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曽根麻央 Monthly Disc Review2026.7_Herbie Hancock : Round Midnight :Monthly Disc Review


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Title : 『Round Midnight: Original Motion Picture Soundtrack』
Artist : Herbie Hancock



みなさんこんにちは、曽根麻央です。
今日は1986年のジャズをテーマにした映画『Round Midnight』から、そのサウンドトラックとしてのアルバムを紹介したいと思います。


パリを舞台に架空のジャズレジェンド「デイル・ターナー」の晩年を描く映画で、ターナー役には60年代以降、実際にヨーロッパに拠点を移し活動していたジャズ・レジェンド、デクスター・ゴードンが担当しているということも面白いですね。
ターナーのキャラクターや物語は、実在のジャズ・ピアニスト、バド・パウエルがパリで活動していた時の記録や、レスター・ヤングのエピソードが元になっているそうです。パウエル自身、薬物やアルコール中毒で寿命を縮めた人物であり、この映画の主人公であるターナーもまた、モダンジャズを作り上げた世代のミュージシャンを悩ませ苦しめた依存症に苦しむ一人として描かれています。ターナーを演じるデクスター・ゴードンも薬物使用の過去からアメリカで仕事が取れず、実際にヨーロッパに移住した経歴の持ち主です。当時の音楽界の問題をクローズアップした映画となっています。


全体の音楽はハービー・ハンコックが監督しており、配信上ではハンコック名義のアルバムとなっています。演奏シーンの音楽は、ハンコックやゴードン、ビリー・ヒギンズ、フレディ・ハバードといった名手が、スクリーンの中でもサウンドトラックの中でも実際に演奏して出演しているような形になります。
今回はあまりストーリーには深く触れず、サウンドトラックをあくまで一つのアルバムとして聴いていこうと思います。


私が幼い頃に観た記憶だと、どうしてもこの80年代の音楽映画特有の、一般の家庭用テレビのスピーカーでは詳細が聴こえてこないミックスが受け入れられず、正直あまり音楽に集中できなかった思い出があったのですが、このサウンドトラックはそんなことはなく、かなり生々しく素晴らしいメンバーの演奏を記録しています。
参加ミュージシャンも素晴らしいですが、やはりサウンドトラックなので各曲ごとにメンバーが入れ替わり立ち替わりしています。


1. "Round Midnight"
ハービー・ハンコック (Piano) / ロン・カーター (Bass) / トニー・ウィリアムス (Drums) / ボビー・マクファーリン (Vocal)
マイルス・デイヴィスのリズムセクションに、シンガーのボビー・マクファーリンが参加しています。
マクファーリンがスキャットでメロディーを歌います。デイヴィスのバンドのアプローチを基調としつつも、ハンコックがオリジナルにはない漂うようなコード進行を新たにつけており、それとベースのロン・カーターが音楽の主導権を交互に保ち合うかのような、絶妙なバランスでのせめぎ合いが際立ちます。
さらに、トニー・ウィリアムスのサウンドもとても鮮明に良い状態で記録されていて、ピアノソロ以降のスウィングの場面でのシンバルの鮮やかなタッチを聴くことができます。


2. "Body and Soul"
ハービー・ハンコック (Piano) / デクスター・ゴードン (Tenor Saxophone) / ピエール・ミシュロ (Bass) / ビリー・ヒギンズ (Drums) / ジョン・マクラフリン (Guitar)
主演のデクスター・ゴードンが吹いているトラック。
基本的に、ゴードンの参加トラックは劇中でのライブハウスの演奏シーンと思っていただいて良いと思います。あくまで予想ですが、ジャズミュージシャンがカメラの前で完璧に当て振りができるとは思えないので、映画の撮影ではおそらく映像と音を同時に収録しつつ、インサートを重ねているように見えます。なので、演奏シーンはほぼライヴ録音と言えるかなと思います。


3. "Bérangère's Nightmare"
ハービー・ハンコック (Piano) / ピエール・ミシュロ (Bass) / ビリー・ヒギンズ (Drums) / ジョン・マクラフリン (Guitar)
ハービーの手で弦をミュートしたサウンドと、ギターのエフェクトが絡む少し奇妙な一曲。おそらくサウンドトラックとしてBGM的な役割の曲だと思います。


4. "Fair Weather"
ハービー・ハンコック (Piano) / ピエール・ミシュロ (Bass) / ビリー・ヒギンズ (Drums) / チェット・ベイカー (Vocal & Trumpet)
なんと、シンガー・トランペッターのチェット・ベイカーが参加しているテイクです。
今日執筆するまでこのトラックの存在を知らなかったのですが、ベイカーとハンコックの共演ってあったんですね!ジャズファンとしてはちょっと熱くなりました。
ハンコックの独特な和声と、意外にもチェットの歌声やトランペットで作る即興のメロディーラインがはまっている気がしました。特にチェットの歌は柔らかいからふわっとしてると思われがちですが、実はとてもチューニングが正しいんです。だからかもしれませんが、複雑な和音にも正しくサウンドしています。
バラード曲で全員の力が抜けていて、まさにマエストロ同士の共演といったものになっています。


5. "Una Noche con Francis"
ハービー・ハンコック (Piano) / デクスター・ゴードン (Tenor Saxophone) / ウェイン・ショーター (Tenor Saxophone) / ボビー・ハッチャーソン (Vibraphone) / ピエール・ミシュロ (Bass) / ビリー・ヒギンズ (Drums)
こちらも意外な組み合わせで、ゴードンとウェイン・ショーターの掛け合いソロが聴けてしまいます。映像なしで耳だけ傾けていると、実は二人のタイム感や音色、アプローチが少し近く、油断しているとどちらの演奏だっけとなってしまいます。
おそらくですが、年齢的にもウェインが影響を受けてきたのではないかと思います。


6. "The Peacocks"
ハービー・ハンコック (Piano) / ウェイン・ショーター (Soprano Saxophone) / ピエール・ミシュロ (Bass) / ビリー・ヒギンズ (Drums)
ピアニスト、ジミー・ロウルズが書いた美しいバラード曲を、ショーターとハンコックの名コンビで演奏しています。


7. "How Long Has This Been Going On?"
ハービー・ハンコック (Piano) / デクスター・ゴードン (Tenor Saxophone) / ロネット・マッキー (Vocal) / ピエール・ミシュロ (Bass) / ビリー・ヒギンズ (Drums) ロネット・マッキー(Lonette McKee)
という、私もこの映画でしかお名前を存じ上げなかった女優さんが素晴らしい歌唱を披露しています。調べると、元々はデトロイト出身のシンガーだったのですが、ミュージカルへの出演を機に俳優として、またフィルムメーカーとして映像の世界にも携わっている多彩な人物のようです。
ニュースクールでフィルム・ディレクティングを勉強したり、バレエを本格的に習ったりと、かなり熱心に多方面の教養を得ようとする人物であるとプロフィールを読んで感じました。実際、こちらの歌唱も素晴らしいです。


8. "Rhythm-a-Ning"
シダー・ウォルトン (Piano) / フレディ・ハバード (Trumpet) / デクスター・ゴードン (Tenor Saxophone) / ロン・カーター (Bass) / トニー・ウィリアムス (Drums)
ピアノがハンコックから交代し、シダー・ウォルトンが参加。そしてトランペットの名手フレディ・ハバードがセッションをしているトラックです。


9. "Still Time"
ハービー・ハンコック (Piano) / デクスター・ゴードン (Soprano Saxophone) / ピエール・ミシュロ (Bass) / ビリー・ヒギンズ (Drums)
ハンコックのオリジナルソング。ゴードンのソプラノサックスはあまりイメージがわかない方も多いのではないでしょうか? 実際私もあまり聴いたことがなかったのですが、とてもストレートにはっきりとしたタンギングで区切るようなアーティキュレーションはテナーの時とあまり変わらず、彼の歌い方を感じることができます。
(※公式のクレジット等ではテナーと表記されていることもありますが、実際の音を聴く限りこれはソプラノです。)


10. "Minuit aux Champs-Elysées"
ハービー・ハンコック (Piano) / ボビー・ハッチャーソン (Vibraphone)
ピアノとヴィブラフォンはとても特別なデュオの形式ですね。以前チック・コリアとゲイリー・バートンの『Crystal Silence』というアルバムをこちらのレビューでも紹介しましたが、その二人とはまた違ったアイデンティティを持つ二人の名手によるデュオです。
ピアノもヴィブラフォンも同じく鍵盤の形をした打楽器の一種ですが、音のアタックと、その後の音の減衰速度が違うので、他の組み合わせとは違ったサウンドのデュオになります。
またヴィブラフォンはファンを回すことでヴィブラートもかけられるので、それもユニークなカラーとなります。


11. "Chan's Song (Never Said)"
ハービー・ハンコック (Piano) / ロン・カーター (Bass) / トニー・ウィリアムス (Drums) / ボビー・マクファーリン (Vocal)
ハンコックとスティーヴィー・ワンダーによる共作。美しく流れるハーモニーと、とても印象に残るメロディーで成り立っています。
マイケル・ブレッカーのアルバム『Nearness of You』での演奏が有名かもしれませんが、こちらのサントラ版がオリジナルのようです。


このように多様なメンバーによる、あらゆるスタイルのジャズが収められたアルバムとなっています。ぜひ聴いてみてください。



文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

round200.jpeg
Title :『Round Midnight: Original Motion Picture Soundtrack』
Artist : Herbie Hancock
LABEL : CBS
発売年 : 1986年



アマゾン 


【SONG LIST】

1. Round Midnight
2. Body And Soul
3. Berangere's Nightmare
4. Fair Weather
5. Una Noche Con Francis
6. The Peacocks
7. How Long Has This Been Going On?
8. Rhythm-A-Ning
9. Still Time
10. Minuit Aux Champs-Elysees
11. Chan's Song (Never Said)



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「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』2023.10『MAINS / J3PO』2023.11『Knower Forever / Knower』2023.12『Ella Wishes You A Swinging Christmas / Ella Fitzgerald』2024.01『Silence / Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins』2024.02『Rhapsody in Blue Reimagined / Lara Downes』2024.03『Djesse Vol. 4 / Jacob Collier』2024.04『Voyager / Moonchild』2024.05『Evidence with Don Cherry / Steve Lacy』2024.06『Quietude / Eliane Elias』2024.07『Alone Together / Lee Konitz, Brad Mehldau, Charlie Haden』2024.08『The Rough Dancer And The Cyclical Night (Tango Apasionado) / Astor Piazzolla』2024.09『Potro De Rabia Y Miel / Camarón De La Isla』2024.10『Calle 54 / Various』2024.11『Trumpets Of Michel-ange / Ibrahim Maalouf』2024.12『Sings for Only the Lonely / Frank Sinatra』2025.01『Hero Worship / Hal Crook』2025.02『Undercurrent / Kenny Drew』2025.03『Live In Toronto 1952 / Lennie Tristano Quintet』2025.04『Antidote / Chick Corea & The Spanish Heart Band』2025.05『Hot Five & Hot Seven / Louis Armstrong』2025.06『Panamonk / Danilo Pérez』2025.07『Nat King Cole Sings/George Shearing Plays / Nat King Cole、George Shearing』2025.08『Clifford Brown and Max Roach / Clifford Brown and Max Roach』2025.09『Montreux '77 / Ray Bryant』2025.10『Crystal Silence / Gary Burton & Chick Corea』2025.11『North Sea Jazz Legendary Concerts / Wayne Shorter』2025.12『Merry Christmas / Bing Crosby』2026.01『銀界/山本邦山』2026.02『Flugel / Andris Mattson』2026.03『Live at the Piano / Cory Henry』2026.04『The Melody At Night, With You / Keith Jarrett』2026.05『Ifrikya / Karim Ziadt』2026.06『Sonny Side Up / Dizzy Gillespie, Sonny Rollins, Sonny Stitt』

Reviewer information

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曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site


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Title : 『Sonny Side Up』
Artist : Dizzy Gillespie, Sonny Rollins, Sonny Stitt



みなさんこんにちは、曽根麻央です。
今日は1957年にVerveからノーマン・グランツのプロデュースで録音された『Sonny Side Up』というアルバムを紹介します。
このアルバムは、トランペット奏者でありビバップの創始者の一人でもあるディジー・ガレスピーがリーダーなのですが、タイトルの通り2人の"ソニー"たちがガレスピーの両隣に立ち、テナーサックスで熱いソロを繰り広げる作品になります。


この2人の"ソニー"たちは、40年代後半に圧倒的なリズムとテクニックで即興演奏を展開するスタイル(ビバップ)を築いたチャーリー・パーカーの意志を継いだ2人であることはもちろん、パーカーの死後、そこから各々のスタイルを確立していった人物たちだというのが重要なポイントです。

そのうちの一人、ソニー・スティットは、パーカーが演奏していた内容をより洗練させ、ポスト・ビバップの発展に貢献した人物です。アルトサックスの名手でもありますが、あまりにもパーカーと音色が酷似していたため、テナーに転向したという有名な逸話があります。

そしてもう一人、ソニー・ロリンズ。先月5月に95歳でこの世を去ったレジェンドですが、もちろんパーカーのリズム感やビバップのハーモニー感覚はそのままに、コード進行よりも演奏している曲のテーマやモチーフを深く追い求め、その形を変え、リズムを変えて展開していく、より熟考されたスタイルを持っています。
それまでのジャズ奏者にはなかったソロのアプローチを行い、モダン・ジャズの巨頭としてその名を残しました。


テナーサックスを代表する二人の演奏を、なかなか別の曲や異なるミックスで聴き比べても特徴がわかりにくかったりしますが、同じ曲、同じテンポ、同じミックスで演奏しているからこそ、その違いを鮮明に楽しむことができます。「今はどっちが演奏しているのかな?」と、人物ごとの特徴を思い浮かべながら聴くのもジャズの楽しみ方の一つ。このアルバムはそんな聴き方を教えてくれます。

また、アルバム3曲目(アナログ盤のB面1曲目)では、ピアニストであるレイ・ブライアントのピアノとアレンジをフィーチャーして、ブルースの定番曲「After Hours」を演奏しているのも興味深いです。このアレンジは、以前当レビューでも紹介したブライアントの晩年のアルバム『Plays Blues』にも収録されていて、彼のピアニスト人生を通して演奏されていたアレンジと言えるでしょう。
ブライアントのアレンジはピアノの音域が広く、ベーシストも自由に弾きすぎると音がぶつかってしまうため、そのアレンジをしっかりと理解して動く必要があります。
この『Sonny Side Up』では、実の兄であり「レイ・ブライアント・トリオ」のベーシストでもあるトミー・ブライアントが参加しているため、彼らの阿吽の呼吸の音楽が大きくフィーチャーされているのも嬉しいところです。


1. On the Sunny Side of the Street
1コーラス目のメロディの演奏の仕方が特徴的なアレンジです。G7(13, b9)のコードが吹き伸ばされると、ディジーのキュー(合図)でビバップ化された「On the Sunny Side of the Street」が始まります。オリジナルやルイ・アームストロングの有名なバージョンにはない細かい装飾音符や、8分音符とその裏拍のアクセントがアレンジされていて、パーカーの意志を継いだ人たちの、この時代ならではの演奏になっています。
ソロはスティット、ガレスピー、ロリンズの順番で演奏されていて、最後にガレスピーが歌って締めくくります。ただ歌うのではなく、オリジナルの歌詞を尊重しつつ、よりリズミカルに歌えるように言葉数を増やして韻を踏み、こちらも見事にビバップ化しているのがとても面白いです。ほとんどラップの原型に聞こえるような箇所もあります。
大好きな歌詞なのですが、調べてみても意外ときちんと書き起こしてくれている人が少ないので、ここに載せておきますね。

Grabbing up your hats, coats, boots and everything
Leave your worries on the doorstep 'cause we're going by and by
Just direct your feet, you look neat
On the sunny side of the street

Can't you hear the pitter and the patter
Of the raindrops trickling down your fire escape ladder?
Life could be so fine
Fine as mm... wine

I used to walk, walk in the shade
With my blues on parade
But, I'm not afraid
It's over, Casanova

If I never have one cent
I'll be rich as Rocky-feller
Gold dust at my feet
On the sunny, on the shady, on the sunny side of the street





2. The Eternal Triangle
こちらはガレスピーの書いた曲で、ジャズミュージシャンの共通言語的なフォームである「リズム・チェンジ」(ガーシュウィンの『I Got Rhythm』のコード進行が元になったもの)で書かれています。
ロリンズ、スティットが各々ソロを吹いたのち、二人が交互にソロを回す熱いトレードへと突入します。その後ガレスピーとブライアントがソロを演奏し、さらに最後にはガレスピーとドラムのチャーリー・パーシップのトレードもあるという、ジャズファン必聴の長尺・熱演ジャムセッションです。
ディジーのソロの特徴である、歯切れの良い明るいサウンドとリズムの中に、どこか喋っているかのような、ある意味では不安定なピッチのアンニュイなニュアンスが混ざる唯一無二の圧倒的な演奏が聴けるトラックでもあります。
ベースのトミー・ブライアントとドラムのチャーリー・パーシップが、伴奏としての役割の中でビートの"Follow and Lead"(追いかけ、引っ張る)の駆け引きをしている様子にも注目して聴くとさらに楽しいです。




3. After Hours
言わずと知れたブルースの名曲で、先述の通りブライアントのアレンジです。「スローブルース(スウィング)というのは、ゆっくりな4拍子とも言えるし、速い3拍子とも言える」というドラムの名手メル・ルイスとマックス・ローチのインタビューを以前リズムの歴史に調べていた時に見つけましたが、まさにその言葉を体感できるようなトラックです。




4. I Know That You Know
スティット、ガレスピー、ロリンズの順でソロをとっています。こちらも「The Eternal Triangle」と同様に、3者の特徴が実によく捉えられたトラックです。
特にガレスピーのソロは圧巻で、エンディングまで一瞬も隙のない華やかさがあります。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

sonny200.jpeg
Title :『Sonny Side Up』
Artist : Dizzy Gillespie / Sonny Stitt / Sonny Rollins
LABEL : Verve
発売年 : 1959年



アマゾン 


【SONG LIST】

1. On The Sunny Side Of The Street
2. The Eternal Triangle
3. After Hours
4. I Know That You Know



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「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』2023.10『MAINS / J3PO』2023.11『Knower Forever / Knower』2023.12『Ella Wishes You A Swinging Christmas / Ella Fitzgerald』2024.01『Silence / Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins』2024.02『Rhapsody in Blue Reimagined / Lara Downes』2024.03『Djesse Vol. 4 / Jacob Collier』2024.04『Voyager / Moonchild』2024.05『Evidence with Don Cherry / Steve Lacy』2024.06『Quietude / Eliane Elias』2024.07『Alone Together / Lee Konitz, Brad Mehldau, Charlie Haden』2024.08『The Rough Dancer And The Cyclical Night (Tango Apasionado) / Astor Piazzolla』2024.09『Potro De Rabia Y Miel / Camarón De La Isla』2024.10『Calle 54 / Various』2024.11『Trumpets Of Michel-ange / Ibrahim Maalouf』2024.12『Sings for Only the Lonely / Frank Sinatra』2025.01『Hero Worship / Hal Crook』2025.02『Undercurrent / Kenny Drew』2025.03『Live In Toronto 1952 / Lennie Tristano Quintet』2025.04『Antidote / Chick Corea & The Spanish Heart Band』2025.05『Hot Five & Hot Seven / Louis Armstrong』2025.06『Panamonk / Danilo Pérez』2025.07『Nat King Cole Sings/George Shearing Plays / Nat King Cole、George Shearing』2025.08『Clifford Brown and Max Roach / Clifford Brown and Max Roach』2025.09『Montreux '77 / Ray Bryant』2025.10『Crystal Silence / Gary Burton & Chick Corea』2025.11『North Sea Jazz Legendary Concerts / Wayne Shorter』2025.12『Merry Christmas / Bing Crosby』2026.01『銀界/山本邦山』2026.02『Flugel / Andris Mattson』2026.03『Live at the Piano / Cory Henry』2026.04『The Melody At Night, With You / Keith Jarrett』2026.05『Ifrikya / Karim Ziadt』

Reviewer information

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曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

曽根麻央 Monthly Disc Review2026.5_ Karim Ziad : Ifrikya:Monthly Disc Review



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Title : 『Ifrikya』
Artist : Karim Ziad


アルジェリアが誇る名ドラマー、カリム・ジアド(Karim Ziad)のアルバムをご紹介します。


彼は、アルジェリアやモロッコといった北アフリカの伝統的なリズムを、現代の楽器やジャズ・ポップスのメロディーと見事に融合させるアーティストです。その卓越したビートは、民族音楽を深く探求するミュージシャンからも絶大な支持を得ています。


特に「Chaabi(シャアビ)」と呼ばれるアルジェリアのリズムが炸裂する「The Joker」「Gwarir」「Amaliya」の3曲は圧巻です。今回は、その不思議なリズムの仕組みについても少し触れてみましょう。


北アフリカの音楽はアラブ文化と密接に関わっています。聴き込むうちに、フラメンコや中東音楽との繋がりがうっすらと見えてくるはずです。アフリカ、中東、南ヨーロッパ----当時から人々が活発に行き交い、文化を交差させてきた歴史が音の粒から立ち上がってくるかのようです。


シャアビというスタイル自体は1930年代に成立した大衆音楽で、意外にも歴史は新しいのですが、その源流はさらに古く、アンダルシア音楽(Andalusi)やアラブ音楽の詩の形式「ムワシャー(Muwashshah)」にあると言われています。長い年月をかけてフラメンコなどと起源を同じくしながら進化してきた、まさに「歴史の結晶」のような音楽なのです。
シャアビが「難しく」聞こえる理由
我々のように西洋的な音楽教育を受けた耳にとって、シャアビのリズムが複雑に聞こえる最大の理由は、「一番低い音がくる場所が1拍目ではない」ことにあります。
シャアビの最小単位は6拍子(あるいは12拍子)で構成されています。


基本の6拍子:
1 2 3 4 5 6


アクセントの位置(h=高音 / L=低音):
1 2 h 4 L 6 (1小節目)
1 h 3 4 L 6 (2小節目)


手拍子の柱(●):
● 2 h ● L 6 | ● h 3 ● L 6


このように「●」の位置で聴くと均等な4拍子のようにも錯覚しますが、低音(L)が「5」にくるため、重心が後ろに引っ張られるような独特の浮遊感が生まれます。さらに高音(h)や低音が奇数拍を強調するため、高度なポリリズムが自然に形成されるのです。


この「頭拍に重心が来ない」感覚は、ベネズエラのホローポ(Joropo)など、ラテン諸国の3拍子系グルーヴにも共通する魅力です。しかし、それぞれの地域で辿ってきた歴史は異なります。リハーサル現場で我々が「ラテンで!」という指定に「どのラテン?」と困惑してしまうのは、それだけ細分化された豊かな名前と歴史がリズムに宿っているからなのです。


ピックアップ・トラック
M9「The Joker」
まずはこの曲から。ピアノのミュート奏法による小気味よいベースラインに導かれ、アルジェリアの弦楽器マンドールやバンジョーが入ってきた瞬間、シャアビの世界が始まります。ベースラインの最も低い音とバスドラムが鳴る場所が、先ほどの解説でいう「5拍目」です。最初はここを「1」だと勘違いしてしまいそうになりますが、聴き込むうちにリズムの構造が立体的に立ち上がってきます。


M8「Gwarir」
シャアビ入門として最適です。「The Joker」よりテンポが上がり、さらに「1」が見えにくくなります。メロディーがトリッキーな位置にアクセントを置いているため、最初は耳が追いつかないかもしれませんが、一度ハマるとこの上なく心地よいグルーヴに支配されます。


M7「Amaliya」
アルバム最速のシャアビです。高速になると不思議とフラメンコに近い質感が増してきます。大きな拍の波を捉えるのがコツです。終盤のリードボーカルとコーラスによるコール・アンド・レスポンスが圧巻のエンディングまで一気に駆け抜けます。
普段の生活圏ではまず体験できない「3拍子の浮遊感」。アラブ音楽由来の独特な民族情緒を、ぜひこのアルバムで体感してみてください。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

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Title :『Ifrikya』
Artist : Karim Ziad
LABEL : Act
発売年 : 2008年



アマゾン 


【SONG LIST】

1. Ait Oumrar
2. Ya Rijal
3. Awra
4. Lebnia
5. Alouhid
6. Sandiya
7. Amaliya
8. Gwarir
9. Joker
10. Nesrafet



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「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』2023.10『MAINS / J3PO』2023.11『Knower Forever / Knower』2023.12『Ella Wishes You A Swinging Christmas / Ella Fitzgerald』2024.01『Silence / Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins』2024.02『Rhapsody in Blue Reimagined / Lara Downes』2024.03『Djesse Vol. 4 / Jacob Collier』2024.04『Voyager / Moonchild』2024.05『Evidence with Don Cherry / Steve Lacy』2024.06『Quietude / Eliane Elias』2024.07『Alone Together / Lee Konitz, Brad Mehldau, Charlie Haden』2024.08『The Rough Dancer And The Cyclical Night (Tango Apasionado) / Astor Piazzolla』2024.09『Potro De Rabia Y Miel / Camarón De La Isla』2024.10『Calle 54 / Various』2024.11『Trumpets Of Michel-ange / Ibrahim Maalouf』2024.12『Sings for Only the Lonely / Frank Sinatra』2025.01『Hero Worship / Hal Crook』2025.02『Undercurrent / Kenny Drew』2025.03『Live In Toronto 1952 / Lennie Tristano Quintet』2025.04『Antidote / Chick Corea & The Spanish Heart Band』2025.05『Hot Five & Hot Seven / Louis Armstrong』2025.06『Panamonk / Danilo Pérez』2025.07『Nat King Cole Sings/George Shearing Plays / Nat King Cole、George Shearing』2025.08『Clifford Brown and Max Roach / Clifford Brown and Max Roach』2025.09『Montreux '77 / Ray Bryant』2025.10『Crystal Silence / Gary Burton & Chick Corea』2025.11『North Sea Jazz Legendary Concerts / Wayne Shorter』2025.12『Merry Christmas / Bing Crosby』2026.01『銀界/山本邦山』2026.02『Flugel / Andris Mattson』2026.03『Live at the Piano / Cory Henry』2026.04『The Melody At Night, With You / Keith Jarrett』

Reviewer information

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曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

曽根麻央 Monthly Disc Review2026.4_ Keith Jarrett : The Melody At Night, With You:Monthly Disc Review

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Title : 『The Melody At Night, With You』
Artist : Keith Jarrett


みなさんこんにちは、曽根麻央です。 今日は究極にプライベートなアルバム、そしてリラックスしたい時にピッタリな名盤を聴いていきたいなと思います。

皆さんは朝目覚めて、最後にきちんと自分の時間に余裕を持って過ごせたのはいつでしたか? 現代は携帯の通知もひっきりなしですし、仕事のタスクも可視化されて、なんだか便利になればなるほど忙しくなるなという感じがしています。そんな現代人の心にピッタリと寄り添ってくれるのが、このアルバムかもしれません。なぜなら、このソリスト、キース・ジャレットも当時、自身の過酷な体調と闘い、ピアノに向かうことで自分自身を癒やし、再び音楽と繋がろうとしていたからです。


1996年末から、キースは慢性疲労症候群(CFS)により、演奏活動はおろか、ピアノの前に座ることすら困難な状態に陥りました。そんな中、1997年の後半から少しずつ体調が回復し始めた頃、自宅の「ケイヴライト・スタジオ(Cavelight Studio)」で、自分自身を癒やすように録音を進めていったようです。
1999年のインタビューで、彼はこう振り返っています。


「1997年の12月、妻へのクリスマス・プレゼントとして録音を始めました。ちょうどハンブルク・スタインウェイをオーバーホールしたばかりだったので、その状態を試してみたかったのです。
スタジオは自宅のすぐ隣にあるので、目が覚めて、体調がいくらかマシな日があれば、テープ・レコーダーを回して数分間だけピアノを弾きました。それ以上続けるには、あまりにも疲れすぎていたのです。
やがて、マイクの配置や楽器の新しいアクションといったものが、不意にカチッと噛み合い始めました。これほどまでに静かに弾けるものか、と。そして、メロディが、楽曲そのものが持つ、内面的なダイナミクス。それは、心の準備ができている者にしか訪れない、小さな奇跡の一つでした」


こんな言葉からもわかるように、この演奏自体がキース・ジャレットにとってのセルフ・メディテーションだったのかもしれない。そんな気がする音楽なのです。

私自身、年子の幼い子どもたちの子育てが重なり、3〜4時間ごとに夜も起こされる日々が2年続いています。それでもなお続く制作と本番を必死にこなしていく毎日。正直、今の私はかなり「疲れている人間」の部類に入るでしょう。そんな私の心にスッと入ってきた、だからこそ今、この作品を皆さんにご紹介したいと心から思ったのです。

このアルバムには、決して派手なリハーモナイズや、キース特有の技巧的なメロディラインがあるわけではありません。しかし、その1秒1秒に輝きがあります。 音楽家はやはりどこかで自分を誇示したい生き物ですから、私たちはつい「新しい解釈を」「面白いリハモを」と足し算をしてしまいがちです。しかしこのアルバムは極限の「引き算」です。シンプルなコード、抑えられたダイナミクス、そこに究極の美しさを感じます。

選曲もジャズ・スタンダードやミュージカル・ナンバーなど、元々「歌詞」を持つ楽曲が多く、それら本来のメロディが持つ意味を最大限に引き出すような演奏スタイルになっています。 また、プライベートな空間で至近距離に配置されたマイクで捉えられた音は、キースとの距離を驚くほど近くに感じさせます。ソフトに弾いているにもかかわらず、鍵盤が底に当たる音や弦の響きまでもが、すぐ耳元で鳴っているかのような臨場感があるのです。

そして、ピアノの音が減衰して次の音に移るまでの「間」も、非常に印象的です。当時の彼に体力がなかったからこの「間」が生まれたのかはわかりませんが、その空間には、聴き手である私たちの溜息や感情が入り込む余白があります。音楽が積極的に何かを主張するのではなく、ただそこに寄り添ってくれる「受容的」な響き。それが私たちの癒やしとなってくれることは確かです。

2017年にコンサート活動を休止して以降、彼の演奏をリアルタイムで体験することは難しくなりましたが、彼が遺したこうした作品は、今後も何度も再注目され、後世に多大な影響を与え続けることでしょう。



文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

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Title :『The Melody At Night, With You』
Artist : Keith Jarrett
LABEL : ECM
発売年 : 1999年



アマゾン 


【SONG LIST】

1. I Loves You Porgy
2. I Got It Bad and That Ain't Good
3. Don't Ever Leave Me
4. Someone to Watch Over Me
5. My Wild Irish Rose
6. Blame It on My Youth/Meditation
7. Something to Remember You By
8. Be My Love
9. Shenandoah
10. I'm Through with Love




<<曽根麻央 公演情報>>


2026年4月17日(金)
KOBUSHI TRIO
会場:東京・浜離宮朝日ホール
出演:三浦一馬(bn)、浅野祥(三味線,歌)、曽根麻央(p,tp)、KAN(per) 
https://eplus.jp/sf/detail/4474970001?P6=001&P1=0402&P59=1


2026年4月25日 (土)
浅野祥 津軽三味線コンサート「響」
会場:宮城・仙台市シルバーセンター
ゲスト:曽根麻央 (Piano & Trumpet)、ビルマン聡平 (Violin)、佐山裕樹 (Cello)
https://www.edward.co.jp/live/search/detail/1323/


2026年5月8日(金)
Marty Friedman Plays Piazzolla And More Concert Hall 2026
会場:東京・浜離宮朝日ホール
出演:マーティ・フリードマン(g)、三浦一馬(bn)、曽根麻央(p)  
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2533736


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「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』2023.10『MAINS / J3PO』2023.11『Knower Forever / Knower』2023.12『Ella Wishes You A Swinging Christmas / Ella Fitzgerald』2024.01『Silence / Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins』2024.02『Rhapsody in Blue Reimagined / Lara Downes』2024.03『Djesse Vol. 4 / Jacob Collier』2024.04『Voyager / Moonchild』2024.05『Evidence with Don Cherry / Steve Lacy』2024.06『Quietude / Eliane Elias』2024.07『Alone Together / Lee Konitz, Brad Mehldau, Charlie Haden』2024.08『The Rough Dancer And The Cyclical Night (Tango Apasionado) / Astor Piazzolla』2024.09『Potro De Rabia Y Miel / Camarón De La Isla』2024.10『Calle 54 / Various』2024.11『Trumpets Of Michel-ange / Ibrahim Maalouf』2024.12『Sings for Only the Lonely / Frank Sinatra』2025.01『Hero Worship / Hal Crook』2025.02『Undercurrent / Kenny Drew』2025.03『Live In Toronto 1952 / Lennie Tristano Quintet』2025.04『Antidote / Chick Corea & The Spanish Heart Band』2025.05『Hot Five & Hot Seven / Louis Armstrong』2025.06『Panamonk / Danilo Pérez』2025.07『Nat King Cole Sings/George Shearing Plays / Nat King Cole、George Shearing』2025.08『Clifford Brown and Max Roach / Clifford Brown and Max Roach』2025.09『Montreux '77 / Ray Bryant』2025.10『Crystal Silence / Gary Burton & Chick Corea』2025.11『North Sea Jazz Legendary Concerts / Wayne Shorter』2025.12『Merry Christmas / Bing Crosby』2026.01『銀界/山本邦山』2026.02『Flugel / Andris Mattson』2026.03『Live at the Piano / Cory Henry』

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曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

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曽根麻央 Monthly Disc Review2026.3_Cory Henry : Live at the Piano:Monthly Disc Review

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Title : 『Live at the Piano』
Artist : Cory Henry


みなさんこんにちは、ジャズピアニスト、トランペッターの曽根麻央です。
今日は2023年にリリースされた、オルガンの名手Cory Henry(コーリー・ヘンリー)の『Live at the Piano』をご紹介します。
第66回グラミー賞(2024年)の「Best Alternative Jazz Album」部門にノミネートされたことでも話題になりましたが、今日はその魅力をお伝えできればと思います。


オルガンの名手である彼が、あえてオルガンを封印。ピアノとボーカルマイク、そして右足にバスドラム(キックドラム)を配置した独自のセッティングで挑んだソロ・ライブの様子が、生々しくも大迫力で記録されています。
収録はロサンゼルスのApogee Studiosで、観客を入れた公開収録スタイルで行われました。この時のライブ映像は、ApogeeのオフィシャルYouTubeチャンネルでも見ることができます。
Apogee(アポジー)とは、我々音楽家の間で名高いオーディオインターフェースのメーカーです。オーディオインターフェースというのは、音というアナログ信号をデジタル信号に変える機器のことで、パソコンでのレコーディングが一般的な現在のミュージシャンには必需品です。この機材がないと録音ができないと言っても過言ではありません。 僕自身、学生時代からずっとApogeeの製品を愛用しているファンなのですが、このアルバムが最新機材のPRも兼ねて制作されたと聞き、そのバックグラウンドを知るだけでワクワクしました。
音響機器メーカーが主導した録音ですから、とにかく音がクリアです。ピアノの響きも鮮明ですし、ボーカルマイクから聞こえてくる息遣いまでもがグルーヴィー。そういったささやかな「声」にまで耳を澄ませてしまいます。そして、右足のバスドラムがしっかり低いところで鳴り響き、全体のサウンドのコア(核)となっています。


このアルバムでは、ソリストとしてのCory Henryを純粋に体験することができます。
普段は完成されたバンドサウンドの作品が多い彼ですが、今回は素のままのCory Henryといえます。InstagramなどのSNSでふと見かける、あの圧倒的に格好いい演奏の断片が、そのまま最高峰の音質でパッケージされたようなイメージです。
音楽性も、彼のルーツである教会音楽からジャズ、さらにはキース・ジャレットのようなモダンな響きまでを感じさせるクロスオーバーな世界観が素晴らしく、この密度をソロで聴かせていることに驚かされます。ピアニストとしての卓越した技術、拍を突っ込んだり遅らせたりといった自由自在な駆け引き、遊び心のあるフレーズ、そしてソウルフルな歌声......彼の魅力が凝縮されています。


特に注目したいのは、彼がオルガニストとして培ってきた「足が自由に動く」という利点を活かし、バスドラムをピアノ演奏に組み込んでいる点です。
ピアノを弾きながら、ここまで正確にペダルを踏み込むのは至難の業です。単に4分音符を刻むだけでなく、「Our Affairs」では裏拍で踏み込んだり、「Switch」では複雑な左手のリズムパターンを補完するようにベースドラムがグルーヴの基盤を作っています。手と足の独立(インデペンデンス)をここまで高精度に実現できるのは、まさにオルガニストとしての身体特性をピアノに落とし込んだ、素晴らしい工夫だと言えるでしょう。

収録曲は古い教会音楽や、自身の過去のアルバムからのセルフカバーが中心です。
1曲目の「Testimony」では、まるで日曜日の礼拝での告白(Testimony)のように、「今日目が覚めたら......」という自然な語りから始まります。音楽が常に生活のすぐそばにある、そんな彼の歩みを感じ取れるアルバムです。
ぜひ聴いてみてください。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

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Title :『Live at the Piano』
Artist : Cory Henry
LABEL : Philips
発売年 : 2023年



https://ingrv.es/live-at-the-piano-du1-s


【SONG LIST】

1. Testimony
2. Down Through the Years
3. Dreaming Of
4. Icarus
5. Happy Days
6. Switch
7. Our Affairs
8. No Guns
9. Dedicated




<<曽根麻央 公演情報>>
2026年3月21日(土)
会場:The Moment Jazz Club
和田明 (Vocal) & 曽根麻央 (Piano & Trumpet)
アルバム『Sings & Plays』の世界を、気鋭のヴォーカリスト和田明と共に。


2026年4月2日(木)
曽根麻央:Cinema Jazz -Love Story-
会場:東京・Hakuju Hall(渋谷)
ピアノ、ヴァイオリン、チェロによるピアノ・トリオ編成で贈る、映画音楽とジャズの夕べ。
出演:曽根麻央(p)、ビルマン聡平(vl)、西谷牧人(vc) 
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2603267


2026年4月17日(金)
KOBUSHI TRIO
会場:東京・浜離宮朝日ホール
文化の枠を超えたクロスカルチャー・プロジェクト。
出演:三浦一馬(bn)、浅野祥(三味線,歌)、曽根麻央(p,tp)、KAN(per) 
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2603078


2026年5月8日(金)
Marty Friedman Plays Piazzolla And More Concert Hall 2026
会場:東京・浜離宮朝日ホール
世界的ギタリスト、マーティ・フリードマンを迎えた異色のコラボレーション。
出演:マーティ・フリードマン(g)、三浦一馬(bn)、曽根麻央(p)  
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2533736


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「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』2023.10『MAINS / J3PO』2023.11『Knower Forever / Knower』2023.12『Ella Wishes You A Swinging Christmas / Ella Fitzgerald』2024.01『Silence / Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins』2024.02『Rhapsody in Blue Reimagined / Lara Downes』2024.03『Djesse Vol. 4 / Jacob Collier』2024.04『Voyager / Moonchild』2024.05『Evidence with Don Cherry / Steve Lacy』2024.06『Quietude / Eliane Elias』2024.07『Alone Together / Lee Konitz, Brad Mehldau, Charlie Haden』2024.08『The Rough Dancer And The Cyclical Night (Tango Apasionado) / Astor Piazzolla』2024.09『Potro De Rabia Y Miel / Camarón De La Isla』2024.10『Calle 54 / Various』2024.11『Trumpets Of Michel-ange / Ibrahim Maalouf』2024.12『Sings for Only the Lonely / Frank Sinatra』2025.01『Hero Worship / Hal Crook』2025.02『Undercurrent / Kenny Drew』2025.03『Live In Toronto 1952 / Lennie Tristano Quintet』2025.04『Antidote / Chick Corea & The Spanish Heart Band』2025.05『Hot Five & Hot Seven / Louis Armstrong』2025.06『Panamonk / Danilo Pérez』2025.07『Nat King Cole Sings/George Shearing Plays / Nat King Cole、George Shearing』2025.08『Clifford Brown and Max Roach / Clifford Brown and Max Roach』2025.09『Montreux '77 / Ray Bryant』2025.10『Crystal Silence / Gary Burton & Chick Corea』2025.11『North Sea Jazz Legendary Concerts / Wayne Shorter』2025.12『Merry Christmas / Bing Crosby』2026.01『銀界/山本邦山』2026.02『Flugel / Andris Mattson』

Reviewer information

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曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

曽根麻央 Monthly Disc Review2026.2_Andris Mattson : Flugel:Monthly Disc Review

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Title : 『Flugel』
Artist : Andris Mattson


みなさんこんにちは、ジャズピアニスト、トランペッターの曽根麻央です。
今日はMoonchildのメンバーの一人であり、非常に優れた音楽的センスの持ち主でもあるAndris Mattsonの新作アルバム『Flugel』を取り上げたいと思います。
このアルバムはフィジカルが2025年12月5日リリース、デジタル配信は2026年リリースという形になっています。


『Flugel』というタイトルの通り、本作はトランペッターにとってサブ楽器として扱われることの多い金管楽器、フリューゲルホルンにスポットライトを当てたアルバムです。しかもフリューゲルホルンのソロアルバム。
ただし、いわゆる従来型のソロ作品とはまったく異なり、これは「次世代の管楽器演奏」と言っていい内容だと思います。
非常に革新的でありながら、同時に洗練されていて、音楽としてきちんとおしゃれで成立している。そのバランス感覚がとても印象的です。
フリューゲルホルンは基本的にはトランペットと同じ奏法で演奏されますが、トランペットよりも深く、カップ容量の大きいマウスピースを使用するため、太く柔らかい音色が特徴です。そのため、メロウなバラードやミディアムテンポのジャズで使われることが多く、クラシックの分野でも長く親しまれてきました。
近年では、セルゲイ・ナカリャコフのようなクラシック・トランペットの名手が、独自に改造した4本バルブのフリューゲルホルンを用い、本来の楽器の音域を超えた協奏曲演奏に挑むなど、この楽器の可能性を大きく拡張しています。
そうした流れの中で、Andris Mattsonはフリューゲルホルンという楽器にとどまらず、次世代の金管楽器の演奏法、作曲法、そして表現そのものを提示してしまった。このアルバムは、そんな印象を強く残します。


本作の大きな特徴は、フリューゲルホルンとエフェクトペダルの使い方です。これまで管楽器奏者がエフェクトを使うケースは数多くありましたが、そのアプローチとは明らかに異なり、非常に衝撃的です。
あまりにも完成度が高いため、多重録音ではないかと思ってしまいますが、本人が公開しているレコーディング中の映像を見る限り、これらの演奏はほぼ一発録りで行われているように見えます。演奏は自宅のリビングのような空間で行われており、フリューゲルホルン、エフェクトペダル、マイクが並べられた、非常にリラックスした雰囲気の中で録音されています。
マイキングについては、フリューゲルホルンの生音をSENNHEISERのMD 441で収録しているのは間違いありません。エフェクトペダルを経由した音については、ピックアップマイクを使用していますが、メーカーは不明です。


エフェクトの中でも特に特徴的なのがハーモナイザーです。ハーモナイザーとは、トランペットやフリューゲルホルンのように単音しか同時に演奏できない楽器に対して、指定した音程をリアルタイムで付加するエフェクトのことです。
従来は演奏前に音程を設定する必要があり、使える和音や響きはある程度限定されていました。オクターブユニゾンなどが代表的な使い方です。しかしAndris Mattsonは、手のひらサイズのMIDIコントローラーをハーモナイザーに接続し、それを楽器本体に取り付けています。
フリューゲルホルンを演奏している左手の指で、演奏と同時に和音設定を操作することができ、その瞬間ごとに音楽が求める音の積み重ね方を選択できる。結果として、単音楽器でありながら、極めて自由度の高いハーモニー表現が可能になっています。
本人のYouTubeには「Flugel + MIDI Accordion buttons」と表記されており、アコーディオンの左手部分とフリューゲルホルンが融合した、というコンセプトで捉えると非常に分かりやすいでしょう。


さらに、Gamechanger AudioのPLUS PEDALも使用されています。これはピアノのサステインペダルのように、鳴らした音を無限に伸ばすことができるエフェクトペダルで、音量感や、ペダルを離した後の音の切れ方なども細かく調整できます。
楽曲ごとに適切な伸び方を選ぶことで、単なる持続音ではなく、音楽の流れの中で自然に呼吸するサウンドとして機能しています。


そのほか、ルーパーの使用も想定されます。
リズミカルな要素については、ループによる反復、あるいはドラムマシン的にバスドラムのような音を一定のパターンで鳴らせる機材を組み合わせている可能性があります。
ここまで来ると多重録音ではダメだったのかと疑問に思う人もいるかもしれませんが、息の揺れ方、ビブラート、ベンディング、音のキレは元の音とピッタリあってるのがエフェクトペダルを使った時の特徴です。そのサウンドが現代的、新しく聞こえるのかと思います。
またエフェクト色の強いアルバムですが、しっかりとピストンの音や息遣いなどの楽器ノイズも聴き取れて、それがAI音楽ではない、人間さを出しています。
フリューゲルホルンというシンプルな単旋律楽器を用いながら、ここまで現代的で、しかもレベルの高い表現に到達している作品は非常に稀です。

『Flugel』は、単なる実験作ではなく、これからの管楽器表現の一つの到達点として記憶されるアルバムになるのではないでしょうか。
ぜひ聴いてみてください。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

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Title :『Flugel』
Artist : Andris Mattson
LABEL : Philips
発売年 : 2025年



https://andrismattson.bandcamp.com/album/flugel


【SONG LIST】

1. WING
2. Continuum
3. ALA
4. Still
5. ...Still
6. SPĀRNS
7. aloe



曽根麻央『8つの小品』
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ジャズピアニスト兼作曲家・曽根麻央が贈る最新スタジオアルバム『8つの小品』。第一子誕生という人生最大の節目に生まれたこの作品は、家族の愛、日常の輝き、そして音楽への深い探求が織り込まれた45分間の組曲。緻密なオーケストレーション、ジャズとクラシックの垣根を超えた響き、そして親子の時間から生まれた優しくもダイナミックな旋律。新たな旅立ちの予感と共に、音楽の喜びを届ける一枚。

【Songs】
1. Ⅰ. Overture (feat. Ryo Miyachi, Hironori Suzuki)
2. Ⅱ. The Light You'll See
3. Ⅲ. Maria's Eye
4. Ⅳ. When the Angel Cries (feat. May Inoue, Ryo Miyachi, Hironori Suzuki)
5. Ⅴ. Lullaby
6. Ⅵ. Rumba (feat. Kojiro Tokunaga, Ryo Miyachi, Kan)
7. Ⅶ. Love Letter (feat. Edmar Colón)
8. Ⅷ. Finale Part 1 (feat. Kan)
9. Ⅷ. Finale Part 2 (feat. Ryo Miyachi, Hironori Suzuki)

【CD Bonus Track】
10. Waltz for Debby
11. A Song for Jobim
12. Lullaby (Piano Solo ver.)

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「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』2023.10『MAINS / J3PO』2023.11『Knower Forever / Knower』2023.12『Ella Wishes You A Swinging Christmas / Ella Fitzgerald』2024.01『Silence / Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins』2024.02『Rhapsody in Blue Reimagined / Lara Downes』2024.03『Djesse Vol. 4 / Jacob Collier』2024.04『Voyager / Moonchild』2024.05『Evidence with Don Cherry / Steve Lacy』2024.06『Quietude / Eliane Elias』2024.07『Alone Together / Lee Konitz, Brad Mehldau, Charlie Haden』2024.08『The Rough Dancer And The Cyclical Night (Tango Apasionado) / Astor Piazzolla』2024.09『Potro De Rabia Y Miel / Camarón De La Isla』2024.10『Calle 54 / Various』2024.11『Trumpets Of Michel-ange / Ibrahim Maalouf』2024.12『Sings for Only the Lonely / Frank Sinatra』2025.01『Hero Worship / Hal Crook』2025.02『Undercurrent / Kenny Drew』2025.03『Live In Toronto 1952 / Lennie Tristano Quintet』2025.04『Antidote / Chick Corea & The Spanish Heart Band』2025.05『Hot Five & Hot Seven / Louis Armstrong』2025.06『Panamonk / Danilo Pérez』2025.07『Nat King Cole Sings/George Shearing Plays / Nat King Cole、George Shearing』2025.08『Clifford Brown and Max Roach / Clifford Brown and Max Roach』2025.09『Montreux '77 / Ray Bryant』2025.10『Crystal Silence / Gary Burton & Chick Corea』2025.11『North Sea Jazz Legendary Concerts / Wayne Shorter』2025.12『Merry Christmas / Bing Crosby』2026.01『銀界 / 山本邦山』

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曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

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曽根麻央 Monthly Disc Review2026.1_山本邦山 : 銀界:Monthly Disc Review

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Title : 『銀界』
Artist : 山本邦山


あけましておめでとうございます。曽根麻央です。

今日は新年に聴くのにふさわしい一枚として、日本の伝統楽器・尺八の大巨匠、山本邦山のアルバム『銀界』をご紹介します。

僕自身、昨年から多くのご縁に恵まれ、さまざまな尺八奏者の方々と共演する機会がありました。近年の尺八奏者の皆さんは、古典の厳しい稽古によって培われた技術や知識を持ちながら、西洋音楽の音階やリズムにも精通していて、西洋式の譜面を渡すだけで非常に創造的なアンサンブルを可能にしてくれます。
尺八は五孔、つまり5つの穴しか持たない極めてシンプルな構造の楽器です。日本の音階は五音階ですが、西洋音楽では12音階を用います。現代の尺八奏者は、指使いの工夫やメリの角度、場合によっては後孔を使うことで、この12音を自在に操ります。これは非常に感覚的で、同時に高度な修練と優れた音感を要求される技術です。尺八で12音階を完全に使いこなすということ自体が、驚くべきことなのです。
そうした日本と西洋の音楽世界を最初に本格的に橋渡しし、尺八の概念を大きく拡張した人物こそ、人間国宝・山本邦山ではないでしょうか。ジャンルを越えたコラボレーションによって尺八のサウンドを世界へと広めた、最重要人物の一人と言ってよいと思います。


本作『銀界』には、さらに二人の日本ジャズ界を代表する音楽家が参加しています。
一人目はピアニストの菊地雅章。秋吉敏子に次いで世界的評価を得た日本人ジャズピアニストで、日本人特有の「間」をジャズピアノで体現することに成功した稀有な存在です。このアルバムでも、彼の独特の色彩感覚と間合いが、尺八とジャズの間を自然につないでいます。
本来ハーモニーを持たない日本の伝統音楽に、まるで昔から存在していたかのように和声が溶け込んでいるのは驚異的です。
余談ですが、ポール・モチアンの『Broadway No. 5』での演奏もぜひ聴いてほしいところです。


二人目はドラマーの村上寛。現在でも日本のジャズクラブでその演奏を聴くことができる貴重な存在で、ぜひスケジュールを調べて足を運んでほしい演奏家です。
本作では音色の美しさが際立っており、アルバム後半では彼ならではの素晴らしいシンバル・レガートも堪能できます。
さらにベースにはゲイリー・ピーコックが参加しています。


『銀界』はアルバム前半がフリーかつコンテンポラリーな内容で、後半はスウィングを中心に展開されます。
M1「序=Prologue」とM6「終=Epilogue」は同一モチーフで構成されており、C-Gを往復するベースの反復と、菊地雅章が繰り返す不協和音が独特の"間"を生み、その上を山本邦山が自由に尺八で舞います。


タイトル曲M2「銀界=Silver World」は、山本邦山のソロに呼応するようにリズムセクションが定型フレーズを提示し、次第にグルーヴを帯びながらコンテンポラリー・ジャズへと姿を変えていきます。
そのサウンドは、2000年代初期のウェイン・ショーター・カルテットを思わせる瞬間もあり、時代を超えた先見性に驚かされます。


M3「竜安寺の石庭=Stone Garden of Ryoan Temple」は全編フリージャズ的な構成。


M4「驟雨=A Heavy Shower」はスウィング、M5「沢之瀬=Sawanose」はスウィング・ワルツとなっており、いわゆる"ジャズと尺八の融合"をより明確にイメージできる内容です。



文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

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Title :『銀界』
Artist : 山本邦山
LABEL : Philips
発売年 : 1971年



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【SONG LIST】

A1. 序 = Prologue
A2. 銀界 = Silver World
A3. 竜安寺の石庭 = Stone Garden Of Ryoan Temple
B1. 驟雨 = A Heavy Shower
B2. 沢之瀬 = Sawanose
B3. 終 = Epiloguerney



曽根麻央『8つの小品』
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ジャズピアニスト兼作曲家・曽根麻央が贈る最新スタジオアルバム『8つの小品』。第一子誕生という人生最大の節目に生まれたこの作品は、家族の愛、日常の輝き、そして音楽への深い探求が織り込まれた45分間の組曲。緻密なオーケストレーション、ジャズとクラシックの垣根を超えた響き、そして親子の時間から生まれた優しくもダイナミックな旋律。新たな旅立ちの予感と共に、音楽の喜びを届ける一枚。

【Songs】
1. Ⅰ. Overture (feat. Ryo Miyachi, Hironori Suzuki)
2. Ⅱ. The Light You'll See
3. Ⅲ. Maria's Eye
4. Ⅳ. When the Angel Cries (feat. May Inoue, Ryo Miyachi, Hironori Suzuki)
5. Ⅴ. Lullaby
6. Ⅵ. Rumba (feat. Kojiro Tokunaga, Ryo Miyachi, Kan)
7. Ⅶ. Love Letter (feat. Edmar Colón)
8. Ⅷ. Finale Part 1 (feat. Kan)
9. Ⅷ. Finale Part 2 (feat. Ryo Miyachi, Hironori Suzuki)

【CD Bonus Track】
10. Waltz for Debby
11. A Song for Jobim
12. Lullaby (Piano Solo ver.)

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「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』2023.10『MAINS / J3PO』2023.11『Knower Forever / Knower』2023.12『Ella Wishes You A Swinging Christmas / Ella Fitzgerald』2024.01『Silence / Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins』2024.02『Rhapsody in Blue Reimagined / Lara Downes』2024.03『Djesse Vol. 4 / Jacob Collier』2024.04『Voyager / Moonchild』2024.05『Evidence with Don Cherry / Steve Lacy』2024.06『Quietude / Eliane Elias』2024.07『Alone Together / Lee Konitz, Brad Mehldau, Charlie Haden』2024.08『The Rough Dancer And The Cyclical Night (Tango Apasionado) / Astor Piazzolla』2024.09『Potro De Rabia Y Miel / Camarón De La Isla』2024.10『Calle 54 / Various』2024.11『Trumpets Of Michel-ange / Ibrahim Maalouf』2024.12『Sings for Only the Lonely / Frank Sinatra』2025.01『Hero Worship / Hal Crook』2025.02『Undercurrent / Kenny Drew』2025.03『Live In Toronto 1952 / Lennie Tristano Quintet』2025.04『Antidote / Chick Corea & The Spanish Heart Band』2025.05『Hot Five & Hot Seven / Louis Armstrong』2025.06『Panamonk / Danilo Pérez』2025.07『Nat King Cole Sings/George Shearing Plays / Nat King Cole、George Shearing』2025.08『Clifford Brown and Max Roach / Clifford Brown and Max Roach』2025.09『Montreux '77 / Ray Bryant』2025.10『Crystal Silence / Gary Burton & Chick Corea』2025.11『North Sea Jazz Legendary Concerts / Wayne Shorter』2025.12『Merry Christmas / Bing Crosby』

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曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

曽根麻央 Monthly Disc Review2025.12_Bing Crosby : Merry Christmas:Monthly Disc Review

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Title : 『Merry Christmas』
Artist : Bing Crosby


みなさんこんにちは、曽根麻央です。
今日は、アメリカ音楽史の中でも "最も長く親しまれているクリスマス・アルバム" ビング・クロスビーの 『Merry Christmas』 を取り上げます。
少し個人的な話ですが、僕も幼い頃は12月になると棚からこのLPを取り出し、A面ばかり繰り返し聴いていました。今回この記事を書くにあたり、実は初めてB面もしっかり聴いたほどです(笑)。


ビング・クロスビー(1903-1977)は歌手・俳優としてだけでなく、"アメリカ史上初のマルチメディアスター"と呼ばれる存在です。
本作『Merry Christmas』は、1942~1947年に録音された12曲をまとめ、1955年に 33⅓回転LP としてリリースされたもの(現在配信では『White Christmas』として出ているものと同内容)。元は 78回転盤やシングルとして出ていた音源をまとめ直した形態です。
代表曲「White Christmas」は ギネス認定・史上最も売れたシングルとしても知られ、クロスビーのクリスマス作品の中心に位置しています。


クロスビーは、マイクロフォンを活かした歌唱スタイルの確立者と言われています。
ポルタメントを滑らかに使ったメロディ処理、さりげない装飾、ロングトーンの柔らかいビブラート、これらは当時として革新的で、後のフランク・シナトラ、ディーン・マーティン、エルヴィス・プレスリー、さらにはジョン・レノン まで影響を与えたとされます。
映画出演も多く『Going My Way(我が道を往く)』ではアカデミー主演男優賞を獲得。シナトラやサミー・デイヴィスJr.そして Rat Pack と共演したミュージカル映画『Robin and the 7 Hoods』も今なお語り継がれる作品です。


A面は主に 讃美歌と伝統曲 を中心に構成され、アレンジ・歌唱・録音クオリティすべてが一流。ここが本作の"永遠性"を決定づけています。今日は主にA面を紹介していこうと思います。


1. Silent Night
ストリングスとチェレスタによる静かなイントロからクロスビーの包み込むような声が立ち上がります。途中から合唱が加わり、映画的とも言える壮麗さを持ちながら、どこか家庭的な温かさを失わないアレンジ。
ラジオや映画という当時のメディアを通じ、「クリスマス=ビング・クロスビーの声」というイメージが確立されました。


2. Adeste Fideles(神の御子は今宵しも)
18世紀から歌われる伝統的な聖歌。
本来荘厳なイメージのあるこの曲を、クロスビーは自然な揺らぎとポルタメントで柔らかく歌い、まるで"語りかける"ようなニュアンスを与えています。


3. White Christmas
アーヴィング・バーリンが映画『Holiday Inn』(1942)のために書き下ろした作品。
クロスビーの歌唱はあまりに象徴的で、世界的なクリスマス文化そのものに影響を与えました。ここで聴けるのが オリジナル録音 です。


4. God Rest Ye Merry Gentlemen
17世紀には既に歌われていたとされる伝統曲。
クロスビーと合唱団の掛け合い、テンポの微細な揺れ、ストリングスの温かいオブリガートが絶妙で、素朴ながら非常に洗練されたアレンジ。のちのナット・キング・コールやサイモン&ガーファンクルなど、多くのアーティストにも影響を与えた曲です。


5. Faith of Our Fathers(いにしえの聖徒の)
19世紀の讃美歌をしっとりと歌い上げるナンバー。クロスビーの低音の魅力が最も生きるトラックのひとつ。


6. I'll Be Home for Christmas
1943年の新曲として発表され、すぐに戦時下のアメリカで大きな支持を得ました。
兵士の"家に帰りたいという願い"を歌った歌詞が人々の心に響き、クロスビーのバージョンは今なお決定版とされています。


A面を見れば分かる通り、古い讃美歌の精神を尊重しつつ、より洗練された"新しいクリスマス音楽"のモデルを作ったことが最大の功績です。
これ以降、あらゆるアーティストがクリスマス作品を発表していきますが、その"フォーマット"を最初に確立したのは間違いなくクロスビーの本作でした。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

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Title :『Merry Christmas』
Artist : Bing Crosby
LABEL : Decca
発売年 : 1955年



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】

01. Silent Night
02. Adeste Fideles (Oh, Come, All Ye Faithful)
03. White Christmas
04. God Rest Ye Merry, Gentlemen
05. Faith Of Our Fathers
06. I'll Be Home For Christmas
07. Jingle Bells
08. Santa Claus Is Comin' To Town
09. Silver Bells
10. It's Beginning To Look Like Christmas
11. Christmas In Killarney
12. Mele Kalikimaka




曽根麻央『8つの小品』
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ジャズピアニスト兼作曲家・曽根麻央が贈る最新スタジオアルバム『8つの小品』。第一子誕生という人生最大の節目に生まれたこの作品は、家族の愛、日常の輝き、そして音楽への深い探求が織り込まれた45分間の組曲。緻密なオーケストレーション、ジャズとクラシックの垣根を超えた響き、そして親子の時間から生まれた優しくもダイナミックな旋律。新たな旅立ちの予感と共に、音楽の喜びを届ける一枚。

【Songs】
1. Ⅰ. Overture (feat. Ryo Miyachi, Hironori Suzuki)
2. Ⅱ. The Light You'll See
3. Ⅲ. Maria's Eye
4. Ⅳ. When the Angel Cries (feat. May Inoue, Ryo Miyachi, Hironori Suzuki)
5. Ⅴ. Lullaby
6. Ⅵ. Rumba (feat. Kojiro Tokunaga, Ryo Miyachi, Kan)
7. Ⅶ. Love Letter (feat. Edmar Colón)
8. Ⅷ. Finale Part 1 (feat. Kan)
9. Ⅷ. Finale Part 2 (feat. Ryo Miyachi, Hironori Suzuki)

【CD Bonus Track】
10. Waltz for Debby
11. A Song for Jobim
12. Lullaby (Piano Solo ver.)

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「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』2023.10『MAINS / J3PO』2023.11『Knower Forever / Knower』2023.12『Ella Wishes You A Swinging Christmas / Ella Fitzgerald』2024.01『Silence / Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins』2024.02『Rhapsody in Blue Reimagined / Lara Downes』2024.03『Djesse Vol. 4 / Jacob Collier』2024.04『Voyager / Moonchild』2024.05『Evidence with Don Cherry / Steve Lacy』2024.06『Quietude / Eliane Elias』2024.07『Alone Together / Lee Konitz, Brad Mehldau, Charlie Haden』2024.08『The Rough Dancer And The Cyclical Night (Tango Apasionado) / Astor Piazzolla』2024.09『Potro De Rabia Y Miel / Camarón De La Isla』2024.10『Calle 54 / Various』2024.11『Trumpets Of Michel-ange / Ibrahim Maalouf』2024.12『Sings for Only the Lonely / Frank Sinatra』2025.01『Hero Worship / Hal Crook』2025.02『Undercurrent / Kenny Drew』2025.03『Live In Toronto 1952 / Lennie Tristano Quintet』2025.04『Antidote / Chick Corea & The Spanish Heart Band』2025.05『Hot Five & Hot Seven / Louis Armstrong』2025.06『Panamonk / Danilo Pérez』2025.07『Nat King Cole Sings/George Shearing Plays / Nat King Cole、George Shearing』2025.08『Clifford Brown and Max Roach / Clifford Brown and Max Roach』2025.09『Montreux '77 / Ray Bryant』2025.10『Crystal Silence / Gary Burton & Chick Corea』2025.11『North Sea Jazz Legendary Concerts / Wayne Shorter』

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曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

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曽根麻央 Monthly Disc Review2025.11_Wayne Shorter : North Sea Jazz Legendary Concerts:Monthly Disc Review

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Title : 『North Sea Jazz Legendary Concerts』
Artist : Wayne Shorter


みなさんこんにちは、曽根麻央です。
今日はウェイン・ショーターの隠れた名盤『North Sea Jazz Legendary Concerts』をご紹介します。ショーター後期といえば、いまや伝説的な存在となったウェイン・ショーター・カルテットの一連のライヴ作品を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

時系列で並べると、

・2002年(2001年録音)『Footprints Live!』
・2005年(2002-2004年録音)『Beyond the Sound Barrier』
・2013年(2010-2011年録音)『Without a Net』
・2018年(2016年録音)『Emanon』

となります。『Emanon』は3枚組で、1枚目がオーケストラとカルテットのスタジオ録音、2~3枚目がカルテットのライヴ録音という構成です。


この流れの中で、よく話題に上がるのが、2003年のスタジオ作『Alegría』です。実はこのアルバム、カルテット結成以前のレコーディングで、ショーターが新カルテットのメンバーを決めるために行った"試し"のセッションであったという話を、ピアニストのダニーロ・ペレスとジョン・パティトゥッチ本人から直接聞きました。
ブラッド・メルドーかペレスか、テリ・リン・キャリントンかブライアン・ブレイドか――。
ショーターはさまざまな可能性を探っていましたが、アルバム1曲目「Sacajawea」のラストで聞こえるショーターの笑い声の瞬間、カルテットの方向性が決まったというのです。
こうして誕生したショーター・カルテットは、その後およそ20年にわたり現代ジャズの指針を示し続けました。


改めて今回の『North Sea Jazz Legendary Concerts』を見てみると、ベースがジョン・パティトゥッチではなくクリスチャン・マクブライドになっている点が目を引きます。本作は 2002年のノース・シー・ジャズ・フェスティバルで行われた複数の公演から編まれたもので

・ハービー・ハンコックとのデュオ(7月12日)
・ショーター・カルテット(7月13日)
・Prima La Música Orchestra との共演(7月14日)

という3日間の演奏を収録しています。
カルテット期の真っただ中ですが、この時はパティトゥッチが参加できず、マクブライドが代役として出演しています。


このアルバムには『Footprints Live!』に残る"初期カルテットの荒々しさ"に加え、ペレスのハーモニーがさらに広がりつつある"中期以降のサウンドの萌芽"が聴き取れます。また、Prima La Música Orchestra との共演2曲は、『Without a Net』や『Emanon』で本格的に提示された〈オーケストラとジャズ〉の融合が、すでにこの段階で形になりつつあったことを示す貴重な記録です。
最後の「Meridianne (A Wood Sylph)」は、巨匠ハービー・ハンコックとのデュオ(ボーナストラック的収録)で、ファンにはたまらない演奏です。


01. Orbits
オリジナルは1967年のマイルス・デイヴィス『Miles Smiles』に収録。
当時の"コードレス"なスリリングな雰囲気とは異なり、本作では美しいオーケストレーションのもとテーマが提示され、その後Fを中心にカルテット全員が緊密な即興を展開。オーケストラとジャズが自然に共存する、見事な構成になっています。


02. Midnight in Carlotta's Hair
こちらもオーケストラとの共演。2017年のエスペランザ・スポルディング&テリ・リン・キャリントンとのライヴ盤にも収録されている佳曲です。
印象的なベースラインの上でカルテットが自由に即興を繰り広げ、オーケストラが加わるとリリカルかつエキゾチックな主題が姿を変えながら現れ、時間をかけて大きなクライマックスへ向かいます。
なお、この曲のオーケストラスコアはSchottからデジタルで入手可能です。
続く3曲はカルテット編成による演奏です。


03. Smilin' Through
1919年の古いバラード。『Beyond the Sound Barrier』でも取り上げられており、ショーターが愛したレパートリーであることがわかります。メロディーが何度も姿を変える背後で、リズムセクションが自在に色合いを変えてゆく演奏。


04. Footprints
1967年『Miles Smiles』収録、ショーターを代表する名曲。『Footprints Live!』での演奏が広く知られていますが、本作でもカルテットが深い呼吸で再解釈を行っています。


05. Aung San Suu Kyi
1997年、ハービー・ハンコックとのデュオ作『1+1』で初演されたオリジナル。『Footprints Live!』にも収録。親しみやすいブルース形式と、アジア的ニュアンスを含むメロディーが魅力です。


06. Meridianne (A Wood Sylph)
ハンコックとのデュオ演奏。『1+1』にも収録されており、本作では貴重なボーナストラックとして楽しめます。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

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Title :『North Sea Jazz Legendary Concerts』
Artist : Wayne Shorter
LABEL : Bob City
発売年 : 2013年



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【SONG LIST】

01. Orbits
02. Midnight In Carlotta's Hair
03. Smilin' Through
04. Footprints
05. Aung San Suu Kyi
06. Meridianne (A Wood Sylph)




曽根麻央『8つの小品』
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ジャズピアニスト兼作曲家・曽根麻央が贈る最新スタジオアルバム『8つの小品』。第一子誕生という人生最大の節目に生まれたこの作品は、家族の愛、日常の輝き、そして音楽への深い探求が織り込まれた45分間の組曲。緻密なオーケストレーション、ジャズとクラシックの垣根を超えた響き、そして親子の時間から生まれた優しくもダイナミックな旋律。新たな旅立ちの予感と共に、音楽の喜びを届ける一枚。

【Songs】
1. Ⅰ. Overture (feat. Ryo Miyachi, Hironori Suzuki)
2. Ⅱ. The Light You'll See
3. Ⅲ. Maria's Eye
4. Ⅳ. When the Angel Cries (feat. May Inoue, Ryo Miyachi, Hironori Suzuki)
5. Ⅴ. Lullaby
6. Ⅵ. Rumba (feat. Kojiro Tokunaga, Ryo Miyachi, Kan)
7. Ⅶ. Love Letter (feat. Edmar Colón)
8. Ⅷ. Finale Part 1 (feat. Kan)
9. Ⅷ. Finale Part 2 (feat. Ryo Miyachi, Hironori Suzuki)

【CD Bonus Track】
10. Waltz for Debby
11. A Song for Jobim
12. Lullaby (Piano Solo ver.)

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「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』2023.10『MAINS / J3PO』2023.11『Knower Forever / Knower』2023.12『Ella Wishes You A Swinging Christmas / Ella Fitzgerald』2024.01『Silence / Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins』2024.02『Rhapsody in Blue Reimagined / Lara Downes』2024.03『Djesse Vol. 4 / Jacob Collier』2024.04『Voyager / Moonchild』2024.05『Evidence with Don Cherry / Steve Lacy』2024.06『Quietude / Eliane Elias』2024.07『Alone Together / Lee Konitz, Brad Mehldau, Charlie Haden』2024.08『The Rough Dancer And The Cyclical Night (Tango Apasionado) / Astor Piazzolla』2024.09『Potro De Rabia Y Miel / Camarón De La Isla』2024.10『Calle 54 / Various』2024.11『Trumpets Of Michel-ange / Ibrahim Maalouf』2024.12『Sings for Only the Lonely / Frank Sinatra』2025.01『Hero Worship / Hal Crook』2025.02『Undercurrent / Kenny Drew』2025.03『Live In Toronto 1952 / Lennie Tristano Quintet』2025.04『Antidote / Chick Corea & The Spanish Heart Band』2025.05『Hot Five & Hot Seven / Louis Armstrong』2025.06『Panamonk / Danilo Pérez』2025.07『Nat King Cole Sings/George Shearing Plays / Nat King Cole、George Shearing』2025.08『Clifford Brown and Max Roach / Clifford Brown and Max Roach』2025.09『Montreux '77 / Ray Bryant』2025.10『Crystal Silence / Gary Burton & Chick Corea』

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曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

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曽根麻央 Monthly Disc Review2025.10_Gary Burton / Chick Corea : Crystal Silence:Monthly Disc Review

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みなさんこんにちは、曽根麻央です。
今日は、1973年にリリースされた Gary Burton と Chick Corea のデュオアルバム『Crystal Silence』を聴いていこうと思います。

その前に少しだけお知らせです。
先月リリースされた私の最新アルバム『8つの小品』のリリースライブが決定しました!
ジャズトリオにパーカッション、ストリングス、ホーンセクションも加わる大規模なステージになります。
ぜひ、この機会をお見逃しなく!

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https://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/mao-sone/

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Title : 『Crystal Silence』
Artist : Gary Burton & Chick Corea

さて、『Crystal Silence』は、二人の巨匠による美しい音の会話が楽しめる名盤です。
収録曲は主にチック・コリアのオリジナルで構成されています。

まず、ゲーリー・バートンについて。
彼は1943年生まれのヴィブラフォン奏者で、「バートン・グリップ」という独自の持ち方を生み出しました。
片手に2本ずつマレットを持ち、音楽に合わせて角度を自在に変えられるんです。
この奏法によって、ヴィブラフォンでも複雑な和音や、美しいアルペジオを表現できるようになりました。
また、使っていない方のマレットで音をミュートすることで、和音を響かせながらメロディーを分離させることもできる。
つまり、彼はヴィブラフォンを"和音と旋律を自在に行き来できるソロ楽器"に進化させたんですね。
バークリー音楽大学で30年以上教鞭をとり、日本人ではタイガー大越さんや小曽根真さんも彼の教え子として知られています。

一方、チック・コリアは1941年生まれのピアニスト、作曲家。
彼はもともとドラマーでもあったので、圧倒的なリズム感を持っています。
そのリズムから生まれるフレーズや構成のアイデアが、彼の音楽世界をより独創的なものにしています。

このアルバムのミックスもとても特徴的です。
ヴィブラフォンは低音が左、高音が右に広く振られていて、ピアノはやや左寄り。
でも決してぶつからず、2つの楽器が見事に空間を使い分けています。



1. 「Señor Mouse」
スペイン的な和声感やリズムを持つ一曲。
のちのチック・コリアの「Spanish Heart Band」に通じる雰囲気です。
ラテン的なエネルギーを持ちながら、最後は静かに消えていくようなエンディングが美しいですね。


2. 「Arise, Her Eyes」
いきなり登場するのが、バートンの"音のベンディング"技法。
叩いた音板を別のマレットで押さえて音程を変えるという、非常に繊細なテクニックです。
ベーシストのスティーヴ・スワロウの曲で、浮遊感のある音世界を作り出しています。


3. 「I'm Your Pal」
同じくスティーヴ・スワロウ作曲。讃美歌のように静かで温かい雰囲気の曲です。


4. 「Desert Air」
ピアノとヴィブラフォンの音がまるで溶け合うように響きます。
聴いていると、どちらの音なのか分からなくなるほど。
早めの3拍子が心地よい、チック・コリアらしい作品です。


5. 「Crystal Silence」
アルバムタイトル曲で、最も長いトラック。
アナログではB面の1曲目です。
ピアノのアルペジオの上に、ヴィブラフォンのメロディーが浮かび上がる場面では、まるでアルバムジャケットの風景が見えるようです。


6. 「Falling Grace」
再びスティーヴ・スワロウの名曲。
今ではジャズ・スタンダードとしてもよく演奏されます。
拍の頭が分からなくなるようなループ感があり、不思議な美しさを持った一曲です。


7. 「Feelings and Things」
作曲家のマイケル・ギブスの曲。ヴィブラフォンとピアノが同時に別々のメロディーを演奏する場面が多く、両者の主張が不思議と混ざり合い、他の楽曲にはない魅力を聴かせてくれます。


8. 「Children's Song」
前曲とは対照的に、とてもシンプルで透明感のある一曲。
ピアノとヴィブラフォンのユニゾンの響きが印象的です。


9. 「What Game Shall We Play Today」
Return To Foreverでもおなじみのチック・コリアの代表曲。
ここではメロディーよりも、二人の即興的な"対話"が中心。
まさに「会話するような音楽」です。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

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Title :『Crystal Silence』
Artist : Gary Burton & Chick Corea
LABEL : ECM Records
発売年 : 1973年



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【SONG LIST】

01. Señor Mouse
02. Arise, Her Eyes
03. I'm Your Pal
04. Desert Air
05. Crystal Silence
06. Falling Grace
07. Feelings And Things
08. Childrens Song
09. What Game Shall We Play Today



曽根麻央『8つの小品』
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ジャズピアニスト兼作曲家・曽根麻央が贈る最新スタジオアルバム『8つの小品』。第一子誕生という人生最大の節目に生まれたこの作品は、家族の愛、日常の輝き、そして音楽への深い探求が織り込まれた45分間の組曲。緻密なオーケストレーション、ジャズとクラシックの垣根を超えた響き、そして親子の時間から生まれた優しくもダイナミックな旋律。新たな旅立ちの予感と共に、音楽の喜びを届ける一枚。

【Songs】
1. Ⅰ. Overture (feat. Ryo Miyachi, Hironori Suzuki)
2. Ⅱ. The Light You'll See
3. Ⅲ. Maria's Eye
4. Ⅳ. When the Angel Cries (feat. May Inoue, Ryo Miyachi, Hironori Suzuki)
5. Ⅴ. Lullaby
6. Ⅵ. Rumba (feat. Kojiro Tokunaga, Ryo Miyachi, Kan)
7. Ⅶ. Love Letter (feat. Edmar Colón)
8. Ⅷ. Finale Part 1 (feat. Kan)
9. Ⅷ. Finale Part 2 (feat. Ryo Miyachi, Hironori Suzuki)

【CD Bonus Track】
10. Waltz for Debby
11. A Song for Jobim
12. Lullaby (Piano Solo ver.)

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「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』2023.10『MAINS / J3PO』2023.11『Knower Forever / Knower』2023.12『Ella Wishes You A Swinging Christmas / Ella Fitzgerald』2024.01『Silence / Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins』2024.02『Rhapsody in Blue Reimagined / Lara Downes』2024.03『Djesse Vol. 4 / Jacob Collier』2024.04『Voyager / Moonchild』2024.05『Evidence with Don Cherry / Steve Lacy』2024.06『Quietude / Eliane Elias』2024.07『Alone Together / Lee Konitz, Brad Mehldau, Charlie Haden』2024.08『The Rough Dancer And The Cyclical Night (Tango Apasionado) / Astor Piazzolla』2024.09『Potro De Rabia Y Miel / Camarón De La Isla』2024.10『Calle 54 / Various』2024.11『Trumpets Of Michel-ange / Ibrahim Maalouf』2024.12『Sings for Only the Lonely / Frank Sinatra』2025.01『Hero Worship / Hal Crook』2025.02『Undercurrent / Kenny Drew』2025.03『Live In Toronto 1952 / Lennie Tristano Quintet』2025.04『Antidote / Chick Corea & The Spanish Heart Band』2025.05『Hot Five & Hot Seven / Louis Armstrong』2025.06『Panamonk / Danilo Pérez』2025.07『Nat King Cole Sings/George Shearing Plays / Nat King Cole、George Shearing』2025.08『Clifford Brown and Max Roach / Clifford Brown and Max Roach』2025.09『Montreux '77 / Ray Bryant』

Reviewer information

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曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

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