やさしくソウルフルな歌声と、深いまなざしを持つ独特の詞の世界で知られるSSWの大和田慧が、新作EP『LIFE』を2021年6月3日 (木)にリリース!
プロデュースは大野雄二 & Lupintic Six、綾戸知恵、モノンクル、Millenium Paradeなどでも知られるマルチキーボーディスト、宮川純。そしてメンバーには、吉田サトシ(g)、伊吹文裕(d)、越智俊介(b)、荒田洸(beat make)、角田隆太(b)といった新世代のジャズミュージシャンが参加。
コロナ禍で生まれたこの新作EPはあらゆる感情を肯定する色とりどりの5曲を収録。
JJazz.Netも注目の1枚です。
そこで今月の新譜紹介番組JJazz.Net「PICK UP」では大和田慧さんのコメントをお送りしています。
【JJazz.Net「PICK UP」】(毎月第1水曜日更新)
https://www.jjazz.net/programs/pick-up/
放送期間:2021年6月2日(17:00)〜2021年7月7日((17:00まで)
この話題の新作やコロナ禍で思うことについて、メールインタビューでもお答えいただきました。
6/29には初の単独公演 at 丸の内Cotton Club 決定しています。
【大和田慧 インタビュー】
■新作EP『LIFE』の楽曲タイプは多岐に渡ります。楽曲制作やそのプロセスについて教えてください。
[大和田慧]
シングルリリースした新曲3曲は、コロナ禍でとことん自分や世界に向き合ったところから書いていきました。
近年のライブや、昨年出したライブ盤の流れから、次作を宮川純くんと制作すると決めていたので、彼と話すなかで「Life」と「Switch」は、いまこういう曲が欲しいよね、という出発点がありました。根幹となる一部のメロディができた段階で純くんに投げて、彼のフィールで弾いてみてもらったり、話し合いながら一緒に作って行きました。それから詞を書いていき、メロも歌詞も納得いくまで何度も書き直しました。とくに「Life」の歌詞は書きたいテーマが大きかったので相当時間がかかり、ようやく書きあげた日の達成感をすごく覚えています。
【大和田慧 - LIFE (Music Video)】
【大和田慧 - Switch (Lyrics Video)】
今回のプロセスの特徴は、全部自宅録音しているところです。ドラムも、スタジオを借りて伊吹くん自身にマイクをたててもらって録音しました。スタジオオーナーさんのご家族、こどもたちに「Life」のコーラスに急遽参加してもらったり、普通のレコーディングスタジオだったら起きなかった嬉しい出来事もありました。コロナによってみんなの宅録スキルがアップして、スタジオの制約がない分、じっくりと作ることができました。私も何度も何度も、とことん歌い直しました。
今回一番化学反応が起きたのは「You will never lose me」でした。一番だけのデモができて、自分は好きだけど暗いだろうか...と思いながら純くんに送ったら、すごくいいじゃん!!と返ってきて、この曲を荒田くんにお願いしてみない?と提案してくれました。荒田くんのトラックメイカーとしての力は素晴らしく、ビートだけでなく、サウンドで全体の世界観を大きく構築してくれました。あまりにも好きな仕上がりになったので、予定じゃなかったのにシングルリリースして、渾身のMVも作ってしまいました。
【大和田慧 - You will never lose me (Music Video)】
初期に純くんの演奏と打ち込みで完成させていた「Seasons」も荒田くんに参加してもらって再構築しました。
「バタフライ・エフェクト」はライブを重ねてきたメンバーでのバンドサウンドですが、私のシンガーソングライターとしてのアコギ弾き語りの良さを大事にしたい、という純くんのディレクションで、ギター主体のアレンジをしてくれました。
我ながら多岐にわたる5曲ですが、EPの曲順に並べた時に、全体のストーリーがつながり、曲の聴こえ方も変わって驚きました。配信でシングルリリースが主体になった時代に、アルバムを作る大きな意味を感じました。
■EP『LIFE』のプロデュースはマルチキーボーディストの宮川純さん。
参加メンバーも吉田サトシ(g)/伊吹文裕(d)/越智俊介(b)/荒田洸(beat make)/角田隆太(b)と、新世代のジャズミュージシャンが脇を固めています。彼らと通ずる部分、共感する部分はどういうところでしょうか?
[大和田慧]
プロデュースしてくれた宮川純くんは、実はすごく歌詞と歌を聴いてくれてる人で、そのうえで、その曲に必要な、大切な音は何かを考えて演奏/アレンジしてくれます。
今回参加してくれてるメンバーはみんなそういうところが通じている気がします。尊敬する、素晴らしい音楽家です。スーパープレイヤーなので、彼らのプレイの凄さだけで惹きつけることが出来る人達なのですが、必要なことをよくわかっていて、歌や楽曲の魅力を最大限に引き出してくれます。抑えるというよりも、調和しながら、でも出るべきところでしっかりと前に出て、それが歌ってる私や聴いてくれる人達の感情を確実に高めてくれます。同じ曲でも、彼らと演奏すると、届けられるものが何倍にもなる、と思ってます。
そして互いに尊敬しあい、この世代の音楽を作っていく意識を持っている人達だと思います。
■EP『LIFE』に収録の「バタフライ・エフェクト」について。
実際の活動にも通ずることかと思いますがこの曲に込めた思いを教えてください。
[大和田慧]
実は3年以上前に書いた曲で、ライブでたまに演奏していましたが、コロナ禍で本当の役目を与えられたような曲でした。きっとこの曲はこの時を待っていたんだと思いました。
バタフライ・エフェクトは、小さな蝶の羽ばたきが連鎖して、地球の裏側で竜巻を起こすといわれる現象です。それくらい世界は響き合っている。今の私達が抱える悔しさも、気付かないうちに、どこかの誰かの救いにつながっているかもしれない。だから何一つ、きっと無駄にはならないし、ひとりひとり自分がこの世界に存在してることを大切に思って欲しい。そんな願いを込めました。
コロナ禍で毎週行ってきたインスタライブでは、この曲を歌うと視聴者のみんながコメントで"青い蝶の絵文字"を飛ばしてくれました。今回EPに収録して、全体のストーリーをつなげてくれています。ライブでみんなと歌える日が楽しみです。
■大和田さんの詞の世界での"別れ"はポジティブなものが多い印象です(例えば「You'll never lose me」)。(恋愛に限らず)一般的には悲しいとされる"別れ"をポジティブに変換できる理由はなぜでしょうか?
[大和田慧]
私は7歳の頃に両親が離婚して、別れというのは人生で不可避なもののような印象がずっとありました。当然悲しい感情もありましたが、彼らの別れはそれぞれが自分らしく生きるための選択であり、始まりのようにもみえました。実際その後そうなっていくのを見ていたし、ありがたかったことに、離婚後も、父はずっと私の父で、母は母であり続けてくれて、私は両親を失わずにいられました。この体験はいつも私の根底にあるような気がします。
■好きなジャズミュージシャンを教えてください。
[大和田慧]
Dianne Reeves、Cassandra Wilson 、Brian Bladeです。
ジャズミュージシャンと共演が多いのに私自身はジャズを勉強したことはなく、ただ一部の好きなものだけ純粋に音楽として聴いてきたのですが、このお三方は大好きで、ライブも何回も行っています。音楽の塊のような人達。豊かで、愛に溢れ、大きくうねる音楽は、魔法使いのようだと毎回感動して、喜びで泣くこともしばしばです。
■コロナ禍が続きます。ミュージシャンとして今思うことを教えてください。
[大和田慧]
去年、仕事やライブがなくなり、人に会えず何ヶ月も人前で歌うことがない状況になったとき、それがこんなにも苦しいと思いませんでした。経済的なことだけでなく、つながりを失ったり、自分の90%が使われてないような、すごく無益な存在に思えて、かなりしんどかった。でも、コロナで仕事や住むところを失った方や、ずっと頑張ってくださってる医療従事者の方、コロナにかかったり大切なひとを失くしたりした方もいるなかで、自分は住むところもあってご飯も食べられている。苦しいと思ってはいけない、と感じてる方も多いんじゃないかと思います。でも、日々のささやかなことであっても「生きてる」と感じることを失うのはやっぱり辛く苦しいのだと思います。心豊かに生きることは、誰もが望んでいいし、誰にでも与えられるべきものなのだ、と改めて感じた1年でした。このメッセージはコロナ禍で噴出した社会の構造問題にもリンクしていると思いました。
ここまで状況が長引いてきて、どんなひとも疲弊していると思います。どうか自分を労ってあげてください。音楽は、その時代を映し、共に生きるものだと感じています。音楽活動もまだ思うようには出来ませんが、今回のEP制作を通して、私自身、とても苦しい時間と、そこから息を吹き返す感覚がありました。一緒に生きましょう、という思いです。
ありがとうございました。
【初の単独公演 at 丸の内Cotton Club 決定】
【公演名】
大和田慧EP『Life』Release Special Live 〜Our Key Of Life〜
【日時】
2021. 6.29.tue
[1st.show] open 5:00pm / start 6:00pm
[2nd.show] open 7:45pm / start 8:30pm
【メンバー】
大和田慧 (vo,g)
宮川純 (key,music director)
吉田サトシ (g)
越智俊介 (b)
伊吹文裕 (ds)
Haruna (cho)
▼URL
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/kei-owada/index.html
ALBUM情報 |
タイトル:『LIFE』 |
大和田慧 プロフィール
シンガーソングライター、作詞/作曲家。東京出身。
ソウルミュージック、キャロル・キングらに影響を受けた音楽性と、深いまなざしを持つ言葉で、静かにその世界へ引き込んでいく。透明で繊細な歌声はやさしく、ソウルフルに心に触れる。曲ごとに多様なストーリーをみせ、NHKみんなのうた「まどろみ」など、楽曲提供、歌唱も行う。
生まれ育った東京を拠点に活動し、定期的に渡米。NY、LAでライブやレコーディングを行い、2014年にはアポロシアターのアマチュアナイトでTOPDOG(準決勝)まで進出した。
2017年よりボーカリスト/クリエイターとして大沢伸一氏のプロジェクトMONDO GROSSOに参加し、FUJI ROCK '17出演。作詞を担当した「偽りのシンパシー (vocal: アイナ・ジ・エンド)」はTBS系火曜ドラマ「きみが心に棲みついた」挿入歌として好評を得る。
2018年、「NHKみんなのうた」のために書き下ろし、Jon Brionとロサンゼルスでレコーディングした「まどろみ」が同局で2ヶ月間オンエア。2019年、Jon Brion、Shingo Suzuki(Ovall)、Michael Kaneko、小西遼(CRCK/LCKS)らを迎えた3年ぶりのアルバム「シネマティック」リリース。同収録の「Closing Time」は清原翔主演のMVと、テラスハウスでもフィーチャーされ話題となる。
2020年より、キーボーディスト宮川純をプロデュースに迎えた新プロジェクトを開始。コロナ禍に書き上げた賛歌「Life」、WONKの荒田洸を共同プロデュースに迎えた「You will never lose me」、「Switch」を3作連続配信リリース。2021年6月3日にEP「Life」をリリース。