その年を振り返りつつベストディスクを発表するという年末恒例企画「夜ジャズミーティング」。
今年も恒例のお二人。松浦俊夫さん、そして沖野修也さんはZOOMにてご参加いただきました。
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、想像もしなかった1年に。
ライブやイベントは軒並み中止となりましたが、今年は素晴らしい作品が数多くリリースされた印象です。
詳しくは番組でお楽しみ頂くとしまして、ここでは恒例、皆さんの年間ベスト3作品をご紹介。
■夜ジャズ.Net#147 - 夜ジャズミーティング2020
https://www.jjazz.net/programs/yorujazz/
配信期間:2020年12月16日(17:00)~2021年1月20日(17:00)
Stay Homeにより、音楽をじっくり聴くことができた年ともいえます。
是非購入のご参考にして頂ければと思います。
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【2020年間BEST3アルバム】
selected by 沖野修也
2020年は、曲単位ではなく、アルバムを通して音楽を楽しむようになった一年でした。
DJになってから最も回す回数が少ない年だったからこそ、アルバムをじっくり聴き込むようになったという、皮肉?幸運?それとも・・・。複数の年間チャートのオファーを頂いていますが、他とは被りは全くなしで、JJazz.Netのリスナーの皆さん向けの3枚を選んでみました。
Idris Ackamoor & The Pyramidsは、レジェンドの最新作。僕も顔負けの豹柄ジャズマンが、今のシーンにフィットする作品を作り上げたことに感動&リスペクト。先輩にこれやられたら敵わん!と打ちのめされつつも、あの年までやれるという励みも頂きました(笑)。
Greg Foatは、南ロンドンとは違うUKジャズの現在形がとてもユニーク(しかもちゃんとMoses Boydが叩いている!)。プログレ感もありつつ、ジャズ・ファンクっぽくもあり、他の何にも似ていないオリジナリティーが秀逸。Yonaguniは少ないDJの中で本当によくかけました。
何気に聴いた回数で最も多かったのは、実はKhruanbin。仕事がなくなって、毎日ビーチに出かけてこれを聴きながらこの先一体どうすればいいのか・・・と悩んでました(全然悩んでる風じゃない!と突っ込まれましたが)。ひなびた民宿に合うんですよ、Khruanbinの音が・・・。日本からの返答という意味で、Okianbinというバンドでアルバム作ってみようかなと。Shuyanbinの方がいいかな?
2020 Years Best-沖野修也- |
Title : 『SHAMAN!』 Title : 『SYMPHONIE PACIFIQUE』 Title : 『Mordechai』 |
【沖野修也 プロフィール】
音楽プロデューサー/選曲家/作曲家/執筆家/ラジオDJ。
開店以来26年で100万人の動員を誇るThe Room(渋谷)のプロデューサーでもある。
これまでDJ/アーティストとして世界35ヶ国140都市に招聘されただけでなく、CNNやBILLBOARD等でも取り上げられた本当の意味で世界標準をクリアできる数少ない日本人音楽家の一人。
KYOTO JAZZ MASSIVE名義でリリースした「ECLIPSE」は、英国国営放送BBCラジオZUBBチャートで3週連続No.1の座を日本人として初めて射止めた。
著書に『DJ 選曲術』や『クラブ・ジャズ入門』、自伝『職業、DJ、25年』等がある。
2013年11月にはバーニーズ ニューヨーク新宿店で初のイラストレーション展を開催。
2017年6月、ジャズ・プロジェクト、Kyoto Jazz Sextetのセカンド・アルバム『UNITY』をブルーノートより発表。
同年フジ・ロック・フェスティバル~Field Of Hevenステージにも出演を果たす。
2018年10月にスウェーデンのレーベルLocal Talkより「RISING (RON TRENT Remix)/KYOTO JAZZ SEXTET」、11月に「MISSION (JAXX MADICINE REMIX)/KYOTO JAZZ SEXTET」を、更には11月3日には、HMV recordより『You've Got To Have Freedom/Mission (Unreleased Version)/KYOTO JAZZ SEXTET』をリリース。
現在、InterFM『JAZZ ain't Jazz』にて番組ナビゲーターを担当中(毎週日曜日16時)。
有線放送内I-12チャンネルにて"沖野修也 presents Music in The Room"を監修。
GQ JAPANオフィシャル・ブロガー。
http://www.kyotojazzmassive.com
https://ameblo.jp/shuya-okino
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selected by 松浦俊夫
コロナ唯一の功罪?とことん音楽と向き合った2020年。
悩んだ末の3作。SAULT『Untitled (Black Is)』&『Untitled (Rise)』、Jamael Dean『Eledumare』、そしてTigran Hamasyan『The Call Within』。
大豊作だった今回は趣向を変え、上記3作以外の良作を挙げられるだけ。
Takahiro Izumikawa『Life Is Your Thoughts』 、Nubya Garcia 『Source』、Shabaka & The Ancestors 『We Are Sent Here By History』、STR4TA『Aspects』、Christian McBride 『The Movement Revisited』、Jeff Parker 『Suite For Max Brown』、Nduduzo Makhathini『Modes Of Communication: Letters From The Underworlds』、Immanuel Wilkins『Omega』 、Matthew Halsall 『Salute To The Sun』、Lakecia Benjamin 『Pursuance: The Coltranes』、Diogo Strausz 『Pausa』、 Keith Jarrett『Budapest Concert』、Kamaal Williams『Wu Hen』、Yusseff Dayes『What Kinda Music』、 Lady Blackbird『Blackbird』、 Derrick Hodge『Color Of Noize』、 Charles Tolliver 『Connect』、Adrian Younge & Ali Shaheed Muhammad『Jazz Is Dead 1』、 Ben Wendel『High Heart』、Sam Gendel『Satin Doll』、 Gil Scott-Heron x Makaya McCraven『We're New Again』 、V.A.『Blue Note Re:imagined』ほか多数。
コロナのせいで自宅に篭る日々の中、朝起きてからベッドに入るまで音楽を聴き続けたお陰で「音肌感覚」が研ぎ澄まされ、「グルーヴが常に身体に内包」する恩恵を受けました。DJがもう2度と出来ないのは?と思うほど追い詰められましたが、未来は自ら「切り拓くべし」ということを30年ぶりに体現したことで数年後に「あのときがあったから」と言えるような気がします。またそうするために21年も実行するのみ。
2020 Years Best-松浦俊夫- |
Title : 『Untitled (Black is)』 Title : 『Untitled (Rise)』 Title : 『Black Space Tapes / Oblivion』 Title : 『The Call Within』 |
【松浦俊夫 プロフィール】
1990年、United Future Organization (U.F.O.)を結成。
5作のフルアルバムを世界32ヶ国で発表し高い評価を得る。
2002年のソロ転向後も国内外のクラブやフェスティバルでDJとして活躍。
またイベントのプロデュースやホテル、インターナショナル・ブランド、
星付き飲食店など、高感度なライフスタイル・スポットの音楽監修を手掛ける。
2013年、現在進行形のジャズを発信するプロジェクトHEXを始動させ、Blue Note
Recordsからアルバム『HEX』をリリース。
2018年、イギリスの若手ミュージシャンらをフィーチャーした新プロジェクト、
TOSHIO MATSUURA GROUPのアルバムをワールドワイド・リリース。
2021年、TOSHIO MATSUURA GROUP新曲「Pina」が待機中。
InterFM897 "TOKYO MOON"(毎週日曜17:00)
Gilles Peterson's Worldwide FM "WW TOKYO" (第1&3月曜21:00) 好評オンエア中。
http://www.toshiomatsuura.com
https://www.mixcloud.com/toshiomatsuura
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selected by 須永辰緒
放送では触れていませんが
YASUSHI IDE/Cosmic Suite (Grand Garally)
CHILLY GONZALES/Christmas (Gentle)
ROB MAZUREK/Dimensional Stardust (International Anthem)
CHASSOL/Ludi (Tricatel)
などなど、松浦さんも仰っていたように2020年は音楽の豊作の年として記憶されると思います。甲乙付け難く、直前まで決めることができませんでした。しかしこの2020年にYear's Bestとしてピックアップした下記これらのアルバムは『失われたダンスフロア』の中で配信DJにて必ずプレイした3枚でもあります。
1.HAIM/Woman in music ptⅢ(COLUMBIA)
チョリソーを男性のシンボルに見立て、怒れる3姉妹が真正面から女性被害問題に立ち向かうジャケットが印象的なこのアルバムが今年のベスト。「Summer Girl」はどこかルー・リードの『ワイルドサイドを歩け』を彷彿させる。L.A.のインディーロックにカテゴライズされると思いますが、たまたまyoutubeで見つけました。現場や録音がメインのいつもの音楽生活だったとしたらこの曲には辿り着かなかったと思う。そういう意味では巣篭もり生活も悪くなかったかな。
2.BRUNO MAJOR/To let a good thing die (Harbour)
2020年は配信がメインのDJプレイだったからこそ『リズム設定』は敢えて無視してメロディや歌詞にフォーカス、SSW系やソウルのボーカル作品も多く買えた。ビンテージのアナログ機材で録音しているのかな?とにかく音質が抜群で粒立ちのひとつひとつが愛おしい。番組で紹介した曲の冒頭に耳を澄まして下さい。圧倒的な優しさの歌声に癒された。
3.GREG FOAT/Symphonie Pacifique (Strut)
最近のLPは高音質をキープする為に2枚組に分けることが多い傾向にあります。そんな意図を最大限に生かしたクオリティにまず驚嘆。モーゼス・ボイド(ds.)フィル・アシール(b.)などUKジャズの新鋭ミュージシャン含む9名からなるメンバーに加えストリングスや聖歌隊も参加。圧巻はSIDE B。多彩なリズムで幻想的、かつ踊れる要素も多大なことでファンク系のDJからも注目されています。
2020 Years Best-須永辰緒- |
Title : 『To Let A Good Thing Die』
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【須永辰緒 プロフィール】
Sunaga t experience =須永辰緒によるソロ・ユニット含むDJ/プロデューサー。 DJプレイでは国内47都道府県を全て踏破。また北欧=日本の音楽交流に尽力、世界各国での海外公演多数。
MIX CDシリーズ『World Standard』は12作を数え、ライフ・ワークとも言うべきジャズ・コンピレーションアルバム 『須永辰緒の夜ジャズ』は20作以上を継続中。国内や海外レーベルのコンパイルCDも多数制作。国内外の多数のリミックスワークに加え自身のソロ・ユニット"Sunaga t experience"としてアルバムは5作を発表。アナログ啓発活動としてヴァイナルのみのリリース•シングルなども続く。最新作は 『VEE JAYの夜ジャズ』(ビクター)『Sunaga t experience DIGS CHIEKO KINBARA~Jazz Remixies~』(CAPOTE)『BETHLEHEMの夜ジャズ』(ULTRA VIVE)『クレイジーケンバンドのィ夜ジャズ』(UNIVERSAL SIGMA)『Sunaga t experiencec/STE』(BLUE NOTE)等。多種コンピレーションの 監修やプロデュース・ワークス、海外リミックス作品含め関連する作品は延べ200作を超えた。加えて企業ブランディングや商品開発、音楽や料理などの著作も多数手がける。
http://sunaga-t.com
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