JJazz.Net Blog Title

Monthly Disc Review2018.6.15:Monthly Disc Review

mdr1.jpg


Title : 『PLANKTON』
Artist : 甲田まひる a.k.a. Mappy



PLANKTON500.jpg


数年前、このJJazz.Netで石若駿にインタビューしたときには、まさかこんなに早く彼よりも年下のミュージシャンを紹介することになるなんて思いもしなかった。


甲田まひるは現在17才のピアニスト。Mappyの名でファッショニスタ、インスタグラマーとしても知られている。ファッション方面で注目されることが多いものの、バド・パウエルとセロニアス・モンクを愛し、多くのミュージシャンを輩出してきた高田馬場の「イントロ」でセッションホストをつとめ、新宿ピットインに出演するなど、ある種日本のジャズの王道を歩んでいると言えよう。


メンバーはドラマーに石若駿、ベーシストにKing Gnuでも活躍する新井和輝。アルバムトラックには彼女のオリジナルの他に、「ウン・ポコ・ローコ」、「クレオパトラの夢」、「インディアナ」、「セリア」、「テンパス・フュージット」などバド・パウエルの演奏で知られるナンバーや、「ルビー・マイ・ディア」、「アスク・ミー・ナウ」のセロニアス・モンクのコンポジションが並ぶ。


王道のピアノトリオのプレイが続く中で明らかに異色なのがオリジナルの「マイ・クラッシュ」。アルバムの最後に置かれてはいるものの、音色からプレイまでヒップホップに寄せたこの曲がアルバムの肝のように思えてしかたない。反復するピアノフレーズのしたで暴れるビートと、フェーダーを操作するようにクロスフェードしていく感覚に、石若駿と新井和輝というメンバーにもここで納得がいった。日本のジャズの新譜は片っ端から聴いているけれど、ここまで振り切ったピアノトリオの録音を僕は知らない。


最年少が一番攻めている。この状況に、日本のジャズもまだま面白くなりそうな予感がしている。


文:花木洸 HANAKI hikaru


甲田まひる a.k.a. Mappy 『クレオパトラの夢』



甲田まひる a.k.a. Mappy



Recommend Disc

PLANKTON200.jpg

Title : 『PLANKTON』
Artist : 甲田まひる a.k.a. Mappy
LABEL : Sony Music Direct
NO : MHCL-2755
RELEASE : 2018.5.23



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】
01.ウン・ポコ・ローコ
02.クレオパトラの夢 
03.インディアナ (take1)
04.インディアナ (take3)
05.ルビー、マイ・ディア
06.プランクトン
07.セリア
08.テンパス・フュージット
09.レディ・バード
10.ラメント
11.アスク・ミー・ナウ
12.マイ・クラッシュ




音楽ライター柳樂光隆氏による人気のムック『Jazz The New Chapter 』の第4弾が2017年3月8日に発売。今回も花木洸が選盤などを担当しています。

jtnc4450.jpg

■タイトル:『Jazz The New Chapter 4』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2017年3月8日
■出版社: シンコーミュージック

アマゾン詳細ページへ


毎号重版を続ける話題のムック、第4弾が遂に登場!
今や現代の音楽シーンを左右する一大潮流となった"ジャズ"の最突端で今、何が起きているのかを、詳細なテキストと計150枚のディスク評で徹底検証。ジャズを活性化したネオソウルとの蜜月を改めて紐解く一方、ジャズを触媒として生まれた新たな潮流にも目を向け、脈打ち続けるジャズの「今」を深く掘り下げます。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


「Monthly Disc Review」アーカイブ花木 洸

2015.04 ・2015.05 ・2015.06 ・2015.07 ・2015.08 ・2015.09 ・2015.10 ・2015.11 ・2015.12 ・2016.01 ・2016.02 ・2016.03 ・2016.04 ・2016.05 ・2016.06 ・2016.07 ・2016.08 ・2016.09 ・2016.10 ・2016.11 ・2016.12 ・2017.01 ・2017.02 ・2017.03 ・2017.04 ・2017.05 ・2017.06 ・2017.07 ・2017.08 ・2017.09 ・2017.10 ・2017.11 ・2017.12 ・2018.01 ・2018.02 ・2018.03 ・2018.04 ・2018.05




Reviewer information

hikaru500.jpg

花木 洸 HANAKI hikaru

東京都出身。音楽愛好家。
幼少期にフリージャズと即興音楽を聴いて育ち、暗中模索の思春期を経てジャズへ。
2014年より柳樂光隆監修『Jazz the New Chapter』シリーズ(シンコーミュージック)
及び関西ジャズ情報誌『WAY OUT WEST』に微力ながら協力。
音楽性迷子による迷子の為の音楽ブログ"maigo-music"管理人です。

花木 洸 Twitter
maigo-music

My First Jazz Vol.3-Yusuke Shima:My First Jazz

Title : 『quiet kenny』
Artist : Kenny Dorham

quietkenny500.jpg


「このアルバムとの出会いは高校2年生の時。ちょうどその頃マイルスを聴いてジャズに目覚めて、先輩に勧められて新宿のディスクユニオンのジャズ館に行ったんです。するとこのアルバムがトランペットコーナーの上に飾られていて。凄いシンプルなジャケットなんだけど、色合いといい文字フォントといい、ダークで陰鬱な力の抜けたこの佇まいにジャズを感じてしまったんですよね。それで、廉価なOJC盤を買って、家に帰ってレコードの前で正座して聴きましたよ(笑)

そしたら1曲目。シンバルのレガートだけで入ってくるの、チンチンチンチンって8分の6拍子の感じで、それにベースラインが入ってきて。当時高校生の僕にとって8分の6拍子とかよくわかってなかったけど(笑)。するとメロディーがきて、これどうなっちゃうの?って思っていたら、途中決めでバシッとあってから4ビートが始まるの。うわこれかっこいい!って。すっかりやられちゃったんですよね。

特に好きなのは「ALONE TOGETHER」っていうジャズバラード。録音の空気感もダークでスモーキーな感じ。音楽って高揚させる、ハッピーにさせるものだというけれど、僕はジャズに関しては静けさとか哀愁とかダウナーで陰鬱なものの方が好きなんですよね。この曲はまさしくそういうテンションでこれこそジャズだなって。こういうフィーリングが僕にとって逃れられない、まぎれも無くジャズのルーツなんです。」

島裕介

島裕介Official


【Kenny Dorham Quartet - Lotus Blossom】




My First Jazz

quietkenny200.jpg

Title : 『quiet kenny』
Artist : Kenny Dorham
LABEL : Prestige/New Jazz
発売年 : 1960年



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】
01.Lotus Blossom
02.My Ideal 
03.Blue Friday
04.Alone Together
05.Blue Spring Shuffle
06.I Had The Craziest Dream
07.Old Folks
08.Mack The Knife



東京のジャズシーンの中でも最も充実したラインナップで日々ライブが行われている新宿ピットイン。今月も鈴木 勲2DAYSや橋爪亮督GROUP、Vincent Herring and Eric Alexander、板橋文夫スペシャル2DAYS、大友良英 ニュージャズクインテット(ONJQ) などなど見逃せない公演が並びます。

そんな中、JJazzリスナーをご招待するスペシャルなインビテーション。
今回は、立花秀輝カルテットをピックアップ。


立花秀輝カルテット

0701Tachibana.jpg

メンバー:板橋文夫(P) 池田芳夫(B) 本田珠也(Ds)
日時:7月1日 (日) 開場19:30 開演20:00 ¥3,000+税(1DRINK付)
会場:新宿PIT INN


自己バンドAAS(アァス)をはじめ若手からベテランまで、様々なセッションを手がけ現在は渋さ知らズ等でも活躍中のサックス奏者、立花秀輝による日本ジャズ界のレジェンド達とのカルテット狂演。板橋文夫(P) 池田芳夫(B) 本田珠也(Ds)という強力な面々とともにお届けします。板橋文夫&池田芳夫といえばジャズスタンダードを新解釈で聴かせたアルバム『Unlimited Standard』での共演したメンバー。プラス、本田珠也という注目のラインナップです。情熱的なセッションが展開されること必至なこの公演を是非体感しに来てください。

>>インビテーション応募ページはコチラ


立花秀輝プロフィール
1971年東京生まれ。池田篤氏にサックスの手ほどきを受け、高校卒業後、尚美学園短期大学にてクラシック・サックスを雲井雅人氏に師事。大学卒業後、武蔵野音楽学院(現廃校)にて仲間とのセッションで現在のスタイルの基礎を築く。93年渡米。カンザス州オタワ大学音楽学科を首席で卒業。 97年、帰国し本格的な活動に入る。2000年、自己バンドであるAAS(元・立花秀輝カルテット・山口コーイチ、カイドーユタカ、安藤正則)が横浜ジャス・プロムナード・7thコンペティションにて当時最多の4賞(オリジナル作曲賞、ライブハウス賞、横浜市長賞、優秀賞)を同時受賞。グランプリ不在の中で同等の評価を得、CD制作(LIVE!! AAS)やジャズ・フェス等の出演を果たす。その後、板橋文夫ジャズ・オーケストラ、福村博グループを経て2002年に渋さ知らズ・オーケストラでの演奏を開始。日本国内ツアーやフェスティバルのみならず、2005年から同バンドの海外ツアーに参加。数々のフェスティバルやライブハウスへの出演を果たす。また、2008年松本健一率いるSXQ saxquintetのメンバーとしてロシア&リトアニア・ツアー、2012年渋さ知らズのリーダーでありべーシストの不破大輔率いるFUWA WORKSのメンバーとしてリトアニア&ロシア・ツアーにも参加。
現在はAAS(アァス)、不破大輔とのデュオ、田中信正(p)とのデュオ、坂田明(as)吉田隆一(bs)とのトリオを主催する傍ら、若手からベテランまで多くの音楽家との交流を目的とした立花秀輝セッションを手がける他、多くのライブやレコーディングに参加する等、精力的に活動している。代表作としてAAS(山口コーイチp、カイドーユタカb、磯部潤ds)「Song 4 Beasts」「Lebenslauf」「Live!! AAS」、立花x不破大輔デュオ「〇」、立花秀輝カルテット(板橋文夫、池田芳夫、小山彰太)「Unlimited Standard」。
様々な特殊奏法を駆使する多彩な音楽表現の他、サックス本来の音色を追求した美しいメロディーを聴かせる稀有な奏者である。

My First Jazz Vol.2-ai kuwahara:My First Jazz

Title : 『MUSIC』
Artist : Michel Petrucciani

michelpetrucciani500.jpg


「Michel Petruccianiの"Music"は、私の今までの音楽人生で最も影響を受けた作品のひとつです。高校1年生の夏、当時Petrucciani氏を知らなかった私に、師匠であるユキ・アリマサ先生は『君は絶対彼を気に入るよ』と言い、まずは"Music"を聴くよう薦めてくれました。

小さな頃から、本当に素晴らしい様々なアーティストさん、ピアニストさんを聴いてきて『すごいなぁ...』と思ったことは数え切れない程ありました。ですが、彼の音楽に触れた瞬間まず思ったことは、『こんな音楽を奏でる人は、どんな人だろう』でした。音を聴いて『会いたい』と思うその感覚が、生まれて初めてだったのです。そして、私の中でその感覚は、当時からものすごく大切なものでした。

それからは、彼の音楽を漁る日々でした。少しでも触れたくて近づきたくて、聴きすぎて、彼の奏でたアドリブも今ではかなり弾けるようになりました。Petruccini氏には、音のすみずみまで、彼特有の意思のようなものがあると思います。テクニックや知識はもちろんですが、伝えたい気持ち、今しかだせない想いが「もうわかったよ」ってくらい、ビシビシ伝わってきます。最高にJAZZだと思う。

今でも彼の音楽から学び、自分がどんなピアニスト、アーティスト、人間になりたいか、いつも道しるべをしてくれます。もう大好き。ありがとう。やっぱりライヴを経験できなかったことが、死ぬほど悔しいなぁ。」

桑原あい

Ai Kuwabara Official


【Michel Petrucciani - Looking Up】




My First Jazz

michelpetrucciani200.jpg

Title : 『MUSIC』
Artist : Michel Petrucciani
LABEL : Blue Note
発売年 : 1990年



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】
01.Looking Up
02.Memories Of Paris  
03.My Bebop Tune
04.Brazilian Suite #2
05.Bite
06.Lullabye
07.O Nana Oye
08.Play Me
09.Happy Birthday Mr. K.
10.Thinking of Wayne



Monthly Disc Review2018.5.15:Monthly Disc Review

mdr1.jpg


Title : 『ふるさと』
Artist : 佐藤洋祐✕ヤン・ラングレン



furusato500.jpg


グレゴリー・ポーターのバンドで日本人がサックスを吹いているのを観た時は驚いた。


佐藤洋祐は東京都出身。いくつかの楽器を経て大学卒業後にアルトサックスに転向し、北海道でプロとして活動をスタートした。2008年には渡米しグレゴリー・ポーターのバンドに参加。数々のジャズフェスティバルに出演し、アルバムでは『Water』(2010)、『Be Good』(2012)、『Liquid Spirit』(2013)、『Take Me to the Alley』(2016)に参加と、まさにデビューからグラミー賞受賞までグレゴリーのキャリアに寄り添ってきた人物だ。現在はバンドを離れ、帰国。千葉県を中心に活動している。


今作はそんな彼がスウェーデンのピアニスト、ヤン・ラングレンとのデュオで録音した作品。「ヤシの実」、「ふるさと」、「ずいずいずっころばし」などの童謡から、多くの歌手にカバーされる財津和夫の名曲「切手のないおくりもの」など、誰もが聴いたことのある楽曲で構成された全9曲。モーダルにアレンジされた「かごめかごめ」、スウィングの「七つの子」などアレンジも豊富だ。


日本の楽曲を題材にしながら、ゲーム的なバップスタイルではなくメロディを重視して独自のラインを紡いでいく様子は、近年のヤン・ラングレンのスウェーデンのトラッドな音楽に着目している姿勢と上手くクロスしているようにも思える。雰囲気としてはノスタルジックでありながら、どんどん新しいハーモニーをつけていくヤン・ラングレンのピアノとそれに反応していく佐藤のサックスが溶け合っていく様には、熱量と美しさの両方を感じずにはいられない。


文:花木洸 HANAKI hikaru


佐藤洋祐
Jan Lundgren



Recommend Disc

FURUSATO.jpg

Title : 『ふるさと』
Artist : 佐藤洋祐✕ヤン・ラングレン
LABEL : MOCLOUD RECORDS
NO : MCLD-011
RELEASE : 2018.4.27



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】
1.みかんの花咲く丘
2.ヤシの実 
3.かごめかごめ
4.ふるさと
5.七つの子
6.ずいずいずっころばし
7.浜辺の歌
8.海
9.切手のないおくりもの




音楽ライター柳樂光隆氏による人気のムック『Jazz The New Chapter 』の第4弾が2017年3月8日に発売。今回も花木洸が選盤などを担当しています。

jtnc4450.jpg

■タイトル:『Jazz The New Chapter 4』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2017年3月8日
■出版社: シンコーミュージック

アマゾン詳細ページへ


毎号重版を続ける話題のムック、第4弾が遂に登場!
今や現代の音楽シーンを左右する一大潮流となった"ジャズ"の最突端で今、何が起きているのかを、詳細なテキストと計150枚のディスク評で徹底検証。ジャズを活性化したネオソウルとの蜜月を改めて紐解く一方、ジャズを触媒として生まれた新たな潮流にも目を向け、脈打ち続けるジャズの「今」を深く掘り下げます。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


「Monthly Disc Review」アーカイブ花木 洸

2015.04 ・2015.05 ・2015.06 ・2015.07 ・2015.08 ・2015.09 ・2015.10 ・2015.11 ・2015.12 ・2016.01 ・2016.02 ・2016.03 ・2016.04 ・2016.05 ・2016.06 ・2016.07 ・2016.08 ・2016.09 ・2016.10 ・2016.11 ・2016.12 ・2017.01 ・2017.02 ・2017.03 ・2017.04 ・2017.05 ・2017.06 ・2017.07 ・2017.08 ・2017.09 ・2017.10 ・2017.11 ・2017.12 ・2018.01 ・2018.02 ・2018.03 ・2018.04




Reviewer information

hikaru500.jpg

花木 洸 HANAKI hikaru

東京都出身。音楽愛好家。
幼少期にフリージャズと即興音楽を聴いて育ち、暗中模索の思春期を経てジャズへ。
2014年より柳樂光隆監修『Jazz the New Chapter』シリーズ(シンコーミュージック)
及び関西ジャズ情報誌『WAY OUT WEST』に微力ながら協力。
音楽性迷子による迷子の為の音楽ブログ"maigo-music"管理人です。

花木 洸 Twitter
maigo-music

アーカイブ