Title : 『A Result Of The Colors』
Artist : Megumi Yonezawa Trio
NYで活動するピアニスト、メグミ・ヨネザワのデビュー作。バークリーを卒業後、Jason Moranの推薦でGreg Osbyバンドのレギュラーピアニストをつとめた彼女は、2004年にGreg Osby『Public』(Blue Note)にサイドマンとして参加している。Greg Osbyのバンドと言えば、Edward SimonやJason Moranなど優れたピアニストを輩出してきたバンドだ。だからこのアルバムはまさに満を持して、待望のリーダー作と言える。
バックのメンバーはEric McPherson(ds)、John Herbert(b)というAndrew HillやFred Herschのバンドでも活動を共にする鉄板のコンビ。ほぼ全曲が彼女のコンポジションで、4ビートのジャズマナーに則った「Nor Dear Or Fear」から幾何学的なパズルのような「Children Of The Sun」、バラードの「A Letter From Stillness」まで幅広い楽曲が収められている。彼女のKeith JarrettやPaul Bleyに通じるようなメランコリックで空間的なピアノは、マーブリングや墨流しのように、じわりじわりと形や色を変えながら絶妙なバランスを持った危うい美しさがとても魅力的だ。なかでもスタンダードの「For Heaven's Sake」での、イントロのダークな雰囲気に繊細な一音を積み、曇り空に一筋ずつ光をさして行くように楽曲のカラーを変えていく様は圧巻。「Sketch」や「Epilogue」といった自由な構成の曲のなかでも、メンバーそれぞれの色を引き出しながら楽曲全体をコントロールし、スペースを自在に操るピアノが聴ける。
日本にまだあまり紹介されていないのが不思議なくらい、見逃すわけにはいかない才能だ。
文:花木洸 HANAKI hikaru
●Megumi Yonezawa HP
【For Heaven's Sake】
この連載の筆者、花木洸が先日発売になりました『Jazz The New Chapter 3』で編集・選盤・レビュー記事などを担当。ブラック・ミュージックの最先端からUKジャズ、ネクスト・ジャズ・ファンク、ラージアンサンブル等ここにしかない記事・インタビューが盛り沢山となっています。
■タイトル:『Jazz The New Chapter 3』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2015年9月10日
■出版社: シンコーミュージック
今日においてはジャズこそが時代を牽引し、ディアンジェロやフライング・ロータスなど海外の最先端アーティストから、ceroなど日本のポップ・シーンにも大きな影響を与えている。この状況を予言し、新時代の到来を告げた「Jazz The New Chapter(ジャズ・ザ・ニュー・チャプター)」の第3弾がいよいよ登場。2014年の刊行時より刷数を重ね、SNS上でも未だ話題沸騰中の第1弾・第2弾に続き、2015年9月末に〈Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN〉が開催されるなど、かつてない活況を迎えているジャズの次なる未来は、ニューチャプターが切り拓く!
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
・2015.04 ・2015.05 ・2015.06 ・2015.07 ・2015.08 ・2015.09 ・2015.10 ・2015.11 ・2015.12 ・2016.01 ・2016.02 ・2016.03 ・2016.04 ・2016.05 ・2016.06
Reviewer information |
花木 洸 HANAKI hikaru 東京都出身。音楽愛好家。 |