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JJazz.Net Blog Title

夜ジャズミーティング2014

ジャズDJが集い、その年を振り返りつつベストディスクを発表するという、年末恒例企画「夜ジャズミーティング」。
今回は今年オープンした「HMV record shop渋谷」にて、初の公開収録を行いました!!

■夜ジャズ.Net
http://www.jjazz.net/programs/yorujazz/
(配信期間:2014年12月17日~2015年1月21日)


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メンバーは、東京から現在進行形のジャズを発信するプロジェクト"HEX"を率いる、松浦俊夫さん、
SOIL&"PIMP"SESSIONSの社長、そして夜ジャズクルーのDJ Nicheさん。


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その模様は番組でお楽しみ頂くとしまして、ここでは皆さんの年間ベスト3作品をご紹介。
レギュラーメンバー、沖野修也さんのセレクションも届いております。

2014年はJazz The New Chapterをキーワードに、新世代ジャズが注目された1年でした。
グラスパー以降の次世代ジャズ・シーンへとつながるミュージシャンは誰なのか?
今回のセレクションも非常に興味深いです。

現在「HMV record shop渋谷」ではこれらの作品が展開されています。
是非お店にもお立ち寄り下さい。

[Text:岡村誠樹]


収録協力:HMV record shop渋谷


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【2014年 年間BEST3アルバム】


selected by 須永辰緒


No.1
The Radicle


The Radicle / Tim Deluxe

リリース:2014年3月5日
Beat Records
製品番号:BRC407

昨年も沖野くんが挙げていたUKディープハウス界のベテランらによるビッグ・バンド・プロジェクト「NO LUCKY DAY」というアルバムがありましたが、今年はテックハウスやストリクトリーでディープなダンスミュージックを世に送り出してきたUK中堅ハウサーが"ジャズ"に接近した。これは邂逅ではなく自身のルーツへの回帰であるとのこと。ダンスミュージックとジャズの折衷が良いバランスで調和していたと思う。今年のヘヴィー・ローテーションはS-1「Jas」。








No.2
Early Riser


Early Riser / Taylor McFerrin

リリース:2014年5月14日
Brainfeeder / Beat Records
製品番号:BRC418

ボビー・マクファーリンを父に持つ音楽エリート。ビートメーカーならずマルチな才能を発揮したデビュー・アルバムにはサンダーキャットやロバート・グラスパーなど当代きっての凄腕ミュージシャンが参加。特筆すべきは、彼らはヒップホップやエレクトロなどのビートミュージックを完全に修学し、ジャズの生演奏さえも解体し再構築することに全く抵抗がない世代だということ。そんなバックグランドがオーガニックな唄と相まって不思議なテクスチャーとジャズの奥深さを啓発することに成功している。こういった流れは新・新主流派と呼ばれる時代も近いと思う。




No.3
Thought Of You


The Thought Of You / OTIS BROWN III

リリース:2014年10月1日
ユニバーサルミュージック
製品番号:UCCQ1020

やはりロバート・グラスパー関連。昨年一昨年とグラスパーの作品がランクインしましたが、その影響下はまだ留まらない。オーティス・ブラウンはエスペランザ・スポルディングなどとの共演が有名なドラマー。グラスパーは演奏やアレンジなどで深く関わっている。とはいえスピリチュアルな精神性やラディカルな演奏の核はやはりオーティス本人であり、個性も突出している。セッションのような演奏者との対峙の中で(例えば雨間にひょっこり顔を出す太陽のような)柔和な雰囲気も同居していて不思議な聴後感もある。ジャケットも最高。これはアナログで持っておきたい。










【Tim Deluxe Orchestrates - Jas】



【須永辰緒 プロフィール】
Sunaga t experience =須永辰緒によるソロ・ユニット含むDJ/プロデューサー。 DJとして東京、大阪でレギュラー・パーティーを主宰 。DJプレイでは国内47都道府県を全て踏破。欧州からアジアまで海外公演も多数。MIX CDシリーズ『World Standard』は10作を数え、ライフ・ワークとも言うべきジャズ・コンピレーションアルバム 『須永辰緒の夜ジャズ』は15作以上を継続中。国内から海外レーベルのコンパイルCDも多数制作。多数のリミックスワークに加え自身のソロ・ユニット"Sunaga t experience"としてアルバム4作を発表。最新作は 『夜ジャズDigs Venus Opus1~5』(Venus)『World Standard Crazy Ken Band』(UNIVERSAL)『VEE JAYの夜ジャズ』(ビクター)等。多種コンピレーションの 監修やプロデュース・ワークス、海外リミックス作品含め関連する作品は延べ200作を超えた。日本一忙しい"レコード番長"の動向を各業界が注目している。

須永辰緒 Official Site  




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selected by 松浦俊夫


No.1
No Deal


No Deal / Melanie De Biasio

リリース:2014年4月22日
Hostess Entertainment
製品番号:PIASR690CDX

ベルギーの女性ジャズ・ヴォーカリストのセカンド・アルバムです。厳密には昨年のリリースのようですが、春先に存在を知り、ずっと探して、アナログとCD両方購入しました。歌声に漂うその気だるさはポーティスヘッドMeetsニーナ・シモンといったところ。縁あって、本作のリミックス・アルバムに参加し、The Flowという曲を担当しました。2015年2月にこれもアナログとCD両方リリースされます。








No.2
Magnetica


Magnetica / Quantic

リリース:2014年8月15日
Beat Records
製品番号:BRC415

5年前に南米コロンビアに移住し、現地ミュージシャンとのセッションで作品を作り続けてきたイギリス出身のDJ&プロデューサー、クアンティックの本人名義では8年ぶりになる本作はここ数年のラテン・プロジェクトの集大成ともいえるものでした。ジャズ、ファンク、フォーク、ヒップホップ、レゲエ、そしてダンス・ミュージックと多様な音楽をラテンが飲み込んで吐き出したカラフルな作品の数々。秋に行ったバンドの初来日公演は台風直撃の夜でしたが、会場は超満員のファンで埋め尽くされていました。音楽のパワーを実感した作品でもあります。






No.3
Brasil Bam Bam Bam


Brasil Bam Bam Bam / Sonzeira

リリース:2014年6月11日
ユニバーサルミュージック
製品番号:UCCU1438

ワールドカップ・イヤーにジャイルス・ピータソンが仕掛けたブラジリアン・プロジェクトのアルバム。本作制作中にロスで断片的にアルバムを聴いてからリリースまでの数ヶ月間が待ち遠しかったのを今も覚えています。職業プロデューサーにはマネの出来ないDJ視点のアプローチにはいつも驚かされながらも、つい笑みが出てしまいます。彼のキャラクターが生きた秀作でした。










【MELANIE DE BIASIO - The Flow】



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【松浦俊夫 プロフィール】
1990年、United Future Organization (U.F.O.)を結成。日本におけるクラブカルチャー創世記の礎を築く。12年間で5枚のフルアルバムを世界32ヶ国で発売し、高い評価を得た。独立後も精力的に国内外のクラブやフェスティバルでDJ。さらにイベントのプロデュースやファッション・ブランドなどの音楽監修を手掛ける。2013年、4人の実力派ミュージシャンとともに、東京から世界に向けて現在進行形のジャズを発信するプロジェクト"HEX"を始動。Blue Note Recordsからアルバムをワールドワイド・リリース。InterFM"TOKYO MOON"(毎週木曜24:00)好評オンエア中。

松浦俊夫 Official Site  




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selected by 社長(SOIL&"PIMP"SESSIONS)


No.1
Awakening


Awakening / Daniel Crawford

リリース:2014年9月17日
P-VINE
製品番号:PCD93832

音色、グルーブ、メロディー、展開全てが僕の好み。何よりもライブ感がスゴい。ソロはジワジワラムゼイ系。聞きながら何度も声を出してしまうパターン。飛ばすとこなし。グラスパー以降、あのスタイルの延長線上にいながら、確実に頭一つ、いや五つくらい飛び出た内容。お見事です。間違いなくこれから先の人生でも聞き続ける&プレイし続ける1枚になるでしょう。










No.2
Joined Ends


Joined Ends / Dorian Concept

リリース:2014年10月15日
Ninja Tune / Beat Records
製品番号:BRC440

microKORGをまるでスト2のコントローラーのように弾き倒すその姿はまるで生粋のゲームオタク。本人に聞いたらやはりNintendoとSEGAといった8/16bitマシンにのめり込んでいたそう。そしてもちろんクラシックピアノも子供の頃から習得。MicroKorgを初めて見たときはピアノとゲームの融合だと思ったんだと。その眼鏡の奥に優しそうな瞳を持つオリバー少年は日本のテクノロジー&カルチャーに根っこに育ち、世界を震わせるビートでアルバムを創ったわけです。








No.3
Brasil Bam Bam Bam


Brasil Bam Bam Bam / Sonzeira

リリース:2014年6月11日
ユニバーサルミュージック
製品番号:UCCU1438

いつも自分の音楽のルーツを再確認させてくれるのは、やはりGilles Petersonの選曲であり、彼が世に送り出す作品なんです。もっと言うと彼の言葉でもあります。自然と体が動いて、どうしても途中で聞く事をやめられない奇跡の一曲に、これからどれくらい出会えるのだろう。彼のキュレーションに頼らずに、濃密な音楽生活がありえるのだろうか。自分は誰かのキュレーターになれるのか。そう自問自答を続けて日々を過ごしています。








【Daniel Crawford - The Awakening】



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【社長 プロフィール】
現メンバーでの活動11年目に突入したSOIL&"PIMP"SESSIONSのアジテーター。ジャズの枠組みを超えたパンキッシュでエネルギーに満ちた"SESSION"は世界中で高い評価を受けている。社長のもう一つの顔であるDJのキャリアは19年目に突入。JAZZの影響下にある全ての音楽をジャンルの壁を超えてMIX。SOILのライブ同様にマイクでオーディエンスを煽り、高揚感と多幸感でフロアを包む。また、2014年10月よりJ-WAVEの毎週土曜日深夜にて、ジャズバラエティ番組『V.I.P.』(25:00-27:00)のナビゲーターを務めるなど、ラジオDJとしても活躍中。


SOIL&"PIMP"SESSIONS Official Site  




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selected by 沖野修也(KYOTO JAZZ MASSIVE)


No.1
Thought Of You


The Thought Of You / OTIS BROWN III

リリース:2014年10月1日
ユニバーサルミュージック
製品番号:UCCQ1020

ロバート・グラスパー以降の音楽が注目されるのはいいけれど、グラミー穫る以前から注目してない人が騒ぎ立てるから、新世代のジャズ=ジャズ・ミュージシャンが演奏するR&BやHIP HOPって勘違いされてるような・・・。あれ、エクスペリエンス名義ですからね(怒)!そういう意味ではOTIS BROWNみたいなのが出て来て安心してます。グラスパーも奮い立つ事でしょう。これぞ新世代のジャズ。






No.2
Awakening


Awakening / Daniel Crawford

リリース:2014年9月17日
P-VINE
製品番号:PCD93832

ロバート・グラスパー以降の音楽に注目する人が、非アメリカのサウンドを軽視しているように思えるのは僕の妄想か?DANIEL CRAWFORDはグラスパー好きにも支持されてるけど、アメリカのミュージシャンの中ではヨーロッパのジャズ系のサウンドにもリンクしている数少ない逸材。それが意識的か無意識的かは判らないけれど。








No.3
When The World Was One


When The World Was One / Matthew Halsal

リリース:2014年6月16日
GONDWANA RECORDS
製品番号:GONDCD010

日本人が作るべき和ジャズを、マンチェスターのジャズマンがやっちゃった的な(苦笑)。この人、心は日本人ですね。僕も次のソロは和楽器を導入する予定だったからこういうことされると困るんだよなー。ロバート・グラスパー以降の音楽に盲目的に熱狂する日本人リスナーは、この作品を聴いて座禅でも組みなさい。










【Otis Brown III feat. Jean Baylor "Thought Of You" 】



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【沖野修也(KYOTO JAZZ MASSIVE) プロフィール】
DJ/クリエイティヴ・ディレクター/執筆家/世界唯一の選曲評論家Tokyo Crossover/Jazz Festival発起人。開店以来20年で70万人の動員を誇るThe Room(渋谷)のプロデューサーでもある。KYOTO JAZZ MASSIVE名義でリリースした「ECLIPSE」は、英国国営放送BBCラジオZUBBチャートで3週連続No.1の座を日本人として初めて獲得。これまでDJ/アーティストとして世界35ヶ国130都市に招聘されただけでなく、CNNやBILLBOARD等でも取り上げられた本当の意味で世界標準をクリアできる数少ない日本人音楽家の一人。ここ数年は、音楽で空間の価値を変える"サウンド・ブランディング"の第一人者として、映画館、ホテル、銀行、空港、レストランの音楽設計を手掛けている。2005年には世界初の選曲ガイドブック『DJ 選曲術』(リット―ミュージック)を発表し執筆家としても注目を集める。2011年にフォレスト出版より3冊目となる書籍『フィルター思考で解を導く』を発売。DJが書いたビジネス書として話題となり、Amazonのビジネス書/仕事術のカテゴリーで1位を記録する。同年7月『DESTINY』をリリース。iTunesダンス・チャート1位、総合チャート3位を獲得。現在、有線放送内D-47チャンネルにて"沖野修也 presents Music in The Room"を監修。ホームグラウンドのThe Roomでは月例パーティー"SOUND SANCTUARY"のレジデントDJを務めている。現在、InterFM『JAZZ ain't Jazz』(76.1MHz)にて番組ナビゲーターを担当中(毎週水曜22時~)。

沖野修也 Official Site



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selected by DJ Niche


No.1
JUKE BOX


JUKE BOX / NIKITCH

リリース:2014年3月3日

心のベスト10第一位はこの人!フランスからの新星、Nikitch(ニキッチ)です。本名はNicolas Morantと言うらしいです。アルバムタイトルはJuke BoxということでJuke/Footwork、そしてTrapといったジャンルをミックスして独特の音楽を作り上げています。一番好きなのはLove Will Ever DoというBPM140位の曲。初めて聞いた時、今年イチバンの衝撃を受けました。どうやらもともとクラシックの素養のある人らしくて、やっぱりその辺もメロディー作りに深く影響しているのかもしれません。美しいんですよ、曲が。2014年3月にこのe.p.はリリースされましたが、最新作Moodsもこれまた素晴らしい出来あがり。2015年の活躍が楽しみでなりません。来日切望!






No.2
This Is Her


This Is Her / LAKIM

リリース:2014年2月25日

LAのレーベルSOULECTION(ソウレクション)からのリリース。Lakim(ラキム)はJukeやFootwork、Trapといったあたりのジャンルを軽やかに行き来して正規リリースやブートRemixなど数多くの作品を近年出しています。ファーストアルバム「This Is Her」は2014年2月リリース。僕はBandcampで買いました。推し曲はSuperb。BPM135くらいで、シンプルながらもハッピーなメロディが飽きさせません。今年前半はこればっかり聞いてました。










No.3
Perfect WorldSpeak To Me


Perfect World / Speak To Me / Brisa

リリース:2014年9月28日

2014年ついにブレークスルーを迎えたBRISA君の最新作。音の粒、メロディ、今っぽさ、揃って世界レベルです。「日本人アーティストもここまで出来るのか」と海外のDJに是非感じて欲しい存在。前作「GIMMELUV」あたりからもうすっかりハマってしまいました。Ta-ku的なBass、Juke的アプローチ。そして今回はLONEあたりの影響も感じさせるPerfect World。2015年もシーンで暴れまくって欲しい同世代の星!










【BRISA - Perfect World】



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【DJ Niche プロフィール】
1999年~2003年までJAZZパーティー「on a clear day」をオーガナイズ。2004年「モダンジャズ入門」@オルガンバーを須永辰緒、敷島と共に立ち上げ、夜ジャズムーブメントの基礎を築く。現在は、「夜ジャズ」「SPUNKY!」松浦俊夫プロデュースの「impro」に参加。また最近は「音楽と文化のパトロンになろう」をテーマ に"Patron"名義での活動をスタート。プロデュースワークでは、青木カレン「KAREN」「SHINING」のサウンドプロデュースに参加。REMIX作Smooth Operator(DJ Niche&DJ Shinsuke REMIX)を発表し、「JAZZ&FLOWERS」「Karen-EP」といったCDに収録された。その他青木カレン「THE BEAUTIFUL DAY」にてEnglishman in New York(Niche&Shinsuke Remix)を発表。2010年9月発売のRambling Records/iTunes配信作品「大人の休日~Classic Covers」のプロデュースを担当。ジャズアルバムチャートで最高1位、総合チャートで最高5位を記録した。 2011年5月にはLADY GAGAのジャズカバーアルバム「JAZZY GAGA」を三浦信と共に共同プロデュース。iTunesジャズアルバムチャートで最高3位を記録。2012年8月1日、コンピレーション「JAZZ UP」(Rambling Records)リリース。その他、α-STATION(FM京都)「CLUB α」を2008年2月〜2014年3月まで担当。

DJ Niche tumblr

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