Title : 『songbook 2』
Artist : 石若駿
石若駿の歌ものプロジェクト、songbookの第二弾。
今回はエレクトロニカ・アーティストのermhoi、トランペッターNiran Dasikaとの共作が1曲、角銅真実と吉田ヨウヘイgroupのギタリスト西田修大、CRCK/LCKSのベーシスト越智俊介によるsongbook bandで2曲、角銅とのデュオで1曲、CRCK/LCKSの小西遼、ベーシストの須川崇志とのバンドで1曲の計5曲。
前回のアルバムにあった過剰とも思えるような宅録の音の重ね方は薄れており、むしろ参加ミュージシャンに任せる部分が増えてライブ感が増している(それでも石若駿がピアノとドラムを担当する曲がほとんどだけれど)。songbook bandとしてライブ活動をしてきた積み重ねもあるのだろう。
エフェクティブなトランペットと刻まれたボイスの隙間に、チョップしたかのような過激なドラムソロの挟まれた「Birthday Song」、イントロで くるり と錯覚するような8ビートの「晴れた夜」などは石若駿の新しい機軸となるかもしれない。
西田修大、越智俊介、ermhoiという非ジャズアーティストの起用も効果的だ。ermhoiのボーカルエフェクトは石若のドラミングとマッチしているし、ザラッと歪んだギターは以外にも空気感を引き締めている。小西のボコーダーがメインボーカルをとる曲で、あえてウッドベースの須川を起用しているのも面白い。
石若駿が今年参加した岡田拓郎のアルバム『ノスタルジア』を聴いていて、「あ、これは石若駿だ」と確信した曲がある。「ブレイド」という曲だ。この曲で、岡田はおそらく現代ジャズ的なアンサンブルに日本語詞を載せるための接着剤として石若駿を起用した。岡田拓郎がブレイクスルーする方法として石若駿を起用したことと、石若駿が西田修大らを起用したことはきっとコインの表と裏のようなものだろう。
石若駿が接着剤となり、ジャンルをまたいで面白い音楽がまだまだ生まれる予感がする。
文:花木洸 HANAKI hikaru
【石若駿 2ndEP『Songbook2』メイキング映像】
●石若駿 Official
【石若駿3Days 6公演@PIT INN】
11月17日(金) 18日(土) 19日(日)
夜公演=開場19:30 開演20:00 / 昼公演=開場14:00 開演14:30
¥3,000+税(11/17の昼公演のみ、¥2,000+税)
全て、1ドリンク付
*6公演通し券:¥16,000(税込、各ステージ1ドリンク付)
◎予約・前売(開場時優先入場)受付中。
11月17日
【昼】石若駿打楽器ソロ
【夜】石若駿&スガダイロー デュオ
石若 駿(Ds)スガダイロー(P)
11月18日
【昼】Songbook Band
石若駿(P,el-P)角銅真実(Vo)西田修大(G)越智俊介(B)渡健人(Ds)
【夜】CRCK/LCKS(クラックラックス)*オールスタンディング
小西 遼(Sax,Key,etc)小田朋美(Vo,Key)井上 銘(G)越智俊介(B)石若 駿(Ds)DJ=石若 駿
11月19日
【昼】Clean up Trio
石若 駿(Ds)井上 銘(G)須川崇志(B)Niran Dasika(Tp)
【夜】"Boys"Trio
石若 駿(Ds)石井 彰(P)金澤英明(B)DJ=石若 駿
音楽ライター柳樂光隆氏による人気のムック『Jazz The New Chapter 』の第4弾が2017年3月8日に発売。今回も花木洸が選盤などを担当しています。
■タイトル:『Jazz The New Chapter 4』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2017年3月8日
■出版社: シンコーミュージック
毎号重版を続ける話題のムック、第4弾が遂に登場!
今や現代の音楽シーンを左右する一大潮流となった"ジャズ"の最突端で今、何が起きているのかを、詳細なテキストと計150枚のディスク評で徹底検証。ジャズを活性化したネオソウルとの蜜月を改めて紐解く一方、ジャズを触媒として生まれた新たな潮流にも目を向け、脈打ち続けるジャズの「今」を深く掘り下げます。
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Reviewer information |
花木 洸 HANAKI hikaru 東京都出身。音楽愛好家。 |