feed markRSS
JJazz.Net Blog Title

【Bar Music × CORE PORT特別企画】 Precious Time for 23:00 Later "JAZZ"

baner_600.jpg

渋谷の一角にある音楽ファンのオアシス、Bar Music。
店主の中村智昭氏(MUSICAÄNOSSA)はDJ/選曲家/音楽ライターとしてもお馴染みですよね。

そのBar Music中村さん選曲によるコンピレーションAL
『Bar Music × CORE PORT Precious Time for 23:00 Later』が、5/20にリリースとなりました。
この作品は、世界中の良質なサウンドを次々と送り出す素敵なレーベル
CORE PORTの音源の中からセレクト。
テーマは" Precious Time for 23:00 Later"、夜の音楽です。

そこで今月の「PICK UP」では
中村 智昭さんとCORE PORTのレーベルオーナー、高木洋司さんとの対談模様をご紹介。
2人がイメージした音の世界、そしてそれを構築する為のメソッドなど、非常に興味深い内容です。

聴く人によってそれぞれのストーリーを感じてもらえればとは思いますが、
こうやって選曲者の意図を知ると、より深くその音の世界に入り込めるような気がします。

音楽愛を感じる対談をお楽しみ下さい。


「PICK UP - JUNE」 (配信期間:2015年6月3日~2015年7月1日)
http://www.jjazz.net/programs/pick-up/


【Bar Music × CORE PORT特別企画】
Precious Time for 23:00 Later "JAZZ"

ここでは特別企画として中村 智昭(Bar Music)さんと高木洋司(CORE PORT)さんのお二人に
"Precious Time for 23:00 Later"のジャズ編として、
夜11時以降にオススメ、夜に聴きたいジャズナンバーを3曲ずつセレクトしていただきました。
いずれも夜に聴くと色んなストーリーを生み出してくれそうです。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
【夜に聴きたいジャズ】

中村 智昭(Bar Music)

以下の三曲を切っ掛けに+αの更なるジャズと出会いがあるよう願いをこめて、自分が組んだコンピレイションから選びました。


「Music / Sathima Bea Benjamin」





アブドゥーラ・イブラヒム(=ダラー・ブランド)の妻であるヴォーカリスト、サティマ・ビー・ベンジャミンによるその名も「Music」。Bar Musicという場においてはキャロル・キングの同名異曲と表裏一体となるあまりに素晴しいワルツ・ソングで、一日の終わりに心を穏やかに鎮めてくれる。アルバム『Dedications』『African Songbird』にも、それぞれ編成/アレンジの異なるテイクが収録されている。


[収録アルバム]
Bar Music 2013 .jpg

Title : 『Bar Music 2013 Love Spartacus Selection』from Love Light(Enja)
Artist : V.A
LABEL : Musicaanossa Gryps(MNGP-1)
RELEASE : 2013.10.23

アマゾン詳細ページへ






「The Lamp Is Low / Carmen Lundy」





今回コンピレイションCD『Bar Music × CORE PORT-Precious Time for 23:00 Later-』に、カーメン・ランディの「Grace」という最高の楽曲を収録することができたが、彼女との出会いはここから。アンディー・ポッター&デヴィット・エリック・ティルマンの2枚のアルバムへの客演・楽曲提供を経て85年にリリースされた処女作で、慈愛に満ちたこの「The Lamp Is Low」は、無敵のグルーヴィー・チューン「Time Is Love」と共にキャリアを代表する名曲。アーティストとして持つイマジネイションとヴォーカリストとして持つ資質が、見事なまでに実を結ぶ。


[収録アルバム]
sienna300.jpg

Title : 『MUSICAANOSSA 3 Sienna Jazz Lounge』from Good Morning Kiss(Justin Time)
Artist : V.A
LABEL : Rip Curl Recordings(RCIP-124)
RELEASE : 2008.12.4

アマゾン詳細ページへ






「Anyway? What Did You Think It Was That Needed To Be Loved〜The Police / Mitchel Forman」


ピアノ・ソロでメドレー的に描く澱みない完璧な美しさと、その先にある感動の波。特にクライマックスにあたる「The Police」を、CALMが真夜中のBar Musicで初めてプレイした時の胸の高鳴りを忘れることはないだろう。また、ニューヨーク出身のピアニストである若きミシェル・フォアマンを自身のツアー・メンバーに抜擢し、イタリアのレーベルであるソウルノートからリリースを行うきっかけをつくったのが、名盤『Night Lights』から時を経たジュリー・マリガンであるというエピソードも、ジャズ・ファン的観点からはとても嬉しい事実。


[収録アルバム]
barmusic2014_300.jpg

Title : 『Bar Music 2014 Lost Relief Selection』from Only A Memory(Soul Note)
Artist : V.A
LABEL : Musicaanossa Gryps(MNGP-5)
RELEASE : 2015.6.24

アマゾン詳細ページへ








高木洋司(CORE PORT)


「Look What I Got / Betty Carter」





夜の静かな海にたゆたう波のようなリズム・セクションと、ベティ・カーターの雄大でいて包み込まれるような歌唱。単調なリズムでありながら逆にその反復性が、大きく美しく、そして静かなグルーヴを作りだした奇跡の如き名演。カタルシスに満ちた夜の音。


[収録アルバム]
Betty Carter300.jpg

Title : 『Look What I Got !』
Artist : Betty Carter
LABEL : Verve
オリジナル盤発売年 : 1988

アマゾン詳細ページへ






「You Must Believe in Spring / Claudio Filippini Trio」





エンリコ・ピエラヌンツィが絶賛したイタリアのピアニスト。甘さは程よく抑えめで、凛としたタッチで奏でるルグラン・ナンバーは、もちろんビル・エヴァンスでお馴染みの曲。ただし、より地中海的なジューシーな香りがあり、深夜の空気を生き生きとしたものに変えてくれる。


[収録アルバム]
The Enchanted Garden300.jpg

Title : 『The Enchanted Garden』
Artist : Claudio Filippini Trio
LABEL : CAM Jazz(CAMJ7839)
RELEASE : 2011.10.10

アマゾン詳細ページへ






「Don't You Know I Care / Archie Shepp」


アーチー・シェップのソプラノ・サックスによる冒頭の美しいタンギングが、本格的な夜の到来を知らせてくれる。デューク・エリントン作のスロウ・バラッドではあるが、シェップの奔放なソロが安っぽくない現実感あるリアルな夜の時間へと同化させていく。


[収録アルバム]
Archie Shepp300.jpeg

Title : 『Day Dream』
Artist : Archie Shepp
LABEL : Denon
オリジナル盤発売年 : 1978





□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


RPOZ-10010_500.jpg

■タイトル:『Bar Music × CORE PORT Precious Time for 23:00 Later』
■選曲:中村智昭 (MUSICAÄNOSSA / Bar Music)
■発売日:2015年5月20日
■レーベル: CORE PORT
■製品番号:RPOZ-10010

アマゾン詳細ページへ


渋谷の一角で音楽ファンのオアシスとして知られるBar Musicと、新レーベルCORE PORTがコラボレイト。テーマは夜の音楽。日付が変わる直前の落ち着いたひととき、静かなグラデーションの彩りとともに時計の針をいつのまにか明日へとエスコートするようなコンピレイション・アルバム。心地よく熱を帯びるジャズやフォークに、ブラジル、アルゼンチン、フランスといった異なる国々の名演が鮮やかに交錯、さらにはキャロル・キングやビリー・ジョエルの絶品カヴァーも収録の全18曲。新たな音楽との出逢いが今日の心を鎮め、やがて明日への希望となる。


[収録曲]

01 エミ/トリオセンス
Emi (Bernhard R.Schüler) / triosence
From "One Summer Night " (CORE PORT RPOZ-10003) 2014 [Germany]
02 ティレリー/ベッカ・スティーヴンス・バンド
Tillery (Becca Stevens) / Becca Stevens Band
From "Perfect Animal " (CORE PORT RPOZ-10005) 2014 [U.S.A.]
03 ペドロ&リス/ジェニフェル・ソウザ
Pedro & Lis (Jennifer Souza / Artênius Daniel / Ludmila Fonseca) / Jennifer Souza
From "Impossível Breve " (CORE PORT RPOP-10006) 2013 [Brasil]
04 青い蝶/アカ・セカ・トリオ&ディエゴ・スキッシ・キンテート
Panambí Jovhé (Ramón Ayala)/ Aca Seca Trio + Diego Schissi Quinteto
From "hermanos" (CORE PORT RPOP-10003) 2014 [Argentina]
05 ふたり/ダニエル・ミル
Tous les deux (Daniel Mille / Jean-Christophe Maillard) / Daniel Mille
From "Les heures tranquilles " (SARAVAH / CORE PORT) 1995 [France]
06 ブレリアス・エルマノス/アルマディージョ
Bulerias Hermosas (Nino et Nanasso Baliardo) / Armadillo
From "Armadillo " (SARAVAH / CORE PORT) 1991 [Spain]
07 ノ・ノルチ・ド・ポロ・スル/ナナ・ヴァスコンセロス、ネルソン・アンジェロ、ノヴェリ
No Norte Do Pólo Sul (Nelson Angelo) / Nana Vasconcelos, Nelson Angelo, Novelli
From " Nana Nelson Angelo Novelli " (SARAVAH / CORE PORT) 1974 [Brasil]
08 マフィーンに捧ぐ歌/チック・ストリートマン
Ode To Maffen (Chic Streetman) / Chic Streetman
From "Growing Up " (SARAVAH / CORE PORT) 1975 [U.S.A.]
09 小さな森/ジャック・トリーズ
Le petit bois (Jack Treese) / Jack Treese
From "me and company " (SARAVAH / CORE PORT) 1970s [U.S.A.]
10 ルールケリー/ル・コック
Rourkerie (le coq) / le coq
From "interludes " (SARAVAH / CORE PORT) 2002 [France]
11 ドゥー・ユー・シング/ル・コック
Do Your Thing (Louis Hardin) / le coq
From "Tête de gondole" (SARAVAH / CORE PORT) 2005 [France]
12 良いときも 悪いときも/ジョー・バルビエリ
Nel Bene E Nel Male (Giuseppe Barbieri) / Joe Barbieri
From "Cosmonauta Da Appartmento" (CORE PORT RPOP-10008) 2015 [Italy]
13 シークレット・ハート/ライラ・ビアリ
Secret Heart (Ron Sexsmith) / Laila Biali
From "Live In Concert " (CORE PORT RPOZ-10006) 2014 [Canada]
14 去りゆく恋人/クリスティーン&リアム
So Far Away (Carole King) / Christine Tobin & Liam Noble
From "Tapestry Unravelled " (Christine Tobin) 2010 [Ireland]
15 グレイス/カーメン・ランディ
Grace (Carmen Lundy, Simphiwe Dana) / Carmen Lundy
From "Soul To Soul" (CORE PORT RPOZ-10004) 2014 [U.S.A.]
16 そして今は/ライラ・ビアリ
And So It Goes (Billy Joel) / Laila Biali
From "Tracing Light " (Laila Biali) 2010 [Canada]
17 チルドレンズ・プレイソング/ヒルデ・ヘフテ
Children's Playsong (Bill Evans) / Hilde Hefte
From "memory suite" (CORE PORT RPOZ-10002) 2014 [Norway]
Original From "playsong the music of Bill Evans" (Hot Club Records) 2001
18 カム・サンデイ/ノーマ・ウィンストン
Come Sunday (Duke Ellington) / Norma Winstone
From "London in the Rain" (CORE PORT RPOZ-10001) 2014 [U.K.]
Original From "Like Song, Like Weather" (Enodoc Records) 1998

TOTAL TIME 75:11


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

Bar_Music300.jpg

Bar Music
コアポート──2014年の東京で産声をあげた新たなレーベルの名は、「その核となる揺るぎない音楽性を有したアーティストや作品が集う港とする」という発足理念に由来する。わずかに一年の履歴においてすでにアメリカ、イギリス、フランス、アルゼンチン、ブラジル、イタリア、ドイツ、カナダ、日本から届いた様々なスタイルの良質な音楽を、僕たちリスナーに紹介している。さらにはフランスの吟遊詩人、ピエール・バルーが60年代から現在に至るまで手掛け続けるレーベル、"サラヴァ"の膨大なカタログを有することも、特色の一つである。
「Bar Musicの23時あたりの雰囲気をイメージしたコンピレイションを、コアポートの音源で」という依頼を頂戴したのは、まだ寒さも厳しい折りの、やはり終電を目の前にしたころだっただろうか。これまでDJの現場やUSENの選曲の中で繰り返しプレイしてきたベッカ・スティーヴンス「Tillery」やジェニフェル・ソウザの「Pedro e Lis」、デビュー時からのファンであるヨーロッパ・ピアニズムの至宝、トリオセンスのライヴ盤の存在もすぐに脳裏を過った。カーメン・ランディの「Grace」に至っては、僕のレーベル"ムジカノッサ・グリプス"からリリース予定のBar Music最新コンピレイションにリストアップしたところで、ライセンスの申請をまさにコアポートにお願いするタイミングでもあった。そうしてヒルデ・ヘフテによるビル・エヴァンス「Children's Playsong」の美しいカヴァーへと最終的に着地するような選曲イメージも、すぐに湧き上がったのだった。何より、おそらく多くのコラボレーションのアイデアがある中で、まっ先にBar Musicを指名してくれたことが嬉しかった。

以前、インタビュー取材の中でBar Musicという場を語るときに、"小舟"をモチーフとしたことがある。豪華客船のような優雅さやスケールの大きさはなくとも、あらかじめ定められた航路はなく、丁寧に風向きと潮の流れを読みながら、日常における小さな感動の刹那に立ち会わせてくれる──。言うならば本コンピレイションCDは、2015年の春にBar Musicがその名もコアポートという港へ寄港した際の、確かな記録というところだろうか。
ご乗船、誠にありがとうございます。時刻は日付をまたぎ、貴方に、深い静寂の刻が訪れようとしています。

2015年 3月 中村 智昭(MUSICAÄNOSSA / Bar Music)
http://www.musicaanossa.com/


core port300.jpg
CORE PORT
真夜中、静かに頭が覚醒していく時間がある。リラックスはしているのだが、ただ弛緩しているのではなく、何ものかに導かれながら自分の中にあるノイズが薄まっていく時間。本来の自分など勿論たいしたものではないが、それでもその本来の自分を取り戻していく貴重な時間だ。そんな時間をたびたび渋谷のBar Musicで経験した。この渋谷の一角にあるお店で、店主の中村さんがセレクトして流れる音はひたすら心地良い。上っ面の心地良さであればそれは通り過ぎていくだけだが、その場と時間をひとつの物語にしてしまうような意志ある選曲によってこのBar Musicという森に包まれていくような快感がある。リラックスしながらも絶妙な刺激があり、細胞をゆっくりと揉みほぐし、この時間帯の覚醒を助長してくれる。

コアポートは「一聴すると心地良いが、その音楽の背景には広大な平野が続いている」という音楽を紹介しようと心掛けている。それは発売される個々の作品によって表現されるべきものだが、レーベルの全体像を端的に提示できないものかと考えた時、Bar Musicで"リラックスしながらも絶妙な刺激"と自分が感じたものが、ひょっとしてどこかでシンクロするのではと思った。それがこのコンピレイションCDの出発点だった。そしてBar Musicにいる真夜中の時間は、それに相応しい音が鳴っている時間だ。

結果的に、中村さんが持つモダンな感覚が濃厚に反映され、レーベルの音源に膨らみを持たせてくれた。収録曲ではル・コックのセレクションに驚いた。サラヴァ・レーベルの2000年代初期、ピエール・バルーの息子バンジャマン・バルーがそのセンスを開花させていた時代の音響感が今に通じると気付かせてくれるかと思えば、ジャック・トリーズのハニーバスの如き田園フォーク的なテイストにはQuiet Cornerとの関連も感じた。アルマディージョのフラメンコ・ギターとネルソン・アンジェロのギターの並びは、大西洋を横断してスペインとブラジルを一線上に見据えたような響きを持つ。そしてアカ・セカ・トリオのハーモニー、クリスティーン・トービンの静謐でいてソウルフルなアイリッシュ・ヴォーカル、ノーマ・ウィンストンの気高い声、いずれも心を鎮めてくれるという意味では同一のスピリチュアルである。多くの視点が混在していながらも、深い夜の時間に向けて全曲が一丸となって穏やかに疾走していく不思議で魅力的なCDに仕上げていただいた。ぜひ真夜中に聴いてみてください。

2015年 3月 髙木洋司 (CORE PORT)
http://www.coreport.jp/

アーカイブ