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vol.27 - ゲスト:ジノンさん~ルシッド・フォール『花は何も言わない』


いらっしゃいませ。

bar bossaへようこそ。

今日は11月30日に発売になったルシッド・フォールの6枚目のオリジナルアルバム『花は何も言わない』をご紹介します。

日本盤CDの歌詞翻訳も担当したジノンさんにお越しいただきました。


林(以下H)「ジノンさん、こんばんは。」

ジノン(以下J)「こんばんは。」

H「今回のアルバムはピアノトリオとギターをバックに歌っているのが特徴的だと思うのですが、メンバーはそれぞれどういった人たちなのでしょうか?」

J「そうですね。ちょっと下にまとめてみました。」


ゾ・ユーンソン CHO Yoon-seung [Piano]
韓国で生まれ、アルゼンチン国立音楽大学でクラシックピアノを専攻し、アメリカのバークリー音楽大学、NEC(New England Conservatory)でジャズを勉強した。アジア人としては初めてハービー・ハンコックに抜擢されて、2001年『Thelonious Monk Institude of Jazz』奨学財団の支援プログラムで選定された。修学のあと、MIで8年間を教授として活動した。ユー・ヒヨル(TOY)の紹介でルシッド・フォールの5THアルバム『美しき日々』に参加し、南米のスタイルを導入した。2012年、ルシッド・フォールとのライブも開かれた。

ゾ・ユーンソン with ルシッド・フォール / Tudo Bem



ファン・ホギュー HWANG Ho-gyu [Contrabass]
バークリー音楽大学、『Thelonious Monk Institude of Jazz』で修学。ジョン・パティトゥッチ、ジョン・スコフィールドなどと共演、ゾ・ユーンソンとのプロジェクト『K-Jazz Trio』のメンバー。


キム・ジンス KIM Jin-soo [Guitars]
Guitar Performanceの専攻で2010年にバークリー音楽大学を卒業。2008年、パーカッションとのデュオ作『Awareness』、2012年、NEC(New England Conservatory)出身のメンバーたちのカルテット『Three Quartet 』のアルバムを発売。ルシッド・フォール、Malo(マロ)、ゾ・ユーンソンなどのレコーディングやライブ、放送セッションとして参加。


シン・ドンジン SHIN Dong-jin [Drums]
韓国の慶熙大学校でポストモダン音楽を専攻。 Drum Professional Musicの専攻で2011年にバークリー音楽大学を卒業。2008年、韓国のジャズマガジン『Jazz People』社からRising Starとして選定。ルシッド・フォールの5THアルバムなどのアルバムのレコーディングやセッションに参加。


H「なるほど。みなさん、やっぱりジャズ・ミュージシャンなんですね。全員がバークリー出身というのも特徴的ですね。」

J「そうですね。現代の韓国音楽は、アメリカ留学経験者が支えているという面が多くありますね。」

H「なるほど。バークリーは今は日本人よりも韓国人が多いという話も聞いたことがあります。このアルバムで韓国で何か話題になっていることってありますか?」

J「発売前に行われたNAVER主催の音楽感想会の模様から下記のようなことがわかったので、まとめてみました。」


(1) まずは、様々なギターにチャレンジしたこと。普通のギターとベースを弦楽器で例えてみるとギターはバイオリン、ベースはコントラバスに対して今回使っているのはヴィオラのような音域【黒い犬】、チェロのような音域【蝶】が奏でられるギターを使っている。

(2) 元々はリュートで演奏する曲も作りたかったが、今回のアルバムでは保留。その代わりに多弦ギターを制作して演奏することにした。【風のような歌を】

(3) 加工していない音をそのまま収録しているので、曲の最初の部分にあるカウントやノイズもそのまま収録した。【河】

(4) 収録曲はほぼ夜に書いた曲で、1曲だけ昼に書いた曲がある。【河】

(5) 今回のアルバムで一番速いテンポの曲。アルバム発売前にあった音楽感想会でルシッドフォールは『ダンスに近い感じですが、でも普通の方々はバラードと言うんでしょう』と紹介した。【陽射しは暖かく】

(6) アルバム発売前にあった音楽感想会のときにライブで何曲か歌ったのですが、当時、会場ではGOLDMUNDというハイエンド・オーディオでHD音源を聞いていたこともあって、あえて、一切音を増幅しないで、マイクとスピーカーを使わないまま演奏した。


H「なるほど。興味深いお話ですね。特にヴィオラやチェロ、リュートの話は、ルシッド・フォールにとってのクラシック音楽の概念を使って音楽を作っているというのがよく理解できて面白いです。あと、ルシッド・フォールはシコ・ブアルキの小説『ブタペスト』も韓国語に翻訳して出版したんですよね。」

J「はい。ポルトガル語は独学なのだそうですが、『ブタペスト』の日本語訳やフランス語訳、英語訳の本も参考にしたそうです。」

H「フランス語もわかるって日本企画ベスト盤CDにも書いてあったので、色んな言葉がわかるんだろうとは思っていたのですがすごいですね。」

J「そうですね。」




ジノンさん、いつもお忙しいところ、どうもありがとうございます。

ルシッド・フォールはこのアルバムのツアーを韓国でしたようなのですが、その公演に行ってきたbar bossaの常連の加藤さんからライブ会場で売っていたこんなポストカードをいただきました。
ちなみに、そのライブ会場ではこのポストカードとCDしか販売していなかったそうです。「ライブではTシャツを売って稼ぐ」という音楽ビジネス・スタイルとは関係のないところで勝負しているルシッド・フォールらしい話ですね。

ルシッド・フォール ポストカード

では、2曲聴いていただきますね。

ルシッド・フォール/ 陽射しは暖かく

ブラジル音楽のマルシャをルシッドが独自に解釈をしたような楽しい曲ですね。PVも素敵です。


ルシッド・フォール/家族

今のアルゼンチン音楽なんかの流れと同じ方向性の内省的な曲です。今の東アジアでこんな曲を作れるのはルシッド・フォールだけだと思います。


寒い日が続きますね。今年のクリスマスは雪が降るでしょうか。みなさん、素敵なクリスマスをお過ごしください。

では、またこちらのお店でお待ちしております。


bar bossa 林 伸次




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林 伸次
1969年徳島生まれ。
レコファン(中古レコード店)、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)、
フェアグランド(ショット・バー)を経た後、1997年渋谷にBAR BOSSAをオープンする。
2001年ネット上でBOSSA RECRDSをオープン。
著書に『ボサノヴァ(アノニマスタジオ)』。
選曲CD、CDライナー執筆多数。
連載『カフェ&レストラン(旭屋出版)』。

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