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Miya Presents 「Tokyo Improvisers Festival 2014」開催決定

今年アルバムデビュー10周年を迎えたフルート奏者のMiyaさん。
2010年にロンドン留学された際は、
現地の様子などをJJazz.Net「Miya's London Diary」として毎週ビデオレターを届けてくれました。

その時現地で触れた「即興演奏」は、
Miyaさんにとってジャズミュージシャンとしての活動に新たな方向性を見つける貴重な体験となったようで、
帰国後は、国内外のミュージシャンと共に、積極的に「即興演奏」に取り組んでいます。

そして7月22日には、即興をフィーチャーしたイベント
「Tokyo Improvisers Festival 2014」を新宿のPIT INNで開催。
Miyaさんがナビゲートする、東京発信のインプロの世界。即興音楽未体験の方も、この機会に是非どうぞ。

そのイベントの開催に向け、Miyaさんご本人にコメントを頂きました。
Miyaさんの音楽家としてのスタンスや、「即興演奏」の魅力について知ることができますよ。

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【活動10周年とTokyo Improvisers Festivalに向けて】

こんにちはMiyaです。
2004年4月にデビューアルバム『Globe in Motion』を発売してから、今年で10周年を迎えました。
いつもサポートしてくださっている皆様に本当に感謝しています。

この10年間で、日本の社会の中でのエンターティンメントとしての音楽の役割もだいぶ変化しました。
ジャズや即興のようにルールや正解がないジャンルでは、
奏者とリスナー両方で一人一人違う価値観をもっています。
その美しさに魅かれている事がこうして続けられている理由の一つです。
そして、2014年の全体としての音楽の構図は複雑に細分化されていると感じています。

その中にあって私自身は細胞に響いて生きるためのエネルギーを活性化する音楽を聞きたい。
そしてそれをつくっていきたいと思っています。
そのためにはやはり実際に生で見て、空気の振動を感じていもらいたいです。
そして、近距離での生演奏をあまり聞いた事がない、という方にも、
もっともっとライブハウスに足を運んで頂いて、臨場感のある音楽を楽しんで頂きたいと願っています。

ジャズミュージシャンとしてのスタートでしたが、
心と身体をリラックスして楽しんで頂けるよう、より良い環境を求めて
古民家やアートフェスなど、普段音楽家が関わっていない場所での演奏場所の開拓も、
積極的に行い、音楽の現場だけでは味わう事が出来なかった体験もしました。
それを踏まえて、節目の今年、初心にもどってジャズのライブハウスでの演奏に、
力を入れるべく実現したのが今回のピットインのライブです。

Miya10周年企画として、ジャズと即興、それぞれ全力を注ぐステージを一つずつ用意します。
まず最初は「即興」にフォーカスしたライブを、私にとっての聖地・新宿ピットインで行います。

即興という手法との出会いは、2010年ロンドンへ作曲の研修へ行った時でした。
即興の要素はジャズや民謡など、細かい所まで見ればおそらく、ほとんどの音楽に存在するものだと思いますが、
ロンドンの即興シーンはJohn Stevens やTrevor Wattsらが立ち上げた、
Spontanious Music Ensemble に代表されるように、
様々な音楽の中に含まれる即興的要素のみを抽出し、
お互いに反応しながら有機的に音楽を構築する手法で、1960年代に誕生したと言われています。

ただ自由に演奏する、という事ではなく、一緒に演奏している、
一番音量の小さい楽器が聞こえるようなバランスや、
グループで演奏する意味を持たせるために、一緒に音を創造している奏者に、
有機的に反応する事を信条としていて、これをベースに新たな音楽の解釈「Improvised Music」が確立されました。

世界的にも有名は即興ギターの巨匠Derek Bailyは日本でも良く知られていますが、
シーン創世記から活躍している第一世代には、London Diary に出演してくださったSteve Beresfordや、
7月に来日するTerry Day などが名を連ねています。
お二人によれば世界ではじめて、こういった音楽シーンがロンドンで誕生したそうで、
お二人をはじめ同年代のロンドンを代表する第一世代の即興演奏家は、
日本をはじめ世界各地に熱心なファンを持っています。

(第二世代の中間層をはさんで、
私や同世代のBenedict Taylor 氏(※London Diaryに出演)は第三世代になるそうです)

即興のスタイルには音や音響にフォーカスするものや、フリージャズの流れを組み、
エネルギーの強いもの、コンセプトを重視する哲学的でアート寄りのもの、
現代音楽に近いものなどいくつかの流派があります。

素晴らしい即興のコンサートにいくと細胞一個一個に音が染み渡り、
身体の中から音のシャワーを浴びているような快感があります。

ロンドンでもアンダーグラウンドの世界ではありますが、
毎晩のようにどこかでおもしろい即興のコンサートが行われていて、
私も滞在中は毎晩かかさずコンサートを聞きに行きました。
そのほとんどのコンサートが素晴らしいもので、
私のジャズミュージシャンとしての活動に、新たな方向性を見つけられた貴重な体験でした。

この期間に出会った神様のような即興演奏家とのインタビューは、
Miya's Lodon Diary という形でJJazz.netのブログにアーカイブが残っています。
ご興味のある方は是非御覧ください。

<参考リンク>
Miya's London Diary(JJazz.Net Blog)
Miya presents 「Connecting People」(JJazz.Net Blog)


2010年にロンドンで即興オーケストラを体感出来たのは大きな収穫でした。

ロンドンに行った当初は誰も音楽家の知り合いがいなかったのですが、
毎晩コンサートに出かけているうちに、顔なじみになって声をかけてくれたのが、
ロンドンインプロシーンの大物・Terry Dayさんでした。
Terryはとても人懐っこいお人柄で、毎晩のように一人でフルートケースを抱えて、
前列に陣取っているアヤシイ日本人に、ありがたくも声をかけてくださったのでした。
こんなふうにロンドンで最初の友人になってくれたのがTerryでした。
Miya's London Diary にもトップバッターで出演してくれました。

その後彼は、私が音楽家だと分かるや、次々に素晴らしいインプロバイザーを紹介してくださったのですが、
その中でも一番広がりをもったのがThe London Improvisers Orchestra(LIO)に紹介してもらった事でした。

Miya's London Diaryの中でLIOの中心人物の一人、Steve Bersfordさんもおっしゃっていますが、
Improvisers Orchestra はアメリカのジャズトランぺッターで、指揮者のButch Morrisが提唱した、
集団即興のためのコンダクションをベースに、14年の歳月を経てロンドン独自のカラーが加わった形になっています。

Improvisers Orchestraといっても、即興のオーケストラではなく、
即興演奏する事が出来る、様々なバックグラウンドを持つミュージシャンが、
(一応)共通の指揮法を使いながら音楽を構築するオーケストラです。
メンバー一人一人が個性を発揮できる指揮法によってまるで生き物のように、
有機的に音がつながっていく音楽にとても刺激をうけました。
一応と書いたのは、即興ですから、当然予期せぬハプニングもあり、それをどのように昇華するか、個人の能力の魅せ場を楽しむ醍醐味もあります。

日本に帰ったら、私もTokyo Improvisers Orchestraをつくりたい!と
インタビューの中で語っていたのですが、予想よりずっとはやく実現しました。

ロンドンへいく前はジャズメインで活動していたので、
日本で活動する即興演奏家はほとんど知らなかったのですが、
日本だけでなくヨーロッパで活躍されているmaresukeさんに相談した所、
日本でも1980年代から続いている即興シーンがある事を知りました。

2011年イギリスやベルリンの即興交響楽団で活躍している、Ricardo Tejero さんの来日に合わせ、
maresukeさんや森順治さんをはじめとした東京近郊で活躍されている日本の先輩方、
そしてロシアのSaint Pertersberg Improvisers Orchestraを通してコンタクトのあった、
若手インプロヴァイザーのホープ山田光さんや、名古屋からも臼井康浩さんにお越し頂くなど、
東京だけでなくたくさんの方の協力を得て2011年には第一回目のコンサートが実現しました。

2012年第二回目のコンサートでは恩師・Terry Dayが来日し、
協力な助っ人としてTIOのサウンドをつくるのを手伝ってくださいました。
またこのコンサートには金沢から島田英明さんも参加してくださり、
即興交響楽団の土地を超えるパワーをあらためて感じました。

その後、東京で2度自主公演を行ったのち渡欧し
再びロンドンやベルリンの即興交響楽団の風に触れて、
東京らしさや、自分なりのサウンドをどうやったらつくれるか考えていました。

そんな中、Terry Dayの2度目の来日が決まりました。
これを逃す手はない!と私は今回のTokyo Improvisers Festivalを企画しました。

舞台となるピットインでは、今までジャズを中心に演奏してきたのですが、
この数年の間で出会った素晴らしい即興演奏家とともに、
新鮮な気持ちでステージのを創り上げます。

メンバーには、TIOの重要メンバーのmaresukeさんや森順治さんを始めとした即興演奏の名手や、
蜂谷真紀さん、吉田隆一さんなどジャズのフィールドなど幅広く活躍されているメンバー、
バイオリンだけでなくコンピューターミュージックでも知られる横川理彦さんなど、
尊敬する先輩方だけでなく、山田光さん、荒井康太さんなどフレッシュな感覚を持つ若手メンバーや、
佐渡島明浩さんとmargajyoさんといった即興を得意とするダンサーが入るのも見所の一つです。
バックグラウンドも年齢層も幅広い素晴らしい表現者が総勢22名参加します。

今まで行って来たTIOのコンサートと違う点は、
メンバー一人一人の音が伝わるような小編成のアンサンブルも行う事。

そして、何よりもスペシャルなのはロンドンでの私の最初の友人でもあり
イギリスの即興シーンを体現するTerry Dayの出演です。
今回のTerry Dayの来日ツアーではコーディネイトでお手伝いしていますが、
東京でのTerryとの共演はこの一本に懸けています。

ロンドンと東京をつなぐように、そして即興演奏に慣れているかたにも、
初めて即興演奏を聞くという方にも楽しんで頂けるステージにします!

是非、ご来場をお待ちしています。
Miya


【Miya Presents 「Tokyo Improvisers Festival 2014」】
2014年はMiyaの10周年企画として、ジャズと即興それぞれをフィーチャーしたイベントを企画しています。第一回目の本ライブでは、ロンドンから即興界の重鎮テリー・デイ(ds)を迎え、The Tokyo Improvisers Orchestraと共に、興奮の即興演奏体感ライブをお送りします。様々なバックグラウンドを持つ表現者が一同に介し、一緒に演奏したり、あるいは音を出さなくても空間を共有する事で生まれるエネルギーを感じとり、ステージに反映させます。第一部は、テリーとMiyaの即興Duoや、アーティスト一人一人の表現、全体のアンサンブルが楽しめるステージをお送りします。第二部の即興オーケストラは、ヨーロッパで旋風を巻き起こしている即興交響楽団のシステムを用い、世界共通言語としての指揮法に加えて、メンバーによる独創的な指揮で東京のユニークさをアピールします。Miyaがナビゲートする世界最先端の即興を、はじめて即興を聴くお客様にも気軽に楽しんで頂けるライブです。

【日程】
2014年7月22日(火) Open 19:30 Start 20:00

【出演】
The Tokyo Improvisers Orchestra
小塚泰 横川理彦(violin)
Miya (flute)
山田光 森順治 吉田隆一 (reeds)
金子雄生(trumpet)
荻野都 照内央晴 (piano, objects)
臼井康浩 ※from 名古屋 吉本裕美子(guitar)
岡本希輔 カイドーユタカ 谷口圭祐(bass)
荒井康太 白石美徳 Terry Day ※ from London 山岸直人(drums)
松本ちはや(percussion)
蜂谷真紀 (voice)
佐渡島明浩 Margatica (dance)

→メンバープロフィールはこちら

【場所】
新宿PIT INN
http://www.pit-inn.com/index_j.php
新宿区新宿2-12-4アコード新宿B1

【料金】
¥3,000+Tax 8% (1 Drink 付き)

【ご予約・お問い合わせ】
03-3354-2024 (新宿PIT INN)

【イベント詳細】
http://miya-music.com/Tokyo-Improvisers-Festival


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Miya(フルート奏者) プロフィール

ジャズと即興を両輪に活動する音楽家。これまでに山下洋輔プロデュース「Miya's Book」など3枚のアルバムを発表。2010年文化庁からの派遣生としてロンドンにて現代音楽の作曲家Jonathan Coleに師事。ヨーロッパでの即興演奏ツアーではLondon やBerlinのImprovisers Orchestraと共演している。インドベンガルのバウルの祭典など海外での出演多数。BankARTでのパフォーマンスなどアートとの連携も強めている。

Miya オフィシャルサイト

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