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曽根麻央 Monthly Disc Review2021.12_ 日野皓正_D・N・A Live In Tokyo

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Title : 『D・N・A Live In Tokyo』
Artist : 日野皓正



【トランペットとの一体感あるグルーヴィーなリズムセクション】


皆さんこんにちは。トランペッター&ピアニストの曽根麻央です。今日は日本を代表するミュージシャン、日野皓正さんのライブ音源『D・N・A Live In Tokyo』をご紹介します。本当に素晴らしいトランペットの演奏と、一体感あるグルーヴィーなリズムセクションがマッチして素晴らしいアルバムになっています。 


その前に一つ宣伝です。本日情報公開されました!
私、曽根麻央のセカンド・アルバム『Brightness of the Lives』が来年2月9日に発売決定いたしました!





アルバム・タイトルでもる『Brightness of the Lives』とは、僕のバンド名でもあります。参加しているアーティスト、井上銘(ギター)、山本連(ベース)、木村紘(ドラムス)と共に育てて来たバンドサウンドが見事に凝縮された作品と なっています。

ゲストには世界的に活躍するパーカッショニスト二階堂貴文を迎えてワールドミュージック的な幅の広い音楽性になっております。また、トランペットの音色に合う様に選曲や曲作りにこだわりました。カヴァー・ソングにはマイケル・ジャクソンの「You Are Not Alone」や、パッと・メセニーの「Always And Forever」といった美しい曲をピックアップして、トランペットやフリューゲルホルンを駆使して収録しています。是非聴いていただきたい一枚です。宜しくお願いいたします。




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1. Prelude / 2. Luminous / 3. Drum Hero / 4. Home / 5. Quiet Cinema / 6. Air / 7. Lives / 8. You Are Not Alone (R. Kelly) / 9. Gathering At Park Drive / 10. Always And Forever (Pat Metheny)
All songs written by MAO SONÉ except where indicated


【リリース・スケジュール】
1/2 6 /2022 アルバム先行配信 「Luminous」 配信
2/9/ 2022 『Brightness of the Lives』発売 サブスク 配信 /CD 流通 開始

さて本日ご紹介する日野皓正さんのアルバム『D・N・A Live In Tokyo』は2001年10月9日にBunkamura オーチャードホールでライブ録音されたものです。
さてメンバーを見ましょう



日野皓正 - trumpet
Sir ローランド・ハナ - piano
ロン・カーター -bass
ジャック・ディジョネット - drums




最高に豪華な組み合わせです。
実際にリズムセクションはグルーヴのキープ力と、音楽的爆発力を併せ持っていて、聴いていてあまりのスリルに自然と耳が奪われて体が揺れていきます。ローランド・ハナのベースラインの音域まで侵入してまで低音を使う独特なヴォイシングの隙間を華麗に縫いつつ音楽を前進させるロン・カーター。ジャック・ディジョネットの持つ破壊力をピアノのはじからはじまで使ってより大きな世界観へと聴き手を誘うローランド・ハナ。ロン・カーターのベースと最高のコンビネーションを発揮するジャック・ディジョネットのグルーヴ感。

3人がお互いに支えあうことにより、他に類を見ないリズムセクションとなっています。またその上に乗っかる日野皓正さんのトランペットも明るくて迫力のある音色と高度なテクニック、そして歌心で圧倒してきます。日野さんの音色は全体を通して、全てを貫く光線の様に、他の楽器の音の壁を貫いてこちらの耳に届きます。まるでマイルスのミュートプレイの様な鋭さが、トランペットそのままの状態でもある感じとでも言えます。


01. It's There
日野皓正さんの弟、日野元彦さんの楽曲。原曲はファンキーな曲ですがここではスウィング・ヴァージョンでの演奏です。
イントロから出現するロン・カーターのベースラインとそれに呼応するローランド・ハナのフレーズが曲全体を支配しています。ロンのベースラインは毎回ちょっとずつ変化があり、半音と半音の間の音などもあり実際になんの音を弾いているのかわからない箇所が結構あるのですが、それがまた音楽全体で聴くと緊張感だったり無重力感だったりと言ったものを感じさせてくれます。まさにマエストロのなせる技でしょう。

日野さんの特徴のあるエネルギッシュな音色がメロディーと共に出現します。ソロセクションはBb7とDb7を交互に演奏するスタイルで、この繰り返しの中を日野さんはトランペットの上から下までの音域を自由自在に行き来してソロを撮ります。これはトランペッターから見て凄まじいテクニッックで、しかも通常こんなにこのエネルギー感を持続させて吹き続けることは困難ですがそれを楽々とやってのけてしまいます。続くローランド・ハナのソロもダイナミックなソロになっていてジャック・ディジョネットとの駆け引きが素晴らしいです。まるでピアノ・コンチェルトを聴いているかの様な迫力のある箇所も沢山ありピアノファンの必聴ソロです。


02. Lori
ゆったりしたスウィングの日野さんオリジナル曲。ロン・カーターのベースラインが全体を通してクリエイティブで素晴らしいものになっています。まるでブギウギピアノの左手の様なベースラインが奥出現します。ハーモニックス(元の倍音列を使用した奏法)で通常のベースの音域にはない高音もベースラインの一部として使用していてベースの特殊奏法の可能性を聴く事ができます。ベースソロも圧巻です。とてもインタラクティブなロンのベースラインとも相性が抜群なジャックのドラムがグルーヴをゆったりと支えます。


03. For Toddlers Only
ロン・カーターの軽快なスウィングのポスト・ビバップのスタイルの曲。日野さんの音を張った時のテンションと、それがリリースされた時の柔らかな音色の対比を聴くのが非常に楽しい曲です。


04. Black Jack
日野さんのオリジナル曲。3拍子の曲で、とても特徴的なトランペットのメロディー・ラインで始まります。私の小学生の頃は日野さんの演奏を聴きに行くと必ずこの曲を演奏していたのを覚えています。一度聴いたら忘れないインパクトがある曲だなと思います。この曲のソロでも日野さんの圧倒的な馬力とテクニックを聴く事ができ必聴テイクになっています。


05. Up Jumped Spring
トランペットとドラムだけの曲。日野さんとジャック・ディジョネットのフリー・インプロヴィゼーションから始まります。ジャックはアフリカのトーキング・ドラムの様なフレーズから始まり、日野さんもまるで民族楽器の様な音を出しています。二人ともダイナミックスのレンジが広いので聴いていてびっくりさせられると思います。その後フレディー・ハバードの「Up Jumped Spring」のメロディーが聴こえて来ますがここでは激しい高速スウィングのバージョン。フレディーのオリジナルは3拍子の少し可愛らしいスウィングの曲です。この演奏は9分を超えていますが日野さんは本当にずっと吹き続けて音楽をリードしていきます。ジャックも美しいドラムの音色と、独特なプレイで音楽に変化をつけさせデュオなのに人々を飽きさせません。


06. Candy
リー・モーガンの演奏でも有名なスタンダード曲。ここではゆったりとしたブルースっぽいフィーリングで演奏されています。


07. Autumn Leaves
言わずと知れたシャンソンの名曲「枯葉」。ある意味各演奏者の個性を一番出しているトラックかもしれません。日野さんの全てを貫く様な音色はもちろん、ローランド・ハナの独特なパーカッシブなピアノ・プレイ、その合間を縫う様に存在感を出すロン・カーター、そして全体を大きなビートで包みゆったり感を与えつつ「ここぞ」というタイミングで起爆剤に着火してゆくジャック・ディジョネット。この4人のライブにふさわしいエンディングですね。


さて2021年のDISC REVIEWもお楽しみいただけましたか?おかげさまでDISC REVIEのコーナーも21回目をこうして迎える事ができました。今後ともみなさんと共に音楽を楽しみ成長して参りますので、応援のほどよろしくお願いいたします。
それではまた次回。


文:曽根麻央 Mao Soné



【曽根麻央LIVE INFO】

12/22 (Wed)
Open 18:30 | Start 19:00
MAO SONÉ Trio @ Velera 赤坂
<出演>
​曽根麻央 - trumpet & piano
伊藤勇司 - bass
木村紘 - drums
<ご予約・お問い合わせ>
TEL: 03-6277-8772


12/29 (Wed)
Open 19:30 | Start 20:30
MAO SONÉ Trio @ Nardis 柏
<出演>
​曽根麻央 - trumpet & piano
伊藤勇司 - bass
木村紘 - drums
<ご予約・お問い合わせ>
TEL: 04-7164-9469


12/31 (Fri)
Open 14:00 | Start 15:00
MAO SONÉ Solo @ Cabin 本厚木
<出演>
​曽根麻央 - trumpet & piano
<ご予約・お問い合わせ>
TEL: 046-221-0785


1/10 (Mon)
Open 19:30 | Start 20:30
MAO SONÉ Trio @ Nardis 柏
<出演>
​曽根麻央 - trumpet & piano
伊藤勇司 - bass
木村紘 - drums
<ご予約・お問い合わせ>
TEL: 04-7164-9469


1/11 (Tue)
Open 18:30 | Start 19:30
MAO SONÉ TRIO @ Body & Soul 渋谷
<出演>
​曽根麻央 - trumpet & piano
伊藤勇司 - bass
木村紘 - drums
<ご予約・お問い合わせ>
TEL: 03-6455-0088


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ



Recommend Disc

DNA LIVE IN TOKYO200.jpg


Title : 『D・N・A Live In Tokyo』
Artist : 日野皓正
LABEL : ソニー・ミュージックレーベルズ
発売年 : 2002年



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】

01. It's There
02. Lorl
03. For Toddlers Only
04. Black Jack
05. Up Jumped Spring
06. Candy
07. Autumn Leaves




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「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央

2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil / タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The Miles Davis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』




Reviewer information

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曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

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