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Jesse Harris(ジェシー・ハリス) インタビュー

自身のアルバムタイトルがその名前となっている音楽フェスティバル「ウォッチング・ザ・スカイ」への出演や、全国ツアーのために来日していた、グラミー受賞シンガー・ソングライターのジェシー・ハリスさんにインタビューをすることができました。

ジャズファンには、ノラ・ジョーンズの「Don't Know Why」の作曲者とご紹介すればピンとくる方々も多いのではないでしょうか?

初のブラジル録音となった新作『サブ・ローサ』とそのレコーディングメンバーを従えてのツアーは、全国どこも大盛況!
インタビュー当日は、ツアーファイナルの渋谷 duo MUSIC EXCHANGEでの公演で、以前に彼がプロデュースをした畠山美由紀やおおはた雄一もゲストとして参加していました。
まさに彼の音楽そのもののような、気取らず、穏やかなムードに包まれた一夜でした。

インタビュアーは、JJazz.Net番組ナビゲーターでシンガーソングライターでもあるジョー長岡。

お楽しみください!



JessHarris


Jesse Harris(ジェシー・ハリス) インタビュー

■[ジョー長岡] ジェシーさんのソロ名義のアルバムは全部聴かせていただいています。新作の『サブ・ローサ』も大好きです。

[ジェシー・ハリス] おー、アリガトウゴザイマス!


■[ジョー] 新作は、リオ・デ・ジャネイロでの録音だったそうですが、どうしてリオなのですか?

[ジェシー] もともとブラジル音楽が大好きで、いつかブラジルで録音したいなと思っていました。それで、ブラジル滞在中のある時、ダヂとかマイコンといった現地のミュージシャンと仲良くなって、ライブをやってみないかと誘われました。その時に、彼らと僕のニューヨークでのバンドのドラマーと一緒にグループを組んだら面白いんじゃないかと思って、ショウをやっていくうちに、今回のレコーディングに繋がったという感じです。


■[ジョー] その時が初めてのブラジルだったのですか?

[ジェシー] いえいえ、ブラジルには何度も行っていたんですが、毎回1週間くらいの短期間だったので、今回は1ヶ月ほど滞在すると決めていました。


■[ジョー] レコーディングは実際はどれくらいの期間だったのですか?

[ジェシー] ショウのリハーサルを2日間、ショウ自体が3日間、で、録音は7日間ぐらいです。それからニューヨークで、ストリングスやホーン、ゲストボーカルといったものを録音しました。それでまたリオに戻って1ヶ月間ほど滞在して、ミックスダウンをしました。


■[ジョー] ニューヨークで録音する時と違いはありましたか?

[ジェシー] ブラジルで制作すると、とにかくペースがゆっくりです。トロピカルなところなので、もともとのんびりですからね。


■[ジョー] それはジェシーさんにあってましたか?

[ジェシー] いつもの僕のペースではないですけど、慣れました。(笑)


■[ジョー] (笑)ちょっとイライラしました?

[ジェシー] はい。(笑)


■[ジョー] ブラジルや南米音楽の魅力を教えて下さい。

[ジェシー] リズムとハーモニーが複雑なんですけど、シンプルに聞こえるというところが気に入っています。


■[ジョー] わかるなぁ。
ジェシーさんのアルバムには、歌の他にインストゥルメンタルも入っていますね。僕はその2つの、共存しているバランスが好きで、いつもいいなと思うんですけど、あのインストゥルメンタルの時間の秘密を教えて下さい。

[ジェシー] インスト曲を入れたのは、『ミネラル』と『ウォッチング・ザ・スカイ』に続いて今回が3度目なのですが、とても気に入っています。インスト曲は、アルバムに変化をもたらしますね。『コスモ』というアルバムは、全曲インストゥルメンタルで、その頃は他に、歌のアルバムを1枚作ったのですが、今回はそうやって分けずに、1枚で一緒にするのがいいかなと思いました。


■[ジョー] あのインスト曲が、アルバムを最初から最後まで通して聴かせる役割をしているように感じます。

[ジェシー] 映画のように、そういう風にできたらいいなと思っていました。


■[ジョー] 歌についてお聞きしたいのですが、ジェシーさんの歌は、とてもナチュラルでリスナーと対話しているような、手紙をもらっているような感覚になるのですが、そこに秘密はありますか?

[ジェシー] 実は今回は、ボーカルのほとんどをバンドと一緒にライブ感覚で録りました。レコーディング前に、ショウのためのリハーサルをして、本番をやったのでそういう気分だったんだと思います。あと、ブラジルにいたのですごくリラックスしていたんだと思います。


■[ジョー] ソングライティングについてお聞きしたいのですが、ずばり、どんな風に作曲していますか?

[ジェシー] どこでも曲をつくりますね。大阪、広島、熊本、パリ、リオ、ニューヨーク、ロスアンゼルス。。。


■[ジョー] ホテルとか公園でも?

[ジェシー] ホテルか自宅ですね。


■[ジョー] 作曲はどこかで勉強したんですか?

[ジェシー] いいえ、独学です。


■[ジョー] 『サブ・ローサ』には、リオで作った曲はありますか?

[ジェシー] 「WALTZ OF THE RAIN」、「AS LONG AS YOU'RE HERE」それに「ROCKING CHAIRS」の一部はそうですね。


■[ジョー] ジェシーさんのルーツを少し知りたいのですが、一番最初に手にした楽器は?

[ジェシー] ピアノです。


■[ジョー] いつですか?

[ジェシー] 10歳の時です。


■[ジョー] どうしてピアノだったんですか?

[ジェシー] 「ピアノを習ってみたらどうだ?」ってお父さんがずっと言うものですから、なんとなく自分もそう思うようになって(笑)


■[ジョー] (笑)どうしてお父さんはそんなに勧めたんでしょうかね?
[ジェシー] 彼が弾きたかったんだけど、習ったことがなかったので、息子の自分にピアノを習わせたかったんだと思います。彼は、ジャズが好きなんですよ。


■[ジョー] (驚)そうですか!それでは、ギターはいつから弾き始めたのですか?

[ジェシー] 17歳からです。今思えば、ピアノを習っている時からギターを弾きたかったんですね。お母さんがカリフォルニアに移る際にアパートを貸し出したんですが、2年後に戻ってくると、そこのクローゼットにギターが置いてあったんです。それを僕にくれたのが、ギターを弾き始めたきっかけです。


■[ジョー] ソングライターとして、今大切にしていることがあれば教えて下さい。

[ジェシー] そうですね、「書き続けること」ですね。


■[ジョー] ライブでの共演やプロデュースなど、日本人ミュージシャンと交流が盛んですが、どういう印象をお持ちですか?

[ジェシー] プロジェクトに対しての関わり方がすごいですね。100%の力で関わってきます。目標の期限(締め切り)をきちんと決めて、それを全力で達成しようとします。で、最後には、打ち上げなどで楽しんでいます。それがとても印象的です。


■[ジョー] 最後になりますが、ジェシーさんが、去年ニューヨークで行われた東日本大震災のためのチャリティーイベントに出演して下さったのが、とても嬉しかったです。もしよろしければ、まだ苦しんでいる方々へのメッセージをいただけますか?

[ジェシー] 一年が経ちましたが、私たちはそれを忘れていませんし、ずっと思っています。日本を愛していますし、日本の皆さんが、健康で安心して過ごせることが私達にとっても大切なことです。


[通訳:石坂元(Hillstone) Text:樋口亨]





JessHarris
Jesse Harris(ジェシー・ハリス)
NYを代表するシンガー/ソングライター。アメリカン・フォークやカントリーといったルーツ・ミュージックの匂い、NYならではのコスモポリタンなセンス、ブラジル音楽にも通じる繊細なメロディが溶け合ったオーガニックなサウンドが魅力。ノラ・ジョーンズの影の立役者としても知られる。NYのアコースティック・ミュージック・シーンを牽引するシンガー/ソングライターとして、絶大な評価を得ている。2012年、最新作「SUB ROSA」が完成。

http://www.jesseharrismusic.com/
http://www.jesseharris.jp/


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■タイトル:『サブ・ローサ』
■アーティスト:ジェシー・ハリス
■レーベル:HILLSTONE Records
■型番:HSR-1001
■発売日:2012年7月4日
■価格:2,625円(税込)

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ジョー長岡
ジョー長岡
演劇や舞踏の活動を経て、2000年より独自の歌世界を構築。シンガーソングライター。世界中の音楽と日本語の心地よい融合、力強く可愛らしい音楽をめざす。JJazz.Netでは「温故知新」「Jazz Today」でナビゲーターを務める。

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