Title : 『Take Five』
Artist : Dave Brubeck
みなさんこんにちは、曽根麻央です。先日はブルーノート東京「Brightness of the Lives Release Live」に足をお運びいただきありがとうございました。本当にびっくりするぐらい沢山の方にご来場いただき感謝いたします。このバンドでは5月に中国、関西、東海道ツアーをしますので是非観に来てください!
【Brightness of the Lives : Album Release Tour】 曽根麻央(tp/fgh/p/keys) 井上銘(gt) 山本連(eb) 木村紘(ds) 5/17(火) 蔭凉寺 岡山 5/18(水) ビルボード・ライブ大阪 5/19(木) ミスター・ケニーズ 名古屋 5/20(金) ライフタイム 静岡
【デイヴ・ブルーベック、おすすめライブ盤】1982年のモントルー・ジャズ・フェスティバルでのデイヴ・ブルーベック・カルテットの演奏は有名盤ではないが人の心を熱く燃え上がらせる不思議な力があると僕は思います。僕自身、小学生の頃にこのアルバムをスウィングジャーナルの元編集長で地元が一緒で大変お世話になった、故・児山紀芳先生から譲り受けていらい、ずっと憧れて来たアルバムです。ピアノとエレクトリック・ベースとドラムが一体となって作り出す、アコースティックにはない熱量は小学生の僕には大変新鮮なものでした。もちろん「Time Out」などのオリジナルの音源は当時から聴いていましたが、こちらのライヴ盤の方がよりグルーヴ感がより好みだったのを覚えています。このライヴ盤のバンド・サウンドを聴いていなければ僕の現在のバンド「Brightness of the Lives」の構想には至らなかったかもしれません。
Dave Brubeck (piano)
Bill Smith (clarinet)
Chris Brubeck (electric bass)
Randy Jones (drums)
正直あまり名前を見ないミュージシャンも多くいますので、短く紹介します。
Bill Smithはクラリネット奏者でジャズとクラシックの両方の音楽性をマスターしている人物。のちにアメリカを代表する作曲家ガンター・シュラーに「The Third Stream」と名付けられたクラシックとジャズの融合を50年代に試みた取り組みを行った人物の一人です。ブルーベックとは長いキャリアを通してコラボをしています。
Chris BrubeckはDave Brubeckの息子でベーシストだけでなくベース・トローンボーン奏者。このアルバムでもBig Bad Basieで素晴らしいソロを披露しています。
Randy Jonesはメナード・ファーガソンやトニー・ベネットとも演奏しているドラマーです。
01. Tritonis
独特のベースラインの上で展開される5拍子の曲です。1980年の『Dave Brubeck Quartet』というアルバムに入っている曲です。Daveの力強いタッチがピアニストとしての力量を感じさせます。クラリネットのソロの伴奏でもジャズでは珍しいぐらいとてもシンプルではっきりとしたハーモニーを使い、リズムもわかりやすく提示しています。ブルーベックのソロはどこか中東の雰囲気を残しつつ、ブルースのスタイル、ラテンのモントゥーノのスタイル、クラシカルなスタイルを行き来する自由なもの。これは国外の音楽に自己の音楽のヒントを得たブルーベック独特の表現と言えるでしょう。
02. Koto Song
日本の音階に影響を受けて書いた一曲。小泉文夫氏の著書『日本の音』よりスケールの分類を拝借するとしたら都節音階を用いたブルース形式の曲。ブルーベックのピアノが日本の独特な間と空気感を独自の解釈で表現していてとても面白い一曲です。それに続くBill Smithはディレイのエフェクターを使いスケールできることを極限まで展開しているのが魅力です。それにしてもBill Smithのクラリネットの技量と歌心に驚かされます。ダイナミックの豊かなことですね!
03. Out Of The Way Of The People
C一発のスピード感のある楽曲。短いテーマの後にBill SmithとDave Brubeckの同時インプロヴィゼーションが凄まじいエネルギーとともに展開されます。その後はRandy Jonesのドラムソロをフィーチャーしています。
04. Big Bad Basie
Dave Brubeckはよく別アーティストの特徴を捉えて自己の楽曲を制作することがありました。これもそんな一曲かと予想します。ど直球のベイシー風のスウィング曲。Dave Brubeckのストライド・ピアノまで聴けるある意味珍しいテイクです。Chris Brubeckは途中ベースからベース・トロンボーンに持ち替え素晴らしいソロを展開しています。
05. What Did I Do To Be So Black And Blue
Chris Brubeckのベース・トロンボーンをフィーチャーした一曲。ルイ・アームストロングが歌った名曲で、人種差別の悲しさを歌った一曲です。
06. Take Five
言わずと知れた名曲ですね。Paul Desmondが作曲してDave Brubeckのバンドで演奏し、アメリカの歴史に残る名曲となりました。おそらくジャズ史上一番有名になった変拍子(5拍子)の曲でもあります。メロディーはAABBAAですが、ソロは有名なVampの上で展開され、モードジャズの影響も感じることができる作品です。このテイクではソロをさらにストレッチして、Brubeckの大胆なソロも聞くことができます。
というのもオリジナル・バージョンである『Time Out』の中のテイクではメンバー全員が5拍子に慣れておらず、20テイク以上録音したという説があります。当時のジャズは1-2テイクが主流でしたからこれは異常な事態です。そのためDave Brubeckは基本パターンに忠実に終始キープに務めたと考えられます。この82年の時期には5拍子は普通の表現となったので、より自由にピアノをフルに活用したソロを聞くことができます。
07. Benjamin
Dave Brubeckの子供の名前からとったというこのタイトル。ラテン分のグルーヴの上で構成されるシンプルな明るいメロディーが特徴。
08. Blue Rondo A La Turk
Dave Brubeckの代表作品。トルコのリズム2+2+2+3のまとまりの9拍子にヒントを得て、それを基盤に展開される非常によくできた楽曲。ソロ部分はシンプルなFブルースになっており、そこが聴衆の興奮を最高潮に高めます
それではまた次回。
文:曽根麻央 Mao Soné
【曽根麻央LIVE INFO】
---3月---
・3/31 (木) @ 柏Nardis
曽根麻央(tp/p) 高橋佳輝(b) 山崎隼(ds)
今回は初の組み合わせのトリオ!素晴らしい高橋佳輝のベースに20歳のドラマー山崎隼と作り上げるサウンドはどうなるのか、今から楽しみです。
---4月---
・4/2 (土) @ 本厚木キャビン
丈青(p) 曽根麻央(tp/fgh)
恒例となった、ソイル&ピンプセッションズの丈青さんとのこのデュオは、美しいメロディーとその世界観を大事に、二人にしか出せない響きをお届けします。
・4/5(火) @ 赤坂Velera
MAO SONÉ Trio
曽根麻央のレギュラートリオ!in 赤坂!
・4/11(月) @ 柏Nardis
MAO SONÉ Trio
曽根麻央のレギュラートリオ!in 柏!
・4/14 (木) @ TBA
?????
(情報解禁をお待ちください)
・4/15 (金) @ 古河アップス
宮本貴奈 ソロピアノ&弾き語り
Special Guest: 曽根麻央 (Tp/Pf)
・4/17 (日) @ 小岩コチ
曽根麻央(p/tp) 伊藤勇司(b)
私と長年コンビを組む伊藤とのデュオ!トリオとはまた違った呼吸の相方を楽しみに聞きに来てください!
・4/18 (月) @ TBA
?????
(情報解禁をお待ちください)
・4/19 (火) @ 横浜Apple
若井優也(b)& 曽根麻央
・4/24(日)@ 本厚木キャビン
MAO SONÉ Solo
同じく本厚木のキャビンで恒例の曽根麻央のソロ!JAZZスタンダードを中心に心地よくグルーヴします!
・4/26 (火) @ 渋谷クラシックス
曽根麻央クインテット
片倉真由子(p) 松丸契(sax) 伊藤勇司(b) 木村紘(ds)
アーツカウンシル東京の助成を受け、映像と音源をライブ収録いたします。ピアノも調律師を当日ずっと入れて万全の音環境で望みます。この機会をお見逃しなく。
・4/27 (水) @ 渋谷Body & Soul
曽根麻央(pf,tp) 苗代尚寛(g) シン・サカイノ(b) 小田桐和寛(ds)
ボストン=ニューヨーク・コネクション!久々のこのメンバーでボストンのホーム、ウォーリーズに帰ったかのような気持ちで演奏します。
・4/30 (土) @ 水戸 Girl Talk
二台のピアノによる DUO
若井優也 & 曽根麻央
ベヒシュタインとヤマハのグランドピアノを2台並べて行うライブです。お相手は尊敬するピアニストの若井優也さん。調律は大信頼の井手雄一氏。
---5月---
【Album Release Tour】
曽根麻央、井上銘、山本連、木村紘
5/17(火) 蔭凉寺 岡山
5/18(水)ビルボード・ライブ大阪
5/19(木) ミスター・ケニーズ 名古屋
5/20(金) ライフタイム 静岡
9/23(金・祝) TBA
【そのほかのリーダーライブ】
5/14 (土) 曽根麻央トリオ@ 渋谷Body&Soul
5/15 (日) @ 本厚木キャビン
5/23 (月) 石川紅奈&曽根麻央 @ Apple 横浜
5/29(土) @ 本厚木キャビン
---その他のサポートライブ---
3/19 ユッコ・ミラー @甲府ジャズフェス
4/7 鈴木宏紀 @ Alfie
4/10 Kalta Otsuki @ Satin Doll
4/25 Kensuke Miyaki Big Band @ Bb Akasaka
5/1~5/6 Support Tour @ TBA
5/8 Masahiko Osaka @ Satin Doll
曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・2020.04『Motherland / Danilo Perez』・2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』・2020.06『Passages / Tom Harrell 』・2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』・2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』・2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』・2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』・2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』・2020.12『Three Suites / Duke Ellington』・2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』・2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』・2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』・2021.04『Something More / Buster Williams』・2021.05『Booker Little / Booker Little』・2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』・2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』・2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』・2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』・2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』・2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』・2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』・2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』・2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』
Reviewer information |
曽根麻央 Mao Soné 曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。 |