Title : 『Dreamii』
Artist : Mika Mimura
今月紹介するのはニューヨークを拠点に活動するマリンバ奏者:三村未佳のアルバム。先日行われたマルチ・カルチュラル・バンド"Banda Magda"の来日公演にもバンドメンバーとしてNYから来日していた。これは大阪出身、そしてバークリーへと渡った彼女の2枚目のオリジナル・アルバムとなる。残念ながら日本での認知度は高くないが、アメリカではBLUE NOTE & JAPAN FOUNDATIONの企画でBLUE NOTE N.Y.でピアニストの百々徹を招いてライブをするほどの実力者だ。
バンド・メンバーはSnarky Puppyのリーダー兼ベーシストのMichael League、Banda MagdaのボーカルMagda Giannikou、自身のバンドRodriguez Brothersで先日発表されたグラミーにもノミネートされたトランペッターMichael Rodriguez、Kendrick ScottらとACTから作品を出しているRomain Collin、Snarky PuppyとBanda Magda両方に所属する日本人パーカッショニスト小川慶太、彼女の出身地である大阪のピアニスト名倉学、グラミーウィナーのドラマーMark Walker、ビブラフォンの重鎮とも言えるWarren Wolfなど実に様々。
全曲が彼女のオリジナル曲で、バンドの編成も曲によって様々。Snarky PuppyやBanda Magdaがそうであるように、ジャズだけではなく様々なジャンルが交錯している音楽だ。スウィングからラテン、スケールの大きなバラードまで曲調やアレンジは様々ながら、彼女の不思議な人懐っこさをもったコンポジションと確かなバランス感覚でもって統一感のある仕上がりになっている。中でもWarren Wolfのビブラフォンとの"Rhapsody in The Moon"やMark Wallkerのドラムとの"M..."、名倉学との"Dear Grandma and Grandpa"といった各楽器とのデュオの演奏では、普段耳にする機会の少ないビブラフォンやマリンバといった楽器の面白さを再発見させられた。
一口にジャズやラテンとは言い切れないような、色んな音楽が混ざって新しい音楽が生まれているその最前線に彼女もまたいるのだと感じずにはいられない。
文:花木洸 HANAKI hikaru
【Mika Mimura "Dreamii"】
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Title : 『Dreamii』
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この連載の筆者、花木洸が先日発売になりました『Jazz The New Chapter 3』で編集・選盤・レビュー記事などを担当。ブラック・ミュージックの最先端からUKジャズ、ネクスト・ジャズ・ファンク、ラージアンサンブル等ここにしかない記事・インタビューが盛り沢山となっています。
■タイトル:『Jazz The New Chapter 3』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2015年9月10日
■出版社: シンコーミュージック
今日においてはジャズこそが時代を牽引し、ディアンジェロやフライング・ロータスなど海外の最先端アーティストから、ceroなど日本のポップ・シーンにも大きな影響を与えている。この状況を予言し、新時代の到来を告げた「Jazz The New Chapter(ジャズ・ザ・ニュー・チャプター)」の第3弾がいよいよ登場。2014年の刊行時より刷数を重ね、SNS上でも未だ話題沸騰中の第1弾・第2弾に続き、2015年9月末に〈Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN〉が開催されるなど、かつてない活況を迎えているジャズの次なる未来は、ニューチャプターが切り拓く!
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Reviewer information |
花木 洸 HANAKI hikaru 東京都出身。音楽愛好家。 |