みなさんこんにちは、トランペッター&ピアニストの曽根麻央です。
今週は日本のジャズシンガーの中でもレジェンド級の存在、
中本マリさんのツアーで関西〜名古屋方面にきています。お近くの方は是非お越しください。
9/15 高槻J K.RUSH
9/16 大津Bochi Bochi
9/17 桑名ado on top
9/18 桑名 ado on top (昼公演)
9/19 名古屋Star Eyes
そして今月来月は、今年発売したアルバム『Brightness of the Lives』のコンサートがあります。
9/23 @ 流山生涯学習センター
https://teket.jp/3138/14458
10/21 @ ヤマハリゾート葛城北の丸(掛川)
hhttps://www.yamaharesort.co.jp/katsuragi-kitanomaru/info/040.php
10/23 @ 浜松アクトシティー大ホール
https://hamamatsujazzweek.com/2022/01/
また現在配信中のソロ演奏シリーズ『曽根麻央プレイズ・スタンダード』の一環で、名古屋に10/24(月)ソロ公演で伺います!場所は金山のMr. Kenny'sです。
https://teket.jp/3138/14458
この様に徐々にライブシーンが通常に回り始めた喜びを感じつつ充実した日々を送っていたところ、とんでもない訃報が届いてしまいました。
ラムゼイ・ルイス。偉大なR&B~ジャズピアニストで数多くのヒットソングに携わった人です。僕はこの人のライブ映像を小学生の時に何回も見て、その凄まじいライブパフォーマンスに憧れていました。YouTubeにその映像を見つけたので是非聞いてみて下さい。
【クールでファンキーなピアノスタイル】
ラムゼイ・ルイスのピアノは輝く明るめのタッチとゴスペルやR&Bに根ざしたリズミカルでグルーヴィーな演奏が特徴です。ライブ映像をみてもわかるのですが、ファンキーな曲を演奏していてもとても落ち着いていて、軸がブレないというか、じっくりとストーリーが展開されている印象をえます。この様なクールでファンキーなピアノの演奏スタイルは、ラムゼイ・ルイスなしには完成しなかったといってよいでしょう。
さてこのSun Goddessは調べるとルイスとドラマー、モーリス・ホワイトのリユニオン作品だそうです。モーリス・ホワイトというとあの有名なEarth, Wind & Fireのリーダーとして有名でリードトラックの「Sun Goddess」をはじめ、Earth, Wind & Fireのメンバーが演奏に参加しています。
僕が書くまでもない名盤ですが、新ためてこのアルバムの魅力に気付けたらと思います。
Title : 『Sun Goddess』
Artist : Ramsey Lewis
01. Sun Goddess
この8分間は録音の歴史上最高にグルーヴィーな瞬間であると言えるでしょう。ルイスの代表的名演奏です。ギターのカッティングが聴こえてきて、ドラムのbass drumが胸に響きます。ラムゼイ・ルイスは最初フェンダー・ローズでシンプルなパターンを繰り返し弾きながらグルーヴを高めます。その後かの有名な美しいメロディーが流れてきます。メロディーの間のルイスの合いの手も非常に歌心あり、感情をくすぐられます。その後一瞬イントロのギターカッティングの上で、ルイスが暴れます(笑)。これがまたちょうどよい長さでカッコ良いです。このトラックは構成のバランスも最高なのです。その後すぐにテナーソロに入り、イントロのコード進行の上で音楽が進んでいきます。同じ進行の上でソロがルイスに渡されます。リズムがとても歯切れよく心地よいソロが展開されます。フレーズはいたってシンプルでコードに沿ったものですが、それが自然と聴き手を徐々に音楽の中に引っ張り込んでしまいます。ソロが最高潮に達したところですぐさまメロディーに戻るのもシンプルな作りでとても良いですね。エンディングに近づくにつれディレイのかかったローズの音になっていき、フレーズが徐々に複雑になりかけたところでフェイドアウトして終わります。
02. Living for the City
スティーヴィー・ワンダーの楽曲。フェンダー・ローズでメロディーを弾きながら左手でブルージーなコンピングを繰り広げるのは本当に見事ですね。ブラスセクションがとてもインパクトある曲になっています。後ろのストリングスも特徴的ですね。ピアノソロ中は音程をグニャっとさせて独特の緊張感を音楽に与えています。
03. Love Song
これはルイスのオリジナル曲。ルイスのアコースティックピアノをフィーチャーした曲。イントロのストリングスがこれも非常に特徴的ですね。 ルイスのピアノの音はこの上なく明るく、すべての音をかき分けて頂点に立つ様な音です。しかし、耳に突き刺さることはなく、優しさがある素敵なピアノのタッチです。ソロではフェンダー・ローズに戻り、グルーヴィーなソロを1コードの上で展開しつつ、徐々にホーンセクションなどが絡んできているのもかっこいいです。
04. Jungle Strut
この曲ではアップライトベースがとても特徴的なラインを弾いて、それが基本となり展開していきます。言葉とそれに呼応するシンセの音が特徴的な音楽です。
05. Hot Dawgit
映画音楽の様なブルージーなギター・イントロに続いて、リリカルなメロディーが展開されます。短いシンプルな曲です。
06. Tambura
ノイズの様なパーカッションとシンセが特徴的な出だしを作り出しています。ここまで聴いて改めて気づいたのですが、このアルバムは各楽曲のイントロの掴みが素晴らしいですね。聴き手に何だこれ、かっこいい、と思わせる工夫が特にイントロや出だしになされていて、そこから派生するグルーヴが安定して永続的に続くため体が自然と踊り出す、そんなアルバムなのかもしれません。
07. Gemini Rising
これまでの楽曲に比べるとかなり暗い混沌としたコンテンポラリーなサウンドでイントロが始まります。本編自体は少し軽快なグルーヴです。シンンセサイザーがメロディーを担当していて他の楽曲とかなり印象が変わります。アップライトベースも特徴的です。ルイスのソロではスウィングにグルーヴが変わります。恐らくCleveland Eatonがベースだと思いますが、非常に理想的なウォークベースを展開していて、スウィングのリズムをリードしています。それにルイスのソロも徐々に高まり彼のジャズ奏者としての優れた一面を聴くことができます。ベースソロではドラムが徐々にカオスになり、シンセも加わって混沌としたイントロのサウンドに戻り曲が終わります。
それではまた次回。
文:曽根麻央 Mao Soné
Recommend Disc |
![]() Title : 『Sun Goddess』 【SONG LIST】 01.Sun Goddess |
【曽根麻央LIVE INFO】
9/15 (Thu) @ JK Rush, Takatsuki
Mari Nakamoto Tour
9/17 (Sat) night @ Ado On Space, Kuwana
Mari Nakamoto Tour
9/16 (Fri) @ Bochi Bochi, Otsu
Mari Nakamoto Tour
9/18 (Sat) @ Ado On Space, Kuwana
Mari Nakamoto Tour
9/19 (Mon) @ Star Eyes, Nagoya
Mari Nakamoto Tour
9/23 (Fri) @ 流山生涯学習センター
Brightness of the Lives (feat. May Inoue, Ren Yamamoto, Hiro Kimura & Takafumi Nikaido)
9/24 (Sat) @ Cabin, Honatsugi
Mao Sone, Takafumi Nikaido, Yuji Ito
9/25 (Sun) @ Body & Soul
Mao Sone, Yuji Ito, Hiro Kimura, Takafumi Nikaido
9/26 (Mon) @ Apple, Yokohama
Tetsuo Koizumi, Takafumi Nikaido, Mao Sone
9/28 (Wed) @ Nardis, Kashiwa
Mao Sone Trio (feat. Yuji Ito & Hiro Kimura)
9/29 (Thu) @ 築地 Blue Mood
中村梅雀(eb)、井上銘(gt)、曽根麻央(keys&tp)、高橋直希(ds)
10/1 (Sat) @ 取手市民会館大ホール
宮本貴奈ダブル・トライアングル featuring 曽根麻央、中林俊哉&KOTETSU
10/2 (Sun) @ 蒲郡ジャズフェスティバル
Yucco Miller Quartet
10/3 (Mon) @ Nardis (柏)
Mao Soné Trio with Yuji Ito & Hiro Kimura
10/5 (Wed) @ Apple (横浜)
TBA
10/7 (Fri) @ Cabin (本厚木)
丈青 and more
10/8 (Sat) @ 関内ホール【横浜ジャズプロムナード】
Reborn Wood Sessions
10/9 (Sun) @ Cabin (本厚木)
Mao Soné SOLO
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・2020.04『Motherland / Danilo Perez』・2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』・2020.06『Passages / Tom Harrell 』・2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』・2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』・2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』・2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』・2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』・2020.12『Three Suites / Duke Ellington』・2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』・2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』・2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』・2021.04『Something More / Buster Williams』・2021.05『Booker Little / Booker Little』・2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』・2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』・2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』・2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』・2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』・2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』・2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』・2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』・2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』・2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』・2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』・2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』・2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』・2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』
Reviewer information |
![]() 曽根麻央 Mao Soné 曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。 |