ジャズアラウンドの重要人物が集いその年を振り返りつつベストディスクを発表するという年末恒例企画「夜ジャズミーティング」。
2019年は松浦俊夫さん、沖野修也さんという、いわゆる黄金の3人にお集まりいただきました。
沖野さんに参加していただくのはなんと6年ぶり!
■夜ジャズ.Net
https://www.jjazz.net/programs/yorujazz/
(配信期間:2019年12月18日~2020年1月22日)
詳しくは番組でお楽しみ頂くとしまして、ここでは恒例、皆さんの年間ベスト3作品をご紹介します。
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【2019年間BEST3アルバム】
selected by 沖野修也
今回はキーボーディストに焦点をあて3枚選びました。
まずはニュージーランドと日本の血を引くMark De Clive-Loweのアルバム。近年世界で日本の音楽が興味を持たれ始めている中、日本の伝統的な旋律を取り入れてジャズと融合させたのはすごく評価しています。 刺激をもらいました。
そして、Joe Armon-Jonesのセカンドアルバムも良かった。ファーストアルバムであれだけ評価されると2枚目はかなりプレッシャーがかかる中、皆の期待を上回る内容だったと思います。ソロはもちろん、Ezra Collectiveのメンバーとしても活躍、今後世界のジャズ・シーンのキーパーソンになっていくんじゃないかなと思っています。
3枚目はUKジャズ界の新鋭Ashley Henry。子供の頃からレコードを集めていたということもあるかもしれませんが、このアルバムは僕らDJと似たような音楽を聴いてきた感じがすごく伝わる。60年代、70年代、それから90年代のアシッドジャズ、2000年代のブロークンビーツ、フューチャージャズ、そういうのを通過したUKのジャズの理想的な現在形を体現していると思います。ジャズのレイヤーを理解した上でコンポーズしているその才能、本当に素晴らしいです。
2019 Years Best-沖野修也- |
Title : 『HERITAGE I&II』 Title : 『Turn To Clear View』 Title : 『Beautiful Vinyl Hunter』 |

【沖野修也 プロフィール】
DJ/プロデューサー/作曲家/執筆家/世界唯一の選曲評論家Tokyo Crossover/Jazz Festival発起人。開店以来23年で80万人の動員を誇るThe Room(渋谷)のプロデューサーでもある。KYOTO JAZZ MASSIVE名義でリリースした「ECLIPSE」は、英国国営放送BBCラジオZUBBチャートで3週連続No.1の座を日本人として初めて獲得。これまでDJ/アーティストとして世界40ヶ国140都市に招聘されただけでなく、CNNやBILLBOARD等でも取り上げられた本当の意味で世界標準をクリアできる数少ない日本人音楽家の一人。音楽で空間の価値を変える"サウンド・ブランディング"の第一人者として、映画館、ホテル、銀行、空港、レストランの音楽設計も手掛けた。2005年には世界初の選曲ガイドブック『DJ 選曲術』(リット―ミュージック)を発表し執筆家としても注目を集める。2011年7月2枚目のソロ・アルバム『DESTINY』をリリース。iTunesダンス・チャート1位、総合チャート3位を獲得。2015年には自伝『職業、DJ、25年』を上梓。同年新グループ、Kyoto Jazz Sextetを結成し、アルバム『Mission』をBlue Noteから発売した。現在、InterFM『JAZZ ain't Jazz』にて番組ナビゲーターを担当中(毎週水曜日22時)。ホームグラウンドのThe Roomでは月例パーティー"Tokyo Jazz Meeting"のレジデントDJを務めている。
http://www.kyotojazzmassive.com
https://ameblo.jp/shuya-okino
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selected by 松浦俊夫
今回はインディペンデント・レーベルからアナログでリリースされているという条件を付け、選盤しました。1作目はヌバイヤ・ガルシア(T.Sax./Maisha)、キャシー・キノシー(A.Sax./Seed Ensemble)、シェイラ・モーリス・グレイ(Tp./Kokoroko)を筆頭に、メンバー7名中6名が女性という多様性を体現するジャズ・コレクティヴ、Nerija(ネリーヤ)が満を持して発表したフル・レングス・アルバム。力強さと包み込むような優しさが共存する世界観はまさに現代人のためのサウンドトラック。英インディーロックの雄、ドミノ・レコーズからのリリースというのも現在のロンドンのシーンの熱量を表している。
続いてはニューヨーク・ブルックリンを拠点にする女性トランペッター、ジェイミー・ブランチのデビュー2作目。パンク、スカ、グランジをこよなく愛した彼女はティーンエイジでトランペットを始め、マイルス・デイヴィスやドン・チェリーから多大な影響を受けたというエピソードを聞けば、その音楽性は説明不要ではないだろうか。疾走するビートに炸裂するトランペット、そして時折現れる心の叫びを表すヴォーカル。時代が求めているのはこのような強烈な"個性"を持った音楽なのかもしれない。長く活動拠点にしていたシカゴのInternational Anthemから。同レーベルはかのジェフ・パーカーのニュー・アルバムもリリース予定と聞く。2020年は"シカゴ"要注目だ。
最後はポーランドの新世代ジャズ・コレクティヴEABS(イーブス)。前年に発表した自国のジャズ・ピアニストで作曲家のクシシュトフ・コメダへのトリビュート・アルバムまでのヒップホップ的な色合いを抑えて、よりアンサンブルを聴かせることによって音楽に深みが増した。ロンドンのニュー・ジャズ・レーベル"22a"主宰でフルート奏者のテンダーロニアスが参加したことも影響したか?アルバムの最後を飾る「Przywitanie Słońca」は気持落ち着き、夢が膨らむ。
2019 Years Best-松浦俊夫- |
![]() Title : 『Blume』 Title : 『Fly Or Die Ii: Bird Dogs Of Paradise』 Title : 『Slavic Spirits』 |

【松浦俊夫 プロフィール】
1990年、United Future Organization (U.F.O.)を結成。日本におけるクラブカルチャー創世記の礎を築く。12年間で5枚のフルアルバムを世界32ヶ国で発売し、高い評価を得た。独立後も精力的に国内外のクラブやフェスティバルでDJ。さらにイベントのプロデュースやファッション・ブランドなどの音楽監修を手掛ける。2018年イギリスの若手ミュージシャンらをフィーチャーしたプロジェクトToshio Matsuura Groupのアルバムをワールドワイド・リリース。InterFM897"TOKYO MOON"(毎週水曜17:00)Gilles Peterson's Worldwide FM"WW TOKYO" (第1&3月曜19:00) 好評オンエア中。
松浦俊夫 Official Site
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selected by 須永辰緒
今年は全てアナログでのフィジカル・リリースから3枚をチョイスしました。
ロベルト・フォンカセの新譜がまさかアナログでもリリースされたのが嬉しい。イブラヒム・マーロフ(tp)も巻き込んでハイブリッドな融合を試みてますが、意外にキューバの女性アカペラグループ、ヘマトロ・クアトロをfeat.したベーシックなピアノスタイルの曲が良かったりする。
アシュレー・ヘンリーは昨年もミニアルバムを選びましたが、今年はさらに一歩進めたアプローチで、ジャズサイドからのクラブミュージックを完成させた気がします。
民謡クルセイダーズにはただただ脱帽です。2020年のオリンピックのセレモニーでぜひ演奏を披露して欲しい。私ごとでアレですが4年振りにリリースさせてもらったSTE『Suomenlinna』はCDなので残念ながら選外。
2018 Years Best-須永辰緒- |
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Title : 『Beautiful Vinyl Hunter』
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【須永辰緒 プロフィール】
Sunaga t experience =須永辰緒によるソロ・ユニット含むDJ/プロデューサー。 DJとして東京、大阪でレギュラー・パーティーを主宰 。DJプレイでは国内47都道府県を全て踏破。欧州からアジアまで海外公演も多数。MIX CDシリーズ『World Standard』は10作を数え、ライフ・ワークとも言うべきジャズ・コンピレーションアルバム 『須永辰緒の夜ジャズ』は15作以上を継続中。国内から海外レーベルのコンパイルCDも多数制作。多数のリミックスワークに加え自身のソロ・ユニット"Sunaga t experience"としてアルバム5作を発表。最新作『STE』はDJ生活30周年を記念。ゆかりのあるアーティストをジャンルや国境を超えてフィーチャーしBLUE NOTEよりリリース。多種コンピレーションの 監修やプロデュース・ワークス、海外リミックス作品含め関連する作品は延べ200作を超えた。日本一忙しい"レコード番長"の動向を各業界が注目している。
須永辰緒 Official Site
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