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夜ジャズミーティング2021

その年を振り返りつつベストディスクを発表するという年末恒例企画「夜ジャズミーティング」。
今年も恒例のお二人。ジャズDJの松浦俊夫さん、沖野修也さんと一緒にZOOMで収録しました。

2021年も良作多し。BADBADNOTGOODやSTR4TA、Floating Points & Pharoah Sandersのようなマストアイテムも!

詳しくは番組でお楽しみ頂くとしまして、ここでは恒例、皆さんの年間ベスト3作品をご紹介。


■夜ジャズ.Net#159 - 夜ジャズミーティング2021
https://www.jjazz.net/programs/yorujazz/
配信期間:2021年12月15日(17:00)~2022年1月19日(17:00)


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是非購入のご参考にして頂ければと思います。


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【2021 年間BEST3アルバム】


selected by 沖野修也

2021年も2020年に引き続き、アルバム単位で音楽を楽しむ事の多い1年でした。
DJもやる作曲家を公言しているので、常に大量の曲はチェックしてますが、去年の音楽体験からアルバムを通して聴ける作品のハードルが更に上がっているので、満足出来る作品に遭う確率が減ったような(苦笑)。それでも!素晴らしい作品は少なくなく、制作意欲が刺激されましたね。中でも、よく聴いた3枚をご紹介したいと思います。
 
まずは、Pharoah Sanders & Floating Points。若き才人と生けるレジェンドの邂逅。僕もPharoah SandersとSleep Walkerのコラボのプロデュースをした事がありますが、全く違うアプローチに驚かされました。下の世代のダンス・ミュージック・クリエーターの最新モードと上の世代のアンビエント感覚が見事にブレンドされ、自分が何をやるべきなのかを改めて考えさせられました。

Gilles PetersonとBlueyのSTR4TAにも驚かされましたね。重鎮の共作がこんなに若々しいサウンドになるとは!GillesのセンスとBlueyの作曲能力が合体すれば悪い訳がない!!でも、僕の想像を遥かに超えて来ましたよ。ちなみに、Blueyに憧れていた少年が大人になって共演を果たし、完成に至るプロセスで息子さんに何度も感想を求めたそうです。素晴らしいストーリー・ライン。だから懐古的でないのかもってのもありますね。息子のLuke君はDeep Houseを回すDJですからね。

最後は、新人の初アルバム!ビート系と認識していたEmma-Jean Thackray。アルバムは生音で、中々アップ・リフティングな内容に。ゴスペルやスピリチュアル・ジャズとの相性も良く。一体彼女に何があったのか・・・と興味も掻き立てられました。Sun Ra〜Alice Coltrane〜 Helmet Pascolなんかのぶっ飛び感を漂わせつつ、ポップに仕上げるセンス。この先恐ろしい成長を遂げるんじゃないかと超期待しています。






Years Best-沖野修也-

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Title : 『Promises』
Artist : Floating Points & Pharoah Sanders Feat. London Symphony Orchestra
LABEL : P-VINE
NO : PCD94026
RELEASE : 2021.3.26

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Title : 『Aspects』
Artist : STR4TA
LABEL : Brownswood
NO : BRC663
RELEASE : 2021.3.26

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Title : 『Yellow』
Artist : Emma-Jean Thackray
LABEL : Movementt
NO : BRC676
RELEASE : 2021.7.2

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【沖野修也 プロフィール】

選曲家/作曲家/作詞家/執筆家/ラジオDJ。

KYOTO JAZZ MASSIVE名義でリリースした「ECLIPSE」は、英国国営放送BBCラジオZUBBチャートで3週連続No.1の座を日本人として初めて射止めた。これまでDJ/アーティストとして世界40ヶ国140都市に招聘されただけでなく、CNNやBILLBOARD等でも取り上げられた本当の意味で世界標準をクリアできる数少ない日本人音楽家の一人。音楽で空間の価値を変える"サウンド・ブランディング"の第一人者として、映画館、ホテル、銀行、空港、レストラン、インテリア・ショップ等の音楽プロデュースも手掛けている。

2009年にはインテンショナリーズが設計したユナイテッド・シネマ豊洲の音楽監修でGOOD DESIGN賞を受賞。2015年、ジャズ・プロジェクトKYOTO JAZZ SEXTETを始動。ファースト・アルバムをブルー・ノートよりリリース。2016年1月にPop Up専門の書店、Jazzy Booksを設立。2017年6月、KYOTO JAZZ SEXETのセカンド・アルバム『UNITY』を発表。同年フジ・ロック・フェスティバル~Field Of Hevenステージにも出演。2018年7月にはDJとして名門モントルー・ジャズ・フェスティバルにも出演を果たした。2019年には店内音楽の選曲を担当した代々木上原のレストランSioが、ミシュランの一つ星を獲得している。著書に『DJ 選曲術』や『クラブ・ジャズ入門』、自伝『職業、DJ、25年』等がある。

現在、有線放送内I-12チャンネルにて"沖野修也 presents Music in The Room"を監修中。World Wide FM~WWKyoto(毎月第二月曜放送)レギュラー。GQ Japanオフィシャル・ブロガー。
2020年12月23日に渋谷ストリーム1FにオープンしたThe Room COFFEE & BARのクリエイティヴ・ディレクターでもある。

http://www.kyotojazzmassive.com
https://ameblo.jp/shuya-okino


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selected by 松浦俊夫

ステイホームで1日中、365日音楽を聴き続け「次」がなんとなく見えてきた2021年。
他にもSecret Night Gang、Cande y Paulo、Kurt Elling、Emma-Jean Thackray、Mndsgn、Nala Sinephro、佐瀬悠輔などベテランから新鋭までたくさんの音楽家が素晴らしい音を奏でてくれました。その中でも特に印象に残った3作品を紹介します。


Pino Palladino And Blake Mills
Notes With Attachments
ジェフ・ベック、エリック・クラプトンといった大ベテランからディアンジェロ、エリカ・バドゥ、RHファクターらの90年代ネオソウル・アーティスト、そしてジャズ・ヴォーカリスト、ホセ・ジェイムズまで幅広いフィールドでその才能を発揮してきたイギリス・カーディフ出身のベーシスト、ソングライター、プロデューサーピノ・パラーディーノ、キャリア初のアルバム。敏腕プロデューサー、ギタリストのブレイク・ミルズとの共同プロデュースでクリス・デイブ、ラリー・ゴールディングス、サム・ゲンデルらを迎えて作り上げたセッション・アルバム。"いぶし銀"とはこの作品のためにあるような言葉だと思う。

Floating Points & Pharoah Sanders Feat. London Symphony Orchestra
Promises
スピリチュアル・ジャズ・マスター、ファラオ・サンダース尊師と博士号を持つイギリスのエレクトロニック・ミュージックの腕利き、フローティング・ポインツことサミュエル・シェパードによる奇跡的なコラボレイション。ワールド・ミュージック、ジャズ、ロック、ソウルなどユニークかつクリエイティビティ溢れる作品を30年以上に渡りリリースし続けるデヴィッド・バーンが設立したレーベル、Luaka Bopが米英そして新旧の才能を結び付けた架け橋となって始動したプロジェクトはジャズ、アンビエント、クラシックの要素が混じり合い2021年を代表するアルバムとして結実した。ちなみに同レーベルは90年代に私が所属していたU.F.O.に誰よりも早くレコード・ディールを持ちかけてくれた。


BADBADNOTGOOD
Talk Memory
カナダ・トロントの同じ大学に通う仲間だった3人によって結成されたBadBadNotGoodの5作目のオリジナル・アルバム。当初、ジャズの音楽性とヒップホップのプロダクションの視点を兼ね備えたどことなくインディーロック・バンド風な荒削りな印象が強かったが、前作『IV』で大学のブラジルやサイケデリックミュージックの影響が強く感じられるシネマティックなサウンドに舵を切り、本作でストリングスのアレンジメントにブラジルの至宝、アルトゥール・ヴェロカイを迎え、作品の五分でフィーチャーしシネマティック路線を拡大した形となった。メンバー全員が30代に入ったばかりとは思えない奥行きを感じるサウンドにハッとさせられること間違いなし。






Years Best-松浦俊夫-

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Title : 『Notes With Attachments 』
Artist : Pino Palladino & Blake Mills
LABEL : Caroline International
NO : 3553604
RELEASE : 2021.3.12

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floating_pharoah300.jpg

Title : 『Promises』
Artist : Floating Points & Pharoah Sanders Feat. London Symphony Orchestra
LABEL : P-VINE
NO : PCD94026
RELEASE : 2021.3.26

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BBNG300.jpg

Title : 『Talk Memory』
Artist : BADBADNOTGOOD
LABEL : BEAT RECORDS / XL Recordings
NO : XL1176CDJP
RELEASE : 2021.10.8

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【松浦俊夫 プロフィール】

1990年、United Future Organization (U.F.O.)を結成。
5作のフルアルバムを世界32ヶ国で発表し高い評価を得る。
2002年のソロ転向後も国内外のクラブやフェスティバルでDJとして活躍。
またイベントのプロデュースやホテル、インターナショナル・ブランド、
星付き飲食店など、高感度なライフスタイル・スポットの音楽監修を手掛ける。
2013年、現在進行形のジャズを発信するプロジェクトHEXを始動させ、Blue Note
Recordsからアルバム『HEX』をリリース。
2018年、イギリスの若手ミュージシャンらをフィーチャーした新プロジェクト、
TOSHIO MATSUURA GROUPのアルバムをワールドワイド・リリース。
最新作は2021年夏にリリースしたTOSHIO MATSUURA GROUP「Pina」。
InterFM897と Worldwide FMでオンエア中の "TOKYO MOON"は22年に13年目を迎える。

http://www.toshiomatsuura.com  
https://www.mixcloud.com/toshiomatsuura  


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selected by 須永辰緒

2021年はクラブはおろかバーラウンジでのプレイさえ失われてしまいましたが、夏以降は各方面の尽力により、毎週金曜日には日本で初めて著作権をクリアし全ての権利を守る音楽配信番組「JAPAN DJ Net Online」(とはいえ邦楽原盤しかプレイできませんが配信音楽環境を取り巻くグレイゾーンをクリアできたという意味では快挙だと思っています)に救われました。但し↑上記のような決まり事もあるので買うレコードは和ジャズを中心とした邦楽が多く、しかしまたその反動で輸入盤も片っ端から買ってしまうという結果、トータル過去最大額のレコードを買った年にもなりました。現場主義がそのまま音楽生活にも反映してしまうベスト3枚がこちらになります。

STR4TAはDJには別格の一枚。日本人には今ひとつ馴染みの薄かったブリット・ファンクを洗練されたものとしてリロード。ディスコ・ファンク・ニューウェーブ・ジャズフュージョンをミックスしたそのブリット・ファンクはその当時からUKを中心として沸き起こったムーブメントとして後々の萌芽として大事なのですが、斬新なサウンドとしてあらためてそれを提示してくれた。僕のDJ個人史においてもLEVEL42やLIGHT OF THE WORLD、FREEZらは重要なのですが今ひとつ再評価に上がらず、でもその80'sの決して大きくないシーンを再浮上させ脚光を浴びせてくれたことが痛快でした。

デビュー作から地味に追いかけていたストックホルムの妖精、リサ・エクダールがついにアナログLPをリリース。ついでに旧作もアナログ化されるという盆と正月が一度に来た喜びに沸きました。最新作はカバーアルバムですが、この機会にぜひ日本のリスナーに彼女の存在を知って欲しい。ブロッサム・ディアリーを更に10倍甘くした歌声、北欧ジャズ然としたクールな演奏スタイルにはスウェーディッシュ・ジャズ・シーンの精鋭が集結しているところにも注目。A.1『WISH YOU WERE GAY』は言わずと知れたビリー・アイリッシュのヒット曲。

現代N.Y.のリアルジャズシーンのトップ・ボーカリスト、グレッチェン・パーラトの11年振りの新作もまた素晴らしかった。格となるバンドにはカマシ・ワシントンやミゲル・アトウッド・ファーガソンなどと共演している経験豊富なミュージシャンを配置。そして彼らはブラジル音楽の下地を持っているので、L.A.の最新ジャズ〜ボサノバ(サンバ)という一連の流れが綺麗に調和して完璧に僕好みの音楽となっていた。アニタ・ベイカーの名曲「スイート・ラブ」は5拍子ながら不思議と違和感を感じさせず、これが「風格」なんだなぁと思いました。詩の世界観を完全に自分のものとしている。本来ボーカリストとしてはこうあるべきなんですよね。

番組でも触れましたが2021年はジョニ・ミッチェルの名盤『BLUE』がリリースされてから50年を迎えました。年末にはEP盤で「All I Want」をリリースしましたが、本格的にレコーディングに着手、2022年の冬までには『BLUE』丸ごとカバーしたアルバム『RE:BLUE』をリリースします。ボーカルにはジョニ・ミッチェルを愛してやまないイスラエルのボーカリスト、J-ラモッタすずめをメンバーに加え「STE with J-Lamotta すずめ」これはSunaga t experienceとして7枚目のアルバムとなります。2022年のYear's Bestとして堂々と選出できるように全力を尽くします。









Years Best-須永辰緒-

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Title : 『Aspects』
Artist : STR4TA
LABEL : Brownswood
NO : BRC663
RELEASE : 2021.3.26

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lisa300.jpg

Title : 『Grand Songs』
Artist : Lisa Ekdahl
LABEL : Masterworks
NO : 19439920662
RELEASE : 2021.10.8

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Title : 『Flor』
Artist : Gretchen Parlato
LABEL : コアポート
NO : RPOZ-10064
RELEASE : 2021.3.3

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【須永辰緒 プロフィール】

Sunaga t experience =須永辰緒によるソロ・ユニット含むDJ/プロデューサー。 DJプレイでは国内47都道府県を全て踏破。また北欧=日本の音楽交流に尽力、世界各国での海外公演多数。

MIX CDシリーズ『World Standard』は12作を数え、ライフ・ワークとも言うべきジャズ・コンピレーションアルバム 『須永辰緒の夜ジャズ』は20作以上を継続中。国内や海外レーベルのコンパイルCDも多数制作。国内外の多数のリミックスワークに加え自身のソロ・ユニット"Sunaga t experience"としてアルバムは5作を発表。アナログ啓発活動としてヴァイナルのみのリリース•シングルなども続く。最新作は 『VEE JAYの夜ジャズ』(ビクター)『Sunaga t experience DIGS CHIEKO KINBARA~Jazz Remixies~』(CAPOTE)『BETHLEHEMの夜ジャズ』(ULTRA VIVE)『クレイジーケンバンドのィ夜ジャズ』(UNIVERSAL SIGMA)『Sunaga t experiencec/STE』(BLUE NOTE)等。多種コンピレーションの 監修やプロデュース・ワークス、海外リミックス作品含め関連する作品は延べ200作を超えた。加えて企業ブランディングや商品開発、音楽や料理などの著作も多数手がける。

http://sunaga-t.com  


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