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vol.11 - ドイツのリースリングとエレンコ・レーベル


いらっしゃいませ。

bar bossaへようこそ。

すっかり桜は散ってしまって、もう初夏の気配がしていますね。ゴールデンウィークの旅の計画なんかをしている頃ではないでしょうか。

さて、そんな明るい日差しが見え始めた季節にぴったりのワインを紹介します。


リースリング・トロッケン
リースリング・トロッケン


ドイツ、ナーエ地方のリースリング・トロッケンです。ドイツワインといえば、一昔前までは女子向けの甘ったるいワインという印象を持たれたものでしたが、最近のドイツワインは洗練されてとてもスタイリッシュな味わいのワインが増えています。そして、バール・ボッサでもこの春にそんなドイツワインを一押しします。
作り手はドイツ内外から高く評価されているアウグスト・アンホイザー家です。レモンなどの柑橘や白い花の香りがやさしく、爽やかな果実味とクリアーなミネラル、清涼感のある後口を特徴とするキレのある辛口白ワインです。


では、音楽の話に移りましょう。
今日はエレンコというインディーズ・レーベルを紹介します。このレーベルはジョアン・ジルベルトを世に出したアロイージオ・ジ・オリヴェイラが「所有する価値のあるレコード」というコンセプトで1963年に始めました。
しかし制作費はあまりなく、白のジャケットに写真を黒でのせるという単純なデザインになったそうなのですが、逆にこのデザインが斬新で、50年たった今でも全世界で「ボサノヴァと言えばエレンコのジャケットのデザイン」というイメージがあります。


Antonio Carlos Jobim / Antonio Carlos Jobim (ELENCO)
Antonio Carlos Jobim / Antonio Carlos Jobim (ELENCO)


エレンコはもちろんジャケットのデザインだけではありません。ボサノヴァ以前のブラジルの良質な音楽を紹介したり、面白いミュージシャン同士のライブアルバムを作ったり、新しい才能を発掘したりと様々な試みを続けました。

それでは僕が好きなエレンコの録音を5曲、紹介します。


Tom Jobim & Dorival Caymmi - Saudade da Bahia



これは当時もう大御所だったドリヴァル・カイーミが家族を連れて、アントニオ・カルロス・ジョビンの家に遊びに行って演奏をした、という設定の面白い録音です。曲はジョアン・ジルベルトも演奏したカイーミのボサノヴァ・スタンダードを二人で歌っています。


Vinicius : Formosa + Final



イパネマの娘をはじめ、多くのボサノヴァの歌詞を書いたヴィニシウス・ジ・モライスは元々は歌手というわけではなかったのですが、そんな彼を表に出して録音したのもエレンコ・レーベルの偉業です。これはスタジオ・ライブ録音です。熱い空気が伝わりますね。


Billy Blanco - Tchau mesmo



ビリー・ブランコはボサノヴァが始まる以前の1954年にアントニオ・カルロス・ジョビンと「リオ・デ・ジャネイロ交響曲」を共作した人なのですが、その後、華やかな活動はしていませんでした。そんな音楽家にこんなチャーミングな録音のチャンスをあたえるのもエレンコならではです。


A ESTRADA E O VIOLEIRO - SIDNEY MILLER & NARA LEÃO



エレンコはもちろん新しい才能も発掘しました。この曲はシジネイ・ミレールという当時の新進作曲家のアルバムからで、ナラ・レオンも参加しています。シジネイ・ミレールは日本ではあまり有名ではありませんが、当時のボサノヴァ界ではかなりの実力派だったようです。


Aloysio de Oliveira (Elenco)-O Máximo da Bossa-O Que é Bossa Nova Lado A



これはちょっと珍しい面白い録音です。レーベル・オーナーのアロイージオ・ジ・オリヴェイラが「ボサノヴァって何?」ということを語っているのですが、ずっとボサノヴァのビートが続いていてそこに色んな音をコラージュさせています。現代のリミックスという手法を先取りしていますね。


どうでしたか?
インディーズ・レーベルってメジャーにはない色んな魅力がありますよね。

それではまた来月、こちらのお店でお待ちしております。


bar bossa 林 伸次


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bar bossa information
林 伸次
1969年徳島生まれ。
レコファン(中古レコード店)、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)、
フェアグランド(ショット・バー)を経た後、1997年渋谷にBAR BOSSAをオープンする。
2001年ネット上でBOSSA RECRDSをオープン。
著書に『ボサノヴァ(アノニマスタジオ)』。
選曲CD、CDライナー執筆多数。
連載『カフェ&レストラン(旭屋出版)』。

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●TEL/03-5458-4185
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