「庭とご飯と音楽と」の第十二回目番組でお送りしている、コラ奏者のWill Newsomeさんのインタビューです。
良原リエさんがイギリスでライブをした際に、対バンとして出演したのがウィルさん。
今回の来日のタイミングで、良原さんのお家にも寄ってくれたそうです。
クラムボンの原田郁子さんと共演したり、日本の音楽シーンをかなり堪能されたご様子。
番組では、ウィルさんのコラの生演奏が聴けます!
倍音がすごく、美しいですよ~
Will Newsome インタビュー
■[良原リエ] こんにちは、ウィル!自己紹介をお願いします。
[Will Newsome]こんにちは!ウィル・ニューサムです。イギリスのブリストル出身です。音楽を演奏しながら日本に約2か月間滞在しています。あと一日二日で帰国します。
■[良原リエ] 日本では、あなたが演奏している「コラ」という楽器は珍しい楽器なんですが、どんなものか説明してもらえますか?
[Will Newsome]オーケー。コラは、西アフリカの伝統的な琴(ハープ)です。西洋のハープみたいなものではなくて、カラバッシュという大きい瓢箪のようなものと、鹿の皮でできています。
■[良原リエ] 鹿の皮?それって珍しいんじゃないですか?
[Will Newsome]そうですね。西アフリカでは普通は牛の皮を使いますね。僕のコラはイギリスのウェールズで作られたものなので、その地元で手に入りやすい鹿の皮を使っています。あっ、ほぼ地元ですね。鹿の皮はスコットランドですね。
それで、弦が張ってある部分が1つではなくて、コラは2つあります。ちょっと専門的に言うと、ブリッジ・ハープと呼ばれているものです。
伝統的には、グリオと呼ばれる西アフリカの歴史を伝える人たちがコラを演奏します。歴史が文字として記述されていないので、歴史や先祖のお話などを演奏しながら伝えるグリオの存在はとても重要なのです。
■[良原リエ] とても面白いですね。なぜコラを演奏するようになったのですか?
[Will Newsome]今まで聴いたことのない音楽をインターネットでよく探していたのですが、5~6年ぐらい前にコラを聴いてすぐに魅了されました。それで、「コラが欲しい!」と思ってイーベイでコラを買って、2年前に奨学金をもらって西アフリカに行きました。
■[良原リエ] コラ以外は何か演奏しますか?
[Will Newsome]はい。ピアノやギター、ウクレレ、そして歌います。
■[良原リエ] 2か月間日本で演奏して、原田郁子さん(クラムボン)に出会って共演しましたね。いかがでしたか?
[Will Newsome]本当にとても素晴らしかったです。とてもリラックスできました。僕達が一緒に彼女の曲を自由に、新しく編曲するのを、彼女は楽しんでいました。ステージでは、3曲だけで40分演奏したのですが、曲が展開するときにはアイコンタクトだけで合図しあっていました。ほんとうに楽しかったです。彼女はとても才能豊かです。
■[良原リエ] なるほど。彼女はピアノと歌でした?
[Will Newsome]そうです。トンチはスティールパンを演奏していました。
■[良原リエ] ピアノとスティールパンとコラですね!
[Will Newsome]そう、すごい組み合わせですね!(笑)
■[良原リエ] ほんとに(笑)大きなフェスティバルにも出演したんですよね?
[Will Newsome]福岡のCIRCLE'12です。(日本語で)すごい楽しかった。すごくたくさんの観衆でした。そういうのには慣れていませんけど(笑)とても良かったです。
■[良原リエ] いいですね~。コラで1曲演奏していただけますか?曲の紹介もお願いします。
[Will Newsome]「Not a dead bird」という曲で、いくつか意味があるんですけど、「上を向いて行こう」という内容です。
歌詞の日本語訳もあるので読んでみてください。(以下参照)
見あげてごらん
沈んでいるときは
森の中の空き地で
ぼくらは眺めている
月が木の葉を織りあげる
いろんな顔、いろんな石
星座、万華鏡みたいに
ちいさなものが
落ちてきたよ
木の葉の天蓋の
屋根裏部屋から
死んだ小鳥じゃない
でもちょっと驚いた
緑の目みたいに眩しくて
ぼくらのお喋りは
その歌の中で
ときにふと途切れ
ぼくらの言葉と鳥の歌が
降り積もる
迷子になって
高さの違うどこかで
飛び立つ予感と
目眩のあいだで
ぼくらの言葉と鳥の歌が
降り積もる
ぼくらの言葉ともっとやさしい歌が
降り積もる
★対訳に際して、Willさんと相談の上、部分的に意訳してます。原詞をあわせてご参照ください。
■[良原リエ] すごい良かった!いい音ですね~
[Will Newsome]ありがとう!「(日本語で)えっこらよっとね」(笑)
■[良原リエ] (笑)コラって演奏するのは難しいですか?
[Will Newsome]うーん、誰でもやれると思います。弦で爪をブラッシングすれば素晴らしい音が出ますよ。僕は楽しんでいるので、「難しい」とか「骨が折れる」とは言いたくないです。うん、そうですね、たくさん練習は必要ですけどね。
■[良原リエ] ありがとうございました。
[Will Newsome](日本語で)どういたしまして。ありがとうございます。
[Text:樋口亨]
■タイトル:『Winter Shed』
■アーティスト:Will Newsome
■発売日:2012年3月18日
■価格:500円(税込)
Will Newsomeオフィシャルサイト http://somenewwill.blogspot.jp/