Title : 『Mette Henriette』
Artist : Mette Henriette
まず、目を惹くのはそのポートレイト。
ECMのカヴァーには珍しく、アーティスト自らの写真が使われている。
それも演奏シーンではなく、レンズを見つめ、
サックスをロープで体に縛り付けているポートレイト。
バックカバーは両手を広げたその後ろ姿。
クレジットには、Photos:Anton Corbijn。
(ビョークやU2のアーティスト写真でその作品を見たことがある人は多くいるだろう。)
ノルウェーの新人女性Sax奏者という情報くらいしか手元にはないのだけれど、
Anton Corbijnの写真の力がアーティストの存在感を後押しする。
こういう"ジャケ写"が登場すると、
ダウンロードメインのデジタル世代には、
あまり重要視されないこともあるだろうけれども、
アルバムのアートワークは、作品の趣きを大きく左右するのだと改めて感じる。
録音は、OsloのRainbow Studioで、Jan Erik Kongshaugが手がけ、
Eicher自らがプロデュースというECMの鉄板ラインナップ。
そして、デビュー作にもかかわらずCD二枚組だ。
一枚目は、Sax,Piano,VioloncelloによるTrio、
二枚目は、13人編成によるEnsembleの作品と分けられてはいるけれども、
そこには、一貫した世界観が厳然と横たわる。
それは、ジャズとクラシカルを優雅に行き来するようにたゆたうサウンド。
決して前衛へと傾きすぎることなく、
しかし、やはりそのアプローチはどこか新しく、不思議な快感へと誘ってくれる。
甘くセクシャルな香りも漂うのは女性である故か。
(あるいは、ただ単に自分が男性であるが故の妄想か)
今後、どのくらいのペースで作品が発表されていくのか
未知数であるけれど、常に注目しておきたい一人だ。
文:平井康二
【Mette Henriette (Album EPK)】
●Mette Henriette Official Site
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・2015.4.1 ・2015.5.1 ・2015.6.1 ・2015.7.1 ・2015.8.1 ・2015.9.1 ・2015.10.1 ・2015.11.1 ・2015.12.1
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![]() 平井康二(cafeイカニカ) 1967年生まれ。レコード会社、音楽プロダクション、 |
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