジャズの即興演奏やソロの要素は十分に残されています。
シンプルなテーマやコードを展開させていくスタイルの曲が多く、39分間に14曲という短いトラックで構成されていることもありかなり聴きやすいアルバムになっています。BGMとして軽い気持ちで聴くもおしゃれで良い。また、しっかり聴いても構成が複雑かつ巧妙なのなので飽きないアルバムになっていると思います。


シンセサイザーは、彼の音作りの動画を見る限り、ProphetだけでなくMoogやNordなどヴィンテージから現代のシンセまで総合的に使っていると思います。それが時代を超越して現代的なニュアンスを出しているのかもしれません。
またシンセサイザーだけでなく、フェンダーローズの音色が所々顔を見せる(M2のStart SumpthinやM12のPoppy Seedなど)のが音に暖かさをプラスしていて、とても心地よいですね。


またアコースティック・ピアノもソロなどで使われていて(M11 Silver Liningなど)、見事にブレンドされています。


ジャズのエッセンスを持ちながら、エレクトロやK-POPイッシュのセンスも掛け合わせることができる次世代アーティストとして、今後とも注目され続けるべきアーティストだと思います。
またジャズリスナーが高齢化する中で、これからの世代にも通用するサウンドで音楽をクリエイトできる表現者でもあると思うので、是非聴いていただけると嬉しいです!


それではまた次回。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

Mains_200.jpg
Title :『MAINS』
Artist : J3PO
LABEL : WATERFALL TONED MUSIC
発売年 : 2021年


【SONG LIST】

01.intro - line check
02.Start Sumpthin Up
03.100 Degrees
04.Right Now
05.I've Changed My Mind
06.interlude - preheat
07.Night Sky
08.Breaktime
09.interlude - onions
10.Oof
11.Silver Lining
12.Poppy Seed
13.Quiet Place
14.outro - just a thought



曽根麻央『プレイズ・スタンダード』

71CCYhwTYzL._AC_SL1281_.jpg


トランペット/ピアノの"ジャズ二刀流"として話題の曽根麻央がソロピアノで紡ぐスタンダードソング集が全国発売決定!
往年のジャズの名曲をフレッシュな感性で解釈。
抒情性と気品に彩られた曽根のジャズ・ミュージシャン、ピアニストとしてのアティテュードが表現されている作品に仕上がった。


曽根麻央『プレイズ・スタンダード』


1.Reflections in D
2.Serenade
3.In Your Own Sweet Way
4.The Star-Crossed Lovers
5.Wave
6.Stella by Starlight
7.All The Things You Are
8.Luminous (Piano Solo Ver.)
9.I Loves You, Porgy
10.Lady Luck11.Danny Boy
12.Home (Piano Solo Ver.)
13.Some Other Time
14.Ask Me Now
15.The Days of Wine And Roses
16.What A Wonderful World

Mao Soné (piano, trumpet)


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』



Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

曽根麻央 Monthly Disc Review2023.9_Toshiko Mariano Quartet : Toshiko Mariano Quartet:Monthly Disc Review

mdr1.jpg


こんにちは、トランペット&ピアノの曽根麻央です。
今日は秋吉敏子さんの61年のアルバム『Toshiko Mariano Quartet』をご紹介しようと思います。

R-2534662-1298933044.jpg

Title : 『Toshiko Mariano Quartet』
Artist : Toshiko Mariano Quartet


【グルーヴィーでエネルギッシュ、それでいてユニークな作品】


このアルバムは前半が前半がCharlie Marianoの作品、後半が秋吉敏子さん(当時はToshiko Mariano)の作品で構成されていて、「Deep River」というスピリットの讃美歌のカバーを入れた5曲で構成されています。

全体を通してグルーヴィーでエネルギッシュな作品になっていて、秋吉さんのピアノのタイムの正確さ、ユニークなアイディア、音楽への情熱を感じることができます。ピアニストとしての秋吉敏子さんを存分に堪能できる作品でありながら、代表曲「Long Yellow Road」のコンボバージョンも聴くことができる嬉しい作品です。
Charlie Marianoの音色も素晴らしく、彼の音色も生々しく鮮明に力強く収録されています。


01. When You Meet Her
Charlie Marianoの作品で3拍子と4拍子忙しく入れ替わるユニークな早いスウィングの曲。秋吉敏子さんはビバップにフレーズの基礎をおきながらも、ブルージーな歌い回しを展開します。


02. Little T.
Charlie Marianoのミディアムテンポの曲。イントロはサックスとベースの2声のカウンターラインに挟まれて、ピアノが印象派的なサウンドを展開して始まる曲。
ドラムのスネアとピアノの攻撃的なパンチが強力に記憶に残ります。一度テーマに入るとリズムセクションが強力にスウィングします。秋吉敏子さんのピアノの伴奏(コンピング)にも注目したいです。ビッグバンドのサウンドのようにパワフルに、リズミカルに演奏をサポートしているのがわかるでしょう。


03. Toshiko's Elegy
アルバムも後半に突入して、ここからは秋吉敏子さんの作品。こちらもリズミカルで軽快なスウィング曲。
ビバップにその根源はあることは感じ取れる作品ですがより複雑な構成になっていています。

A-10小節、B-(Latin) 4小節+(swing)2小節
A-10小節、B-(Latin) 4小節
C-10小節
A-10小節、B-(Latin) 4小節+(swing)2小節

というかなり奇妙な構成の曲になっていて、秋吉作品の演奏の難しさを感じ取れます。聴いていると普通に4小節区切りの自然な感じに聞こえてしまうのが不思議です。


04. Deep River
アフリカ系アメリカ人の礼拝音楽、スピリチュアルの有名曲をリハモニゼーション(メロディーはそのまま和音のみを変えるアレンジ方法)してブルージーなジャズヴァージョンに仕上げています。
Charlie Marianoの歌心あるサックスでのメロディーが印象的です。


05. Long Yellow Road
秋吉さんの代表曲。当時のアメリカ社会で日本人女性ミュージシャンとして生きる長い道のりが表現されている曲です。
ビッグバンドで耳にしたことがあるジャズファンが多いはずですがここではコンボバージョンで、ピアノとサックスをフィーチャーしています。我々がよく知るビッグバンドヴァージョンよりかなりゆったりしたテンポで演奏されています。




それではまた次回。


文:曽根麻央 Mao Soné




Recommend Disc

toshiko_200.jpg
Title :『Toshiko Mariano Quartet』
Artist : Toshiko Mariano Quartet
LABEL : Candid
発売年 : 1961年



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】

01.When You Meet Her
02.Little T
03.Toshiko's Elegy
04.Deep River
05.Long Yellow Road



9/6(水)発売!曽根麻央『プレイズ・スタンダード』

私、曽根麻央の新しいアルバムが発売されました!
今回は16曲のジャズスタンダードとピアノに焦点をあて、初のソロアルバムとなっています! 
是非手に取ってみてください!

71CCYhwTYzL._AC_SL1281_.jpg


トランペット/ピアノの"ジャズ二刀流"として話題の曽根麻央がソロピアノで紡ぐスタンダードソング集が全国発売決定!
往年のジャズの名曲をフレッシュな感性で解釈。
抒情性と気品に彩られた曽根のジャズ・ミュージシャン、ピアニストとしてのアティテュードが表現されている作品に仕上がった。


曽根麻央『プレイズ・スタンダード』


1.Reflections in D
2.Serenade
3.In Your Own Sweet Way
4.The Star-Crossed Lovers
5.Wave
6.Stella by Starlight
7.All The Things You Are
8.Luminous (Piano Solo Ver.)
9.I Loves You, Porgy
10.Lady Luck11.Danny Boy
12.Home (Piano Solo Ver.)
13.Some Other Time
14.Ask Me Now
15.The Days of Wine And Roses
16.What A Wonderful World

Mao Soné (piano, trumpet)


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』



Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

mdr1.jpg


みなさんこんにちは、曽根麻央です。
今日は今年の6月にリリースされたばかり、ギター・ヒーロー、カート・ローゼンウィンケルの最新ライヴアルバムを紹介します。
しかもただのライヴ盤というだけでなく、ビル・エヴァンスやソニー・ロリンズのライヴ盤でもお馴染みのニューヨークのジャズの名店、ヴィレッジ・ヴァンガード収録されたということもあり、当時と今のライヴ録音技術の変化を感じられる一枚でもあります。

ヴィレッジ・ヴァンガードは当時から移転することなく続いているお店ですので、ビル・エヴァンス達と全く同じ箱で収録したライヴ盤になります。

81fPRVKBUiL._AC_SL500_.jpg


Title : 『Undercover Live at the Village Vanguard』
Artist : Kurt Rosenwinkel


【まるでスタジオ録音のようなライブアルバム】


エヴァンスの『Sunday at the Village Vanguard』は61年のレコーディングで、ピアノが右のスピーカー、ベースが左、ドラムが真ん中でパンが完全に分離されているにも関わらず一体感があるという今ではなかなか無いステレオ感のアルバムです。
客席の話し声やグラスの音がとてもアイコニックで、まるで自分がタイムスリップしてその場にいるような錯覚をいまだに感じさせてくれる生々しさと温かみのある名盤、名レコーディングです。
現代でも通じる高い集音技術がすでに確立されていたのでしょう。


一方、2023年のライヴ盤『Undercover Live at the Village Vanguard』はまるでスタジオ録音されたかのようなクリアな音質が特徴的です。
パンも完全に分離されておらず自然な感じでピアノが左方向、ベース&ギターが真ん中、ドラムが右方向となんとなく舞台のセッティングが自然にイメージできるパンになっています。
客席の音は非常に静かで音楽の邪魔にならない程度に歓声と拍手が聞こえます。


通常ドラムの音はピアノマイクやそのほかの楽器マイクにかぶっていくのですが、見事にクリアに分離しているように聞こえます。
録音エンジニアのマイキングとミュージシャンの音量コントロールの力量2つが合わさって見事に集音されていると思います。


演奏に関しては私はまず、ドラムのグレッグ・ハッチンソンの演奏スタイルの幅が以前に増して広がっていて素晴らしいと感じました。
グレッグの演奏スタイルはM2の「The Past Intact」のようなジェフ・テイン・ワッツの系譜でスウィングもののイメージが強かったのですが
M1「Cycle Five」や、M4「Our Secret World」、M6「Undercover」のようなイーヴン系、フージョン系のグルーヴの演奏も見事でした。
タムやスネアをミュートして作った音色もかっこよく、その音色がまたリアルに収録されています。


ピアノのアーロン・パークスは素晴らしいリズム感とアイディアでバンドの演奏に花を添えています。
『Nu Deco Ensemble+Aaron Parks: Live from Miami』というアルバムで以前アーロン・パークスは紹介しています
→曽根麻央 Monthly Disc Review2022.6
 
シンセサイザーの使い方も素晴らしく、M4「Our Secret World」では一見ローズに聴こえるような丸みのある、しかし瞬発力があり減衰速度が遅いパッド系の音色と、実際のフェンダーローズの音をうまく組み合わせることで独特なカラーを演奏に与えています。


M1「Cycle Five」M6「Undercover」ではリードシンセでソロを取りながら、ピアノorフェンダーローズでコンピングするプレイも聴くことができます。


ベースのエリック・リーヴスも名手として有名です。
今回はソロをM5「MUSIC」で披露しています。
ブランフォード・マルサリスのバンドに参加している馬力の強いベーシストというイメージが強いと思います。
力強さと、サステインの長さのある素晴らしいベーシストです。このアルバムでも完璧なサポートを披露しています。
特に、M5「MUSIC」では繊細なタッチも見せてくれていて、この人もまた表現の幅の広いアーティストです。


カート・ローゼンウィンケルは素晴らしいテクニックと、おそらく我々世代のギターリストが必ず影響を受けたことがあるだろう独特な音色作りで、独自の世界観をライヴでも完璧に再現しています。
以前よりも音色に広がりとシンセ感がより強くなったかなという印象がありました。
しかしそれでいて生楽器の証でもあるピックの音も綺麗に収録されていて、ギターヒーローの現在を見事に感じることのできる一枚です。


またアーロン・パークスとカート・ローゼンウィンケルの二人の相性も良く、コード楽器が二人いるのにも関わらず、両者の居場所がはっきりしていて、演奏上のチームワークも素晴らしいです。
バンドの完成度が高く、録音技術だけでなく、演奏技術としてもまるでスタジオ録音のような完璧な演奏作品を残してくれました。


全曲カートのオリジナル曲で、今やりたいことを正直に作ったアルバムなんだろうなと感じました。
メンバーも良い具合に力が抜けていて、僕ら世代のジャズ・アイドル達もどんどん進化しているようです。
私も頑張ろうと思わせてくれた作品でした!


ちなみにCDや配信だけでなく、なんとVinylでも発売されているようなので、興味がある方は是非検索してみてください!



文:曽根麻央 Mao Soné




Recommend Disc

81fPRVKBUiL._AC_SL200.jpg
Title :『Undercover Live at the Village Vanguard』
Artist : Kurt Rosenwinkel
LABEL : MOCLOUD RECORDS
発売年 : 2023年



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】

01.CYCLE FIVE
02.THE PAST INTACT
03.SOL?
04.OUR SECRET WORLD
05.MUSIC
06.UNDERCOVER



来月9/6(水)発売!曽根麻央『プレイズ・スタンダード』

新たに新譜を出します!ジャズスタンダードとピアノ中心の世界をお楽しみください!

71CCYhwTYzL._AC_SL1281_.jpg



トランペット/ピアノの"ジャズ二刀流"として話題の曽根麻央がソロピアノで紡ぐスタンダードソング集が全国発売決定!
往年のジャズの名曲をフレッシュな感性で解釈。
抒情性と気品に彩られた曽根のジャズ・ミュージシャン、ピアニストとしてのアティテュードが表現されている作品に仕上がった。

曽根麻央『プレイズ・スタンダード』
9/6(水)発売
 
1.Reflections in D
2.Serenade
3.In Your Own Sweet Way
4.The Star-Crossed Lovers
5.Wave
6.Stella by Starlight
7.All The Things You Are
8.Luminous (Piano Solo Ver.)
9.I Loves You, Porgy
10.Lady Luck11.Danny Boy
12.Home (Piano Solo Ver.)
13.Some Other Time
14.Ask Me Now
15.The Days of Wine And Roses
16.What A Wonderful World

Mao Soné (piano, trumpet)


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』



Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

曽根麻央 Monthly Disc Review2023.7_Willie Colón & Rubén Blades : Siembra:Monthly Disc Review

mdr1.jpg


こんにちは、曽根麻央です。
この一年、恵比寿に新しくできたBlue Note Placeで週末のラテン・ジャズの枠を持たせてもらっています。それもあり自分の音楽ルーツの一つであるラテンの音楽を日本でも演奏する機会が増えてとても充実した日々が続いています。

日本では南アメリカの音楽を総合して「ラテン」と一口に呼びますがラテンの中にも色々あり、1日でそのカテゴリーを網羅するのは不可能でしょう。ジャズの中にもニューオリンズがあり、スウィングがあり、ビバップがあり、ハードバップがあり、モードジャズがあり...また地域ごとにもニューヨークのコミュニティー、デトロイトのコミュニティー、DCのコミュニティーと特色が違いますよね。というようにラテン音楽にもたくさんの種類があり、また国ごとにリズムが違ったりします。今日はそんな中でもサルサの名盤を紹介したいなと思います。夏に聞くのにぴったりの作品ではないかと思います。

その前に一つお知らせがあります。
先月もお知らせしましたが、City Popの名曲12選をジャズ&ラテン・カバーした『City Pop Rendez-Vous』が僕が立ち上げた新レーベルclaudiaより発売されました。ぜひお手にとって聴いてみてください。
JJazz.Netの番組「PICK UP」でも紹介されています!


Airi - City Pop Rendez-Vous500.jpg


【CD販売/配信リンク】
https://ultravybe.lnk.to/citypoprendez-vous


JJazz.Net「PICK UP - JULY」
放送期間:2023.7/5(水)-8/2(水)17:00まで

https://www.jjazz.net/programs/pick-up/


サルサは70年代にラテン音楽がニューヨークを中心としたアメリカで、よりポピュラー音楽へと変貌を遂げた時の名称です。当時ニューヨークに住んでいたキューバやプエルトリコ出身のミュージシャンによって、キューバのSon montunoのやmambo、プエルトリコのPlenaやBombaと言ったリズムが元にして出来上がった総合文化音楽とでも言えるものです。

もちろん1940~50年代にDizzy GillepieやChan Pozo、Mongo Santamaría、Tito Puente、そしてCachaoといったアーティストの作り上げたラテンジャズの影響も濃くあり、ジャズ、ファンク、R&B、そしてラテン特有の土着的なメロディーやリズムが複合して完成したジャンルと言えるでしょう。


aembra500.jpg


Title : 『Siembra』
Artist : Willie Colón & Rubén Blades

今日紹介するのはWillie Colón & Rubén Bladesというサルサを代表するアーティストの2人名義のアルバム『Siembra』(1978)です。サルサを代表するアルバムにも関わらず、一時期はアメリカで入手が困難だったアルバムなのですが、近年ではサブスクも解禁されました。

Willie Colónはトロンボーン奏者、アルバム・プロデューサー、アレンジャーで、Rubén Bladesがリード・シンガー兼ソングライターです。Rubén Bladesは「プレデター2」に出演するなど俳優としての活躍もあるので、そちらのイメージが強い方もいるかもしれません。

このアルバムはホーンセクションが基本的に4つのトロンボーンのみで構成されていて、通常トランペットとトロンボーンの混合セクションで演奏されるサルサにしては珍しいアルバムです。

僕がこのアルバムに出会ったのはパナマの旧市街のカフェで偶然流れていて、友達にこれは何?と聞いたら「Rubenだよ、生まれた家はそこっ!」と指をさして教えてくれました。そのおかげで僕の中で強烈にインパクトに残っているアルバムです。


【サルサを代表するアーティストの2人名義のアルバム】




01. Plastico

ファンキーなディスコ・グルーヴで始まったかと思えば急展開してそのままラテンのトゥンバオへと流れていくインパクトの強い曲です。


02. Buscando Guayab

シンプルに土着的なSonのリズムの流れを感じることのできる曲。2-3クラーべで始まりますが、Coroというコーラスが加わるパートは3-2になるラテンの基本でもあるクラーベを感じるのにものすごく適切な曲です。またトロンボーンのユニゾンやティンバレスソロが展開されるマンボ・セクションでは2-3に戻ります。


03. Pedro Navaja

トゥンバオのコンガ・パターンとベースラインの上で展開される曲です。


04. Maria Lionza

ボレロのようなバラードのリズムですが、様々なエレメントが混ざり合っているグルーヴから始まり徐々にmamboのリズムが混ざり強くなり軽快な曲へ変化していきます。


05. Ojosr

ここまでの曲に比べるとかなり、いわゆる一般的なサルサの曲になります。クラーベはルンバ3-2です。


06. Dime


07. Siembra
タイトルソングであり、サルサの代表曲の一つです。ラテン音楽の肝はもちろんリズムでパーカッションであり、ピアノであるんですが、音楽全体を引っ張っていく役目を持っているのがベースです。名手Salvador Cuevasのリズミカルなプレイに耳を傾けても楽しいトラックだと思います。


それではまた次回のレビューで!


文:曽根麻央 Mao Soné




Recommend Disc

aembra200.jpg
Title : 『Siembra』
Artist : Willie Colón & Rubén Blades
LABEL : Fania Records
発売年 : 1978年

アマゾン詳細ページへ

【SONG LIST】

01.Plástico
02.Buscando Guayaba
03.Pedro Navaja
04.María Lionza
05.Ojos
06.Dime
07.Siembra




【曽根麻央LIVE INFO】


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』



Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

曽根麻央 Monthly Disc Review2023.6_James Blake : Covers:Monthly Disc Review

mdr1.jpg


こんにちは、曽根麻央です。
今日は2020年にリリースされたJames Blakeによるカヴァー・アルバムを紹介しようと思います。

その前に一つお知らせがありまして...

この度、曽根麻央が新しいレーベル"claudia"を立ち上げました!

実は今日まで、僕がコロナ渦中に立ち上げた会社では音源、CM制作、劇版アレンジなど様々なプロダクションを行ってきました。
その中のひとつの目標として掲げていたことが新規レーベルのローンチでした。

これから色々なアーティストとコラボしたいと期待しているところですが、 早速その記念すべき第一弾として『CITY POP RENDEZ-VOUS / Airi』が7/12に全国発売されます。 今世界からも注目を集めるシティ・ポップをアコースティックな編成で再発掘、再構築した作品です。

シンガーにAiri をむかえ、彼女の歌い方で素敵にこれらの曲の世界観を表現してくれました! 是非この夏一番聴いていただきたい一枚になっています。
Amazon等で先行予約開始中、今夏のレコードイベントCITY POP on VINYL 2023 8/5(土)~での7インチ発表も決定しています!

どうぞレーベルとこれからの発展するクリエイティブな作品を温かく見守って頂ければ幸いです!


Airi - City Pop Rendez-Vous500.jpg


【CD販売/配信リンク】
https://ultravybe.lnk.to/citypoprendez-vous


jamesblake500.jpg


Title : 『Covers』
Artist : James Blake



【ジャンルとしての"JAZZ"にも共通項を発見できる作品、James Blake『Covers』】


ということで、今日ご紹介するのはJames Blakeです。

彼はイギリスを中心に主にエレクトロニックやR&B、Popのフィールドで活躍しているアーティストですが、今回のカヴァー・アルバムは既に有名な楽曲を彼の独自の歌い回しとアレンジで曲の世界観を深めていくという、まるでジャズ・アルバムの様になっていて、是非ジャズ・ファン、オーディオ・ファンにも聴いてもらいたい一枚です。

編成もシンプルで基本的にピアノと歌の弾き語り。
もちろん彼の得意分野であるエレクトロニックっぽい編成もちらっと顔を出しますが、基本シンプルな編成に留めているので、改めて演奏家として、歌手としてのこのアーティストの素晴らしさを体感できるアルバムになっています。構成も短く20分ほどで聴き終えてしまうので、あっという間です。

まずJames Blakeの歌ですが、決して張りあげることはなく落ち着いて聴けるのが嬉しいところです。ただその声にはメッセージがあり、人々をあっという間に惹きつけてしまう魅力がありインパクトがあります。低音から高音まで見事に、精度の高い表現が可能です。

ピアノはシンプルな伴奏に止まっている曲も多いですが、ハーモニーの展開の仕方や、ダイナミクスの付け方、歌への寄り添い方は見事です。しかし一方で「Atomosphire」では大胆にピアノでグリッサンドを使った特徴的なトラックを聴かせてくれていますし、「Never Dreamed You'd Leave in Summer」ではダイナミックなプレイになっています。「When We're Older」ではクラシカル的なアプローチで曲全体を彩っています。

01. When The Party's Over

2019年のBillie Eilish のカヴァー。ピアノと歌の構成で終始シンプルな印象。
彼の素朴でありながら説得力のある素晴らしさ=実力をまさに体感できるトラックです。


02. Atmosphere

1988年のイギリスのロックバンドJoy Divisionのカヴァー。ピアノに独特なエフェクトがかかっていてイントロから印象的。するとパーカッションの様な音が4分音符を刻み本編へと入っていきシンセサイザーも加わり、という具合で彼の大胆緻密に配置されたエレクトロな魅力を味わえる一曲です。ピアノでグリッサンドを用いてCメージャースケールを大胆に使う部分などはとりわけ特徴的なトラックとしてリスナーに印象付けることに成功しています。




03. Never Dreamed You'd Leave In Summer

1971年のStevie Wonderのカヴァー。カヴァーが多いことでも知られるStevie Wonderですが、こんなスティービーのカヴァーを聴いたことがあるでしょうか。
トラックの最後ではJames Blakeのピアニストとしての魅力も余すところなく発揮、ダイナミックなプレイを聴くことができます。




04. Godspeed

2016年のFrank Oceanのカヴァー。歌い出だしは鳥肌が立つほどの歌唱。
Frank Oceanをカヴァーするという視点にもこのアルバムの意義を感じます。James Blakeによる少しフェイクしたメロディーのインパクトも味わい深いです。


05. When We're Older

ここで一曲登場するのがJames Blakeのオリジナル。特徴的なクラシカルなフルレンジのピアノ伴奏に誘われる様に曲が展開していきます。オーバーダブした歌が聴きどころでしょうか。改めて音のバランス、トータルクオリティーの高さに驚かされます。




06. The First Time Ever I Saw Your Face

アルバムの中で一番古い年代から選曲されたのが意外なことに1957年の作品、1972年のRoberta Flackの演奏で有名になった 「The First Time Ever I Saw Your Face」です。間違いなくJames Blakeの名唱が収められたトラックと言えます。

敢えてこういうクラシカルな切り口で終始James Blakeの世界観を語る、というスタイルにリスナーはさらに、どっぷり引き込まれてしまうんだろうなーと思いながらリピートボタンを押す次第です。




さて今回はジャンルとしての"JAZZ"にも共通項を発見できた作品、James Blakeの「Covers 」をご紹介しました。ぜひ気に入っているオーディオで一度聴いてみてください。

それではまた次回のレビューで!


文:曽根麻央 Mao Soné



mari_nakamoto500.jpg


中本マリさんの10数年ぶりの新作が6/8に発売されました。
私・曽根麻央がプロデューサー/アレンジャーを担当し、マリさんの70~80年代の名盤『Lady In Love』『Aphrodite』『Moods Of A Lady』から11曲をセレクト!セルフ・カヴァー・アルバムとなっています。

ツアーもしますのでお近くの会場まで見に来てください!


中本マリ『Muse 1』 
6/8発売
Mari Nakamoto - vocal
Mao Sone - piano, fender rhodes, wurlitzer, clavinet, organ, prophet 6, trumpet & harpejji
Yuji Ito - bass
Kan - percussions






Recommend Disc

jamesblake200.jpg
Title : 『Covers』
Artist : James Blake
LABEL : Republic Records
発売年 : 2020年

アマゾン詳細ページへ

【SONG LIST】

01.When The Party's Over
02.Atmosphere
03.Never Dreamed You'd Leave In Summer
04.Godspeed
05.When We're Older
06.The First Time Ever I Saw Your Face




【曽根麻央LIVE INFO】


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』



Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11

アーカイブ