ARTIST : 後藤浩二 (piano)
TITLE : 「AZUL」に込めた２つの願い
JJazz.Net"VOICES"は毎週、最新メッセージをお送りします。今回は4月1日にリリースされたニューアルバム『AZUL』が好評な、人気ピアニスト後藤浩二さん。ニューアルバムに込めた「願い」について語って頂きました。
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JJazz.Netをご覧のみなさん、いつもご声援ありがとうございます。
4月1日に発売したサードアルバム『Azul』は、おかげさまで全国のリスナーの皆さんから好評をいただいています。
このアルバムを制作するとき、まず頭をよぎったのは、自分の満足感というより、現代の目まぐるしく変化の早い生活についていけるものにしたい、と感じました。1年先でも、10年先に聴いても古さを感じさせないもの。口でいうのは簡単ですが、自分なりに心血を注いだ作品ができたと自負しております。
また、多くの人がセカンドアルバムを発表した後、「次はスタンダードをぜひ」と、アドバイスをいただきましたが、まだまだその時ではないと結論を出し、今回もすべてオリジナルでかためることにしたのです。
ただし、これまでとは違い、さまざまなバリエーションをディスクに封入しました。繰り返し見つづけているオードリー・ヘップバーンの『ローマの休日』をイメージしたワルツ「Princess Ann」やハイテンポの「Evening News」など、一聴いただければ、おわかりのはずです。タイトル曲となった『Azul』は風と氷河の大地・パタゴニアの透き通る青の写真を見ているときに頭に浮かんだメロディ。
でも、もうひとつの願いを込めました。
『Azul』とはポルトガル語で「青」。
これはサッカー日本代表のシンボルカラーでもあります。たまたま、ジーコ監督にわたしのピアノを気に入っていただいて、微力ながら自分でもなにか力になりたい−そう感じて、このタイトルをつけ、ジーコ監督に捧げた「Flamengo」をつくったのです。幸い、このアルバムをジーコ監督はとても気に入っていただき、「後藤さん、ありがとう。Ｗカップ最終予選は、このアルバムを聴いて頑張る」という直筆でメッセージを送っていただいたのです。もっとも、ポルトガル語で書かれていたため、わたしはわかりませんでしたが、それを見た語学の堪能な知人は仰天していました。
それから、ジャケットデザインの素晴らしい絵を提供していただいた日本画家の岩波昭彦さんにも、感謝の意味を込めてこの『Azul』を捧げたいと思います。岩波さんは「蒼の画家」と呼ばれ、青の色使いに特徴があります。とにかく、聴くだけでなく、じっくりとジャケットまで堪能いただきたい。そう願ってやみません。
一応、わたしのアルバムは、ジャズというカテゴリーに属していますが、だれが聴いてもきっと気に入っていただけるのではないのでしょうか。
ぜひ聴いてみて下さい。
どうか、よろしくお願いいたします。
後藤浩二
[[[ 後藤浩二 PROFILE ]]]
1973年愛知県生まれ。
父親の影響で4歳よりクラシックピアノを始める。
高校時代にジャズに興味を持ち、南山大学入学と同時にジャズピアノを始める。在学中より、名古屋市内のライブハウスを中心に演奏活動を始め小濱安浩(ts)カルテットでプロデビュー。
大野俊三(tp)、ケイコ・リー(vo)、寺井尚子(vio)、土岐英史(as)、村田浩(tp)、竹内直(ts)、中村健吾(b)、井上淑彦(ts)、岡田勉(b)、峰厚介(ts)、伊藤君子(vo)などといったミュージシャンとの共演歴をもつ。
オーソドックスなスタイルからコンテンポラリーなものまでこなし、そのプレイは小曽根真氏からも絶賛される。そのセンスの良さ、プレイの確かさは特筆に価し、すでに注目を集めつつあり、最近では東京でも活動を始める。2002年10月には自己のピアノトリオのファーストアルバムをリリースし、2004年1月にはセカンドアルバム『Reminiscence』、2005年4月にはサードアルバム『Azul』をリリースした。
[[[ WORKS ]]]
2005年4月1日
SCAT2005
SwingCat'sRecords
