feed markRSS
JJazz.Net Blog Title

Akira Nakamuraメールインタビュー

180504.jpg


現在ベルリンを拠点に活動する日本人ドラマー、Akira Nakamura。
バークリー音楽大学を2001年に卒業後、フリーランスのドラマーとしてアメリカで活動をスタート。上原ひろみ、Big Yuki、ハナレグミ、Monday満ちる、Marterとの共演、そして自身のバンドでは独自の世界観で表現する異色のドラマーです。

そんな彼が率いる"東京"をテーマにしたバンドTrickstwart Bandのリリース記念ライブが6月に決定。

今後、ますます注目されるであろうAkira Nakamuraとはどういう人物なのか?
来日を前にメールインタビューでお答えいただきました。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


【Akira Nakamura メールインタビュー】


■いわゆるジャズのメインストリームというよりは独自の活動をされている印象があります。ご自身が目指している音楽スタイルを教えてください。

[Akira Nakamura]
サウンド面のスタイルは、僕は自分の楽曲を演奏するバンドを3つ持ってるのですが、バンド別ではっきり分けています。Trickstewartでは、ロック、ファンク、エレクトロ寄りのサウンド。今回のアルバム"櫂"のミックスでは、生音中心かつそれプラスαを目指してたので、お願いする時はリファレンスとしてRadioheadの"the King of Limb"、Me'shell Ndgeochelloの"Comet ,Come to me"、 D'angeloの"Voodoo" などを持って行きました。

作曲のスタイルとしてはthough composed (繰り返しが出てこない)が好きで、そういう曲が多いです。そこに即興の要素も組み込みます。ジャズスタンダード的な方法(ヘッドー即興ーヘッド)の曲も書きますが、感じたことを曲にしようとすると(生活の中から感じたことを曲にすることが多い)繰り返しがない流れになることが多いです。


■NY時代はBig YukiさんやTakさん(田中拓也)とのJP3としても活動。このバンドについて教えてください。またその当時について振り返ってもらえますか?

[Akira Nakamura]
JP3はまだボストンに住んでた時です。YukiもTakくんも仕事、私生活共に仲良くしてて、常に近くにいて"何がかっこいいか"を話しあったり演奏しあったりしてました。なのでバンドやろうぜ!ってよりかはお互いに試したいことを試す仲間だったかなと。オリジナル曲をつくる作業はもちろんの事、フレディー・ハバードのskydiveとかハービー・ハンコックのButterflyなどのスタンダードな曲のアレンジ作業もとても楽しかったですね。誰かが一本線を描いたらそこから繋げていく絵の描きあいというか。当時からエレクトロが好きな3人だったのでJungle, House, 2 step など生演奏で曲に盛り込んでいました。

あと当時デビット・フュージンスキーと演奏してた時期で、彼は新しいビートないか??とよく聞いてくる探究心旺盛な方で、その影響もあって聞いたことのないビートをつくる、という発想からできた曲もありました。ライブも楽しかったですね、アレンジの時と同じように、絵の描きあいから常にお互いへのサプライズもあって。最近でもYukiと会うと、そのうちまたやろうね、なんて話しています。


■東京をテーマにしたバンドTrickstwart Bandを結成。
このバンドを結成した理由。そして体現している"東京"の音とは?

[Akira Nakamura]
Trickstewart Band は2009年に僕が東京に引っ越してから始めたもので、バンドというより僕個人のプロジェクトです。メンバーは1枚目のアルバムと2枚目ではほぼ違います。Bandとつけているのは、例え短い時間の付き合いだとしても、さも長年一緒にやっているバンド仲間の様に心をオープンに向き合いたいという僕の思いからです。

このプロジェクトをやり始めた理由は大きく2つあります。1つは、単純に東京での経験を元に書いた曲たちをここに暮らしている大好きなミュージシャンと演奏したいという思い。もう1つは、東京で暮らしているミュージシャンたちの音楽との向き合い方を感じたいということ。自分の曲を一緒に演奏してもらうと、言葉のコミュニケーション以上にその人たちを感じられることがありまして。

"東京の音"の体現ですが、あるサウンドを目指すという行動ではなくて、東京に住んでいる人たちで一つの表現をすること自体が体現している状態なのかなと思ってます。生活と音楽はごまかせないくらい直結していると思ってるもので。そういう意味で"東京の音"はメンバー、組み合わせ次第で限りなくあると。ちなみに僕の中では東京のミュージシャンたちに共通する"東京の音"があると感じてます。言葉では説明できないんですけどね。今度それを題材に作曲して音楽で表現してみようかな。


■2018.2月にTrickstwart Bandのセカンドアルバム『櫂』をリリース。
全曲オリジナルの今作のテーマは?象徴的な一曲がありましたら理由も含めて教えてください。

[Akira Nakamura]
テーマは、100%の個性に乗っかる100%の協調性。
今回のアルバムは音楽だけがテーマの矛先になってなくて、アルバムをリリースするという行為全体を一つのプロジェクトとして捉えています。録音時のそれぞれの演奏だけでなくミックスエンジニア、マスタリングエンジニア、アルバムジャケットの画家、ミュージックビデオの監督まで関わる人たちみんなを含めたプロジェクト。

それぞれが100%自分の表現をしながら他の創造心もしっかり思いやる。今回それをジャンルを超えて試しました。メンバーの演奏、アルバムの音の出来はもちろんのこと、ジャケットの絵(小西博子/画家)、MVの映像(高山耕平/映画監督)まではるかに自分の想像を超えたアンサンブルが生まれたと自負してます。


【AKIRA NAKAMURA Trickstewart Band feat. 高山康平(映画監督)/Kohei Takayama 】



象徴的な1曲はアルバム1曲目の「7/23/08 19:20-7/24/08 Morning」です。高山耕平さんにも、小西博子さんにも、音楽に寄らずに100%あなたの創造をしてほしいとお願いしました。音楽を聴きながら両方眺めてみてほしいです。また、新たな芸術の楽しみ方に出会うかもしれません。


■現在ベルリンを拠点に活動されていますが、ベルリンをベースにするようになった経緯、
また現地のジャズシーンはどんな感じでしょうか?

[Akira Nakamura]
僕は音楽に携わりながらいろんなところに住む理由の1つに、将来ふるさとの沖縄で音楽学校をはじめるためというのがあります。常々音楽は文化の一部だなと思うことがありまして、西洋の音楽をもっと知りたいならまずはその文化に身を置くことから始めよう、というのがキッカケです。

なぜベルリンかというと、もともとヨーロッパのどこかの国に住む計画は立てていて、2013年に下調べに来たときにこの街のあり方がとても刺激的だったんですね。新しさもあり、古さもあり。その両方が自由に共存しているというか。全く新しい感覚でした。それとその滞在時に見た二つのクラシックのコンサートもここへ住むと決めた大きな理由になっています。サイモンラトル指揮のベルリンフィルとダニエルバレンボイムのピアノのコンサート。その感動を細かく書きたいのですが長くなるので(笑)、とりあえず、自分の経験を完璧に超越した創造、とでも言っておきます。「聞いてる時、幽体離脱した!」とまわりによく話してます。そんな音楽を当たり前のように生活の一部にしてみたいと強く思いました。

ここのジャズシーンですが、びっくりするくらい活気があります。実験的ジャズからスタンダードなものまで。ジャズのジャムセッションも毎日どこかでやっていて、ドアチャージとかないってのもあると思いますが大体どこも満杯です。ジャムセッションによっては楽しそうに踊ってるお客さんも度々みかけます。


■6/12にMotion Blue YOKOHAMAで開催されるリリース記念ライブについて教えてください。どんな内容になりますか?

[Akira Nakamura]
6月12日の内容はアルバム収録曲全曲と1枚目のアルバムから数曲、そして未収録の曲もやる予定です。録音が1年以上前のことなので、あの時の演奏をおっかけるのではなく、いまの僕らをジャムり合いましょう、とメンバーで話しています。


■最後に今年夏以降の予定について教えてください。

[Akira Nakamura]
Trickstewartの予定はまだ未定ですが、僕個人としては今年の夏から秋にかけてはベルリンローカルの仕事から、ドイツの他の都市、ウクライナやベルギーなどへも演奏に行く予定です。ユーロ圏内だとローカルギグかのようなノリで違う国での仕事がくるのが刺激的です。あと、冬にはぼくのジャズ・アコースティック寄りの楽曲を演奏しているバンド、Element of the Momentのツアーを日本でやりたいなと思ってます。あとは沖縄ではじめる学校のカリキュラム作りも始めていこうと思っています。


【Official Teaser Long- AKIRA NAKAMURA Trickstewart Band 2nd album「櫂(kai)」】



【AKIRA NAKAMURA Trickstewart Band『Kai』 Release Live】


【DATE & SHOWTIME】
2018.6.12.tue.
open_6:00pm / showtime_7:30pm
※ステージの長さは約100分を予定しております。
※ステージの間に30分程度の休憩を挟みます。


【PLACE】
MOTION BLUE YOKOHAMA
〒231-0001
横浜市中区新港一丁目1番2号 横浜赤レンガ倉庫2号館3F
045-226-1919 (11:00am~9:00pm)
http://www.motionblue.co.jp/about/access/


【MEMBER】
中村 亮(ds)、Fasun(vo,g)、柴山哲郎(g)、浦 宏徳(as)、元晴(ss,ts)、高橋佳輝(b)


【MUSIC CHARGE】
自由席 ¥4,000(税込)
BOX席 ¥16,000+シート・チャージ ¥4,000 (4名様までご利用可能)
※BOX席はインターネットからのみご予約いただけます


公演詳細(Motion Blue YOKOHAMA)



アルバム情報

kai200.jpg

Title : 『櫂 (kai)』
Artist : Akira Nakamura Trickstwart Band
LABEL : Bagus Records
NO : DQC1598
RELEASE : 2018.2.7



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】
01. 7/23/08 19:20-7/24/08 Morning
02. From Dusk till Dawn
03. Home to You
04. Rise
05. From the Red Point
06. Be Here
07. 75 Burger
08. A Guy in Grey





Akira Nakamura600.jpg


中村 亮 Akira Nakamura

バークリー音楽大学を2001年に卒業後、フリーランスのドラマーとしてアメリカで活動をスタート。古典ブルースから、変拍子やドラムン・ベースまで柔軟な音楽性と様々なリズムアプローチを武器にジャズ、ロック、ポップスからワールドミュージックまで様々なミュージシャンのドラマーとして活躍中。

在米時はデビッド・フュージンスキーのトリオやスクリーミングヘッドレストーソス、サム キニンジャー (ソウライブ、レタス)、上原ひろみのトリオやKokolo afrobeat orchestraなどにメンバーとして参加。またBigyuki、田中拓也とのトリオでjp3を結成し日本でのツアーも行なった。その後、沖縄、中国などでも演奏家として活動。

2009年に東京に拠点を移してからはドラムのみならず作編曲なども手がけ、自身のバンドでの活動も開始。メンバーとして参加した沖縄とジャズを融合したElement of the Momentや、自らがリーダーを務めるTrickstewart Bandなどではドラムに限らず視野の広いコンポーザーとしての側面を見せる。またハナレグミ、Monday満ちる、Marterなど、多方面に渡るアーティストのライヴでサポートドラマーとして活躍。他にもフィッシュボーンのアンジェロ・ムーアの来日公演時にサポートドラマーとしてステージを共にし、現在も様々なアーティストから信頼されるドラマー。並行して幅広い年齢層に向けてリズムやアンサンブルワークショップを行なうなど音楽の普及にも携わっている。

現在はベルリン在住。

Akira Nakamura オフィシャルサイト

アーカイブ