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Patrick Forge(Da Lata,dj) - 『London Club Jazz Scene』

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ARTIST : Patrick Forge(Da Lata,dj)
TITLE : London Club Jazz Scene(「JAZZ ON THE ROAD#2インタビュー日本語訳」)


JJazz.Net "SOMETHING SPECIAL" では毎回、様々なゲストの方に「大切なもの」を語っていただきます。
今回は、北ロンドンにあるThe Old Queens Headで毎月第3木曜日に開催されているイベント"JAZZ ON THE ROAD"(on Thursday 18th September 2008)にゲストDJとして参加した Patrick Forgeにロンドンのクラブジャズ・シーンがどのように変わっていったのかをお伺いしました。ロンドン・クラブ・カルチャーの成熟に大きく貢献してきた彼が実際体感した、そのシーンを語ってくれています。

インタビュアーは、UKを拠点にDJやボンゴプレーヤーとして活動、また自身が携わるイベント"JAZZ ON THE ROAD"ではResident DJを務めるSakai Koichiさんです。


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(Patrick Forge以下PF)(Sakai Koichi以下KS)


KS:質問があります。ロンドンのクラブジャズムーブメントが80年代から現在の21世紀までどのように変わったのか聞かせてください。


PF:それは大きな質問だ。変わるということはとても広い意味があるし、ロンドン自体大きく変化していた時代だったからね。大都市としてコマーシャルなものが開拓され始め、ナイトクラブや文化的なものが増え始め、ある意味では何かを失いつつもあった。そういった意味で僕は80年代後半にこういったクラブジャズシーンにかかわることになってラッキーだと思う。当時のGillesとのDingwallsセッションで高い所に行くことが出来たからね。もちろん今まで常に何かが起こっていてたけど、それ以来あまりそこに焦点を合わしていたわけではないからね。もう何年も前のことだし。


KS:80年代はどういう感じでしたか?僕は当時そこにはいなかったので。


PF:知っての通りシーンはマイノリティでそんなに大きなものではなかった。Space Branchで金曜日にGillesがやっていたJazzイベントで時々DJして、その下ではNicky Hollowayなんかがメインストリームなソウルをかけていたりして。結構小さなシーンでほかにもElectric Ballroomやほかのダンスクラブなんかもあったりしたけど、Dingwallsが始まってからだね、もっとほかの多くの人たちに知られるようになったのは。そこから突然波が起こって面白いことが起こり始めたんだ。Acid Jazzの時代なんかもそのひとつで、歴史を振り返るといろいろありすぎてとても複雑だけど、君もその時そこにいたらよくわかると思うよ。DingwallsにAcid Jazzにその頃のクラブシーンは音楽的にとても素晴らしかったからね。


KS:僕は雑誌や人から聞いた話でしか当時のAcid Jazzやロンドンのクラブジャズムーブメントのことを知らないわけんですけど、その頃から比べて現在のロンドンのジャズムーブメントをどう思いますか?


PF:見ての通りジャズダンスシーンはとても小規模だよね。当時から続けてる人もいれば新しい人たちも出てきたりはして、小さな動きはあちこちであったりするけれど。僕らはラッキーなことにここ数年、年に一度Dingwallsのセッションを再開して、本当に素晴らしいことだよ。僕にとってジャズをプレイする場所としてはDingwallsがベストだからね。ほかでもいろいろなところでDJしていろんな曲をかけたりするけど、ジャズをかけるような場所はそんなに必要ではないんだ。このシーンは僕にとっての特権でここが僕の帰る場所だからね。


KS:そうですね。僕はラジオを聴いて気づいたんですが、いつも最新の曲からBilly Holidayのようなクラシックまで幅広く選曲していますね。


PF:その通りだ(笑)おかしなことに最近Gillesと話していたんだけど僕が思うに、昔あった音楽ほど今は新しい良い音楽が生まれて来てないから昔の曲をかけることが増えてきているんだよと。


KS:そこから新しいものが生まれるようにですね。


PF:新しい音楽もかけ続けなければならない必要もあるわけだし、それは教育的なものでもあって、じゃあ僕がかけなかったら誰がかけるんだと。


KS:忘れ去られることがないようにですね。


PF:そう。時間を費やして作られた音楽だからね。


KS:ジャズという音楽がこれから先どうなっていくと思いますか?


PF:ジャズという意味では結構強力だと思う。ニュージャズと呼ばれるシーンも出来ていて日本やヨーロッパでもいろんなバンドが出てきてはいるけれど、僕にとってはその多くは表面的で面白みの無いものではあるとしても、少なくとも常に多くの若者がジャズに興味を持っている。ジャズはエキサイティングで挑戦的な音楽だし、多くのミュージシャンが最終的にはジャズにぶつかりこれが究極の音楽だと気付くわけだから。僕はいつも希望をもって刺激的な新しい良い音楽が生まれることを待っているし、この先音楽を生産するのが経済的に難しくなっても誰かがやるということは間違いないことだろう。


KS:ジャズの人はいつもジャズのフィールドで、クラブジャズの人たちはいつもクラブフィールドにいるのはどうしてでしょう。


PF:その緊張感は昔からあったもので、自ら真のジャズを継承する人たちはWinton Marseillesのような人に影響され伝統派に行き着いて演奏スタイルや姿勢もそうなっていくわけで。それと比べるとクラブジャズシーンはもっと活気付いていて、僕としては本当にその中間的なものが見たいわけなんだけど。クラブカルチャーにグルーヴィーなべースは意識付いているし、レベルだとかヘッドアレンジだけでなくシリアスな深みとか。そういったバンドが深みが無いなんて言葉を僕から聞きたくないとは思うけど、僕が言いたいのは好きとか嫌いとかそういことではなく、それが楽しめるものであったとしてもコルトレーンの後にquasimodeのレコードはうまくつなげないということなんだ。(笑)


KS:ジャズとクラブのフィールドをつなげる事はJAZZ ON THE ROADのコンセプトでもあります。


PF:そこはシーンが冷めてしまっても、いつの時代もいいポイントだと思うよ。(苦笑)


KS:今日は本当にありがとうございました。


PF:どういたしまして。


Patrick Forge






[[[ Patrick Forge PROFILE ]]]


ジャイルス・ピーターソンと共に、ロンドン・クラブ・カルチャーの成熟に大きく貢献してきたDJのひとり。'92年にクリス・フランクと出会って以来、ブラジル音楽とUKクラブ・シーンとを結び合わせてきた。現在はクリス・フランクと共にDA LATAとして活動。また、ロンドンのラジオ「KISS FM」でパトリックがパーソナリティを務める番組は、業界屈指の人気を誇り、彼のトラックリストにどの曲が載るかが常に注目されている。言わずと知れたJazz界のTop DJ。



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