こんにちは、曽根麻央です。
今日は2020年にリリースされたJames Blakeによるカヴァー・アルバムを紹介しようと思います。
その前に一つお知らせがありまして...
この度、曽根麻央が新しいレーベル"claudia"を立ち上げました!
実は今日まで、僕がコロナ渦中に立ち上げた会社では音源、CM制作、劇版アレンジなど様々なプロダクションを行ってきました。
その中のひとつの目標として掲げていたことが新規レーベルのローンチでした。
これから色々なアーティストとコラボしたいと期待しているところですが、 早速その記念すべき第一弾として『CITY POP RENDEZ-VOUS / Airi』が7/12に全国発売されます。 今世界からも注目を集めるシティ・ポップをアコースティックな編成で再発掘、再構築した作品です。
シンガーにAiri をむかえ、彼女の歌い方で素敵にこれらの曲の世界観を表現してくれました! 是非この夏一番聴いていただきたい一枚になっています。
Amazon等で先行予約開始中、今夏のレコードイベントCITY POP on VINYL 2023 8/5(土)~での7インチ発表も決定しています!
どうぞレーベルとこれからの発展するクリエイティブな作品を温かく見守って頂ければ幸いです!
【CD販売/配信リンク】
https://ultravybe.lnk.to/citypoprendez-vous
Title : 『Covers』
Artist : James Blake
【ジャンルとしての"JAZZ"にも共通項を発見できる作品、James Blake『Covers』】
ということで、今日ご紹介するのはJames Blakeです。
彼はイギリスを中心に主にエレクトロニックやR&B、Popのフィールドで活躍しているアーティストですが、今回のカヴァー・アルバムは既に有名な楽曲を彼の独自の歌い回しとアレンジで曲の世界観を深めていくという、まるでジャズ・アルバムの様になっていて、是非ジャズ・ファン、オーディオ・ファンにも聴いてもらいたい一枚です。
編成もシンプルで基本的にピアノと歌の弾き語り。
もちろん彼の得意分野であるエレクトロニックっぽい編成もちらっと顔を出しますが、基本シンプルな編成に留めているので、改めて演奏家として、歌手としてのこのアーティストの素晴らしさを体感できるアルバムになっています。構成も短く20分ほどで聴き終えてしまうので、あっという間です。
まずJames Blakeの歌ですが、決して張りあげることはなく落ち着いて聴けるのが嬉しいところです。ただその声にはメッセージがあり、人々をあっという間に惹きつけてしまう魅力がありインパクトがあります。低音から高音まで見事に、精度の高い表現が可能です。
ピアノはシンプルな伴奏に止まっている曲も多いですが、ハーモニーの展開の仕方や、ダイナミクスの付け方、歌への寄り添い方は見事です。しかし一方で「Atomosphire」では大胆にピアノでグリッサンドを使った特徴的なトラックを聴かせてくれていますし、「Never Dreamed You'd Leave in Summer」ではダイナミックなプレイになっています。「When We're Older」ではクラシカル的なアプローチで曲全体を彩っています。
01. When The Party's Over
2019年のBillie Eilish のカヴァー。ピアノと歌の構成で終始シンプルな印象。
彼の素朴でありながら説得力のある素晴らしさ=実力をまさに体感できるトラックです。
02. Atmosphere
1988年のイギリスのロックバンドJoy Divisionのカヴァー。ピアノに独特なエフェクトがかかっていてイントロから印象的。するとパーカッションの様な音が4分音符を刻み本編へと入っていきシンセサイザーも加わり、という具合で彼の大胆緻密に配置されたエレクトロな魅力を味わえる一曲です。ピアノでグリッサンドを用いてCメージャースケールを大胆に使う部分などはとりわけ特徴的なトラックとしてリスナーに印象付けることに成功しています。
03. Never Dreamed You'd Leave In Summer
1971年のStevie Wonderのカヴァー。カヴァーが多いことでも知られるStevie Wonderですが、こんなスティービーのカヴァーを聴いたことがあるでしょうか。
トラックの最後ではJames Blakeのピアニストとしての魅力も余すところなく発揮、ダイナミックなプレイを聴くことができます。
04. Godspeed
2016年のFrank Oceanのカヴァー。歌い出だしは鳥肌が立つほどの歌唱。
Frank Oceanをカヴァーするという視点にもこのアルバムの意義を感じます。James Blakeによる少しフェイクしたメロディーのインパクトも味わい深いです。
05. When We're Older
ここで一曲登場するのがJames Blakeのオリジナル。特徴的なクラシカルなフルレンジのピアノ伴奏に誘われる様に曲が展開していきます。オーバーダブした歌が聴きどころでしょうか。改めて音のバランス、トータルクオリティーの高さに驚かされます。
06. The First Time Ever I Saw Your Face
アルバムの中で一番古い年代から選曲されたのが意外なことに1957年の作品、1972年のRoberta Flackの演奏で有名になった 「The First Time Ever I Saw Your Face」です。間違いなくJames Blakeの名唱が収められたトラックと言えます。
敢えてこういうクラシカルな切り口で終始James Blakeの世界観を語る、というスタイルにリスナーはさらに、どっぷり引き込まれてしまうんだろうなーと思いながらリピートボタンを押す次第です。
さて今回はジャンルとしての"JAZZ"にも共通項を発見できた作品、James Blakeの「Covers 」をご紹介しました。ぜひ気に入っているオーディオで一度聴いてみてください。
それではまた次回のレビューで!
文:曽根麻央 Mao Soné
中本マリさんの10数年ぶりの新作が6/8に発売されました。
私・曽根麻央がプロデューサー/アレンジャーを担当し、マリさんの70~80年代の名盤『Lady In Love』『Aphrodite』『Moods Of A Lady』から11曲をセレクト!セルフ・カヴァー・アルバムとなっています。
ツアーもしますのでお近くの会場まで見に来てください!
中本マリ『Muse 1』
6/8発売
Mari Nakamoto - vocal
Mao Sone - piano, fender rhodes, wurlitzer, clavinet, organ, prophet 6, trumpet & harpejji
Yuji Ito - bass
Kan - percussions
Recommend Disc |
Title : 『Covers』 Artist : James Blake LABEL : Republic Records 発売年 : 2020年 【SONG LIST】 01.When The Party's Over |
【曽根麻央LIVE INFO】
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・2020.04『Motherland / Danilo Perez』・2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』・2020.06『Passages / Tom Harrell 』・2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』・2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』・2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』・2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』・2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』・2020.12『Three Suites / Duke Ellington』・2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』・2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』・2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』・2021.04『Something More / Buster Williams』・2021.05『Booker Little / Booker Little』・2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』・2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』・2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』・2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』・2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』・2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』・2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』・2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』・2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』・2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』・2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』・2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』・2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』・2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』・2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』・2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』・2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』 ・2022.12『The Revival / Cory Henry』・2023.1『Complete Communion / Don Cherry』・2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』・2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』・2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』・2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』
Reviewer information |
曽根麻央 Mao Soné 曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。 |