Title : 『Now He Sings, Now He Sobs』
Artist : Chick Corea
「子供の頃からクラシック・ピアノを学んでいて、高校2年で挫折してやめ、ヘヴィメタルを聴くようになり、1年ほどピアノを全く弾いていませんでした。
アルバイトもしていて、ちょっと一瞬金銭的な余裕が出てきたところ、「何かジャズでも聴いてみるか」と思って手に取ったのがこのアルバム。帯に「名盤」と書いていたし、チック・コリアの名前ぐらいは聞いたことがあったからです。
子どもの頃から父親がジャズが好きで、よく家や車でジャズが流れてはいましたが、管楽器主体のもの、マイルスのマラソン・セッションのあたりなどで、あまりピアノの印象がなかったんです。そういうジャズしか知らなかったので、初めて触れるピアノ・トリオに興奮しました。
ピアノのジャズって、こんなに格好良くてソリッドで刺激的なものなのかと。アルバムを通して、とにかく何が起こっているかわからない。そのわからなさが格好良い。そんな感じで、当時の私にとって刺激物でした。
また、同時に買った『Undercurrent』ビル・エバンスで、内省的で繊細で情緒的なジャズに触れ、この2枚がきっかけでピアノに再度取り組むこととなり、現在に至ります。」西山瞳