PROGRAM CONCEPT

2000年に開局したJJazz.Net。
会員制から完全無料へと形を変えながらもインターネットラジオ黎明期からジャズをキーワードに数々の番組をお送りしてきました。
2020年は開局20周年のアニバサーリーイヤー!ということで特別企画「JJazz.Net ARCHIVE」として番組アーカイブを解放!過去20年間の中から厳選した番組を毎月紹介していきます。
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DETAILS
JJazz.Net では独自性の高い特別番組を不定期にお届けしています。
今回お送りするのは2015年7月にお送りした特別番組「鈴木勲 OMA SOUNDを語る」。
ご存知の通り、"OMA SOUND"は日本を代表するジャズベーシスト、オマさんこと鈴木勲さんの審美眼により見いだされた若手と共に、常にメンバー・チェンジしながら進化していくバンド。これまで、ソイル&ピンプセッションズの丈青、スガダイロー、荻原亮、小沼ようすけ、小泉P克人、吉田サトシ、織原良次、井上銘、吉本章紘、石若駿といった今のジャズ・シーンを牽引する錚々たる面々がメンバーに名を連ね、ここから注目されるようになったミュージシャンも少なくありません。
この企画は、それまで誰も把握できていなかった"OMA SOUND"のメンバーを記録、紹介したい、というところから始まりました。
日本のジャズシーンに多大な影響を与えてきたこのプロジェクト"OMA SOUND"はメンバーが流動的ということもあり、系統立てて紹介されておらず、ある意味ベールに包まれたバンドともいえますが、この企画の為、関係者や歴代参加メンバーの協力を仰ぎ"OMA SOUND"の年表を作成しました。
→年表はこちら
この特別番組では、現在87歳(当時82歳)の鈴木勲さん、そしてメンバーでもあったスガダイローさん、纐纈雅代さんを迎え、知られざる"OMA SOUND"について語って頂きました。司会はOMA SOUNDの年表を作成した石渡久美子さんです。
ピアニストが丈青さんからスガダイローさんへ代わる際のいきさつや、日野皓正さんや日野元彦さん、渡辺香津美さんの若かりし日の話なども飛び出す貴重なドキュメント。是非お楽しみください。
-OMA SOUND以前にも日野皓正さんや日野元彦さん、渡辺香津美さんなど60年代、70年代から積極的に若手と共演されていますね?
当時、日野のお父さんが子供たちを連れてショーで来てたんですよ。皓正が15歳か16歳くらい、トコベエ(故日野元彦さん)は11、12歳くらいだったかな。トコベエはドラム叩くんだけどなかなかいいリズムしてんのよ。それでお父さんに「この子絶対ジャズ出来るよ」って言ったら、じゃあ教えてもらえませんか?っていうことになって、それで彼らを僕のバンドに入れて、俺が行くとこ全部連れてって、教えたんだよね。
- 渡辺香津美さんが入られたきっかけは何だったのですか?
香津美と最初に出会ったのはまだ16、7歳ぐらいだったかな。ムレさん(中牟礼貞則さん)の紹介で。手がめちゃめちゃに動くんだけどジャズじゃないのね。そこで僕のところに8年くらいいたのかな。毎日練習させてね(笑)。お客さんでいっぱいのビデオホールに連れてって、そういう実践の場で真剣にやんなきゃだめだって教えましたね。
- 1997年頃から若いメンバーと一緒に演奏されるようになりましたが、どうしてですか?
僕はドラマーにしても、エルビン・ジョーンズやアート・ブレイキー、フィリー・ジョー・ジョーンズなどと一緒にやっていたでしょう。当時NYであれだけ一緒に沢山演奏した日本人は僕ぐらいじゃないかな。それをどうにかして若い子に教えたいなと、これじゃなきゃダメなんだって。
-2001年から現在はSOIL&"PIMP"SESSIONSで活躍中の丈青さんが参加されましたが、彼に伝えたことは何でしたか?
やっぱり、曲をよく知ること。そんなの譜面をみてやるもんじゃないんだよって。全部頭にいれなきゃいけない。どういう流れのコードがあるか。それと、同じようなレコードがあったらそれを聴いてみる。それで本番よーいドンでやる。そういうのじゃないとそれ以上はいかないですよ。進化しないわけだ。
-NEW VERSIONの時ぐらいからヒューマンビートボクサーの桜井響さんやDJの方など、クラブミュージック関連の人との共演が増えられていますね?
僕はDJとは昔からやってるの。要はなんでも僕はやるんです。今でもそうですよ。ジャズなんて瞬間にいかにやるか。誰に似てるとかではなく毎回違うことを。
同じ4つ弾くんでもなんかひとつ違うっていう。それを考えてからやっちゃもう遅いんですよ。瞬間にそれができる。そういう訓練をしないといけないね。それが出来るようになるとどこにいっても通用するというか、あいつは凄いなってなる。言ってみれば相手が絶対できないことをやっちゃうという事だよね。そしたら向こうは頭下がっちゃう。もちろん中身がよくないとダメですよ。そういうものを教え込んでいかなくちゃいけないね。日本のミュージシャンに。
関連企画『わたしとOMA SOUND』
日本のジャズレジェンド、オマさんこと鈴木勲さんが才能ある若手を発掘、輩出してきた異色のバンド、"OMA SOUND"。ゆかりあるメンバーに「わたしとOMA SOUND」というテーマでコメントを寄せていただきました。
・vol.1 織原良次 ・vol.2 小沼ようすけ ・vol.3 斉藤良 ・vol.4 力武誠 ・vol.5 石崎忍 ・vol.6 纐纈雅代 ・vol.7 石田衛
■石渡久美子/企画・制作・宣伝協力
1998年よりジャズバンドのマネジメントを5年間担当し、クラブを中心としたジャズ関連のイベント企画制作を実施。プロモーター勤務を経て広告業界、事業会社にてデジタルマーケティングに携わる。現在は会社員の傍
ら、ジャズ関連公演の企画制作やプロモーション協力を行っている。
PROFILE
鈴木勲 -Isao Suzuki-1933年東京生まれ。ジャズベース、チェロ奏者及び作曲家。 1956年アメリカ軍楽隊のキャンプでベースを弾く。東京自由が丘「ファイブスポット」のハウスバンドとして演奏していた時、1970年アートブレイキーに見出されてブレイキーの待つニューヨークへ単身渡米し、ジャズメッセンジャーズの一員として活動。メッセンジャーと共にアメリカ全土とヨーロッパを公演。合間をぬってニューヨークのジャズメンと共演し、交流を深める。2009年スイングジャーナルで南里文雄賞を受賞。
スガダイロー -Dairo Suga-1974年生まれ。神奈川県鎌倉育ち。洗足学園ジャズコースで山下洋輔に師事、同校卒業後米バークリー音楽大学に留学。 Jason Moran、山下洋輔、田中泯、向井秀徳、中村達也、U-zhaan、灰野敬二、飴屋法水、近藤良平(コンドルズ)、酒井はな、contact Gonzoらジャンルを越えた異色の対決を重ね、夢枕獏との共作や星野源の作品に参加するなど、日本のジャズに旋風を巻き起こし続ける。
纐纈雅代 -Masayo Koketsu-Saxophone奏者。1歳より音楽好きな母と2人の姉の影響でピアノを弾く。15歳でアルトサックスに転向。チャーリーパーカーに多大なる影響を受ける。2008年SONY MUSICより『鈴木勲 SOLITUDE FEAT.纐纈雅代』でデビュー。個性的な音色、オリジナリティー溢れるプレイは唯一無二としょうされる。2015年8月、自身のオリジナル曲を集めた1st ALBUM『Band of Eden』をrelease。秋葉原 HOT MUSIC SCHOOLにてサックス科講師。2019年12月、初の自伝「音の深みへ」を彩流社より出版される。
