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Jukka Eskola Orquesta Bossa interview

ザ・ファイブ・コーナーズ・クインテットのリーダー、
ユッカ・エスコラによるボサノヴァ・プロジェクト(=Jukka Eskola Orquesta Bossa)が始動。

このプロジェクトと同名の新作は「夜ジャズ.Net」でお馴染み、
DJの須永辰緒さんが共同プロデューサーとして名を連ねる他、Jill-Decoy associationのchihiRoさんも参加。
まさに日本とフィンランドの懸け橋となる、注目のボサノヴァ・プロジェクトです。

そんなユッカ・エスコラのインタビューをご紹介。
質問は須永辰緒さんです。


→Jukka Eskola Orquesta Bossa特集。
「夜ジャズ.Net」(2013.5/15-6/19 OA)


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【Jukka Eskola インタビュー】

■Q. 今回のボサノヴァプロジェクトに関して。

私は古いボサノヴァ・アルバム(主に60'Sおよび同時期にリンクしたアメリカのジャズミュージシャン残したヴィンテージ音源)をずっと愛聴しています。私の演奏するトランペットでのプレイは主にジャズやジャズサンバに影響されていますがブラジル音楽に関してはエキスパートではありませんでした。

このプロジェクトは実際異なるプロジェクトから始まりました。弦楽重奏を含むビッグバンドとのコンサートをヘルシンキのコンサート用にアレンジを加えリハーサルなどをしていたのですがこの編成で得た体験はジャズの熱気よりももっとクール(*ジャズでいうところの"クール"よりも"穏やかな"といった語感)というなイメージが湧いてきたのです。そうしてその体験をボサノヴァ・プロジェクトに向けて動かしたらどうなるか?というアイディアが浮かんできたのです。

私が中心となる2管楽器+リズムセクション(ドラム、ベースおよびギター)を加え伝統的なボサノヴァを実践しつつも少しポップ•フィールドにタッチしながらアレンジをしました。フィンランドの伝説的アレンジャーであるルシ・ランペラ氏も共感してくれて共同作業も行いました。また私たちはブラジル音楽の要が歌であるということを理解していたのでマナーに沿った沢山の歌もののトラックを用意したり有意義な創作活動が出来たのです。それが非常に刺激的になり、さらには一歩進めてプロジェクトをレコーディングすることを思いついたのです。彼は直ちにプロデューサーとしてプロジェクトに参加して欲しいと考えドラマー/プロデューサーである元T.F.C.Q.のメンバー、テッポ・マキネンに連絡を取った所、彼も無類のボサノヴァ・ファンであることからスムーズにプロジェクトのスタートを切る事ができました。さらには以前から日本で親交の深い友人であるDJ須永辰緒氏と連絡を取り、アイディアを出し合いまずは日本でのリリースという形の構想も出来上がりました。

アルバム用に7曲の新しいオリジナルのジャズ・サンバを作曲アレンジ、さらには私たちが愛聴しているお馴染みの3曲のカバーを加え構成されています。「フロム・ザ・ホット・アフタヌーン」はミルトン・ナシメントによるクラシックス。私はポール・デスモンドのCTIからリリースされたアルバムのバージョンが好きで、フェイバリット・ソングの一曲でもあります。

さらに私はボーカリストを日本でのアルバム・バージョンに起用したい考えを持っていました。日本での録音は私と須永辰緒氏で行いました。結果的にそれは非常に素晴らしく、2人の異なるボーカリストはアルバム上で重要な役割を担っています。「ウィーン」はフィンランドのシンガーソング・ライターの曲です。オリジナルは勿論フィンランド語ですが、私はその歌唱、アレンジが非常に好きでずっとその新バージョンを作りたかった。この日本語で歌われるそれはパーフェクトでchihiRoの歌声は素晴らしく、成果は予想を上回る完成度になっています。もう1曲はA.Cジョビン作によるスタンダード「喧嘩にさようなら」こちらは日本盤のボーナス・トラックとして制作しました。ケイスィー・コスタの歌唱はワールドワイドの観点から見ても高い水準を誇っています。本当に素晴らしい才能です。




Q. パーソネルについて。

録音メンバーは主に北欧でトップのボサノヴァ/ジャズミュージシャン達で構成されています。Jaska Lukkarinen(d)はいま北欧で最も忙しいジャズ・ドラマーでしょう。またさらに、完璧なブラジル音楽を習得しているドラマーのひとりでもあります。Ville Herrala(b)も北欧で精力的に活動するコントラバス奏者です。彼は絶対音感の持ち主でメンバーの信頼も厚く高い技術を備えています。Peter Engberg(g)は、ジャズとボサノヴァ共に高い演奏技術でマスターする、おそらく欧州No.1のアコースティック・ギター・プレーヤーです。アコースティック・ギターの役割が非常なブラジル音楽を習得する為にブラジルに何度も渡り音楽院などで研鑽を積みました。私の幾つものユニットでのメンバーでもあり旧友のPetri Puolitaivalはアルト・サックス、バス・フルート、アルト・フルートおよびフルートをプレイします。フルートはブラジル音楽にとっても重要なセクションなので彼の参加も必然でした。

アルバムには弦楽四重奏としてプロトン・ストリングス・カルテットにも参加してもらいました。それらがこのアルバムユニークな個性とし、さらにはオーセンティックなボサノヴァをリ・ロードする作業のうえでストリングはこのアルバムサウンドにとって不可欠な要素でもあります。

そして重要なのはアルバムの共同プロデューサー、テッポ・マキネンの存在です。彼はフィンランド史上、不出世の偉大なドラマーであるだけでなく作曲やアレンジ、PCによるプログラミング技術他の非常に多くの才能を持ち数々のユニットでセールス面でも大ヒットを記録し、フィンランドで史上最も才能のある音楽家のうちの1人とも言われています。欧州を飛び出し、アメリカやアジアなどでもその活動は広く知られていることでしょう。テッポはこのアルバムではパーカッションおよびピアノ(!)を演奏しています。




Q. 日本のファンへのメッセージ

私は日本のファンは世界一だと思っています。それはT.F.C.Q.での幾度かの来日や自己ユニットでも来日で接した音楽ファンの関心の高さ、マナーなども含め音楽に対する情熱によるヴァイヴを感じているです。日本はジャズのパラダイスだ、と形容するジャズミュージシャンも少なくありません。そういった日本のリスナーが私の新プロジェクト「Jukka Eskola Orquesta Bossa」を幅広く聞いてくれることを期待しています。さらにはこのオーケストラで日本でのライブをお見せできたらいいなと思っています。See you soon!


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『Jukka Eskola Orquesta Bossa / Jukka Eskola Orquesta Bossa』

Jukka Eskola Orquesta Bossa


Jukka Eskola Orquesta Bossa

リリース:2013年5月15日
Zounds!
製品番号:ZS003

ザ・ファイブ・コーナーズ・クインテットのリーダー奏者ユッカ・エスコラ、テッポ・マキネン。日本からはDJ須永辰緒が共同プロデューサーとして名を連ねる、日本=フィンランドの友好の架け橋『Jukka Eskola Orquesta Bossa』が完成。世界に先駆けてまずは日本だけのリリースが決定。ほぼインストゥルメンタルでジャズとブラジル音楽へのオマージュを綴ったジャズサンバ集ながら、2曲だけ収録のボーカル・トラックには日本からchihiRo(ジルデコイ・アソシエーション)、何もかもが規格外の超新星ボサノバ・シンガー、ケイシー ・コスタが参加。ギター、パーカッションを加えたセクステット編成にヘルシンキの弦楽4重奏楽団も加わった10人編成。湖の国フィンランドから清冽で凛とした壮大なスケールの・ボサノヴァアルバムが登場した


【Jukka Eskola(ユッカ・エスコラ)】

ジャズトランペット奏者/アレンジャー/プロデューサー。
1978年生まれ。フィンランドを飛び出しコンテンポラリージャズ・シーンで最も成功したプロジェクト、ザ・ファイブ・コーナーズ・クインテットのリーダー。その成功を経てソロ活動や数々のプロジェクトなどにより欧州を代表するトランぺット奏者の一人としてシーンを牽引し続けている。フィンランドのヘルシンキに所在する名門シベリウス音楽院でジャズを専攻し以降キャリアは15年に及ぶ。ザ・ファイブ・コーナーズ・クインテット、リッキーティック・ビッグバンド、ジミ・テナー・バンド、ジョー・スタンス、ニュー・スピリット・オブ・ヘルシンキなどでもアンサンブルの中心として活躍。2007年に北欧の権威あるジャズ・アワード、ポリ・ジャズ・フェスティバルでは「ベスト•アーティスト・オブ•イヤー」に選出される。2010年のリリース「ランペラ=エスコラ」では9重奏楽団の共同リーダーとして作品を発表し大いに注目が集まり世界中のジャズ・ファンからの注目を浴びた。自身及びバンドメンバーとしての作品に加えて、スタジオ・ミュージシャンとしてほぼ200枚以上のアルバムにも参加。さらには多くの国際的なフェスティヴァルにも数多く招かれ、マリア・シュナイダー、ジミー・スミス、デービッド・リーブマン、トニー・アレン、パティ・オースティン、ピーター・アースキンなど、と共演。さらに現在はフィンランドを代表するジャズイベントのオウル・ジャズ・フェスティバル用の芸術監督として辣腕を奮っている。


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