吉澤はじめ - 『JAPAN』

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JAPAN
レーベル:Village Again
リリース:2008年08月13日
製品番号:VIA0070

ARTIST : 吉澤はじめ (p)
TITLE : JAPAN


JJazz.Net"VOICES"では毎回、様々なアーティストからの最新メッセージをお届けしています。今回は、オリジナルとしては約3年ぶり、8月13日に待望の新作『JAPAN』をリリースする、吉澤はじめさんとのインタビューをお届けします。




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-まずは今回のアルバム『JAPAN』のコンセプトを聞かせて下さい


大体アルバムのコンセプトは初期の段階で決めて、タイトルや楽曲のアレンジとかもほぼ決めているというのが普通なんですけど、今回のアルバム作りに関しては、コンセプトも含めて同時進行で自分の中でブラッシュアップしていったというか。作っていくうちに、なるほど俺は今こういうマインドなんだなと客観的に見えてくる中で、原点回帰というか、自分自身のアイデンティティーというか、日本人であるというアイデンティティーを含めて、僕以外のミュージシャン、もちろん日本人だけではないのですが、何かその全体を覆っているのが今の日本とかぶるというか、むしろ大昔の古代の日本というか、日本の大陸の創世記のようなイメージと繋がっている気がして・・それを確信したのはレコーディングした後でしたね。


-アルバム『JAPAN』に込めた思いとは?


前作でもそうだったのですが、自分の中で非常にシンプルだけれども長く愛してくれるようなメロディというのを目指すというものが、どこかテーマにあったのかもしれない。僕の中では大きな広がりをもった、まさにアルバムというか、大きな世界観が提示できたので、例えば、峰厚介さんという素晴らしいサックスプレイヤーがいたり、ナヴァーシャという当代きってのヴォーカリストがいるという誇らしげな気持ちも込められていると思うし、それ相応のタイトルにしたいなという願いはあったんですね。納得がいくような。


-"日本"への思いが強くなったというのは、今回レコーディングで海外にいたからこそだったのでしょうか?


まさしくその通りですね。実際その事を意識したのはL.A.にいた時なので。
でも、ことさらドラムを太鼓っぽく叩いてくれといったわけでもないし、普通に本田珠也が幼少の頃から培ってきた自らのリズムでやってるだけで、結局一人一人が滲み出しているエネルギーというか。荒巻茂生もそうだし。音楽の作り方が日本の何かに由来しているとか、そういうことではないんですよね。


-アルバム『JAPAN』に参加しているアーティストについてお伺いしたいのですが、まず、吉澤はじめさんの義理の叔父でもある、元ウェザー・リポートの世界的なプレイヤー、ピーター・アースキンさんがファーストアルバム以来の参加。近い存在だからこそ緊張というか、特別な感情はなかったですか?


基本的に緊張することはいずれにせよあまりないのですが、すごく厳しい人ですからねピーターは。別に僕に対してということではなく、音楽に対してほんとにストリクトリーというか、妥協を許さない人ですからね。だからそういう意味で言うと、例えば演奏の内容とか、音楽の作り方に対して、自分の言いたい事があれば何でも言うし。逆に言うとすごくやりやすいんですよね。直接言ってくれるし、甘い所があれば指摘するし。で逆に僕がピーターに対して"いや、そうじゃない"と言うことは十何年前はありえなかったけど、今回は、僕自身伝えることは全て伝えたし、そういう僕のやり方をいち早く彼も分かってくれたので、叔父、甥の関係を持ち込むことなく、お互いの主張をちゃんと認め合うところは認め合うし、通すところは通すという形で演奏できましたね。


-20年来の付き合いだという、ドラムスの本田珠也さんが、今回もアルバムに参加しているのですが、吉澤さんにとって本田さんはどのような存在なのですか?


そうですね。なんだかんだいって、なんて言い方すればいいかな、幼馴染とまでは言いませんけども、ジャズのプレイヤーとして自分たちが世の中に出る前の、それこそ17、18歳の頃からの付き合いなので、近いといえば近いし、でも同じような年代で同じように仕事してて尊敬し合う関係になることっていうのは難しいと思うんですけど、そのぐらいの頃からお互いにそういう気持ちを抱いてやれたっていうのが嬉しかったなと。その後、僕はMondo Grossoとか20代半ばぐらいまでバンドなんかやっていて、一緒にできなかったんですけど、ここ5年くらいかな、珠也に声掛けて、本格的に一緒にやるようになって。
僕にとってやらなかった時期というのは、決してジャズが嫌いになったわけじゃないんだけど、結構ブランクが正直いって自分の中ではあって、やっぱり彼とまた一緒に演奏をするようになって、やっと僕がもともとやっていたジャズのフィールドに戻ってこれたんだなという実感を得たというのがあるんですよね。そういう意味では本当に感謝してますね。


-音楽的な所で本田さんならではという所ありますか?


彼は、並の吸収力じゃないと思うんですよね。で、吸収した後にそのままにほったらかしにするわけではなくて、そこからまたどんどん発展させていくという、ややもすると先に進みすぎちゃって「何をやりたいのか伝わらないよ」という時があったりして、本人の中ではこういう事がしたい、というのがあるんだけれど、でもそれをいくつか繰り返していくことによって、人に説得力のある音楽をやっていけるんだと思うし、そういう繰り返しができない人というのは、多分、なかなか前に進むことができないと思うんです。人におかしいんじゃないのそれ、と言われるぐらいまで自分を突き詰めてやっていくことが、またより一段とミュージシャンが成長していくことでもあるんで、失敗を恐れないという意味でも。すごい面白い人間だと思いますね。


-アルバムを通して、美しいメロディが印象的だったのですが、メロディに関して、吉澤さんが影響を受けたアーティストいますか?


かなりいろんな人から影響を受けているので、誰の影響を受けているのか自分では分かりませんが、スティーヴィー・ワンダーはやっぱり好きですね。メロディに命があるというか。なんかメロディっていうのは、そういうのを感じてはじめてメロディになるというか、魂が宿っているような、歌ってたらその想いが伝わってくるような・・・そういうのが好きなんですよね。クラシックで言うとラフマニノフとか。聴く人が聴けば綺麗で美しくて、とかあるんだろうけど、僕はそれ以上に泣けてくるとか、キュンとなるみたいな、そういう効果があると思うんですよ。ジャズのスタンダードにも沢山あると思うんですよね。どの作曲家というよりも、やっぱりそのメロディに意味というか魂がある音楽が好きですね。


-ソロ以外でも沖野修也さんとのELECTRIC SHEEPや、SLEEP WALKERなどで活動されていますが、このサウンドはここで表現するという風に、上手く切り替えできているんですか?


それをちょうどこれからやんなきゃと思っているんですよ(笑)今まであまりにも風呂敷を広げすぎて、お前は一体何者なんだと(笑)Mondo Grossoぐらいから僕に付き合ってくれている人間からすると、要するにお前はどこに行きたいんだっていう風になってないか心配なんですけど(笑)でも、流石に僕の中では当然最初からあって、ピアニストであるという自分っていうのをやっぱり最後までしっかり見つめたいという。
そういう点では今後ちゃんと整理されていくんじゃないかなと思うんですけど。まずピアノ弾きで自分の伝えたい何かをしっかり届けていけるという自分のポジションを明確にする部分と、例えばELECTRIC SHEEPであったり、もっとテクノの実験的なことをやるのであれば、それはそれなりの名義をちゃんと作って、で、そうすることによって耳にする人がある程度安心感があるじゃないですか。
例えばいきなりYMO新作とかいって、いきなり演歌がかかったりすると困っちゃうというか(笑)それなりのインターフェイスを整えてやっていくのは当然だなと思っているので。
それはこれから自分なりに整理してやっていきたいと思っていますね。


-ここでプライベートなお話を。料理が得意な吉澤さん。
今回のアルバム『JAPAN』をBGMにするとしたら、どんな料理が合うと思いますか?


料理ですか(笑)『JAPAN』ねぇ・・・
なんだろ、でもカレーライスとかハンバーグとか、そういう分かり易いのではなくて、
ちょっとしたアイデア料理とかいいんじゃないですかね(笑)。ちょっとひねったやつ。
例えばパスタでカッペリーニってあるでしょ、あれを和風な味付けにして素麺みたいに、めんつゆで食べるとか。例えばですよ。その逆もありじゃないですか。要はあるものをあるがままではなく・・・でもそれは『JAPAN』ではなく、僕の料理スタイルなので、あんまり合うかどうかは分かんないけど、僕はそういうのが好きですっていう(笑)


-最後にJJazz.Netを聞いてくれているリスナーの皆さんへメッセージをお願いします。


日本人のジャズとか、アメリカ人のジャズとか、イギリス人のジャズとか、そういうどういう国籍の人がやっているというよりも、結局その人間が出す音というのがジャズだと思うんですよ。あるDNAを持った人がそのこだわりもありつつやる。だからどんな国籍の人のジャズだろうと、その人のDNAが、魂がちゃんと、どーんと出てる音楽は全部ジャズだと思うし、そういうアーティスト、音楽を見つけて下さい。


-ありがとうございました




[[[ 吉澤はじめ PROFILE ]]]


3歳よりピアノを始め、90年、ニューヨーク"ブルー・ノー ト"のアフターアワーズで、初の日本人プレイヤーとして評判となる。叔父であるPeter Erskine(Weather Report)と共に制作したデビュー・アルバム「HAJIME」は91年イギリスにてリリースされた。


帰国後、Mondo GrossoやCOSMIC VILLAGEへの参加を経て、現在は、SLEEP WALKER
のメンバーとして活動中。


キーボーディストとしては、ORGAN LANGUAGE、bird、CHARA、MONDAY満ちる等の作品に参加、プロデューサーとしてKYOTO JAZZ MASSIVE、Aco、Akikoの楽曲等数々の作品を手掛けている。


また、JazzanovaやDA LATAへの楽曲への参加、Dego(4Hero)とのremixやライヴでの共演で、クロスオーバー・シーンで最も有名な日本人クリエイターとなった。


'00年には 「Violet Lounge」を、'02年にはTVCM曲としても幅広い層の心を掴んだ「I am with you」収録の『Hajime Yoshizawa』、'05年には2ndアルバム『Music from the Edge of the Universe』を、06年にはリミックス・アルバム『Echo from the Edge of the Universe』を発表。同年、日本未リリースだった『HAJIME』がVillage Againから発売された。


'08年、8月にはNAVASHA DAYA(FERTILE GROUND)、峰厚介らが参加したニュー・アルバム『JAPAN』をリリース。収録曲「HOME」が再びTVCMに起用され、大きな反響を呼んでいる。




吉澤はじめ HP


VillageAgain





[[[ WORKS ]]]


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JAPAN
レーベル:Village Again
リリース:2008年08月13日
製品番号:VIA0070




[[[ LIVE INFORMATION ]]]


リリース・ライヴ決定!
9月24日(水)@渋谷CLUB QUATTRO
OPENING ACT:quasimode
ACT:吉澤はじめ With Special Guests
問)03-3477-8750


9月26日(金)@名古屋CLUB QUATTRO
OPENING ACT:jaz'presso
ACT:吉澤はじめ With Special Guests
問) 052-264-8211




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このページは、JJazz.Netが2008年8月 7日 12:00に書いたブログ記事です。

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