ARTIST : 佐藤允彦 (piano)
TITLE : 大切な「もの」、大切な「こと」
JJazz.Net "Something Special" では毎回、色々なゲストの方々に「大切なもの」について語って頂きます。今回は、ピアニスト佐藤允彦さん。佐藤允彦さんの「大切なもの」とは?
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小学生の頃夢中になって読んだ吉川英治の『宮本武蔵』のなかに、沢庵禅師が「人間本来無一物じゃ」と、剣の道に迷いを生じた武蔵を諭すくだりがある。
この一言がどういうわけか子供心に入りこんでしまったらしい。
もともとそういう生まれつきだったのか、たまたま出合ったタイミングが良かったのか、そいつを引きずったまま今日に至っている。
そんなわけで、私はあまり「もの」に執着することがない。私にとって大切なのはほとんどが「こと」なのだ。
日々関わっているさまざまな音楽の中で、最も面白く奥が深いのが即興演奏=フリー・インプロヴァイズである。これがおそらく私の大切な「こと」の筆頭だろう。
足を踏み入れてもう40年近く、いろいろな演奏者と"手合わせ"してきたが、むろん同じ状況はありえない。あいつはあの時こういう反応をしたから、というようなことをどれほどデータとして持っていても何の役にも立たないどころか、反応を遅らせて機を逸するもとになる。
この場面ではすべてを捨てて、白紙の状態で相手の音を聴く「こと」。
文字どおり"本来無一物"になることができれば素晴しいのだが、なかなかそこまでは到達しない。武蔵も悩んだのだから当然か。
佐藤允彦
[[[ 佐藤允彦 (Masahiko Sato) PROFILE ]]]
1941年東京生まれ。
慶応義塾大学卒業後、米国バークリー音楽院に留学、作・編曲を学ぶ。
帰国後、初のリーダー・アルバム『パラジウム』でスイングジャーナル誌「日本ジャズ賞」受賞。その後も、数々のアルバムを制作し、国際的にも高い評価を得ている。さらに、ベルリン、ドナウエッシンゲン、メールス、モントルーなどのジャズ・フェスティバルへも出演、国内に止まらない広範な活動は常に注目を集めている。
また、作・編曲家として、テレビ番組、映画、CMの分野での活躍も有名である。
1997年には自己のプロデュース・レーベル《BAJ Records》をスタート、次々と話題作を発表している。
→佐藤允彦 HP
[[[ WORKS ]]]
『decisive action / ネッド・ローゼンバーグ & 佐藤允彦』
2004年10月21日
BJCD0024
BAJ Records / ewe
[[[ LIVE INFORMATION ]]]
【7月27日(水)~29日(金)】
40th Anniversary Special Vol.17 -佐藤允彦3DAYS-
場所:ピットイン(新宿)
- 27日(水) STOY
常味裕司(oud)、太田惠資(vln)、吉見征樹(tabla)
- 28日(木) SAIFA
田村夏樹(tp)、松本治(tb)、山城純子(b-tb)
多田誠司(as)、山口真文(ss)、峰厚介(ts)
加藤真一(b)、安藤正則(ds)、岡部洋一(perc)
- 29日(金) TRIO
加藤真一(b)、村上寛(ds)
【7月30日(土)】
上杉亜希子(vo)、坂井紅介(b)、村上寛(ds)
場所:ラヴリー(名古屋)
【7月31日(日)】
上杉亜希子(vo)、加藤真一(b)、村上寛(ds)
場所:銀座ライオン浜松店
【8月1日(月)】
坂井紅介(b)、村上寛(ds)
場所:アルフィー(六本木)
【8月4日(木)】
上杉亜希子(vo)、加藤真一(b)、村上寛(ds)
場所:ボディ&ソウル(南青山)