Title : 『CONTRAST&FORM』
Artist : ケイ赤城
今月とりあげるのは、1953年生まれのピアニスト、ケイ赤城による最新作。
いわずもがな、1979年にアイアート・モレイラ&フローラ・プリムグループに参加、その後アル・ディメオラのグループなどを経て、1989年から1991年までマイルス・ディビスグループのメンバーとして活動したピアニストだ。現在はカリフォルニア大学芸術学部教授として講義を行っている。
メンバーは2014年の『CIRCLEPOINT』に続いて、若井俊也(b)と本田珠也(ds)によるピアノトリオ。この世代の入り混じったメンバーが、トリオの音楽をぐっと新しく聴こえさせる要因になっているように思う。
「IN THE FOLD」では、メロディに対するハーモニーとリズムの実験が行われ、「PLAYGROUND ー THE DOG AND THE SNAKE」の7拍子の上でモチーフを交差させていく。組曲的に展開する「AME TO KAERU (THE RAIN AND THE FROG)」では、少しずつテーマを変えながらオープンなインプロヴィゼーションを展開していく。この始めの三曲で、現代のピアノトリオ・スタイルをほとんど説明してしまっているんじゃないかと思うくらい、濃厚な内容になっている。総計15分ほどの組曲で、アルバムのタイトルにもなっている「CONTRAST & FORM」では、ピアノ内部で反射する響きまで聴こえるようなピアノ・ソロの静寂から、バンドインしてヒートアップするまでの流れが実にスリリングだ。最後の「WHERE YOU MAY BE」では、スローテンポのバラードに全員の歌心が光っている。
アルバムを通して、一瞬一瞬の細部まで聴き込むことで、どんどん深みにハマってしまいそうな作品。
文:花木洸 HANAKI hikaru
●ケイ赤城 Official Site
●『CONTRAST&FORM』詳細
現在販売しているのは「TIME & STYLE MIDTOWN」(六本木)と「TIME & STYLE PRIDENCE」(二子玉川)の2店となります。
http://www.timeandstyle.com
またディクスユニオンで発売中です。
http://diskunion.net/jazz/ct/detail/1007304320
Recommend Disc |
Title : 『CONTRAST&FORM』 diskunion詳細ページへ RECORDED BY: YOSHIAKI MASUO AT KAKINOKI STUDIO , AUGUST 2016 Tamaya Honda plays Bosphorous Cymbals. |
この連載の筆者、花木洸が先日発売になりました『Jazz The New Chapter 3』で編集・選盤・レビュー記事などを担当。ブラック・ミュージックの最先端からUKジャズ、ネクスト・ジャズ・ファンク、ラージアンサンブル等ここにしかない記事・インタビューが盛り沢山となっています。
■タイトル:『Jazz The New Chapter 3』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2015年9月10日
■出版社: シンコーミュージック
今日においてはジャズこそが時代を牽引し、ディアンジェロやフライング・ロータスなど海外の最先端アーティストから、ceroなど日本のポップ・シーンにも大きな影響を与えている。この状況を予言し、新時代の到来を告げた「Jazz The New Chapter(ジャズ・ザ・ニュー・チャプター)」の第3弾がいよいよ登場。2014年の刊行時より刷数を重ね、SNS上でも未だ話題沸騰中の第1弾・第2弾に続き、2015年9月末に〈Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN〉が開催されるなど、かつてない活況を迎えているジャズの次なる未来は、ニューチャプターが切り拓く!
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Reviewer information |
花木 洸 HANAKI hikaru 東京都出身。音楽愛好家。 |