feed markRSS
JJazz.Net Blog Title

Monthly Disc Reviewの最近のブログ記事

前の10件 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11

曽根麻央 Monthly Disc Review2023.9_Toshiko Mariano Quartet : Toshiko Mariano Quartet:Monthly Disc Review

mdr1.jpg


こんにちは、トランペット&ピアノの曽根麻央です。
今日は秋吉敏子さんの61年のアルバム『Toshiko Mariano Quartet』をご紹介しようと思います。

R-2534662-1298933044.jpg

Title : 『Toshiko Mariano Quartet』
Artist : Toshiko Mariano Quartet


【グルーヴィーでエネルギッシュ、それでいてユニークな作品】


このアルバムは前半が前半がCharlie Marianoの作品、後半が秋吉敏子さん(当時はToshiko Mariano)の作品で構成されていて、「Deep River」というスピリットの讃美歌のカバーを入れた5曲で構成されています。

全体を通してグルーヴィーでエネルギッシュな作品になっていて、秋吉さんのピアノのタイムの正確さ、ユニークなアイディア、音楽への情熱を感じることができます。ピアニストとしての秋吉敏子さんを存分に堪能できる作品でありながら、代表曲「Long Yellow Road」のコンボバージョンも聴くことができる嬉しい作品です。
Charlie Marianoの音色も素晴らしく、彼の音色も生々しく鮮明に力強く収録されています。


01. When You Meet Her
Charlie Marianoの作品で3拍子と4拍子忙しく入れ替わるユニークな早いスウィングの曲。秋吉敏子さんはビバップにフレーズの基礎をおきながらも、ブルージーな歌い回しを展開します。


02. Little T.
Charlie Marianoのミディアムテンポの曲。イントロはサックスとベースの2声のカウンターラインに挟まれて、ピアノが印象派的なサウンドを展開して始まる曲。
ドラムのスネアとピアノの攻撃的なパンチが強力に記憶に残ります。一度テーマに入るとリズムセクションが強力にスウィングします。秋吉敏子さんのピアノの伴奏(コンピング)にも注目したいです。ビッグバンドのサウンドのようにパワフルに、リズミカルに演奏をサポートしているのがわかるでしょう。


03. Toshiko's Elegy
アルバムも後半に突入して、ここからは秋吉敏子さんの作品。こちらもリズミカルで軽快なスウィング曲。
ビバップにその根源はあることは感じ取れる作品ですがより複雑な構成になっていています。

A-10小節、B-(Latin) 4小節+(swing)2小節
A-10小節、B-(Latin) 4小節
C-10小節
A-10小節、B-(Latin) 4小節+(swing)2小節

というかなり奇妙な構成の曲になっていて、秋吉作品の演奏の難しさを感じ取れます。聴いていると普通に4小節区切りの自然な感じに聞こえてしまうのが不思議です。


04. Deep River
アフリカ系アメリカ人の礼拝音楽、スピリチュアルの有名曲をリハモニゼーション(メロディーはそのまま和音のみを変えるアレンジ方法)してブルージーなジャズヴァージョンに仕上げています。
Charlie Marianoの歌心あるサックスでのメロディーが印象的です。


05. Long Yellow Road
秋吉さんの代表曲。当時のアメリカ社会で日本人女性ミュージシャンとして生きる長い道のりが表現されている曲です。
ビッグバンドで耳にしたことがあるジャズファンが多いはずですがここではコンボバージョンで、ピアノとサックスをフィーチャーしています。我々がよく知るビッグバンドヴァージョンよりかなりゆったりしたテンポで演奏されています。




それではまた次回。


文:曽根麻央 Mao Soné




Recommend Disc

toshiko_200.jpg
Title :『Toshiko Mariano Quartet』
Artist : Toshiko Mariano Quartet
LABEL : Candid
発売年 : 1961年



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】

01.When You Meet Her
02.Little T
03.Toshiko's Elegy
04.Deep River
05.Long Yellow Road



9/6(水)発売!曽根麻央『プレイズ・スタンダード』

私、曽根麻央の新しいアルバムが発売されました!
今回は16曲のジャズスタンダードとピアノに焦点をあて、初のソロアルバムとなっています! 
是非手に取ってみてください!

71CCYhwTYzL._AC_SL1281_.jpg


トランペット/ピアノの"ジャズ二刀流"として話題の曽根麻央がソロピアノで紡ぐスタンダードソング集が全国発売決定!
往年のジャズの名曲をフレッシュな感性で解釈。
抒情性と気品に彩られた曽根のジャズ・ミュージシャン、ピアニストとしてのアティテュードが表現されている作品に仕上がった。


曽根麻央『プレイズ・スタンダード』


1.Reflections in D
2.Serenade
3.In Your Own Sweet Way
4.The Star-Crossed Lovers
5.Wave
6.Stella by Starlight
7.All The Things You Are
8.Luminous (Piano Solo Ver.)
9.I Loves You, Porgy
10.Lady Luck11.Danny Boy
12.Home (Piano Solo Ver.)
13.Some Other Time
14.Ask Me Now
15.The Days of Wine And Roses
16.What A Wonderful World

Mao Soné (piano, trumpet)


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』



Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

mdr1.jpg


みなさんこんにちは、曽根麻央です。
今日は今年の6月にリリースされたばかり、ギター・ヒーロー、カート・ローゼンウィンケルの最新ライヴアルバムを紹介します。
しかもただのライヴ盤というだけでなく、ビル・エヴァンスやソニー・ロリンズのライヴ盤でもお馴染みのニューヨークのジャズの名店、ヴィレッジ・ヴァンガード収録されたということもあり、当時と今のライヴ録音技術の変化を感じられる一枚でもあります。

ヴィレッジ・ヴァンガードは当時から移転することなく続いているお店ですので、ビル・エヴァンス達と全く同じ箱で収録したライヴ盤になります。

81fPRVKBUiL._AC_SL500_.jpg


Title : 『Undercover Live at the Village Vanguard』
Artist : Kurt Rosenwinkel


【まるでスタジオ録音のようなライブアルバム】


エヴァンスの『Sunday at the Village Vanguard』は61年のレコーディングで、ピアノが右のスピーカー、ベースが左、ドラムが真ん中でパンが完全に分離されているにも関わらず一体感があるという今ではなかなか無いステレオ感のアルバムです。
客席の話し声やグラスの音がとてもアイコニックで、まるで自分がタイムスリップしてその場にいるような錯覚をいまだに感じさせてくれる生々しさと温かみのある名盤、名レコーディングです。
現代でも通じる高い集音技術がすでに確立されていたのでしょう。


一方、2023年のライヴ盤『Undercover Live at the Village Vanguard』はまるでスタジオ録音されたかのようなクリアな音質が特徴的です。
パンも完全に分離されておらず自然な感じでピアノが左方向、ベース&ギターが真ん中、ドラムが右方向となんとなく舞台のセッティングが自然にイメージできるパンになっています。
客席の音は非常に静かで音楽の邪魔にならない程度に歓声と拍手が聞こえます。


通常ドラムの音はピアノマイクやそのほかの楽器マイクにかぶっていくのですが、見事にクリアに分離しているように聞こえます。
録音エンジニアのマイキングとミュージシャンの音量コントロールの力量2つが合わさって見事に集音されていると思います。


演奏に関しては私はまず、ドラムのグレッグ・ハッチンソンの演奏スタイルの幅が以前に増して広がっていて素晴らしいと感じました。
グレッグの演奏スタイルはM2の「The Past Intact」のようなジェフ・テイン・ワッツの系譜でスウィングもののイメージが強かったのですが
M1「Cycle Five」や、M4「Our Secret World」、M6「Undercover」のようなイーヴン系、フージョン系のグルーヴの演奏も見事でした。
タムやスネアをミュートして作った音色もかっこよく、その音色がまたリアルに収録されています。


ピアノのアーロン・パークスは素晴らしいリズム感とアイディアでバンドの演奏に花を添えています。
『Nu Deco Ensemble+Aaron Parks: Live from Miami』というアルバムで以前アーロン・パークスは紹介しています
→曽根麻央 Monthly Disc Review2022.6
 
シンセサイザーの使い方も素晴らしく、M4「Our Secret World」では一見ローズに聴こえるような丸みのある、しかし瞬発力があり減衰速度が遅いパッド系の音色と、実際のフェンダーローズの音をうまく組み合わせることで独特なカラーを演奏に与えています。


M1「Cycle Five」M6「Undercover」ではリードシンセでソロを取りながら、ピアノorフェンダーローズでコンピングするプレイも聴くことができます。


ベースのエリック・リーヴスも名手として有名です。
今回はソロをM5「MUSIC」で披露しています。
ブランフォード・マルサリスのバンドに参加している馬力の強いベーシストというイメージが強いと思います。
力強さと、サステインの長さのある素晴らしいベーシストです。このアルバムでも完璧なサポートを披露しています。
特に、M5「MUSIC」では繊細なタッチも見せてくれていて、この人もまた表現の幅の広いアーティストです。


カート・ローゼンウィンケルは素晴らしいテクニックと、おそらく我々世代のギターリストが必ず影響を受けたことがあるだろう独特な音色作りで、独自の世界観をライヴでも完璧に再現しています。
以前よりも音色に広がりとシンセ感がより強くなったかなという印象がありました。
しかしそれでいて生楽器の証でもあるピックの音も綺麗に収録されていて、ギターヒーローの現在を見事に感じることのできる一枚です。


またアーロン・パークスとカート・ローゼンウィンケルの二人の相性も良く、コード楽器が二人いるのにも関わらず、両者の居場所がはっきりしていて、演奏上のチームワークも素晴らしいです。
バンドの完成度が高く、録音技術だけでなく、演奏技術としてもまるでスタジオ録音のような完璧な演奏作品を残してくれました。


全曲カートのオリジナル曲で、今やりたいことを正直に作ったアルバムなんだろうなと感じました。
メンバーも良い具合に力が抜けていて、僕ら世代のジャズ・アイドル達もどんどん進化しているようです。
私も頑張ろうと思わせてくれた作品でした!


ちなみにCDや配信だけでなく、なんとVinylでも発売されているようなので、興味がある方は是非検索してみてください!



文:曽根麻央 Mao Soné




Recommend Disc

81fPRVKBUiL._AC_SL200.jpg
Title :『Undercover Live at the Village Vanguard』
Artist : Kurt Rosenwinkel
LABEL : MOCLOUD RECORDS
発売年 : 2023年



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】

01.CYCLE FIVE
02.THE PAST INTACT
03.SOL?
04.OUR SECRET WORLD
05.MUSIC
06.UNDERCOVER



来月9/6(水)発売!曽根麻央『プレイズ・スタンダード』

新たに新譜を出します!ジャズスタンダードとピアノ中心の世界をお楽しみください!

71CCYhwTYzL._AC_SL1281_.jpg



トランペット/ピアノの"ジャズ二刀流"として話題の曽根麻央がソロピアノで紡ぐスタンダードソング集が全国発売決定!
往年のジャズの名曲をフレッシュな感性で解釈。
抒情性と気品に彩られた曽根のジャズ・ミュージシャン、ピアニストとしてのアティテュードが表現されている作品に仕上がった。

曽根麻央『プレイズ・スタンダード』
9/6(水)発売
 
1.Reflections in D
2.Serenade
3.In Your Own Sweet Way
4.The Star-Crossed Lovers
5.Wave
6.Stella by Starlight
7.All The Things You Are
8.Luminous (Piano Solo Ver.)
9.I Loves You, Porgy
10.Lady Luck11.Danny Boy
12.Home (Piano Solo Ver.)
13.Some Other Time
14.Ask Me Now
15.The Days of Wine And Roses
16.What A Wonderful World

Mao Soné (piano, trumpet)


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』



Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

曽根麻央 Monthly Disc Review2023.7_Willie Colón & Rubén Blades : Siembra:Monthly Disc Review

mdr1.jpg


こんにちは、曽根麻央です。
この一年、恵比寿に新しくできたBlue Note Placeで週末のラテン・ジャズの枠を持たせてもらっています。それもあり自分の音楽ルーツの一つであるラテンの音楽を日本でも演奏する機会が増えてとても充実した日々が続いています。

日本では南アメリカの音楽を総合して「ラテン」と一口に呼びますがラテンの中にも色々あり、1日でそのカテゴリーを網羅するのは不可能でしょう。ジャズの中にもニューオリンズがあり、スウィングがあり、ビバップがあり、ハードバップがあり、モードジャズがあり...また地域ごとにもニューヨークのコミュニティー、デトロイトのコミュニティー、DCのコミュニティーと特色が違いますよね。というようにラテン音楽にもたくさんの種類があり、また国ごとにリズムが違ったりします。今日はそんな中でもサルサの名盤を紹介したいなと思います。夏に聞くのにぴったりの作品ではないかと思います。

その前に一つお知らせがあります。
先月もお知らせしましたが、City Popの名曲12選をジャズ&ラテン・カバーした『City Pop Rendez-Vous』が僕が立ち上げた新レーベルclaudiaより発売されました。ぜひお手にとって聴いてみてください。
JJazz.Netの番組「PICK UP」でも紹介されています!


Airi - City Pop Rendez-Vous500.jpg


【CD販売/配信リンク】
https://ultravybe.lnk.to/citypoprendez-vous


JJazz.Net「PICK UP - JULY」
放送期間:2023.7/5(水)-8/2(水)17:00まで

https://www.jjazz.net/programs/pick-up/


サルサは70年代にラテン音楽がニューヨークを中心としたアメリカで、よりポピュラー音楽へと変貌を遂げた時の名称です。当時ニューヨークに住んでいたキューバやプエルトリコ出身のミュージシャンによって、キューバのSon montunoのやmambo、プエルトリコのPlenaやBombaと言ったリズムが元にして出来上がった総合文化音楽とでも言えるものです。

もちろん1940~50年代にDizzy GillepieやChan Pozo、Mongo Santamaría、Tito Puente、そしてCachaoといったアーティストの作り上げたラテンジャズの影響も濃くあり、ジャズ、ファンク、R&B、そしてラテン特有の土着的なメロディーやリズムが複合して完成したジャンルと言えるでしょう。


aembra500.jpg


Title : 『Siembra』
Artist : Willie Colón & Rubén Blades

今日紹介するのはWillie Colón & Rubén Bladesというサルサを代表するアーティストの2人名義のアルバム『Siembra』(1978)です。サルサを代表するアルバムにも関わらず、一時期はアメリカで入手が困難だったアルバムなのですが、近年ではサブスクも解禁されました。

Willie Colónはトロンボーン奏者、アルバム・プロデューサー、アレンジャーで、Rubén Bladesがリード・シンガー兼ソングライターです。Rubén Bladesは「プレデター2」に出演するなど俳優としての活躍もあるので、そちらのイメージが強い方もいるかもしれません。

このアルバムはホーンセクションが基本的に4つのトロンボーンのみで構成されていて、通常トランペットとトロンボーンの混合セクションで演奏されるサルサにしては珍しいアルバムです。

僕がこのアルバムに出会ったのはパナマの旧市街のカフェで偶然流れていて、友達にこれは何?と聞いたら「Rubenだよ、生まれた家はそこっ!」と指をさして教えてくれました。そのおかげで僕の中で強烈にインパクトに残っているアルバムです。


【サルサを代表するアーティストの2人名義のアルバム】




01. Plastico

ファンキーなディスコ・グルーヴで始まったかと思えば急展開してそのままラテンのトゥンバオへと流れていくインパクトの強い曲です。


02. Buscando Guayab

シンプルに土着的なSonのリズムの流れを感じることのできる曲。2-3クラーべで始まりますが、Coroというコーラスが加わるパートは3-2になるラテンの基本でもあるクラーベを感じるのにものすごく適切な曲です。またトロンボーンのユニゾンやティンバレスソロが展開されるマンボ・セクションでは2-3に戻ります。


03. Pedro Navaja

トゥンバオのコンガ・パターンとベースラインの上で展開される曲です。


04. Maria Lionza

ボレロのようなバラードのリズムですが、様々なエレメントが混ざり合っているグルーヴから始まり徐々にmamboのリズムが混ざり強くなり軽快な曲へ変化していきます。


05. Ojosr

ここまでの曲に比べるとかなり、いわゆる一般的なサルサの曲になります。クラーベはルンバ3-2です。


06. Dime


07. Siembra
タイトルソングであり、サルサの代表曲の一つです。ラテン音楽の肝はもちろんリズムでパーカッションであり、ピアノであるんですが、音楽全体を引っ張っていく役目を持っているのがベースです。名手Salvador Cuevasのリズミカルなプレイに耳を傾けても楽しいトラックだと思います。


それではまた次回のレビューで!


文:曽根麻央 Mao Soné




Recommend Disc

aembra200.jpg
Title : 『Siembra』
Artist : Willie Colón & Rubén Blades
LABEL : Fania Records
発売年 : 1978年

アマゾン詳細ページへ

【SONG LIST】

01.Plástico
02.Buscando Guayaba
03.Pedro Navaja
04.María Lionza
05.Ojos
06.Dime
07.Siembra




【曽根麻央LIVE INFO】


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』



Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

曽根麻央 Monthly Disc Review2023.6_James Blake : Covers:Monthly Disc Review

mdr1.jpg


こんにちは、曽根麻央です。
今日は2020年にリリースされたJames Blakeによるカヴァー・アルバムを紹介しようと思います。

その前に一つお知らせがありまして...

この度、曽根麻央が新しいレーベル"claudia"を立ち上げました!

実は今日まで、僕がコロナ渦中に立ち上げた会社では音源、CM制作、劇版アレンジなど様々なプロダクションを行ってきました。
その中のひとつの目標として掲げていたことが新規レーベルのローンチでした。

これから色々なアーティストとコラボしたいと期待しているところですが、 早速その記念すべき第一弾として『CITY POP RENDEZ-VOUS / Airi』が7/12に全国発売されます。 今世界からも注目を集めるシティ・ポップをアコースティックな編成で再発掘、再構築した作品です。

シンガーにAiri をむかえ、彼女の歌い方で素敵にこれらの曲の世界観を表現してくれました! 是非この夏一番聴いていただきたい一枚になっています。
Amazon等で先行予約開始中、今夏のレコードイベントCITY POP on VINYL 2023 8/5(土)~での7インチ発表も決定しています!

どうぞレーベルとこれからの発展するクリエイティブな作品を温かく見守って頂ければ幸いです!


Airi - City Pop Rendez-Vous500.jpg


【CD販売/配信リンク】
https://ultravybe.lnk.to/citypoprendez-vous


jamesblake500.jpg


Title : 『Covers』
Artist : James Blake



【ジャンルとしての"JAZZ"にも共通項を発見できる作品、James Blake『Covers』】


ということで、今日ご紹介するのはJames Blakeです。

彼はイギリスを中心に主にエレクトロニックやR&B、Popのフィールドで活躍しているアーティストですが、今回のカヴァー・アルバムは既に有名な楽曲を彼の独自の歌い回しとアレンジで曲の世界観を深めていくという、まるでジャズ・アルバムの様になっていて、是非ジャズ・ファン、オーディオ・ファンにも聴いてもらいたい一枚です。

編成もシンプルで基本的にピアノと歌の弾き語り。
もちろん彼の得意分野であるエレクトロニックっぽい編成もちらっと顔を出しますが、基本シンプルな編成に留めているので、改めて演奏家として、歌手としてのこのアーティストの素晴らしさを体感できるアルバムになっています。構成も短く20分ほどで聴き終えてしまうので、あっという間です。

まずJames Blakeの歌ですが、決して張りあげることはなく落ち着いて聴けるのが嬉しいところです。ただその声にはメッセージがあり、人々をあっという間に惹きつけてしまう魅力がありインパクトがあります。低音から高音まで見事に、精度の高い表現が可能です。

ピアノはシンプルな伴奏に止まっている曲も多いですが、ハーモニーの展開の仕方や、ダイナミクスの付け方、歌への寄り添い方は見事です。しかし一方で「Atomosphire」では大胆にピアノでグリッサンドを使った特徴的なトラックを聴かせてくれていますし、「Never Dreamed You'd Leave in Summer」ではダイナミックなプレイになっています。「When We're Older」ではクラシカル的なアプローチで曲全体を彩っています。

01. When The Party's Over

2019年のBillie Eilish のカヴァー。ピアノと歌の構成で終始シンプルな印象。
彼の素朴でありながら説得力のある素晴らしさ=実力をまさに体感できるトラックです。


02. Atmosphere

1988年のイギリスのロックバンドJoy Divisionのカヴァー。ピアノに独特なエフェクトがかかっていてイントロから印象的。するとパーカッションの様な音が4分音符を刻み本編へと入っていきシンセサイザーも加わり、という具合で彼の大胆緻密に配置されたエレクトロな魅力を味わえる一曲です。ピアノでグリッサンドを用いてCメージャースケールを大胆に使う部分などはとりわけ特徴的なトラックとしてリスナーに印象付けることに成功しています。




03. Never Dreamed You'd Leave In Summer

1971年のStevie Wonderのカヴァー。カヴァーが多いことでも知られるStevie Wonderですが、こんなスティービーのカヴァーを聴いたことがあるでしょうか。
トラックの最後ではJames Blakeのピアニストとしての魅力も余すところなく発揮、ダイナミックなプレイを聴くことができます。




04. Godspeed

2016年のFrank Oceanのカヴァー。歌い出だしは鳥肌が立つほどの歌唱。
Frank Oceanをカヴァーするという視点にもこのアルバムの意義を感じます。James Blakeによる少しフェイクしたメロディーのインパクトも味わい深いです。


05. When We're Older

ここで一曲登場するのがJames Blakeのオリジナル。特徴的なクラシカルなフルレンジのピアノ伴奏に誘われる様に曲が展開していきます。オーバーダブした歌が聴きどころでしょうか。改めて音のバランス、トータルクオリティーの高さに驚かされます。




06. The First Time Ever I Saw Your Face

アルバムの中で一番古い年代から選曲されたのが意外なことに1957年の作品、1972年のRoberta Flackの演奏で有名になった 「The First Time Ever I Saw Your Face」です。間違いなくJames Blakeの名唱が収められたトラックと言えます。

敢えてこういうクラシカルな切り口で終始James Blakeの世界観を語る、というスタイルにリスナーはさらに、どっぷり引き込まれてしまうんだろうなーと思いながらリピートボタンを押す次第です。




さて今回はジャンルとしての"JAZZ"にも共通項を発見できた作品、James Blakeの「Covers 」をご紹介しました。ぜひ気に入っているオーディオで一度聴いてみてください。

それではまた次回のレビューで!


文:曽根麻央 Mao Soné



mari_nakamoto500.jpg


中本マリさんの10数年ぶりの新作が6/8に発売されました。
私・曽根麻央がプロデューサー/アレンジャーを担当し、マリさんの70~80年代の名盤『Lady In Love』『Aphrodite』『Moods Of A Lady』から11曲をセレクト!セルフ・カヴァー・アルバムとなっています。

ツアーもしますのでお近くの会場まで見に来てください!


中本マリ『Muse 1』 
6/8発売
Mari Nakamoto - vocal
Mao Sone - piano, fender rhodes, wurlitzer, clavinet, organ, prophet 6, trumpet & harpejji
Yuji Ito - bass
Kan - percussions






Recommend Disc

jamesblake200.jpg
Title : 『Covers』
Artist : James Blake
LABEL : Republic Records
発売年 : 2020年

アマゾン詳細ページへ

【SONG LIST】

01.When The Party's Over
02.Atmosphere
03.Never Dreamed You'd Leave In Summer
04.Godspeed
05.When We're Older
06.The First Time Ever I Saw Your Face




【曽根麻央LIVE INFO】


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』



Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

曽根麻央 Monthly Disc Review2023.5_Mel Torme : Songs Of New York:Monthly Disc Review

mdr1.jpg


みなさん、こんにちは。マルチインストゥルメンタリストの曽根麻央です。
今回は偉大なシンガー、メル・トーメがニューヨークの歌を集めた『Songs Of New York』(1982)をご紹介します。

その前にすこし宣伝します!6月、曽根麻央Brightness Of The Livesのツアーが決定しました。
6/2 ブルーノート東京
6/6 岡山SOHO
6/7 大阪梅田Mr. Kelly's
6/8 名古屋 Mr Kenny's
6/9 静岡 Life Time

Member: 曽根麻央 trumpet, piano and etc、井上銘 guitar、山本連 bass、木村紘 drums、
Patrick Bartley (6/2のみ参加)
https://maosone.com/tour2023


meltorme500.jpg

Title : 『Songs Of New York』
Artist : Mel Torme



【偉大なシンガー、メル・トーメによるアメリカン・ソングブック】


メル・トーメは「The Christmas Song」の作曲家として有名ですが、改めてこの現在にも通ずる素晴らしい歌唱テクニックの持ち主であり、表現者であることを再認識できればと思います。

アレンジャーにあの映画音楽で有名なJohn WilliamsやShorty Rogers、Richard Hazardなど当時の一流作家を迎えていて、サウンドも名エンジニアのBill Putnamによって録られています。音楽的にも聴きやすく、サウンドも素晴らしい名盤なのでぜひ聴いてみてください。





01. Sunday In New York

John Williams のアレンジで、元々は1963年の同タイトルの映画の曲のようです。心地よいワイヤー・ブラシのサウンドとバリトン・サックスの音色がグルーヴを支えます。John Williamsの作品はオーケストラが多いので、ビッグバンド編成の、しかもスウィングの作品はなかなか聴いたことがありませんでした。完璧な3分間ミュージックで心地よい!の一言でしょう。あっという間に聴き終わるのもジャズのこの時代の歌ものの良いところです。

3分間ミュージックとまだ録音文化が浸透してまもない頃は、3分半ぐらいがレコーディングできる限界だったと言われています。逆にこの縛りが良い演奏を生んでいるのですが、これがビッグバンドの、特に歌ものでは現在まで心地よい尺の長さとして受け継がれていると思います。


02. Autumn In New York

ジャズの偉大なスタンダードです。メル・トーメは丁寧にVerse(イントロのようなパートですが、歌詞があり、曲のストーリーを説明する重要な部分。インストではほぼ省略される)を歌っています。Richard Hazardのアレンジで、こちらはピアノトリオがフィーチャーされたストリングス・オーケストラが中心のアレンジで、とてもゴージャズです。


03. Lullaby of Birdland

またアメリカの偉大なソングブックに入る名曲です。 トランペッターでもあるShorty Rogersのアレンジです。まるでGeorge Shearingを彷彿とさせるサウンドで、ピアノトリオにヴィブラフォン、ギター、そしてフルートを加えた編成で心地よく演奏されます。このピアノがブロック・ヴォイシングしてる上にメロディーをギターとヴィブラフォンでユニゾンするのはGeorge Shearingが発明したサウンドで今ではジャズのサウンド作りに欠かせない手法となっています。


04. Broadway

軽快なスウィングの曲で、ビッグバンド編成でJohn Williamsのアレンジに戻っています。


05. Brooklyn Bridge

Shorty Rogersのアレンジ。Verseはギターとのデュオですが、メル・トーメの歌唱がとても素晴らしいです。テンポに入ってからは基本George Shearingスタイルでアレンジされています。


06. Let Me Off Uptown

John Williamsのアレンジ。再びビッグバンド編成です。先にも述べたのですがJohn Williamsのビッグバンドアレンジは珍しいのですが、このような曲をアレンジするとどこかフランク・シナトラのアレンジャーとして有名なNelson Riddleの雰囲気も少しある気がします。このトラックはメル・トーメの声の伸びが素晴らしく大歌手らしい歌い方になっています。


07. 42nd Street

今までの曲と雰囲気がガラッと変わり、ラテン風の妖艶な雰囲気になっています。Richard Hazardによるストリングスアレンジです。


08. Sidewalks Of New York

John Williamsのアレンジによる、映画音楽かと思わせるイントロから始まりますが、一旦曲に入ると軽快なスウィングワルツでピアノがテンションの強い和音を弾き続けるおもしろいアレンジです。


09. Harlem Nocturne

Richard Hazard編曲。ピアノトリオとストリングスを中心にしたアレンジ。スローなスウィングでこちらも7曲目のような妖艶な雰囲気が漂う一曲になっています。マイナー6やマイナーmaj7といったコードがこのような独特な雰囲気を作り出します。曲の中盤はその雰囲気がガラッと変わりブルースのフィールになる構成でとても珍しいと思います。


10. New York, New York

レナード・バースタインが音楽を担当したミュージカル『踊るニューヨーク』のテーマソング。映画はジーン・ケリーやフランク・シナトラが出演していて名作なのでみなさんも是非見てみてください。僕は個人的にこの時代のミュージカルが子供の頃から大好きでたくさん見ているのでいつかそれにまつわるアルバムも紹介したいですね!
Shorty Rogersのアレンジで、基本、George Shearingスタイルのアレンジですが、リズムがスウィングになったりラテンになったりとても楽しい見事な編曲になっています。ミュージカルではロックフェラーセンターや五番街、自由の女神などニューヨークの名所が各コーラス切り替わりながら歌っています。そんな雰囲気を想像しながら聴いても楽しい曲です。


11. There Is A Broken Heart For Every Light On Broadway

Shorty Rogersのアレンジ。楽しさのあとの寂しい雰囲気の曲。スウィングなのですが、それに対抗するようにメロディーは基本ストレートで奏でられていて、少し3連音符によったりそのバランスが素晴らしいです。


12. Manhattan

Richard Hazardの編曲。とても印象的なストリングスのイントロから始まり、ミュージカルを見ているような曲作りをしています。


13. My Time Of Day

1:22と、とても短いトラックですが、美しいアレンジと、素晴らしい歌唱が聴けるバラードのトラックになっています。アルバムの締めくくりとなるようなエンディングです。


前回ご紹介したアルバム『Lady In Love』の中本マリさんの10数年ぶりの新作が6/8に発売されることが決定しました。私・曽根麻央がプロデューサー/アレンジャーを担当し、マリさんの70~80年代の名盤『Lady In Love』『Aphrodite』『Moods Of A Lady』から11曲をセレクト!セルフ・カヴァー・アルバムとなっています。

ツアーもしますのでお近くの会場まで見に来てください!


mari_nakamoto500.jpg


中本マリ『Muse 1』 
6/8発売
Mari Nakamoto - vocal
Mao Sone - piano, fender rhodes, wurlitzer, clavinet, organ, prophet 6, trumpet & harpejji
Yuji Ito - bass
Kan - percussions






それではまた次回。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

meltorme200.jpg
Title : 『Songs Of New York』
Artist : Mel Torme
LABEL : Atlantic Jazz
発売年 : 1964年

アマゾン詳細ページへ

【SONG LIST】

01.Sunday In New York
02.Autumn In New York
03.Lullaby Of Birdland
04.Broadway
05.The Brooklyn Bridge
06.Let Me Off Uptown
07.42nd Street
08.Sidewalks Of New York
09.Harlem Nocturne
10.New York, New York
11.There's A Broken Heart For Every Light On Broadway
12.Manhattan
13.My Time Of Day




【曽根麻央LIVE INFO】

6/6 (tue.) [岡山] Cafe SOHO
Member: 曽根麻央(tp, pf & keys) 井上銘(gt) 山本連(b) 木村紘(ds)
・岡山市北区今4-4-8
・お問い合わせ 086-368-8455​


6/7 (wed.) [大阪] Mr. Kelly's
Member: 曽根麻央(tp, pf & keys) 井上銘(gt) 山本連(b) 木村紘(ds)
・大阪市北区曽根崎新地2-4-1 ホテルマイステイズプレミア堂島1F
・TEL: 06-6342-5821


​6/8 (thu.) [名古屋] Mr. Kenny's
Member: 曽根麻央(tp, pf & keys) 井上銘(gt) 山本連(b) 木村紘(ds)
・愛知県名古屋市中区金山5-1-5 満ビル2F
・TEL: 052-881-1555
・mrkennys.kuratani@gmail.com

​6/9 (fri.) [静岡] Life Time
Member: 曽根麻央(tp, pf & keys) 井上銘(gt) 山本連(b) 木村紘(ds)
・静岡県静岡市葵区紺屋町 11-1
・TEL: 054-250-0131


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』

Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

曽根麻央 Monthly Disc Review2023.4_中本マリ : LADY IN LOVE:Monthly Disc Review

mdr1.jpg


みなさんこんにちは、マルチインストゥルメンタリストの曽根麻央です。
今日は日本を代表するジャズ・シンガー、中本マリさんのアルバムをご紹介しようと思います。

今、世界的に空前のブームとなっているシティー・ポップ。その流れを組みつつも全曲英語のオリジナルで勝負したマリさんの81年の意欲作『Lady In Love』をご紹介しようと思います。
時代を超えて、ジャンルを超えて支持される名盤だと思います。


mari nakamoto Lady In Love.jpg


Title : 『LADY IN LOVE』
Artist : 中本マリ



実は私は個人的にマリさんとご縁があり、マリさんのピアノ奏者、アレンジャーとして去年から仕事をご一緒にするようになりました。その中でマリさんが今までオリジナルの曲をもう何十年と歌っていないし譜面も消失してないのだけれど、僕ともう一度再構築してライブで歌ってみたいと言っていただきました。

そして改めて譜面を書き起こすために音源を探していてこのアルバムに出会いました。全ての楽曲の完成度の高さ、アレンジの良さ、そして音の良さに驚愕し、こんな素晴らしいアルバムが日本発であったのかと驚愕しました。

ソングライターにはRoberta Flackの音楽監督を勤めたことでも有名なBarry Milesを主に迎え、リズムセクションにもAbraham Laborielなど強力なミュージシャンを集めたアルバムになっています。
またBarry Milesのシンセサイザーがストリングスと上手に絡まり、まるでオーケストラの一因のようなアンサンブルの役割を果たす箇所も多くあり斬新です。楽器の構成も様々な楽器がミックスされていて奥深い作品です。
オーケストラやバンドの厚みを超えてこちらに飛んでくるマリさんの歌唱も素晴らしいレベルで収録されており、聴く人を圧巻させます。ミックスなどの音作りも最高な一枚です。



Vocal - Mari Nakamoto
Drums - Alex Acuña
Electric Bass - Abraham Laboriel
Electric Guitar - Michael Sembello
Percussion - Steve Forman
Piano, Synthesizer [Mini Moog] - Barry Miles
Guitar - Tim May
Tenor Saxophone - Gary Herbig
Flute - Arthur Hoberman, Gary Herbig, Susan Stockhammer
French Horn - Henry Sigismonti
Harp - Gayle Levant
Percussion - Steve Forman







01. Sing Our Song Together

マツダのCMにもなった曲なのでお耳馴染みの方も多いでしょう。





Barry Milesの書いた美しいバラード曲でアルバムの幕が開けます。マリさんの抜ける歌声で聴く人を魅了します。マリさんの歌はリズムが正確で心地よいのが特徴で、曲のアプローチに対する努力や研究が伺えます。本人がお話しされた時にこれらの曲は全て初演になるのでデモがあったわけでもなく、ただただ譜面と向き合って曲を覚えて歌い方を工夫していったそうです。また録音も当時は一発録りが主流ですのでこのアルバムも例に漏れず「イッセーの」で録っているわけです。ですからマリさんや参加しているスタジオ・ミュージシャンの集中力は想像を絶するものと思います。
Barry Milesのシンセソロも抑揚と歌心があり聞き応えが満点です。


02. The Lady's In Love

アルバムのタイトルソングです。ラテン/フュージョンの曲でいろんなテイストが入っています。マリさんの代表曲の一つでライブでもいまだに人気が高い曲です。
Aセクションはシンプルな雰囲気のあるメロディーですが、Bセクションは細かく転調し、その構成はとても見事です。
途中マリさんとBarry Milesのスキャットとシンセユニゾンが曲にユニークなカラーを与えています。


03. You Gave To Me

Barry Milesの書いたバラード曲。他の曲よりもオーケストレーションが豪華に聞こえる作品です。


04. Loved You So Long

斬新でモダンなコード進行が特徴の一曲。斬新だけれどコード進行が非常に美しいのもBarry Milesの作品の特徴ですね。今聴いても古さを感じさせないセンスが素晴らしいと思います。


05. Benjamin

こちらは作家が変わりDon Grusinの曲になっています。繊細なニュアンスとピッチ感が求められるバラード曲だと思います。マリさんの幅広いレンジとハスキーな歌声を堪能できる一曲になっています。


06. Oops!

こちらもDon Grusinの書いたポップでファンキーな曲。技巧的なイントロにはっとさせられます。珍しい構成の曲で1回目のAが8小節、2回目のAが9小節、Bが9小節、Cが5+7小節で展開されています。独特の構成美で聴く人を魅了します。


07. We're Gonna Make Love Tonight

ここから再びBarry Milesの作品に戻ります。繰り返し演奏されるリフとメロディーが聴く人を自然と踊らせる曲です。


08. Don't Be Afraid Of Love

美しいバラード曲。AABAのシンプルな構成です。特にBからAに戻る瞬間のマリさんの歌声には感動してしまいます。マリさんの歌唱力を思い知らされる一曲になっています。


09. Is This The End?

美しいワルツの曲。繰り返される転調でカラーがコロコロと変わりますが美しく解決する見事なコード進行と流れる美しいメロディーが特徴の曲です。オーケストレーションもクラシカルで映画音楽のようです。


マリさんはもう10年近く新譜を出されていませんが、今も現役で人々に感動を与えています。今後のライブ活動やアルバム制作にも期待が寄せられているアーティストです。是非聴いてみてください。

それではまた次回。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

mari nakamoto Lady In Love200.jpg

Title : 『LADY IN LOVE』
Artist : 中本マリ
LABEL : JVC
発売年 : 1981年

アマゾン詳細ページへ

【SONG LIST】

01.Sing Our Song Together
02.The Lady's In Love
03.You Gave To Me
04.Loved You So Long
05.Benjamin
06.Oops!
07.We're Gonna Make Love Tonight
08.Don't Be Afraid Of Love
09.Is This The End?




【曽根麻央LIVE INFO】

4/20 (thu.) Peter Center Stage supported by Blue Note Tokyo
The Peninsula Tokyo (日比谷)
Member: 曽根麻央 (pf)

・19:00-, 19:50-, 20:40- (各20分)
・東京都千代田区有楽町1-8-1
・ご予約はこちら/Reservations

5/3 (wed.) 高槻城公園芸術文化劇場 南館 太陽ファルマテックホール
Member: 曽根麻央(pf)

・高槻市野見町6番8号
・時間: 7pm~​​

曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』

Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

曽根麻央 Monthly Disc Review2023.3_Wayne Shorter : Without a Net:Monthly Disc Review

mdr1.jpg


こんにちは、曽根麻央です。みなさんお元気でしょうか? 
僕はちょうどレジェンドシンガー、中本マリさんのツアーで山形県鶴岡に入ったところです。


WithoutaNet500.jpg


Title : 『Without a Net』
Artist : Wayne Shorter



今月衝撃的なニュースがもたらされました。長年に渡り世界の音楽をリードしてきたウェイン・ショーターがお亡くなりになったということでした。
今日は彼の最高傑作の一つである2013年のアルバム『Without A Net』を改めて皆さんと一緒に聴いていきたいと思います。


実はこの『Without A Net』のリリースされた年にWayne Shorterにお会いする機会を得た私はサインをもらいました。彼のグループのピアニストであるダニーロ・ペレスが私も含めた当時の彼の生徒たちにWayneのホームパーティーで演奏する機会を作ってくれ、なんとWayneの前で演奏するという一大事でした。演奏後、嬉しそうに「このジャケットは僕が書いたんだ。裸の女性が落ちていて、そこには助かるためのネットもないが、そこに恐怖もない。」と語ってくれました。


【臨場感溢れるウェイン・ショーター最後のクインテット作品】


このアルバムはウェイン・ショーターの最後のクインテットをフィーチャーしています。ピアノにダニーロ・ペレス、ベースにジョン・パティトゥッチ、ドラムにブライアン・ブレイドという黄金チームです。
この4人は演奏前に必ずハグをしてグループの調子を整えます。音楽だけでなく人間としても尊敬し合えるそんなバンドに僕はとても憧れていました。
「Pegasus」にはInam Windsという木管楽団がサポートで入リ、曲/演奏ともに大曲となっています。

ミックスもセンターにウェインとベース、左側にピアノ、右にドラムス、とライブのステレオ感をイメージできるミックスになっていて、まるでその場にいるような臨場感があります。ミュージシャンやお客さんの熱気も伝わってくる名盤です。



Bass - John Patitucci
Drums - Brian Blade
Piano - Danilo Perez
Soprano Saxophone - Wayne Shorter
Tenor Saxophone - Wayne Shorter



01. Orbits

マイルス・デイヴィス時代のウェイン・ショーターの名作です。原作は『Miles Smile(1967)』に入っている軽快なスウィングで演奏される曲。本来はもっと長いテーマですが、『Without A Net』ではもっとも特徴的なオリジナルのメロディーだけを切りとって繰り返し繰り返し演奏しています。またオリジナルではHerbie Hancockは一切和音を弾いていないので、今まで誰もこの曲のコードを認知することできませんでしたが、今回この曲の新しい解釈が約40年ぶりに生まれました。

序盤、ピアノとベースよって低音でメロディーが演奏され、その合間を縫うようにショーターがソプラノサックスで縦横無尽に行き交います。その後ウェイン自身によってメロディーが演奏され、再解釈されたハーモニーやグルーヴが聞こえてきてきます。基本この4小節のメロディーとハーモニーの上で即興演奏が行われます。ピアニスト、ダニーロ・ペレスやジョン・パティトゥッチの言うところのComprovise(Comping=伴奏とImprovisation=即興)が終始行われ、曲が最高潮に達した3:52ほどでマイルス・ヴァージョンの最初のメロディーに到達して曲が終わります。








02. Starry Night

ダニーロ・ペレスの美しいイントロに誘われて、徐々に曲の基本となる4つのコード(B7alt, Ab2/C, D7alt, B2/Eb)が出現して、そこからはコードは繰り返されるにもかかわらずエンディングまでずっと音楽が上昇していきます。4つだけで登りきったところでコードが8種類に変化し(B7alt, Ab2/C, D7alt, B2/Eb, F7alt F#-b13, Ab7alt, A-b13)音楽の緊張感を高めクライマックスに突入します。

別ライブテイクも最高なので見てみてください。ウェインの表情、手の動き、目線などを見るとどのように音楽を受け取って楽しんでいるかみることができて感動します。僕が本当に憧れた音楽です。





03. S.S. Golden Mean

こちらもウェインのオリジナル曲。今までの楽曲とは変わって、ポップで少しWeather Report時代の雰囲気も感じられる曲になってると思います。ダニーロの素晴らしいcomproviseを聴くことができます。


04. Plaza Real

こちらもショーターのオリジナル曲で明るめのバラード曲です。とてもポップで美しいメロディーとビート感がとても聴きやすいです。あまり即興演奏に慣れ親しんだ人でない方にもお勧めしてウェインを好きになってもらえる一曲だと思います。


05. Myrrh

シンプルなモチーフをバンドが展開し、その上でウェインのソプラノが火を吹き続ける短くとも素晴らしいテイクです。


06. Pegasus

このアルバム一番の大曲で、僕自身もっとも愛する名曲です。イントロの付いた2部構成の曲で、ジャズ、クラシック、ロック、フュージョンの枠を超えた曲です。またcomprovise とアンサンブルの絶妙なバランスが過去にない作品になっています。
ダニーロのイントロから始まり、ジョンもそれに応えます。すると木管楽器の美しいサウンドが聞こえてきて、ああ、これは前の5曲とは違う世界観だと気づかせてくれます。


0:00-3:55までが前奏としてのパート、そしてそこから1部が始まります。いきなり基本となるリズムが提示され、パッションとともにで1部の幕が開けます。4:47からメインテーマが演奏されます。基本となるリズムにのって徐々にメインテーマも変化していきます。5:57からグルーヴが変化し、3連音符を主とするグルーヴに突如移行します。そしてウェインのソロに突入します。そこから徐々にエネルギーを加え続け、特に圧巻なのが7:10にはマイルスとショーターが演奏した「Walkin'」が一瞬顔を見せます。これにはブラインも「Oh my god」と叫んでしまいます。そこから一旦落ち着きを取り戻し、徐々にアンサンブルの時間に戻っていきます。8:22~は元々スコアに書かれているものと即興のバランスが素晴らしいです。Wayneもチャーリーパーカーの「NowThe Time」をこの上で吹き出したりジャズファンにはたまらないセクションです。9:30にウェインが次のセクションのテーマを吹き合図を出します。10:04にグルーヴが8-16部音符系に戻り、本格的にアンサンブルが主導権をにぎります。10:21からのモチーフはダニーロがよく過去の作品でも即興中提示してきたアイディアで何回か聞いたことがありました。それを今回具体的にウェインがアンサンブルで形にしました。このようにメンバーのフレーズや特徴をも自身の作品に取り入れてしまうウェインの能力は素晴らしいですね。


10:49からは一旦トリオによる、(おそらく)即興演奏の時間が続きます。徐々にその即興演奏が二部の基本リズムに近づいてきてウェインも入ってきて、そしてアンサンブルが入ってきます。音楽は徐々に緊張感を高め、18:06からは1部の最初のメロディーの再現に戻っていきます。再現と言っても全然違うのですけれど(笑)。再現が終わると19:37からは元のグルーヴを基盤にした新しいvampセクションに突入し、バンドとアンサンブルが入り乱れて音楽を高みに持って行きます。同じフレーズを繰り返し繰り返し演奏していく中で人は慣れていきますが、20:57に今までなかった音を1音だけ入れることで音楽がいっそうフレッシュな状態でクライマックスに突入します。そしてもう一度テーマの再現をして音楽は徐々にエンディングに向かいます。





07. Flying Down to Rio

こちらは1933年のミュージカルよりカバー。と言ってもほとんどオリジナルのメロディーは分からないほど再解釈されています。「Orbits」と同じく元々あるメロディーを伸ばしたり切り取ったりして一曲を表現しています。また同じフレーズを繰り返してグループで即興的に発展させられそうな箇所を彼らは「Window」と呼んでいました。オリジナルを聴いてみてそんな「Window」を発見するのもWayne Shorter Quintetの楽しい聴き方です。


08. Zero Gravity to the 10th Power

クレジット上はクインテット4人の作曲になっていましたが恐らく即興演奏でしょう。「ZeroGravity」=無重力はこのグループが表現している音楽のキーワードです。彼ら自身がこのグループの音楽や行なっていることを象徴している言葉であり、ウェインが生涯をかけてたどりついた音楽のコンセプトと言えるでしょう。


09. (The Notes) Unidentified Flying Objects

UFOとタイトルのついたこのトラックもおそらく即興演奏を切り取ったものでしょう。ウェインに、このアルバムについて聞いた時によく考えなさいと言われた言葉があります。「You gotta be identified to be unidentified, you gotta be unidentified to be identified. Think about that!(未確認になるためには確認されないといけない、認知されるには未確認でいないといけない。よく考えなさい。)」


最後のこの2曲は音楽には始まりもなく終わりもない。人生は続くというウェインのコンセプトがよく聞こえてきます。


それではまた次回。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

WithoutaNet200.jpg

Title : 『Without a Net』
Artist : Wayne Shorter
LABEL : Blue Note Records
発売年 : 2013年

アマゾン詳細ページへ

【SONG LIST】

01.Orbits
02.Starry Night
03.S.S. Golden Mean
04.Plaza Real
05.Myrrh
06.Pegasus
07.Flying Down to Rio
08.Zero Gravity to the 10th Power
09.(The Notes) Unidentified Flying Objects




【曽根麻央LIVE INFO】

3/23(thu.) JAZZ SPOT analog.(浜松)
Member: 曽根麻央(pf,tp,etc.) 宮地遼(b) 鈴木宏紀(ds)
静岡県浜松市中区田町325-1 渥美薬局ビル2F
ご予約はこちら ℡ 053-457-0905


4/2 (sun.) Blue Note Place (恵比寿)
Member: 曽根麻央(pf,tp) 宮地遼(b) 鈴木宏紀(ds)
東京都渋谷区恵比寿4-20-4恵比寿ガーデンプレイス
ご予約はこちら
https://www.bluenoteplace.jp/live/mao-sone-230402

曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』

Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

mdr1.jpg


こんにちは、トランペッター、ピアニストの曽根麻央です。
今回は今月来日公演を敢行した現在最高のピアニスト、ブラッド・メルドーの新譜『Your Mother Should Know: Brad Mehlau Plays The Beatles』を一緒に聴いていこうと思います。


YOUR MOTHER SHOULD KNOW500.jpg


Title : 『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles』
Artist : Brad Mehldau



私は2/3の東京オペラシティのピアノソロ公演を幸運なことに聴きに行くことができ、音楽家として大きな感銘を受けました。ライブでメルドーを見るのは2014年のトロント・ジャズ・フェスでの「Mehliana」名義での公演以来2回目でした。しかもアコースティック・ピアノはこれが初でしたのでとても楽しみにしていました。
プログラムも前情報も無しのコンサートでしたので 予習ができないですから、何が起こるか全く知らずに会場へ赴きました。会場へ入り様子を伺うと天井の高い神々しいステージの真ん中にピアノが一台だけ置かれていました。ピアノマイクどころか、トークマイクも見当たりません。椅子は違和感を覚えるほどとても低く驚きました。実際本番でのメルドーの膝はピアニストの角度とは思えないほど屈折していました。


メルドーが登場すると深く一礼してピアノに座りました。するとすぐに何かのイントロが始まりました。しばらくすると聴き覚えのあるメロディーが...それが「I Am The Walrus」でした。その後もビートルズの曲を多数演奏して、スタンダードやステーヴィー・ワンダーの曲、そしておそらく自身の曲など、休憩なしトークなしの90分間演奏をして、アンコールを3回受けてこの日の演奏は幕を閉じました。
終わってみると、なんてものを聴いてしまったのかという気分になりました。過去にこれだけの集中力を持って一つのコンサートを達成したジャズ・ピアニストがいたのでしょうか? ジャズでもクラシックでもない、オリジナリティーのあるグルーヴするコンサート・ピアニストのステージを見たという表現が正しいかもしれません。もちろん私はキース・ジャレットやビル・エヴァンスといった名手の絶頂期をライブで見ることは叶いませんでしたので比べようがありませんが、メルドーはおそらくそのレベルかそれ以上のコンサート・ピアニストとなったと感じました。
コンサートが終わり外に出ると偶然仲間の井上銘くんや山本連くん、そして他の同世代の活躍しているミュージシャン達もいて、彼らと同じものを共有できたことにとても嬉しく思いました。


あまり熱狂的なビートルズ信者でない私には、コンサート中は「I Am The Walrus」以外のピートルズはどこかで聴いたことがあるけどタイトルが思い出せない、といった感じでした。私は帰り道になんでこんなにビートルズの曲をプログラムに多数加えたのかが気になり、最近のメルドーの活動を追いかけ、ようやくこのアルバム『Your Mother Should Know: Brad Mehlau Plays The Beatles』をリリース予定だったことがここでわかりました。なるほど、今回の来日公演はこのアルバムのリリースも兼ねていたのかと。その時すでに「I Am The Walrus」と「Your Mother Should Know」に関しては先行配信がされていたので、帰りの車で聴きながらコンサートの余韻に浸りました。


メルドーのソロ・ピアノは大事な音とそうでない音のバランスが最適です。旋律と伴奏とうシンプルな状態だけでなく、対位法がいたるところに使われていて同時に複数のメロディーや副旋律が進行していて、それらが美しく絡み合っています。なので音の情報量は相当なものですが、とても整頓されていて聴いていてシンプルな美しさすら感じてしまいます。


【現在最高のピアニスト、ブラッド・メルドー、完成度の高いソロ演奏】





さてこのアルバムはフランスのパリで2020年にライブ録音されたもののようです。現代最高峰のピアニストによるライブとは思えない完成度の高いソロ演奏に圧倒されるでしょう。また次の段落でも明記していますがビートルズの楽曲の持つ奇妙さと、メルドーの持つ奇妙さ、そして両者の美しさとが絶妙にマッチしていて、とても完成度の高い作品になっています。



01. I Am The Walrus

YouTubeにもある動画インタビューでメルドーは「Rubber Soul」以降のアルバム、「Revolver」「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」「The Beatles ("The White Album")」などには一種の奇妙さがあると語っています。ハーモニーや形式、フレーズの長さや歌詞の議題などに奇妙さがあり、このような奇妙な曲をピアニスト&アレンジャーとしてどう表現するかがとても挑戦的だと語っています。「I Am The Walrus」は『Magical Mystery Tour』に収録されているジョン・レノンの曲で、もちろんこれも奇妙な曲の一つです。コードが全音ずつ下がって行くこの独特の進行はあまりポップスでは見られない進行で、どちらかというとドビュッシーや印象派の作品を彷彿とさせます。メルドーはこの曲を最高のピアノ曲に仕立て上げています。





02. Your Mother Should Know

1曲目からメドレーで繋がっています。メルドーの言葉を借りればビートルズの「スウィング曲」。このアルバムの中でも珍しくメロディーと伴奏に役割がはっきりしているアレンジですが、そうであるからこそメルドーの完璧なピアノコントロールを聴くことができます。


03. I Saw Her Standing There

ビートルズの初期の曲です。左手が正確に8分音符を刻みグルーヴを激しく出していきます。ブルースピアノのようなスタイルですが、土臭さはなく、ブギウギ/モータウン的なグルーヴまでもがメルドーの繊細な世界観へと昇華させられています。


04. For No One

インタールード的に短く演奏されるマッカートニーの曲。こういうシンプルな曲で時たま顔を出すメルドー独特のジャズフレーズが心にしみます。


05. Baby's In Black

レノン&マッカートニーの作品。原曲は3連のグルーヴですが、ゆったりとしたSwingワルツに編曲されています。ゆっくりと徐々に展開して行くアレンジです。


06. She Said, She Said

もともとは8ビートのロック調の曲を美しいバラードに仕立てています。こちらもインタールード的な短い演奏です。


07. Here, There And Everywhere

こちらももともとは8ビートのロック調の曲ですが、まるでジャズスタンダードの古いバラードのようなメロディーラインが特徴的な一曲です。その後途中からまるで何人かものピアニストがバラバラのハーモニーを弾いているかのような錯覚に襲われる不思議なアレンジになっています。


08. If I Needed Someone

こちらは割と原曲の雰囲気とハーモニーがそのまま聴こえてくるところが多くあります。メロディーを一回通して終わる短いアレンジになっています。


09. Maxwell's Silver Hammer

もともとは軽快な跳ねているグルーヴの曲を、少し遅めのスウィング調で演奏しています。ストライド・スタイルも少し取り入れることでジャズの伝統的な味わいも出しつつ、メロディーはビートルズで、ハーモニーはメルドーという奇妙な世界観を作り出しています。


10. Golden Slumbers

原曲はかなり短いですがマッカートニーの美しい曲の一つです。フレーズのアガサが独特でポップスではなかなか見ないスタイルの曲です。メルドーもかなり原曲に近いイントロから入りますが演奏はアルバム一の長尺になっています。コンサートでもかなりインパクトの強いメインの楽曲でした。


11. Life On Mars?

この曲のみDavid Bowieの曲です。転調の仕方やメロディーの発展の仕方やハーモニーが美しくもどこか奇妙で、ビートルズの影響をうけたイギリスのアーティストということでこのラインアップにあってもおかしくない一曲ですね。メルドーの日本公演でも異彩を放った一曲でした。


それではまた次回。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

YOUR MOTHER SHOULD KNOW200.jpg

Title : 『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles』
Artist : Brad Mehldau
LABEL : Nonesuch
発売日 : 2023年02月10日

アマゾン詳細ページへ

【SONG LIST】

01.I Am The Walrus
02.Your Mother Should Know
03.I Saw Her Standing There
04.For No One
05.Baby's In Black
06.She Said, She Said
07.Here, There And Everywhere
08.If I Needed Someone
09.Maxwell's Silver Hammer
10.Golden Slumbers
11.Life On Mars?




【曽根麻央LIVE INFO】

曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』

Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

曽根麻央 Monthly Disc Review2023.1_Don Cherry : Complete Communion:Monthly Disc Review

mdr1.jpg


こんにちはトランペットとピアノの曽根麻央です。2023年もよろしくお願いいたします。
今年最初のDisc ReviewはトランペッターDon Cherryによる1966年のアルバムです。
高い作曲能力と演奏技術、そしてコレクティヴなフリー・インプロヴィゼーションが絶妙なバランスで収録された名盤です。


Complete Communion500.jpg


Title : 『Complete Communion』
Artist : Don Cherry

【高い作曲能力と演奏技術、そしてコレクティヴなフリー・インプロヴィゼーション】

僕とこのアルバムの出会いはまだバークリーの学生の頃でした。デイヴィッド・リーブマンとケニー・ワーナーを宿泊先のボストンのホテルまで送って行った時、ホテルのバーで二人の音楽談義を聞く機会がありました。僕はひたすら黙って二人の会話を聞いていたのですが、その中で最も印象に残ったのがリーブマンの「Complete CommunionのLeandro "Gato" Barbieriはサックスの未来だ!」といった言葉でした。

その会話で初めて僕はこのアルバムの存在を知ったのですが、気になってその場でメモを取り、CDを図書館へ借りに行ったのをよく覚えています。みなさんも是非その言葉の真意を考えながら聴いてみてください!




Don Cherry - cornet
Leandro "Gato" Barbieri - tenor saxophone
Henry Grimes - bass
Edward Blackwell - drums




01. Complete Communion

この楽曲は複数の、7つのテーマ(曲)の組曲だと思います。あくまで私が聴いて「ここからここまでが1主題だろう」と行った具合に予想して区切ったものですので、もしかすると作曲者からは間違いだと指摘されてしまうかもしれませんが、下記にまとめてみました。
見ながら聴いていただくと曲がわかりやすいかもしれません。それぞれの主題はとてもユニークで雰囲気が違います。Complete Comunionという曲は初めて聞くと長いですし、常に流れていて取り止めがない感じがしますので難しく聞こえてしまうかもしれませんが、是非短い曲の集合だと考えて聴いてみてください。





0:00 Theme 1
こちらはルバートの主題になっていて、イントロとして考えても良いパートになっています。このトラック全体の雰囲気をよく表している曲で、Don CherryのトランペットとLeandro "Gato" Barbieriのサックスが完璧なチームワークを果たしていてお互いがリードしフォローし合い、音楽を推進させていきます。


0:52 Theme 2
序盤のメインの曲です。Gマイナーとメジャーを交互に行き来するリズミックな曲です。テーマを2ホーンで吹き2ホーンでソロを回し、ドラムソロも挟みつつ、再びテーマに戻ります。


4:32~ Theme 3
短いテーマが演奏され徐々に曲がTheme 4へと移行していきます。間奏としての役割を果たすパートです。


5:20~ Theme 4
こちらもテーマが演奏されトランペットとサックスのソロがフィーチャーされます。


6:57~ Theme 5A
Theme 5Aのラインがルバートで提示されると、すぐに軽快なスウィングのテンポに移行してメロディーを演奏します。


7:43~ Theme 5B
その後すぐに5Bに移行します。5Aと5Bの雰囲気は全く違う別のテーマなのですが交互に演奏されるので番号は揃えました。5Aはブルース的な、アフリカ音楽的な旋律に対して、5Bはどこか日本的な旋律、中東の旋律を思い浮かばせます。
5B移行後もこの旋律でDon Cherryがソロを取っているあいだ、ベーシストは5Aのテーマをベースラインとして使用していたりするので、この2曲は密接な関係にあると言えます。
中盤のメインの曲です。


12:55~ Interlude
どこまでが即興か、書いてあるのか、一概に判断できないのがこのアルバムの特徴でもあるのですが、おそらくinterlude前半は即興、徐々に作曲してある旋律に移行し次の曲に入ります。


13:38~ Theme 6
Ed Blackwellが名称不明の音程のあるパーカッションを使って演奏している、16小節のミディアムスウィングの曲です。後半のメインの楽曲になっています。


17:46~ Interlude


17:55 Theme 7 (Medium Swing ~ Fast Swing)
少し今までとは雰囲気の違うコミカルな旋律の楽曲です。


19:06 Theme 2 (再現)
楽曲が最後に近づき再現部に移行します。

20:09 Theme 1(再現)
エンディングとしてイントロでもあったTheme1を再び演奏して曲を締めています。


02. Elephantasy

こちらの曲はComplete Communionより前後のテーマ同士が複雑に絡み合いなかなかセクションを分けて考えるのは難しいですが大まかに下記に分けて見ました。後半以降は何度も以前使われたテーマが再現されているのがわかるでしょう。Theme1は特にDon Cherryの作曲能力の高さ、旋律の対する美意識がよく現れた曲だと思うのでぜひ注目して聴いてみてください。
またTheme2のDon Cherryのソロは絶品です。





0:00 Theme 1
3:36 Interlude
4:21 Interlude 2 (転調が始まります)
5:31 Theme 2 (fast swing)
10:55 Theme 3
11:58 Theme 4
12:11 Theme 5
12:30 Theme 6
13:04 Theme 5
15:28 Theme 6 (bass)
16:44 Theme 5
16:48 Theme 4
17:21 Theme 6
17:58 Theme 1 (再現)


それではまた次回。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

Complete Communion200.jpg

Title : 『Complete Communion』
Artist : Don Cherry
LABEL : Blue Note
発売年 : 1966年

アマゾン詳細ページへ

【SONG LIST】

01.Complete Communion
02.Elephantasy




【曽根麻央LIVE INFO】

1/20 (金) @ Body & Soul (渋谷)
w/ 伊藤勇司、木村紘

2/17 (金) Nardis (柏)
w/ 伊藤勇司、木村紘

2/18 (土) -19 (日) TBA

2/28 (火) @ Mr. Kenny's (名古屋・金山)
Mao Sone Plays Standards (solo)

3/3 (金) @ Body and Soul (渋谷)
w/ シンサカイノ、苗代尚寛、小田桐和寛

3/10 (金) @ The Moment (成城学園前)
w/ 高橋佳輝、山崎隼

曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』

Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

曽根麻央 Monthly Disc Review2022.12_Cory Henry : The Revival:Monthly Disc Review

mdr1.jpg


こんにちは、トランペッター、ピアニストの曽根麻央です。
今日はマルチ・インストゥルメンタリストでもあるコーリー・ヘンリーの本業とも言える超絶オルガン・プレイを聴けるライブアルバムを紹介します。


revival500.jpg


Title : 『The Revival』
Artist : Cory Henry

【クリスマスシーズンにもおすすめ、オルガン作品】

ゴスペル、ポップス、ジャズのクロスオーヴァーな作品でたくさんの人に楽しんでもらえる作品と思いますし、オルガンの音色はやはりクリスマスにとても映えますね!

『The Revival』というアルバムはブルックリンにあるGreater Temple of Praiseでライブレコーディングされたもので、ほぼほぼオルガン・ソロのアルバムといってよいでしょう。

トラックによってはジェームス・ウィリアムスというドラマーが参加しています。僕は彼の演奏をタイガー大越さんのバンドで一度だけ見ましたが、ドラムにカホンなどのパーカッションを組み合わせ、様々なジャンルの音楽を見事に表現する本当に素晴らしいドラマーです。またBishop Jeffrey Whiteというゴスペル・シンガーが一曲ゲスト参加しています。




Executive-Producer - Cory A. Henry
Drums, Percussion - James Williams




ヘンリーは終始オルガンの音色を柔軟に操り、曲に彩りを与えます。またダイナミックスもpp(ピアニッシモ)~fff(フォルテッシシモ)まで迫力のある表現を魅せてくれます。そして一度曲がリズムに入れば強力なグルーヴで聴いている我々が踊り出したい気分にさせてくれます。そんなとっても素晴らしい一枚です。

またヘンリーのお客さんを楽しませるエンターテイナーとしての魅力も感じられる一枚で、まるでライヴ会場で一緒に盛り上がっているような気持ちにさせてくれます。

ちなみに彼は終始B3というオルガンの名機を使用しています。この楽器の魅力も体感してみてください。





01. Lord's Prayer

一曲目は静かにハーモニーが移り変わりとても神秘的な表現を聴かせてくれるトラックになっています。オルガンの魅力は音量ペダルがあり、とてもダイナミックな演奏ができるところにあります。聴こえるか聴こえないかのレベルで始まり、そこから膨らみを増していきます。そして場面が変わると音色スイッチを素早く切り替えてさらにゴージャズな音色を即興的に作って行きます。キーボードのようにボタンのスイッチではなくレバーなので、音色を切り替えても音が途切れることなく次の音色に移行できるのがオルガンの魅力ですね。レバーはたくさんあり、 それぞれ役割が違いますので、楽器のことを本当に理解し、とてもたくさんの時間をかけて音色の研究をしていることがわかります。

僕はこの曲をApple Musicのランダム再生で発見して、ちょうど首都高を走っていて朝日が昇ってくるところでこの曲のクライマックスが出てきまして、あまりの感動に思わず声を上げてしまいました。


02. He Has Made Me Glad

ゴスペル音楽で有名な曲だと思います。僕もニューヨークに住んでいた時、日曜日の朝の教会でオルガンを弾くアルバイトをしていて、何度もこの曲を演奏した記憶があります。
ヘンリーはこの曲をとてもグルーヴィーに、ブルースのテイストを合わせながら、独自のハーモニーセンスを組み合わせて見事にプレイしています。おそらく聴いている限り即興的にリハモニゼーションしたり、転調したりしていると思うのですが、ベースの動きがとにかく綺麗です。またソロなのでテンポも自由自在に操っていて、かなり自由度の高い内容になっています。またヘンリーはクライマックスへ一曲かけて持っていく、この構成力も素晴らしいと思います。このアルバムで最も好きなトラックの一つですので是非聴いてください。


03. Precious Lord

アレサ・フランクリンやニーナ・シモンが歌ったゴスペルの名曲です。それを3連のゴスペル特有のグルーヴで演奏しています。ドラムにジェームス・ウィリアムスが入りグルーヴの芯がとても見えやすい演奏です。ウィリアムスは終始シンプルな4分音符を演奏していて、アフリカン・アメリカン音楽の4分音符の大事さを思い知らされます。


04. Old Rugged Cross

調べると1912年に書かれた古い賛美歌なようです。Bishop Jeffrey Whiteというゴスペル・シンガーがゲストに入っています。3拍子の3連音符の曲でとてもソウルフルな内容になっています。


05. Naanaanaa

アルバム一楽しい楽曲で、まるで会場に一緒にいるような感覚に陥ります。皆さんも是非一緒に歌ってみてください。



06. That Is Why I'm Happy

軽快なテンポのゴスペル調の曲。タンバリンとベースの響きがとても心地よくなっています。ドラムのスネアの音も歯切れがよくゴスペル特有の気持ち良いバックビートです。


07. If You're Happy

「幸せなら手をたたこう」を本気で演奏するとこんなにかっこよくなるのですね!  面白いので是非聴いてみてください。こういうシンプルでポピュラーな曲を表現する楽器としてオルガンはある意味最適かもしれないですね。自分でベースとハーモニーを組み替えてバンドサウンドのように出来てしまうのはピアニストからすると本当に羨ましいです。


08. Giant Steps

ジョン・コルトレーンのカヴァー曲です。中庸な速さのスウィングで演奏していて、ヘンリーのジャズ奏者としての一面を見ることが出来ます。オルガンでこういったウォークベースを弾く際、左手で4分音符を弾いて、各音を切る裏拍で足鍵盤でゴーストノート(弾いているけど実際には音程が認識できないほどの音)を弾くのですが、その独特なバウンス感がとても心地よいです。


09. All In Love Is Fair

スティーヴィー・ワンダーのカヴァー曲。原曲よりもゆったりとしたテンポで少しミステリアスな雰囲気を帯びているトラックです。


10. Yesterday

ビートルズのカヴァー曲。実はこの曲をヘンリーのインスタライヴで見て彼のファンになったのでこうしてライヴ音源も出してくれていて個人的に嬉しかったです。原曲よりもブルージーなYesterdayなのでとても面白い演奏になっていると思います。


11. I Want To Be Ready

古い賛美歌の曲です。カホンとシェイカーとリズミックに演奏しています。とてもライヴ感のあるこのアルバムを象徴するかのようなトラックになっています。即興的にメロディーやハーモニー、リズムを少しずつ変化させて巧みに音楽をクライマックスに導いています。


それではまた次回。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

revival200.jpg

Title : 『The Revival』
Artist : Cory Henry
LABEL : GroundUP Music
発売年 : 2016年

アマゾン詳細ページへ

【SONG LIST】

01.Lord's Prayer
02.He Has Made Me Glad (I Will Enter His Gates)
03.Precious Lord
04.Old Rugged Cross
05.Naanaanaa
06.That Is Why I'm Happy
07.If You're Happy (And You Know It)
08.Giant Steps
09.All in Love Is Fair
10.Yesterday
11.I Want to Be Ready




【曽根麻央LIVE INFO】

曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』

Reviewer information

maosona_A.png
曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

前の10件 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11

アーカイブ