【LIVE REPORT】ニールス・ラン・ドーキー 新作演奏会


行って参りました。
デンマークのベテランジャズ・ピアニスト、
ニールス・ラン・ドーキー(Niels Lan Doky)氏の演奏会。


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(C) Jan Persson


ニールス・ラン・ドーキー公式サイト
作品情報ページ


現在、トリオ・モンマルトルなどで活躍する彼が5月下旬にリリースする、ニールス・ラン・ドーキー・トリオとしての新作。その演奏会が、ベーシスト佐藤慎一氏とのデュオ形式で、代官山のデンマーク大使館にて行われたのです。


私にとって初めての大使館となったデンマーク大使館では、デンマークの在日大使が迎えてくださいました。あいにくの冷たい雨の夜でしたが、一歩入るとそこは本当に、あたたかい雰囲気。大きなお部屋でしばらくのんびりと過ごした後、ピアノのある、こじんまりとしたお部屋へ移動しました。演奏に先立つ大使の挨拶によると、その日は奇しくもデンマーク女王のお誕生日だったとのこと。そしていよいよ、演奏会が始まりました。


ロシアの作曲家たちが遺したクラシックの作品をモチーフとし、その名も『THE RUSSIAN ALBUM(邦題:展覧会の絵〜ロシア紀行)』と題されたこの作品。ムソルグスキーやチャイコフスキー、ラフマニノフ、プロコフィエフといった大作曲家たちの作品が、ニールス・ラン・ドーキーの手にかかるとどんな風になるのか。とても楽しみにしていました。


演奏会の始まりは、『展覧会の絵』。原曲はピアノで挑戦したことがあり、(自分の手の小ささに嘆きましたが)とても親しみのある曲です。原曲と同じあの単音のメロディから始まり、和音へ移った途端に美しい不協和音、もう彼の世界です。そこからモチーフが形を変え、がらりとジャズへ。


その後、くるみ割り人形や3つのオレンジへの恋、イタリア組曲など、アルバムからの曲が次々に演奏されました。さらに、この作品に収められている、彼のオリジナル曲も登場。お披露目会というにはあまりにもボリューミィな内容です。


ゆったりとした彼の演奏には、とても独特なものがあります。青年のような瑞々しさや活発さと、壮年の落ち着きが同居しているというか何というか。非常に落ち着いた演奏の中に、いかにも楽しそうな空気が含まれているのです。いわゆる「グルーヴ」や「スイング」を命綱とする種類のジャズとは異なる、ノーブル無邪気なジャズ。たっぷりの遊び心と、同じだけの精緻さ、さらに清潔さ。


演奏会のあと、改めてこのアルバムを聴いていますが、やはりあの夜が話していたように、そこにはロシアの作曲家たちとその作品に対するリスペクト情熱が感じられます。確かなリスペクトと情熱に裏付けされた、音楽への純粋な愛情の音。これを聴いた人はそれぞれみんな、どんな風に感じるのだろうと、今から興味津々です。


ニールス・ラン・ドーキー公式サイト
作品情報ページ


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アーティスト:Niels Lan Doky
作品タイトル:THE RUSSIAN ALBUM:展覧会の絵〜ロシア紀行


リリース:2007年5月23日
製品番号:VACM1305
レーベル:VIDEOARTS MUSIC

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このページは、JJazz.Netが2007年4月20日 14:36に書いたブログ記事です。

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