今回「AIRPORT」(放送期間:2012.4/18-5/16)では、『OKI meets 大城美佐子 / 北と南』を特集。
そのトンコリ奏者のOKIさんと、昨年『アイヌ影絵プロジェクト』で共演を果たしたガムラン奏者、
川村亘平斎(TAIKUH JIKANG)さんとの公開MAILが届きました。
北海道と沖縄程も離れていない(笑)
北と(ちょっと)南でやりとりされたお二人のメールを覗いてみてください。
- 川村亘平斎
- OKI
OKIさん
こんにちは。昨年末、日高地方に伝わる半神半人のスーパーヒーロー
「アイヌラックル」の物語を影絵にするプロジェクト「アイヌ影絵」。
OKIさんやマレウレウの人達、影絵演出家のラリーとの1ヶ月の旭川制作、なかなか楽しかったですね。
アイヌにはたくさんの物語が残ってるけど、今回は王道中の王道、ポロオイナ。
スペクタクル感では一番かな。映画で作ったら400億円はかかるでしょう。
当麻の公民館、めちゃくちゃ寒い体育館に巨大なスクリーンを吊っての影絵リハーサル。
僕らは毎日材料調達と称してのhomac(北海道のホームセンター)通いで遅刻。
ホームセンター、ホーマックね。影絵は映画と違ってホームセンターで全てまかなえるところが省エネですね。
homacについては地元の人よりも詳しくなっちゃったかもしれません。あと相当量のジンギスカンも食べました。
ラリーを含めて君たちは夜な夜なうまいもの巡りをしていたようですが、一回しか誘ってくれませんでしたね(笑)
夜降る雪がキラキラと輝く事や-1℃が暖かい事なんて、
東京生まれの僕には現地に行ってみないと全く想像もつかない事で、一ヶ月で一生分の雪を見た気がします。
あのあと-30度とかになってました。
影絵のデザインの時、OKIさんのアイヌ模様の描き方に対する考えとか、
カムイ(アイヌの神様)の目鼻立ち(鼻はそんなに尖ってないんだけど低くないとか)に対する着眼点が印象的でした。
「この土地に住んでる人だ!」
僕はそういう事にとても反応するのですが、OKIさんとのデザイン作業でそれをとても強く思いました。
バリの人達がバリの事を語るのと同様に、OKIさん達がアイヌの伝承やその生き様を語る事って、
今の日本ではなかなか見つけられないリアリティで、その土地に住んで、その土地の食べ物を食べて、
その土地の歌を歌う事の大切さを思います。
今までアイヌの創作は日本人(?)プロデュースが多くて、それらはやっぱり視点が違うから、
アイヌのヴァイブスとずれることが多かったけど。ポロオイナはこちら側の視点は生かせたと思うよ。
次のヴァージョンではもっと深く勉強して、よりオリジナルな世界観を出したいですね。
アイヌ影絵の打ち合わせで、OKIさんが言っていた「極東感」って言葉が僕の中ではとても腑に落ちて
今もたまに考えたりします。
僕から見ると北海道、アイヌの土地や人は日本の一部だと勝手に思っていたところがありましたが、
ユーラシア大陸の極東って見方をすると、よりアイヌの音楽や模様の有り様がわかる事があります。
それはアイヌ文化が西のヨーロッパ、ひいてはアフリカにも繋がっていく
ユーラシア大陸の広大な流れの一部にある事を感じられるからなのかもしれません。
僕自身もインドネシアのガムランや影絵を使って沖縄、台湾、フィリピン、インドネシア、インド、
そしてアフリカと繋がっていく海の極東/日本を作品にしてきたのですが、
南北のルートこそ違いますがOKIさんもこの国から繋がっていく広い世界を同じように
見ているんじゃないか、と思っています。
日本人は無意識にアメリカ向きのメンタリティです。ヨーロッパというのもあるけどね。
台湾もブラジルもマリは「その他」でくくられている。世界同時発売、全くの嘘っぱちです。
ミャンマーでは絶対売ってないもの。
極東アジアと言えば最大の都市はハバロフスク。北海道のほぼ真西、飛行機なら札幌から一時間半。
そんな近いところに極東のアマゾンと言われるタイガの森がある。広葉樹林と針葉樹林の混ざった広大な土地だ。
頂点にいる動物は虎です。そんなことイッテQのイモトでも行かない限り誰も知らない。
サハリンのユジノサハリンスクなら一時間。国後島なら立った17キロ。
国境の存在と国同士の利害関係で、近い土地が地球の裏側のように遠く感じるようになっています。
音楽で言えば「その他」は面白い。もちろんマイケルジャクソンはすごいと思ってるけどね。
レコーディング技術でいえばビートルズはものすごい。
でも限られた機材で最高の音を作ったリーペリーはかなり原住民的だ。
ビートルズにしたってすごい機材というよりハサミとセロテープでやってる。
そういうシンプルなのが好きなんだ。
OKIさんと大城美佐子さんの「北と南」 ゆるゆると聞かせてもらいました
あの旭川のキラキラした冬とまぶしい夏の沖縄を感じられる素敵なアルバムですね。
沖縄の音楽をマイナスー30°で凍らして、解凍して発売しました。
極東アジアからグルーッと地球を一周して再び極東の南の島にたどり着く。
沖縄の歌を心地よく聞かせてもらえる「固み節/かたみぶし」/「南洋浜千鳥」、
dubの要素が見事に絡んだ「恋語れ/くいかたれ」、ポップな「レッドおじさん」、表題曲「北と南」など
アイヌと沖縄だけにとどまらない風通しの良さ。
沖縄音楽なんだけど聞き込んで行くうちに外国の音楽のように聞こえて来たよ。
一曲目の固み節が好きです。
震災以降初のアルバムリリースだったので下手な物作ったら金持ち原子力村に負けてしまうという危機感はありました。
つべこべ言わないで核発電はもう終了にしてほしい。人間には物欲、食欲、性欲など様々な欲があるけれど、
「権力」さえ握れば全てが手に入る。権力を持った人間の断末魔の叫びを早く聞きたい。一歩ずつ進んでいこうよ。
権力者は何しでかすかわからないから現実から目をそらせてはいけない。
電気を独占している奴らが「電気がないとあなたたちの生活困るでしょ?」っていう話を納得してはいけない。
テレビ漬けだとつい納得してしまうんだ。残念ながら洗脳されている人は多い。
もしこのままずるずると権力者の好きな世界ができてしまったら
それは僕たち一般の人間がお人好しで受動的でバカだったということになる。
影絵の制作の時もそうでしたが、OKIさんはアイヌに伝わる「北」の楽器トンコリを使って、
レゲエや沖縄の歌など「南」の音楽との活動がとても素晴らしいですが、
自分のアイヌ音楽と他の南の音楽をどんな風に感じてるんですか?
リズムの海に溺れそうな感じ。
今年のアイヌ影絵、またご一緒出来るのを楽しみにしています
これから20分長いヴァージョンの制作あるからこんどはジンギスカン腹一杯食わせろ。
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【OKI(オキ)】
アサンカラ(旭川)アイヌの血を引く、カラフト・アイヌの伝統弦楽器「トンコリ」の奏者。アイヌの伝統を軸足に斬新なサウンド作りで独自の音楽スタイルを切り拓き、知られざるアイヌ音楽の魅力を国内外に知らしめてきた稀有なミュージシャン/プロデューサー。
ソロ活動および、トンコリをメインにしたダブバンドOKI DUB AINU BANDでこれまでアジア、ヨーロッパ、北南米など世界各地をツアー。2011年は、ランキン・タクシー & ダブアイヌバンド名義で発表した反核ソング「誰にも見えない、匂いもない 2011」が各国のメディアで紹介され話題に。またカナダの先住民系ダンサーとのコラボ舞台「ススリウカ The Willow Bridge」の日本公演(2012年/カナダ公演)、影絵作家ラリー・リードとの新作影絵「アイヌ影絵」公演など幅広く活動。2012年は沖縄民謡の唄者・大城美佐子との共作アルバム「北と南」のリリース、また夏にはアイヌの女性ヴォーカルユニットMAREWREW(マレウレウ)のプロデュース作が発売予定。2013年にはOKIのドキュメンタリー映画「DUB AINU」(仮題/企画・製作 シネグリーオ)が公開予定。
『北と南 / OKI meets 大城美佐子』
リリース:2012年3月14日
Tuff Beats
製品番号:UBCA1026
【OKI LIVE情報】
5/24(木) 東京 吉祥寺 Baobab (OKI tonkori solo)
5/26(土) 山梨 道志村 Natural High! (OKI DUB AINU BAND)
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【川村亘平斎(TAIKUH JIKANG)】
ガムラン奏者/影絵デザイン/イラストレーター
インドネシアの青銅打楽器「ガムラン」を中心とした音楽活動をはじめ、影絵、イラストや絵本/漫画の制作など多方面に活躍する芸術家。音楽と影絵とVJの融合を見事に果たし、各方面から絶賛されているソロユニットTAIKUH JIKANGを中心に、 朝崎郁恵(奄美唄者)UA,OKI,永積タカシ(ハナレグミ)、原田郁子(クラムボン)、YOSHIMI(BOREDOMS/OOIOO),「CUDAMANI(バリガムラン)」など数多くのアーティストとの共演や、「ウロツテノヤ子」,[ooioo]「ALAYAVIJANA」等のBANDに参加,FUJIROCK FES,奄美日食音楽祭,SENCE OF WONDER他国内外のFESに出演する。
フェスティバルトーキョー2011 飴屋法水演出「じ め ん」(出演・ガムラン指導)、アニメーション映画「蛍火の杜へ」(音楽参加)、バリドキュメンタリー映画「タクスゥ~魂の踊り子」(絵・音楽監修)、劇団ひまわり「モモ」(影絵演出・製作)、にしすがも創造舎「青い鳥」(影絵演出)アイヌ影絵(影絵デザイン)他、バリのヴォイスアンサンブル「ケチャッ」や影絵のワークショップ、自身の町内会の子供達にガムラン演奏を指導し夏祭りで演奏する等、社会と関わり続ける『芸能』を目指している。
『滞空時間 / TAIKUH JIKANG』
リリース:2011年6月26日
Nesia Records
製品番号:NESIA001
【TAIKUH JIKANG LIVE情報】
TAIKUH JIKANG・・・ガムランと影絵を使ったユニット。7月にインドネシア/マレーシアの東南アジアツアー決定。
日程会場:5/08(火) @風土カフェ&バー「山羊に、聞く?」
タイトル:「NESIANIGHT VOL,4
木津茂理×TAIKUH JIKANG APA KABAR? JOGED AKITA! (秋田音頭よ、こんにちは!)」
出 演:TAIKUH JIKANG、木津茂理
時 間:19:00open 20:00start
料 金:前売¥2,500/当日¥3,000(1ドリンク別)
★予約★
Tel: 03-6809-0584( 15:00~23:00)
Mail: info@yagiii.com
Web: http://yagiii.com/?page_id=1235
日程会場:6/5(火) @渋谷WWW
タイトル:「スワッテダブリュー」
出 演:U-zhaan(タブラソロ)、TAIKUH JIKANG(ガムラン+影絵)
時 間:19:00open 19:30start
料 金:前売¥3,300/当日¥3,800(180名限定/ドリンク代別途)
【アイヌ影絵】
http://www.p3.org/aas/
川村亘平斎の似顔絵影絵千人斬り。
インドネシアの芸能を中心に幅広く活動し、近年影絵アーティストとしても高い評価を受けている川村亘平斎が
新しいインスタレーションプロジェクトを始動させました。
オーダー受けたお客さんの影絵人形をその場で制作、作って飾って影絵空間を構築していきます。
持ち帰ってもらった人形は、川村亘平斎の影絵展にて集結、みんなの影絵人形で曼陀羅を作ります。
目指せ1000人影絵、目指せ影絵仙人。
4/11の吉祥寺アムリタ食堂よりいよいよスタート!
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