ジャズアラウンドの重要人物が集い、その年を振り返りつつベストディスクを発表するという、
年末恒例企画「夜ジャズミーティング」。
昨年に続き、今年も「HMV record shop渋谷」にて公開収録を行いました!!
■夜ジャズ.Net
http://www.jjazz.net/programs/yorujazz/
(配信期間:2017年12月20日~2018年1月24日)
参加メンバーは、DJ/プロデューサー、松浦俊夫さんとブラジル音楽のエキスパート、中原仁さん。
ジャズリスナーも見逃せない今のブラジル音楽のシーンについて
詳しくは番組でお楽しみ頂くとしまして、ここでは皆さんの年間ベスト3作品をご紹介。
中原仁さんはアナログリリースしばりによるセレクトです。
公開収録をした「HMV record shop渋谷」にも是非お店にもお立ち寄り下さい。
収録協力:HMV record shop渋谷
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【2017年 年間BEST3アルバム】
selected by 須永辰緒
カマシ・ワシントンのバンドでもキャリアを知られるトロンボーン奏者、RYAN PORTER。LAジャズシーンからは次から次へとワールドワイドな新鋭が登場するけど、カマシは勿論サンダー・キャットやジョセフ・ライムバーグも参加している。つまりは一連のセッションから生まれたリーダーアルバムということです。子どものためのジャズを謳いながら、音楽知を充分堪能できる素晴らしい内容。
YARON HERMANはイスラエル生まれパリ在住のピアニスト。ジャズ、ポストロック、エレクトロを基調としながらも佇まいはクラシカル。ここ数年はポスト・エスビョルン・スベンソンを探す毎日ですが、ESTをアップデートさせたようなこのアルバムに出会えて、それはある程度達成できたような気がします。哲学、数学、物理学を基にしたメソッドを修学。
そして最後は自身コンパイルの『須永辰緒の夜ジャズ・外伝3』。世界がネットで繋がって以降「ダンスフロアを通過した耳で表現するジャズ」という考え方は最早過去のものとなりつつあります。YouTubeやMIXCLOUDなど双方向的に世界中と簡単につながることができるし、最先端の音楽も容易く入手できる。そうなると我が日本からも才能は世界に飛び出せる、ということでそんな才能の一端をキュレーションしています。
2017 Years Best-須永辰緒- |
![]() Title : 『Spangle-Lang Lane』 Title : 『Y』 Title : 『須永辰緒の夜ジャズ・外伝3 ~All the young dudes~ すべての若き野郎ども』 |
【須永辰緒 プロフィール】
Sunaga t experience =須永辰緒によるソロ・ユニット含むDJ/プロデューサー。 DJとして東京、大阪でレギュラー・パーティーを主宰 。DJプレイでは国内47都道府県を全て踏破。欧州からアジアまで海外公演も多数。MIX CDシリーズ『World Standard』は10作を数え、ライフ・ワークとも言うべきジャズ・コンピレーションアルバム 『須永辰緒の夜ジャズ』は15作以上を継続中。国内から海外レーベルのコンパイルCDも多数制作。多数のリミックスワークに加え自身のソロ・ユニット"Sunaga t experience"としてアルバム5作を発表。最新作『STE』はDJ生活30周年を記念。ゆかりのあるアーティストをジャンルや国境を超えてフィーチャーしBLUE NOTEよりリリース。多種コンピレーションの 監修やプロデュース・ワークス、海外リミックス作品含め関連する作品は延べ200作を超えた。日本一忙しい"レコード番長"の動向を各業界が注目している。
須永辰緒 Official Site
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selected by 松浦俊夫
今年も大いに悩み、アナログ化していない作品に特に素晴らしい作品があったため今回は縛りをはずした結果このようになりました。
齢80を越えても音楽への情熱が尽きるどころか溢れ出ているラテンジャズ・マエストロ、エディ・パルミエリの最新作。秀抜なのはヴィブラフォン奏者のカル・ジェイダー作で50年前に共に録音したSamba Do Suenhoの再演。テンポを落としてムードが一層増しました。
それに対し若干23歳でありながら既に貫禄十分な2010年代のビート詩人、アーチー・マーシャルによるソロ・プロジェクト、キング・クルールのセカンド。相変わらずのオルタナにジャズ感が増したのは制作にあたって聴き込んだというエンニオ・モリコーネなどの70年代イタリア映画音楽の影響なのでしょうか。
そして昨年亡くなったサックス奏者、宮本大路のラスト・アルバム。プロデューサーである三宅純の盟友宮本への愛と80年代のソリッドなムードを大いに感じた傑作です。
2017 Years Best-松浦俊夫- |
![]() Title : 『Sabiduria』 Title : 『The Ooz』 Title : 『Last Picture』 |

【松浦俊夫 プロフィール】
1990年、United Future Organization (U.F.O.)を結成。日本におけるクラブカルチャー創世記の礎を築く。12年間で5枚のフルアルバムを世界32ヶ国で発売し、高い評価を得た。独立後も精力的に国内外のクラブやフェスティバルでDJ。さらにイベントのプロデュースやファッション・ブランドなどの音楽監修を手掛ける。
2018年イギリスの若手ミュージシャンらをフィーチャーしたプロジェクトToshio Matsuura Groupのアルバムをワールドワイド・リリース予定。
InterFM897"TOKYO MOON"(毎週水曜17:00)Gilles Peterson's Worldwide FM"WW TOKYO" (第1&3月曜19:00) 好評オンエア中。
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selected by 中原仁
「夜ジャズ.Net」ということで、ブラジル音楽の中でもジャズやフュージョンにもつながるものを"アナログしばり"で選びました。
まずは2016年リリースの話題盤なのですが、アナログは日本のみで2017年に発売したということで。サンパウロの若手、ロウレンソ・ヘベッチスのアルバム。ギル・エヴァンスやマリア・シュナイダーにも通じるジャズのラージ・アンサンブル的なサウンド、そしてディアンジェロやケンドリック・ラマーも大好きということで今のヒップホップ、ビートミュージックにも精通しています。さらにブラジル・バイーアの宗教楽器を取り入れるなど、時空を超えた融合感があります。そしてプロデュースは今はリオに住むアート・リンゼイ!
続いてはそのアート・リンゼイの13年振りのオリジナルアルバム。実はこの作品には先ほど紹介したロウレンソ・ヘベッチスのレコーディング時に自分の作品用に録音した音源も収録されています。この新作ではNY の面白い気鋭ミュージシャンのリズムセクションとバイーアのパーカッション隊をミックス。アート曰く、「ゴスペルとブラジルのカンドンブレの儀式のリズムを融合させた。」ということです。
最後はジョアン・ドナートと息子ドナチーニョとのDUO作品。 ジョアン・ドナートはご存知、ボサノヴァの先駆者といわれるレジェンドで、83歳の今も現役で活躍中なのですが、このアルバムは現在32歳というまだ若い息子、ドナチーニョがプロデュース。親子揃って楽しそうにエレピを弾きまくっています。実はこのドナチーニョ、12歳の時にハービーハンコックの『ヘッドハンターズ』を聴いて音楽に目覚め、そこからキーボードを弾き始めたということで、ハービーが大好き。僕のように70年代後半から80年代前半のフュージョン全盛期に20代を過ごしたものとしては胸がキュンとなるサウダージな音が詰まっています。
2017 Years Best-中原仁- |
![]() Title : 『O CORPO DE DENTRO』 Title : 『Cuidado Madame』 Title : 『Sintetizamor』 |

【中原仁 プロフィール】
音楽・放送プロデューサー/選曲家 株式会社アルテニア代表。
1954年・横浜生まれ。77年からFM番組の選曲・構成を始め、並行して84年までジャズ・フュージョン系のマネージメントとプロデュースに従事。88年から現在まで続くブラジル音楽中心の番組 「サウージ!サウダージ」(J-WAVE)のプロデュース/選曲をはじめFM音楽番組の選曲/制作、50タイトルを超えるコンピレーションCDの監修/選曲、空間BGMの監修/選曲、コンサートの企画プロデュース、ステージ構成/演出、ライター、DJ、MC、カルチャーセンター講師としても活動。
制作に関わった新作は『アーキテクト・ジョビン/伊藤ゴロー アンサンブル』(共同プロデューサー/2017年)。監修・選曲を手がけた最新のコンピレーションCDは『ミュージック・オブ・アントニオ・カルロス・ジョビン〜ビーチ・アンド・フォレスト』(2017年)。
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