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Monthly Disc Reviewの最近のブログ記事

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Monthly Disc Review2018.2.15:Monthly Disc Review

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Title : 『ザ・モンク:ライヴ・アット・ビムハウス』
Artist : 挾間美帆 / メトロポール・オーケストラ・ビッグバンド



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オランダの公共放送によって1945年に設立されたメトロポール・オーケストラ。古くはエラ・フィッツジェラルドやディジー・ガレスピーとも共演した、ジャズ・ビッグバンドとしては世界でも5本の指に入るであろう名門オーケストラだ。


2005年にヴィンス・メンドーサが指揮者に就いてからは、様々なコラボレーションで知名度をあげた。近年はブラジルを代表するシンガー・ソングライターのイヴァン・リンスと組んだ『Ivan Lins and The Metropole Orkest』、ジャズ・ギタリストのジョン・スコフィールドと組んだ『54』、イギリスのクラブミュージックの雄ベースメント・ジャックスと組んだ『Basement Jaxx vs Metropole Orkest』など、ジャンルを問わず第一線のミュージシャンとコラボレーションを重ねた。2013年にヴィンス・メンドーサがバンドを離れてからも、グラミー賞を受賞して日本でも知名度をあげるスナーキー・パピーと組んだ『Sylva』をリリースするなど、その精神は受け継がれている。


そんなメトロポール・オーケストラが今回コラボレーションの相手に選んだのが、NY在住のジャズ作曲家、挾間美帆だ。
作品のテーマは昨年生誕100年でも話題となった偉大なジャズ・ピアニスト、セロニアス・モンク。「Thelonious」のモンクの10本の指を各楽器に置き換えたかのようなオーケストレーションは、一見奇妙であったり、すっとんきょうに思えるモンクの楽曲に秘められたエンターテイメント的な要素をあぶり出しているように思う。かと思えば「Friday the 13th」では、挾間らしい透明感でモンク楽曲のまた違う側面が見えたり、「Epistrophy」では音の粒がぶつかり合うようなモンクの「えぐ味」を残しながらも、古臭いアヴァンなサウンドには聴こえなかったりする。この作品はなんだか挾間美帆がプロデュースしたモンク作品のようでもあるし、モンクがプロデュースした挾間美帆作品のようでもある。この、楽曲に食われてもいないし、楽曲を殺してもいないという絶妙なマッチングは、数あるセロニアス・モンク・トリビュート作品の中でもピカイチ。


文:花木洸 HANAKI hikaru


挾間美帆 facebook



Recommend Disc

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Title : 『ザ・モンク:ライヴ・アット・ビムハウス』
Artist : 挾間美帆 / メトロポール・オーケストラ・ビッグバンド
LABEL : ユニバーサルミュージック
NO : UCCJ-2152
RELEASE : 2018.2.14



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【SONG LIST】
01. ルビー、マイ・ディア
02. 13日の金曜日
03. セロニアス
04. エピストロフィー
05. クレプスキュール・ウィズ・ネリー
06. ハッケンサック
07. ラウンド・ミッドナイト




音楽ライター柳樂光隆氏による人気のムック『Jazz The New Chapter 』の第4弾が2017年3月8日に発売。今回も花木洸が選盤などを担当しています。

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■タイトル:『Jazz The New Chapter 4』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2017年3月8日
■出版社: シンコーミュージック

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毎号重版を続ける話題のムック、第4弾が遂に登場!
今や現代の音楽シーンを左右する一大潮流となった"ジャズ"の最突端で今、何が起きているのかを、詳細なテキストと計150枚のディスク評で徹底検証。ジャズを活性化したネオソウルとの蜜月を改めて紐解く一方、ジャズを触媒として生まれた新たな潮流にも目を向け、脈打ち続けるジャズの「今」を深く掘り下げます。


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「Monthly Disc Review」アーカイブ花木 洸

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花木 洸 HANAKI hikaru

東京都出身。音楽愛好家。
幼少期にフリージャズと即興音楽を聴いて育ち、暗中模索の思春期を経てジャズへ。
2014年より柳樂光隆監修『Jazz the New Chapter』シリーズ(シンコーミュージック)
及び関西ジャズ情報誌『WAY OUT WEST』に微力ながら協力。
音楽性迷子による迷子の為の音楽ブログ"maigo-music"管理人です。

花木 洸 Twitter
maigo-music

Monthly Disc Review2018.1.15:Monthly Disc Review

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Title : 『ICTUS』
Artist : Tamaya Honda Ictus Trio



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今月のレビューはTamaya Honda Ictus Trioによる『ICTUS』。ドラマー本田珠也が佐藤浩一(pf)、須川崇志(b, vc)という精鋭と結成したトリオを率いた作品だ。


収められた全10曲のうち、スタンダードの「It Never Entered My Mind」と「I Should Care」、佐藤による「Kamiya」と「Heaven」を除いた6曲が、作曲家Carla Bleyの楽曲という構成。ECM調の内省的な演奏と時に過激なトリオのカンバセーションからは、やはり「Ictus」の初出であるJimmy Giuffre『Thesis』(のちに『Jimmy Giuffre 3, 1961』としてECMからリイシューされた)や、『Closer』をはじめとする1960年代ESPレーベルのPaul Bleyの演奏を連想してしまう。そしてそれを導くCarla Bleyの楽曲の強度にも驚かされる。演奏されるスタンダードから浮かんでくるのは、菊地雅章のPaul MotianやGary Peacockとのトリオ作。スウィングでもフリーでも無いが、今風のコンテンポラリーとも違うトリオ・ミュージック。おそらくこのトリオが目指すのは、そんな系譜の先にある音楽なのだろう。


トリオとしての完成度はもちろんのこと、このアルバムにおける佐藤浩一(以前この連載でも『Melancholy of a Journey』を紹介した)には、前作でみせた作曲家としての一面以上に、些細なニュアンスまで聴かせるピアニストとしての凄みを感じた。


文:花木洸 HANAKI hikaru


【Tamaya Honda ICTUS Trio "Vashkar" Full_Stream】



本田珠也 Official

佐藤浩一 Official

須川崇志 Official



Recommend Disc

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Title : 『ICTUS』
Artist : Tamaya Honda ICTUS Trio
LABEL : SONGXJAZZ
NO : SONGX051
RELEASE : 2018.1.17



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【SONG LIST】
01. And Now The Queen (Carla Bley)
02. Vashkar (Carla Bley)
03. Batterie (Carla Bley)
04. It Never Entered My Mind (L.Hart / R.Rodgers)
05. Kamiya (Koichi Sato)
06. Heaven (Koichi Sato)
07. Sad Song (Carla Bley)
08. Violin (Carla Bley)
09. Ictus (Carla Bley)
10. I Should Care(S.Cahn / A.Stordahl & P.Weston)


■ICTUS Trio are
Tamaya Honda: drums
Takashi Sugawa: bass, cello
Koichi Sato: piano

Produced by Tamaya Honda

Recorded at Studio Dedé, May 16th 2017
Recording and Mix Engineer: Shinya Matsushita (Studio Dedé Recording)
Mastering Engineer: Akihito Yoshikawa (Dedé AIR Mastering)




音楽ライター柳樂光隆氏による人気のムック『Jazz The New Chapter 』の第4弾が2017年3月8日に発売。今回も花木洸が選盤などを担当しています。

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■タイトル:『Jazz The New Chapter 4』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2017年3月8日
■出版社: シンコーミュージック

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毎号重版を続ける話題のムック、第4弾が遂に登場!
今や現代の音楽シーンを左右する一大潮流となった"ジャズ"の最突端で今、何が起きているのかを、詳細なテキストと計150枚のディスク評で徹底検証。ジャズを活性化したネオソウルとの蜜月を改めて紐解く一方、ジャズを触媒として生まれた新たな潮流にも目を向け、脈打ち続けるジャズの「今」を深く掘り下げます。


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「Monthly Disc Review」アーカイブ花木 洸

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花木 洸 HANAKI hikaru

東京都出身。音楽愛好家。
幼少期にフリージャズと即興音楽を聴いて育ち、暗中模索の思春期を経てジャズへ。
2014年より柳樂光隆監修『Jazz the New Chapter』シリーズ(シンコーミュージック)
及び関西ジャズ情報誌『WAY OUT WEST』に微力ながら協力。
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Monthly Disc Review2017.12.15:Monthly Disc Review

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Title : 『Oxymoron』
Artist : 吉本章紘・須川崇志



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サックスとベースのデュオ、といって思いつくのはLee KonitzとRed Mitchellによる『I Concentrate On You』だ。Cole Porter作曲のスタンダードを取り上げたトリビュート盤で、リラックスした雰囲気に潜む緊張感がたまらない。派手さはないけれどひそかな名盤だと思っている。今でこそApple Musicでも聴けてしまうけれど、数年前は結構がんばって探して手に入れた記憶がある。今年の4月にはディスクユニオンからCDでも再発された。


今回紹介する吉本章紘と須川崇志による『Oxymoron』を聴いた時にまず感じたのは、Lee KonitzとRed Mitchellによる作品の緊張と緩和のバランスをひっくり返したような不思議な感触だった。


下北沢のライブハウス:アポロでのライブ録音によるこの作品は、全曲が即興演奏。2分〜4分ほどの短い即興が連なって一つの作品となっている。即興のヒリヒリするような緊張感はずっとあるのに、どこか室内楽や映画音楽的な響きにも聴こえてきて、須川のアルコとサックスの音色が混ざり合う瞬間には心地よささえおぼえる。吉本がクラリネットに、須川がチェロに持ち替えるとまた世界が聴こえてくる。音の鳴り方やプロセスが決して予定調和的でないところ、斬り合いでもプロレスでも無く真摯に音楽を作り上げる絶妙なバランス感覚に、両者の凄みを感じる。ラストの一曲ではトランペット奏者のNiran Dasikaも加わり、アヴァンになるかというこちらの期待を裏切って、より一層アンサンブルは調和へと向かっていくのも印象的だ。


本作が録音された下北沢アポロで繰り広げられているようなクリエイティヴな音楽の世界を、奏者の息づかいまで聴こえてくる録音が空気感までしっかりと伝えている。そういった意味では、この作品は2017年の日本のジャズシーンをしっかりととらえたドキュメンタリー的な作品でもあると言えよう。

文:花木洸 HANAKI hikaru


【Akihiro Yoshimoto × Takashi Sugawa "Oxymoron"】



吉本章紘 Official

須川崇志 Official



Recommend Disc

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Title : 『Oxymoron』
Artist : 吉本章紘・須川崇志
LABEL : MOR Records
NO : MOR1002
RELEASE : 2017.8.23

✴︎限定300枚プレス、各ライブ会場にて販売


【SONG LIST】
01. Walk Around
02. Water Ripples
03. Password 
04. Mokume #1
05. Bass
06. Room
07. Suidokan
08. Mokume #2
09. Wheel 
10. Mokume #3
11. Enpitsu Hiko

Akihiro Yoshimoto - soprano sax, clarinet
Takashi Sugawa - contrabass, cello
Niran Dasika - piccolo trumpet  (only #11)




音楽ライター柳樂光隆氏による人気のムック『Jazz The New Chapter 』の第4弾が2017年3月8日に発売。今回も花木洸が選盤などを担当しています。

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■タイトル:『Jazz The New Chapter 4』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2017年3月8日
■出版社: シンコーミュージック

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毎号重版を続ける話題のムック、第4弾が遂に登場!
今や現代の音楽シーンを左右する一大潮流となった"ジャズ"の最突端で今、何が起きているのかを、詳細なテキストと計150枚のディスク評で徹底検証。ジャズを活性化したネオソウルとの蜜月を改めて紐解く一方、ジャズを触媒として生まれた新たな潮流にも目を向け、脈打ち続けるジャズの「今」を深く掘り下げます。


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「Monthly Disc Review」アーカイブ花木 洸

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花木 洸 HANAKI hikaru

東京都出身。音楽愛好家。
幼少期にフリージャズと即興音楽を聴いて育ち、暗中模索の思春期を経てジャズへ。
2014年より柳樂光隆監修『Jazz the New Chapter』シリーズ(シンコーミュージック)
及び関西ジャズ情報誌『WAY OUT WEST』に微力ながら協力。
音楽性迷子による迷子の為の音楽ブログ"maigo-music"管理人です。

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Monthly Disc Review2017.11.15:Monthly Disc Review

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Title : 『songbook 2』
Artist : 石若駿



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石若駿の歌ものプロジェクト、songbookの第二弾。
今回はエレクトロニカ・アーティストのermhoi、トランペッターNiran Dasikaとの共作が1曲、角銅真実と吉田ヨウヘイgroupのギタリスト西田修大、CRCK/LCKSのベーシスト越智俊介によるsongbook bandで2曲、角銅とのデュオで1曲、CRCK/LCKSの小西遼、ベーシストの須川崇志とのバンドで1曲の計5曲。


前回のアルバムにあった過剰とも思えるような宅録の音の重ね方は薄れており、むしろ参加ミュージシャンに任せる部分が増えてライブ感が増している(それでも石若駿がピアノとドラムを担当する曲がほとんどだけれど)。songbook bandとしてライブ活動をしてきた積み重ねもあるのだろう。
エフェクティブなトランペットと刻まれたボイスの隙間に、チョップしたかのような過激なドラムソロの挟まれた「Birthday Song」、イントロで くるり と錯覚するような8ビートの「晴れた夜」などは石若駿の新しい機軸となるかもしれない。


西田修大、越智俊介、ermhoiという非ジャズアーティストの起用も効果的だ。ermhoiのボーカルエフェクトは石若のドラミングとマッチしているし、ザラッと歪んだギターは以外にも空気感を引き締めている。小西のボコーダーがメインボーカルをとる曲で、あえてウッドベースの須川を起用しているのも面白い。


石若駿が今年参加した岡田拓郎のアルバム『ノスタルジア』を聴いていて、「あ、これは石若駿だ」と確信した曲がある。「ブレイド」という曲だ。この曲で、岡田はおそらく現代ジャズ的なアンサンブルに日本語詞を載せるための接着剤として石若駿を起用した。岡田拓郎がブレイクスルーする方法として石若駿を起用したことと、石若駿が西田修大らを起用したことはきっとコインの表と裏のようなものだろう。
石若駿が接着剤となり、ジャンルをまたいで面白い音楽がまだまだ生まれる予感がする。

文:花木洸 HANAKI hikaru


【石若駿 2ndEP『Songbook2』メイキング映像】



石若駿 Official



Recommend Disc

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Title : 『songbook 2』
Artist : 石若駿
LABEL : YoungS'tones Records / APOLLO SOUNDS
NO : YS-0002
RELEASE : 2017.11.15



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【SONG LIST】
01. Birthday Song feat.ermhoi
02. Purkinje feat.角銅真実
03. Hareta Yoru feat.角銅真実
04. Room (shouganai) feat.角銅真実
05. Jazzfriendz feat.小西遼(CRCK/LCKS)




【石若駿3Days 6公演@PIT INN】
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11月17日(金) 18日(土) 19日(日)
夜公演=開場19:30 開演20:00 / 昼公演=開場14:00 開演14:30
¥3,000+税(11/17の昼公演のみ、¥2,000+税)
全て、1ドリンク付
*6公演通し券:¥16,000(税込、各ステージ1ドリンク付)
◎予約・前売(開場時優先入場)受付中。

11月17日
【昼】石若駿打楽器ソロ
【夜】石若駿&スガダイロー デュオ
石若 駿(Ds)スガダイロー(P)

11月18日
【昼】Songbook Band 
石若駿(P,el-P)角銅真実(Vo)西田修大(G)越智俊介(B)渡健人(Ds) 
【夜】CRCK/LCKS(クラックラックス)*オールスタンディング
小西 遼(Sax,Key,etc)小田朋美(Vo,Key)井上 銘(G)越智俊介(B)石若 駿(Ds)DJ=石若 駿

11月19日
【昼】Clean up Trio
石若 駿(Ds)井上 銘(G)須川崇志(B)Niran Dasika(Tp)
【夜】"Boys"Trio
石若 駿(Ds)石井 彰(P)金澤英明(B)DJ=石若 駿 


音楽ライター柳樂光隆氏による人気のムック『Jazz The New Chapter 』の第4弾が2017年3月8日に発売。今回も花木洸が選盤などを担当しています。

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■タイトル:『Jazz The New Chapter 4』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2017年3月8日
■出版社: シンコーミュージック

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毎号重版を続ける話題のムック、第4弾が遂に登場!
今や現代の音楽シーンを左右する一大潮流となった"ジャズ"の最突端で今、何が起きているのかを、詳細なテキストと計150枚のディスク評で徹底検証。ジャズを活性化したネオソウルとの蜜月を改めて紐解く一方、ジャズを触媒として生まれた新たな潮流にも目を向け、脈打ち続けるジャズの「今」を深く掘り下げます。


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「Monthly Disc Review」アーカイブ花木 洸

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花木 洸 HANAKI hikaru

東京都出身。音楽愛好家。
幼少期にフリージャズと即興音楽を聴いて育ち、暗中模索の思春期を経てジャズへ。
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及び関西ジャズ情報誌『WAY OUT WEST』に微力ながら協力。
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Monthly Disc Review2017.10.15:Monthly Disc Review

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Title : 『Disoriental』
Artist : Genzo Okabe



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<Challenge Records>というレコードレーベルをご存知だろうか。

古くはEnrico PieranunziやBob Brookmeyer、Clark Terryなども録音を残したこのレーベルは、1994年にオランダで設立された。ジャズとともにクラシックも扱うこのレーベルは、透明感のある録音と美しい装丁でヨーロッパジャズファンのあいだではにわかに注目を集めている。近年の秀作として、ジャズ批評』で≪ジャズオーディオ・ディスク大賞2015≫ ヴォーカル部門を受賞したChiara Pancaldi『I Walk A Little Faster』(CR 73409)、Kenny WheelerとNorma Winstoneが参加した『The Banff Sessions - A Tribute to Kenny Wheeler』(CR 73403)、ポーランドのピアニストMaciej Tubisによるトリオ作『The Truth』(CR 73445)が記憶に新しい。


そんなChallenge Recordsのカタログを眺めていたら、日本人のリーダー作を見つけた。それが今月の紹介作品Genzo Okabe(岡部源蔵)『Disoriental』だ。


東京出身のアルトサックス奏者:岡部源蔵は、幼少期からクラシックピアノを学び、15歳でサックスを手に取る。イタリアのペルージャ国立音楽院でクラシック・サックスを、オランダのハーグ王立音楽院で今度はジャズ・サックスを学んだという経歴を持つ。2009年に結成されたこのバンドでは、OAP Recordsからすでに2枚のアルバムが出ており、今作が3枚目のアルバムとなる。


艶やかなトーンから熱気あふれるブロウまでシームレスに変化するサックスの音色の美しさにまず耳がいく。コンテンポラリージャズの「Castroni」、高速16ビートの「Ningyo」、ストレンジなリフがループする「Sms」、ルーズなブルースの「Still Blues」とリズム構造も多彩。タイトル・チューンの「Disoriental」ではサックスに掛けられたディレイと、ダークなトーンのピアノとの組み合わせによって、不思議なアトモスフィアを醸し出す。

ジャズとクラシック、日本とオランダという垣根を越えて届けられたこの作品。そう考えると、タイトルの『Disoriental』も意味深長だ。


文:花木洸 HANAKI hikaru


【Okabe Family - Castroni @ Bimhuis 11.03.2017】



GENZO OKABE 岡部源蔵 Official



Recommend Disc

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Title : 『Disoriental』
Artist : Genzo Okabe
LABEL : CHALLENGE
NO : OCR73442
RELEASE : 2017.10.3



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【SONG LIST】
01. Opening
02. Castroni
03. Stepped on the Sheet
04. Go Sleep
05. Ningyo
06. SMS
07. Still Blues
08. Disoriental




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【Okabe Family Japan Tour 2017】
10/17 Osaka Mister Kelly's
10/18 Yokohama Motion Blue Yokohama
10/20 Tokyo Pit Inn
10/21 Hitachi George House
10/22 Atsugi Cabin


音楽ライター柳樂光隆氏による人気のムック『Jazz The New Chapter 』の第4弾が2017年3月8日に発売。今回も花木洸が選盤などを担当しています。

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■タイトル:『Jazz The New Chapter 4』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2017年3月8日
■出版社: シンコーミュージック

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毎号重版を続ける話題のムック、第4弾が遂に登場!
今や現代の音楽シーンを左右する一大潮流となった"ジャズ"の最突端で今、何が起きているのかを、詳細なテキストと計150枚のディスク評で徹底検証。ジャズを活性化したネオソウルとの蜜月を改めて紐解く一方、ジャズを触媒として生まれた新たな潮流にも目を向け、脈打ち続けるジャズの「今」を深く掘り下げます。


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「Monthly Disc Review」アーカイブ花木 洸

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Monthly Disc Review2017.9.15:Monthly Disc Review

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Title : 『Be with us』
Artist : 河野祐亮



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今月のレビューはピアニスト河野祐亮の最新作『Be with us』。


Walter Smith IIIとWarren Wolfというゲストをむかえ、エンジニアにはグラミー受賞歴もある内藤克彦という豪華な布陣だが、このアルバムはクラウドファンディングで資金を集めて作られた作品だ。アートワークや録音環境へのこだわりは、下に記載したプロジェクトのページに詳しい。


一曲目の「Cydnian Blue」から河野の楽曲の澄んだ世界観が押し寄せてくる。基本のトーンはNYの名門ニュースクールで学んだ河野らしい、Robert Glasperらの世代が押し広げた語法が完全に消化されたブルックリンのコンテンポラリーな雰囲気。それは楽曲が難しくなっているという事ではなくて、リズムやコード進行の自由度の高さに象徴的だ。その中にふっと挟まれた4ビートの「Sunny Side Up!!」でのスリリングな駆け引きや、その「Sunny Side Up!!」に続く「Impact Factor」がトラップを思わせるビートの楽曲なのも、このトリオのスタンスを示しているように思う。サックス奏者の息継ぎやビブラフォンのペダルの感触まで伝わる生々しい録音も印象的。


そして感じたのは、前作『I LOVE YOU I KNOW』(2015年)のリリースから、SAPPORO CITY JAZZ 2015でのコンテスト優勝、オーストリアのウィーン・ジャズ・フェスティバルやイギリスの名門クラブ:ロニースコッツへの出演などを経て、この2年間でトリオがとんでもなく成熟したこと。言葉にするのが難しいけれど、ふとした一音一音までぐっと自然体の演奏になったような印象だ。その事が楽曲に感じる自由度ともマッチしているように思う。トリオの演奏がこの作品を経てさらに濃密になっていくのは間違い無いだろう。


文:花木洸 HANAKI hikaru


河野祐亮ピアノトリオ New Yorkでレコーディングを - CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
https://camp-fire.jp/projects/view/18246#menu


【【公式MV】『Be with us』河野祐亮ピアノトリオ with Walter Smith Ⅲ, Warren Wolf 】



河野祐亮 Official



Recommend Disc

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Title : 『Be with us』
Artist : 河野祐亮
LABEL : NJR Records
NO : NJR0002
RELEASE : 2017.8.30



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【SONG LIST】
01. Cydnian Blue
02. April In North
03. Longing for "HOLOHOLO"
04. Sunny Side Up!!
05. Impact Factor
06. You were..
07. The Chosen One
08. HITOTSUBU NO NAMIDA
09. Keep Dreamin'
10. Affair
11. Those who lived in the good ol'days
12. It suddenly happened

Produced by Yusuke Kono
Recorded at The Bunker (Brooklyn NY)
Recording,Mixing and Mastering engineer:Katsuhiko Naito
Recording Date:6th & 7th June 2017


音楽ライター柳樂光隆氏による人気のムック『Jazz The New Chapter 』の第4弾が2017年3月8日に発売。今回も花木洸が選盤などを担当しています。

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■タイトル:『Jazz The New Chapter 4』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2017年3月8日
■出版社: シンコーミュージック

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毎号重版を続ける話題のムック、第4弾が遂に登場!
今や現代の音楽シーンを左右する一大潮流となった"ジャズ"の最突端で今、何が起きているのかを、詳細なテキストと計150枚のディスク評で徹底検証。ジャズを活性化したネオソウルとの蜜月を改めて紐解く一方、ジャズを触媒として生まれた新たな潮流にも目を向け、脈打ち続けるジャズの「今」を深く掘り下げます。


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「Monthly Disc Review」アーカイブ花木 洸

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花木 洸 HANAKI hikaru

東京都出身。音楽愛好家。
幼少期にフリージャズと即興音楽を聴いて育ち、暗中模索の思春期を経てジャズへ。
2014年より柳樂光隆監修『Jazz the New Chapter』シリーズ(シンコーミュージック)
及び関西ジャズ情報誌『WAY OUT WEST』に微力ながら協力。
音楽性迷子による迷子の為の音楽ブログ"maigo-music"管理人です。

花木 洸 Twitter
maigo-music

Monthly Disc Review2017.8.15:Monthly Disc Review

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Title : 『世界はここにしかないって上手に言って』
Artist : ものんくる



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「ものんくる」といえば、管楽器やストリングスによる生楽器のアンサンブルと日本語の歌詞。そんなイメージを一新する3rdアルバム『世界はここにしかないって上手に言って』。

普段着のジャケット写真、切り貼りされたサンプリング音、幾重にも重ねられたボーカルトラックとシンセサイザーの電子音。これまでの「ものんくる」とは明らかに違う装いをまとったこの作品は、2人の頭の中をそのまま描き出したような作品だ。


メンバーはボーカルの吉田沙良と、ベーシストでありコンポーザーの角田隆太の2人。そこにゲストミュージシャンとして、黒田卓也や井上銘、石若駿、桑原あい、宮川純、渡辺ショータ、安藤康平など若手ジャズの気鋭から、大儀見元、FUYU、斎藤ネコ率いるストリングスなどベテラン勢まで、これまでのメンバーとは違った演奏家がならぶ。生楽器のアンサンブルに替わって楽曲を構築するのは、幾重にも重ねられたボーカルトラックやサンプリング音、シンセサイザーの電子音など。宅録をメインに作られたという事もあって、それらの素材を切り貼りしながら組み上げられていく楽曲達に「角田隆太の頭のなかにはこんな音が鳴っていたのか!」とまず驚く。そして緻密に構築されていながらも、随所に即興的なソロのコミュニケーションが散りばめられているバランス感覚にさらに驚く。ゲスト・ミュージシャンに演奏してもらうというよりも、頭の中の音を一番うまく鳴らせるミュージシャンを配置したといったほうが近いのかもしれない。なによりも歌をとりまくパーツが多くなった分、むしろメロディの透明感や歌詞のセンスがいっそう際立って聴こえたのが印象的だ。


作品を聴きながら、そういえば昨年ベーシストのエスペランサ・スポルディングがロックなサウンドへと大きく舵を切った『Emily's D+Evolution』の来日公演で、オールスタンディングのZepp DiverCity Tokyoの最前列にいた角田隆太に会ったことを思い出した。エスペランサ・スポルディングの作品や、ベッカ・スティーブンス『レジーナ』が、自分を何かに投影したりあるいは何かを自分に投影したある種の「仮装」的な作品であったのに対して、この作品は歌詞も含めてどこまでも普段着のカジュアルな装いに思えるところに、ものんくるの末恐ろしさを感じる。

昨年CRCK/LCKSにインタビューした時、角田隆太は「僕達が今やってる音楽にも後々何か名前が付いたらいいよね」と言っていたけれど、僕もまだこの音楽につける名前は見当たらないです。


文:花木洸 HANAKI hikaru


【ものんくる / ここにしかないって言って】



ものんくるOfficial



Recommend Disc

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Title : 『世界はここにしかないって上手に言って』
Artist : ものんくる
LABEL : Village Records
NO : VRCL10135
RELEASE : 2017.7.12



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【SONG LIST】
01. Driving Out Of Town
02. 空想飛行
03. SUNNYSIDE
04. 花火
05. Birthday Alone
06. ここにしかないって言って
07. 時止まる街
08. 二人
09. 透明なセイウチ
10. 最終列車 君を乗せて
11. the dawn will come


音楽ライター柳樂光隆氏による人気のムック『Jazz The New Chapter 』の第4弾が2017年3月8日に発売。今回も花木洸が選盤などを担当しています。

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■タイトル:『Jazz The New Chapter 4』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2017年3月8日
■出版社: シンコーミュージック

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毎号重版を続ける話題のムック、第4弾が遂に登場!
今や現代の音楽シーンを左右する一大潮流となった"ジャズ"の最突端で今、何が起きているのかを、詳細なテキストと計150枚のディスク評で徹底検証。ジャズを活性化したネオソウルとの蜜月を改めて紐解く一方、ジャズを触媒として生まれた新たな潮流にも目を向け、脈打ち続けるジャズの「今」を深く掘り下げます。


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花木 洸 HANAKI hikaru

東京都出身。音楽愛好家。
幼少期にフリージャズと即興音楽を聴いて育ち、暗中模索の思春期を経てジャズへ。
2014年より柳樂光隆監修『Jazz the New Chapter』シリーズ(シンコーミュージック)
及び関西ジャズ情報誌『WAY OUT WEST』に微力ながら協力。
音楽性迷子による迷子の為の音楽ブログ"maigo-music"管理人です。

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Monthly Disc Review2017.7.15:Monthly Disc Review

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Title : 『STEREO CHAMP』
Artist : 井上銘



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 最近井上銘をどこで見ただろう?と考えると、実はCRCK/LCKSでの活動のほうが多いかもしれない。あるいは石若駿のCleanup Trioか、本田珠也のトリオか。前作『Waiting For Sunrise』(2013年)まで、僕の中で井上銘というと、パット・マルティーノやカート・ローゼンウィンケルばりの16分音符で、どストレートなコンテンポラリー・ジャズを演奏するギタリストだった。ここ最近はライブによっていつものセミアコースティック・ギターを弾いていたり、ちょっと変形のストラト(MVでも確認できる)を弾いていたりする彼は、この数年僕がライブを見てきた中で物凄く変化したプレイヤーの一人だ。

 バンドのメンバーも一新されて、福森康のゴスペルチョップスばり重くストレートなビート、渡辺ショータの多様な音色を適所に配置していくキーボード、山本連の楽曲ごとにしっかりとニュアンスを押さえたエレキ・ベース、そして類家心平のエフェクトを使ったトランペットが、より楽曲にダイナミクスを生んでいる。


 アルバムはエフェクト音が飛び交う中で、リバーブのかかったトランペットやピアノが怪しげなフレーズを投げ込んでいく「introduction」からスタート。そしてMVも作成されている「Comet 84」へとなだれ込む。スピード感のある16ビートで始まるテーマから、井上のギターはジャズのエッセンスよりも、ロックのような香りに満ちている。それは音色だけでなくフレーズそのものからも感じられる。スピード感のあるビートの上でギターとキーボードがフレーズを交換していくスリル溢れる場面も。リズムは一曲の中でも徐々にスローダウン、重たいビートに落ち着くかと思いきやふたたびもとの16ビートへと戻っていく。この2曲だけで、このアルバムのこれまでとは違う音楽性を充分に示してしまうから容赦がない。キーボードやギターには随所でエフェクトとパンが掛けられていて、ミックスにもかなりこだわっているようだ。ライブの定番であり井上銘の代表曲ともいえる「Taiji Song」も、アルバムのこのミックスによって生まれ変わったように思う。自分がソロを弾くだけでなく、キーボードやトランペットにメロディを委ねて自分はワウを踏んでみたりコードを弾くことに徹したりという場面が多々あるのも印象的だ。気づけばアルバムの中でいわゆる4ビートのストレートなジャズをやっている曲はラジオのような音色で曲間にインタールード的に挟まれる部分のみ。


 このアルバムを聴いて、というか最近の井上銘を見ていて真っ先に思い浮かぶのは、エスペランサ・スポルディングのバンドで活躍し、エフェクトに凝り尽くしたソロアルバムを発表した、マシュー・スティーブンス。CRCK/LCKSの楽曲に歪んだギターでコンテンポラリー・ジャズのフレーズをぶち込んでいく井上の姿は、エスペランサのバンドにおけるマシューの姿と重なっていた。けれどこのアルバムを聴いたらどうだろう。2人の断片は似ていても、まったく違うアプローチで自分の音楽を作り出していたように思う。そしてこの事が、ジュリアン・レイジやリオーネル・ルエケなど個性的なミュージシャンが溢れながらも、どこか共通項で繋がり合っている今のジャズギターをハブにした新しい音楽の拡がりを如実に表しているようだ。


 このアルバムから数週間で、CRCK/LCKS『Lighter』、ものんくる『世界はここにしかないって上手に言って』と注目作への参加がつづく井上銘。そのどれもで違ったアプローチの、しかし彼でしかないギターを聴かせてくれる。「俺達はジャズ・ミュージシャンじゃなく、ミュージシャンだ」と言ったロバート・グラスパーの言葉を借りれば、このアルバムはジャズ・ギタリストではない「ギタリスト井上銘」のデビューアルバムだ。


文:花木洸 HANAKI hikaru


【Comet 84 / MAY INOUE STEREO CHAMP】



【Heliotrope / MAY INOUE STEREO CHAMP】



井上銘 Official Blog

井上銘 Twitter

井上銘(リボーンウッド レーベル)



Recommend Disc

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Title : 『STEREO CHAMP』
Artist : 井上銘
LABEL : リボーンウッド
NO : RBW-0006
RELEASE : 2017.6.21



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【MEMBER】
MAY INOUE STEREO CHAMP:
井上銘:ギタリスト、コンポーザー
類家心平(Tp)
渡辺ショータ(Key/P)
山本連(B)
福森康(Ds)


【SONG LIST】
01. introduction
02. Comet 84
03. REMM
04. Heliotrope
05. Taiji Song 1
06. Taiji Song 2
07. Showtime Blues
08. 1 Year Later
09. Soldier"R"
10. Fu-linkazan

All Songs Written by MAY INOUE
Except for M-9,Soldier-"R"
Written by MAY INOUE & REN YAMAMOTO

REC Date:2017 年1/24~26、1/29、2/2
@リボーンウッドスタジオ


音楽ライター柳樂光隆氏による人気のムック『Jazz The New Chapter 』の第4弾が2017年3月8日に発売。今回も花木洸が選盤などを担当しています。

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■タイトル:『Jazz The New Chapter 4』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2017年3月8日
■出版社: シンコーミュージック

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毎号重版を続ける話題のムック、第4弾が遂に登場!
今や現代の音楽シーンを左右する一大潮流となった"ジャズ"の最突端で今、何が起きているのかを、詳細なテキストと計150枚のディスク評で徹底検証。ジャズを活性化したネオソウルとの蜜月を改めて紐解く一方、ジャズを触媒として生まれた新たな潮流にも目を向け、脈打ち続けるジャズの「今」を深く掘り下げます。


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花木 洸 HANAKI hikaru

東京都出身。音楽愛好家。
幼少期にフリージャズと即興音楽を聴いて育ち、暗中模索の思春期を経てジャズへ。
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Monthly Disc Review2017.6.15:Monthly Disc Review

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Title : 『Blessing』
Artist : 安ヵ川大樹



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今月のレビューはベテランベーシスト安ヵ川大樹の新作『Blessing』。


メンバーは田窪寛之(pf)、橋本学(ds)というピアノ・トリオ。田窪は1981年生まれ、バークリー音楽大学を卒業後、2009年には横浜ジャズプロムナードのコンペティションで山田拓児クインテットのメンバーとしてグランプリを受賞。現在は東京を中心にライブを行っており、川嶋哲郎や小林陽一のバンドでサイドマンを勤め、今年5月には初のリーダーアルバムをリリースしている。橋本は長年安ヵ川がトリオのドラマーとして信頼を置く存在。西山瞳"NORHM"や、橋詰亮督グループでも活躍している。


一曲目から透明感のあるこのトリオの空気がよくとらえられている。オリジナル曲ではアルコで聞かせるバラードの「Blues For My Better Half」や、小気味良いスウィングの「Memories Of T」など様々なスタイルを見せながらも、その中にはジャズの伝統への真っ直ぐなリスペクトが感じられる。バラードに仕立てたスコットランド民謡の「Morning Has Broken」では三者のサウンドの混ざりあいかたにビル・エヴァンス・トリオのような雰囲気も感じられるし、続く「Dark Eyes」ではルバートの冒頭部からスリリングな4ビートへの転換にドキドキさせられる。アルバムラストの「Praise The Lord Hallelujah」ではビバップのフレーズを軽やかに連発していく田窪のプレイに釘付けになり、ベースソロでその中にハンドクラップが入ってくると、もうたまらなくなってしまう。


目を引くような新しさや、派手なサウンドメイクも無いけれど、このピアノ・トリオの素晴らしさが音からも内容からもひしひしと伝わってくる作品。


文:花木洸 HANAKI hikaru


安ヵ川大樹 Official Site



Recommend Disc

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Title : 『Blessing』
Artist : 安ヵ川大樹
LABEL : ダイキムジカ
NO : DNCD14
RELEASE : 2017.6.7



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【MEMBER】
安ヵ川 大樹 - bass
田窪 寛之 - piano
橋本 学 - drums



【SONG LIST】
01.Risen
02.Blues For My Better Half
03.Memories Of T
04.Merry Widow Waltz
05.Rejoice
06.Yara
07.After Glow
08.Morning Has Broken
09.Dark Eyes
10.Blessing
11.Praise The Lord Hallelujah

All Songs Composed by Daiki Yasukagawa (except 4,6,8,9,11)


音楽ライター柳樂光隆氏による人気のムック『Jazz The New Chapter 』の第4弾が2017年3月8日に発売。今回も花木洸が選盤などを担当しています。

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■タイトル:『Jazz The New Chapter 4』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2017年3月8日
■出版社: シンコーミュージック

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毎号重版を続ける話題のムック、第4弾が遂に登場!
今や現代の音楽シーンを左右する一大潮流となった"ジャズ"の最突端で今、何が起きているのかを、詳細なテキストと計150枚のディスク評で徹底検証。ジャズを活性化したネオソウルとの蜜月を改めて紐解く一方、ジャズを触媒として生まれた新たな潮流にも目を向け、脈打ち続けるジャズの「今」を深く掘り下げます。


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Monthly Disc Review2017.5.15:Monthly Disc Review

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Title : 『incomplete voices』
Artist : 橋爪亮督グループ



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橋爪亮督グループの久しぶりの新作。2012年の『ACOUSTIC FLUID』から不動のメンバーは、橋爪亮督(ts, ss)、市野元彦(g)、佐藤浩一(pf)、織原良次(b)、橋本学(ds)。彼らの特徴はなんといっても橋爪の作曲と演奏の透明感、そして完璧にコントロールされた音量で作られるハーモニー感覚だ。


このグループにしては珍しく、リズムとリフ的なコードワークが目を引く一曲目「Still」からアルバムはスタート。そこから繋がる「One Time Dream」や「Synesthesia」はいかにもこのバンドらしいサウンド。橋爪のサックスと市野のギター、そして佐藤の右手は、お互いがお互いの影になるようにうっすらと重なりあう。織原のベースはベースラインというよりも、一つのメロディラインを奏でているよう。主旋律と伴奏という構造ではなく、全員のメロディラインがポリフォニー的に重なりあっていく構造はこのバンドの最大の持ち味だ。
この構造はアンサンブル全体の協調を際立たせるだけでなく、「Line」のように比較的フリーな楽曲では自由度の高い対話へと姿を変える。全員がぴったりとそろうよりも、むしろ微細なずれが混ざることでリズムが動物的にうねっていく。

アルバムの中で印象的だったのは、決して全力で叩くことはなく、常に最適な音量に抑制されていながらも、残響音が消えるまでその弱音を表情豊かに響かせる佐藤のピアノ。そしてお互いの小さなサインを見逃さずに、ぴったりとよりそっていく織原と橋本のリズム隊のコンビネーションだ。アルバムを重ねるごとに橋爪のコンポジションが精美になっているように感じていくのは、メンバーが固定されている事も大きいように思う。イントロでは極めてクールな肌触りなのに、絡まり合うことでじわじわと熱を生み出していけるのは、バンドの練度のたまものだろう。


グループは今年で結成17年目。十分に日本のジャズの一側面を担うベテラングループと言ってもいいだろう。もはや「ECM的」という冠言葉は不要なほど、一つのジャンルを確立した彼らの新たな代表作となるだろう。


文:花木洸 HANAKI hikaru


橋爪亮督 Official Site


【橋爪亮督グループ『incomplete voices』試聴動画】




Recommend Disc

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Title : 『incomplete voices』
Artist : 橋爪亮督グループ
LABEL : APOLLO SOUNDS
NO : APLS1704
RELEASE : 2017.4.26



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【MEMBER】
橋爪亮督: Tenor, Soprano Saxophones
市野元彦: Guitar
佐藤浩一: Piano
織原良次: Fretless Bass
橋本 学: Drums, Percussion


【SONG LIST】
01,Still
02,One Time Dream
03,Synesthesia
04,Song Unknown
05,Line
06,初月
07,4-18
08,July


音楽ライター柳樂光隆氏による人気のムック『Jazz The New Chapter 』の第4弾が2017年3月8日に発売。今回も花木洸が選盤などを担当しています。

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■タイトル:『Jazz The New Chapter 4』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2017年3月8日
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今や現代の音楽シーンを左右する一大潮流となった"ジャズ"の最突端で今、何が起きているのかを、詳細なテキストと計150枚のディスク評で徹底検証。ジャズを活性化したネオソウルとの蜜月を改めて紐解く一方、ジャズを触媒として生まれた新たな潮流にも目を向け、脈打ち続けるジャズの「今」を深く掘り下げます。


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