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bar bossa vol.30

bar bossa


vol.30 - お客様:中村智昭さん(Bar Music/MUSICAÄNOSSA)
「『Bar Musicと共にある2010年代の定盤─その中の名曲たち』」



いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

今日は、ゲストに渋谷のBar Musicの中村智昭さんをお迎えしました。

林(以下 H)「いらっしゃいませ。早速ですがお飲み物はどうしましょうか?」

中村(以下 N)「Bar Musicを始める以前に、こちらには深夜によくお邪魔していました。とても楽しい時間を本当にありがとうございました。あの頃と同じように、おすすめの赤ワインを3杯、美味しく飲める順にお願いします。」

H「懐かしいですね。うちも朝の4時までやってたので、中村さんがいずれはやりたいお店の話なんかを朝までずっとしましたよね。では、軽いブルゴーニュの赤からボルドー、南仏と進んでいきますね。さて、小さい頃の音楽の環境なんかをおしえていただけますでしょうか。」

N「父が熱心なジャズ・ファンでオーディオ・マニアなんです。母曰く、当然、胎教音楽は爆音のジャズだったそうです。祖父から父が婿養子として広島の実家である自家焙煎喫茶『中村屋』を継いでからは、高い天井の空間を生かして月一度のコンサートが催されるようになり、地元のミュージシャンによるクラシック、ジャズ、タンゴなどの生演奏を鑑賞する機会に恵まれるようになりました。戦前からバンドネオンを演奏していたという方がいて、その回は特に楽しみにしていたように記憶しています。確かその方を慕って、世界的なアコーディオン奏者のcobaさんが若き日に一緒に出演してくださったこともあったんですよ。」

H「すごい環境ですね。まさにサラブレッド状態...」

N「う〜ん、どうでしょうか......。間違いなく音楽は好きでしたが、それ以上に昆虫や恐竜、ガンダムなどのロボットアニメとプラモデル、広島なので当然カープの影響で野球、小学校ではさらにサッカーに夢中になっていたので、演奏したいとは思っていなかったはずです。」

H「初めて買ったCDは?」

N「確か、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、清水ミチコさん、野沢直子さんが出演していて大好きだったバラエティ番組『夢で逢えたら』のオープニングとして流れていた『女神達への情歌 (報道されないY型の彼方へ)』と『フリフリ'65』が収録されたサザンオールスターズのアルバム『Southern All Stars』でした。」

H「中学、高校はどうでしたか?」

N「成長期に起きてしまった身体的な問題からサッカーを諦めざるを得ず、中学ではバスケットボールを懸命に頑張るのですが、同時にそこで出会った友人の影響からTMネットワーク、そしてユニコーン(これも『夢で逢えたら』の影響下にあります)に完全にハマることになりました。その友人とは同じ公立高校にも共に進学することになり、バスケと平行して一緒にバンドも始めました。」

H「やっぱりバンドですよね。」

N「とても楽しかったです。アルバイトで得たお金でヤマハ音楽教室に通っていた時期もあったんですよ。あとラッキーだったのは、近くにあった地元の巨大なNHKのビルが他局の受信の妨げになっているとかで、ある日ケーブルテレビが無償で提供されることになったこと。MTVとスペースシャワーTVが観放題だったので、海外アーティストのヴィデオ・クリップを目にするうちに、興味は主に邦楽から洋楽へとシフトします。中学の頃からビートルズのベスト盤はずっと聴いていたのですが、そこにオアシスのデビューが決定打となって、UK産のロックに夢中になります。バンドを共にする友人達は皆USのロック指向だったので、ニルヴァーナなどのグランジやメロコア、スカコアなども情報を互いに交換しながらよく聴いていました。」

H「良いですねえ。」

N「そうしてファッションにも大きな関心を持ち始めるのですが、その頃の街の各アパレル・ショップの店主/店長さんの多くは、同時に各ジャンルのDJだったんです。そうした出会いから音楽の幅はさらに広がり、レコードでしか聴くことのできない古いソウルやジャズを聴くために、中古の安価なレコード・プレイヤーを購入しました。そのころのアイドルはジャミロクワイで、ポール・ウェラーへは音楽性とスタイル〜ファッションのみならず、全てのお手本としての強い憧れを抱きました。」

H「やっぱり広島のど真ん中だと大都会だからすごくお洒落に目覚めるのが早いんですね。」

N「"お洒落"と言うよりは、"自我に目覚める"という感じでしょうか。わりと早い段階で東京の文化服装学院への進路を決心するのですが、それはそもそも当時の広島という街のアパレルで活躍する先輩=音楽人のライフ・スタイルからの影響、そして同時に理想とするシルエットや素材、縫製への欲求から辿り着いた答えでした。例えばごく日常的に着れるような仕立ての良いメンズのシャツを、丁寧に縫い上げられるような職人になりたかったのです。それが故郷における、音楽と最も近くにいながら日々を過ごす未来へのイメージでした。」

H「それで東京に来たわけですね。」

N「はい。1996年の春に文化服装学院に入学してからは、新宿のクラブ『OTO』(2014年1月より渋谷に移転)や南青山にあった『BLUE』などにDJとして身を寄せることができたのが大きかったですね。毎夜憧れのDJのプレイと共に様々な音楽に出会えることが、とにかく楽しくて。ただ、上京してちょうど二年が経ったころのある日、実家の『中村屋』は住居スペースであった階上と共に原因不明の火災によって燃えてしまって......。何と言うか、圧倒的な虚無感に見舞われたことで、ぼんやりと描かれつつあった将来のヴィジョンのようなものも、今憶えば一度その時点でリセットされたような気がします。帰る場所を文字通り失い、より一人で東京で生きて行く決意を固める、と言うか。」

H「なるほど。その経験が中村さんの大きなターニングポイントになったんですね。洋服のお仕事とか音楽の仕事とか迷ったりしたことはなかったのでしょうか。」

N「洋服の縫製技術は3年でスーツを縫い上げるところまで全ての課程を終了したのですが、そのころにはより音楽寄りに生きて行く道を模索するようになっていました。卒業するころにはサポートも含めて月に10本程度のレギュラーDJがあったので、スケジュールの調整に融通のきくサーヴィスや警備などのアルバイトを組み合わせて生計を立てながら、地道にサヴァイヴを続けて行こう、と。現在も継続している『ムジカノッサ』を基軸とするいくつかの活動は、そうした中でスタートさせたものでした。もちろん、その時点ではまだ洋服の道も選択肢の一つに含まれていましたが......。」

H「なるほど。」

N「そんな中で尊敬する編集者である橋本徹さんが、『カフェをやろうと思うんだけど、手伝ってもらえないかな? 例えば、中村の部屋のような雰囲気のインテリアで、俺たちの好きなレコードがずっとかかっているようなカフェをさ』と声をかけてくださって。『音楽の仕事」とは言っても様々ですよね。あのとき僕は、ダンスフロアのDJとしてだけではなく、カフェ・アプレミディのスタッフとしても『音楽の仕事』に就いたのだと思っています。そこには『飲食業』と『音楽の仕事』の、2つのよろこびが同時にありました。話しは少しそれるのですが、中学〜高校をバスケ部からバンドまで多くの時間を共に過ごした先に述べた友人というのが実は、現在ライヴ専門のカメラマンとしてシーンで大活躍中の岸田哲平くんなのです。彼はやはり家業である『カメラマン』と『音楽の仕事』を同時に選び、クリエイティヴな場所に辿り着いています。今こうして少し特異な形で互いに仕事として音楽に関わっていることは、必然であるように思えてなりません。」

H「どちらも実家の家業を新しい自分のオリジナルな形で、東京で展開されているんですね。そしてBar Musicが...」

N「カフェ・アプレミディのスタッフとしては1999年の夏から内装用のランプや椅子、テーブルなどを集めながらオープンの準備を手伝うことになって、それから2009年まで、ちょうど10年の時が流れました。そうした節目の時に、『音楽の鳴る場所を、もう一度一から丁寧につくってみたい』という強い気持ちに駆られたんです。 2010年の6月に渋谷のマークシティー横にオープンしたのですが、間もないタイミングで震災が起きた影響が少なからずあって、当初思い描いていた店づくりとかがいまだにうまく出来てないでもいるんですが、少しずつ修正しながら何とか潰れることなくやってこれました。お客さまに音楽と共にある心地よい時間と空間を提供し続け、未知なる音楽と出会いの場、もしくは懐かしい音楽との予期せぬ再会の場に。そして世代を越えた音楽仲間が、インプットとアウトプットを同時に行う交流の場になれればと思っています。これからも心を込めて、丁寧なサーヴィスの道を歩んで行きたいです。」

H「これからの音楽についてどう思われますか?」

N「『CDが売れない』と言われて久しいですが、配信などを含めて数万〜ミリオンクラスのヒットが時代性とシステムの問題から少なくなっているということのようにも思えます。一方でそれぞれの様々な素晴しい音楽はやはりリスナーから自然と支持され、それに見合った消費の対象であり続けているとも。お店に毎日立ち続けて思うのは、ちゃんと音楽をモノとしてCDやレコードを欲するリスナーは潜在的にも確実にいて、ただ、その音そのものに辿り着けていない、またはそういった機会に以前より恵まれていない人が多いということ。音楽をワインに例えてDJや選曲家を『ソムリエ』と表現することは以前から耳にしますが、僕にはより切実に生活に関わる『医者』というようなイメージが浮かぶのです。リスナーの一人一人が必要とするときに適切な音楽で心や身体を満たし、癒し、支えてくれる、自身が信頼のおける『主治医』のような存在がいるといないとで、音楽人生は大きくかわるような気がしてなりません。それはDJや選曲を生業にするプロフェッショナルかもしれないし、ある日どこかで出会う、趣味の一致する友人かもしれないし、雑誌やサイト、チャンネルといった何かしらの媒体かもしれませんね。僕はできることなら、その身近な医者の一人、もしくは一部でありたいと思っています。そういった願いから、Bar Musicで頻繁にプレイしているCDやレコードは、出来る限りその場で購入できるようにもしています。そして、医者にもやはり、主治医は必要なのです。僕もここ数年特に、良いお医者さんを探し続けています(笑)。」

H「医者ですか。本当に納得です。心が挫けそうになったときに、本当に音楽に助けられることってありますからね。さて、中村さんは新しいレーベルを始めたんですよね。」

N「はい。そもそもレーベルの名にも冠した『ムジカノッサ』とはポルトガル語で『僕たちの音楽』という意味で、かつて1960年代後半のブラジルに『MUSICANOSSA=ムジカノッサ』というムーヴメントがありました。これはビートルズをはじめとする、エレキ・ギターを抱えた欧米のロックに影響を受けたサウンド〜いわゆるMPBが勢いを増す中で、アコースティック・スタイルのボサノヴァやジャズ・サンバの伝統を守ろうとする若手とヴェテランが手を取り合い、音楽をフェアに評価/クリエイトしようという運動でした。その理念は、90年代末に置かれたの僕の想いと重なるところがあったんです。DJ時にプレイするドラムンベースやヒップホップ、ハウス、ブレイクビーツといったダンス・ミュージックはもちろん好きなんですが、その根底にはそれ以前に育まれたソウル、ジャズ、フォーク、ロック、ブラジル音楽などのスピリットやエッセンスみたいなものがある。でも必ずしもクラブ・シーンではそういったルーツ・ミュージックが主流ではないから、『いつかは失われてしまうのではないか』という"勝手な危機感"みたいなものを覚えていました。だから僕たちの好きな音楽を互いに共有することでより効果的にその魅力を伝え、みんなで手分けして大切にして行きたいと、強調の意を込めてアルファベットのAを追加し造語とすることで新たな『MUSICAÄNOSSA=ムジカノッサ』として始めました。 まずは1999年にクラブでのイヴェントがスタートし、それからディスク・ガイドやコンピレイションCDの制作も。今回新たに『ムジカノッサ・グリプス』というレーベルを設立して、コンピレイション『Bar Music 2013』という作品を出せたことは、そうした流れの中では大きなステップ・アップなのかもしれません。かつて1970年代末のニューヨークに『グリフォン』(GRIFFON)という名の由来通りに、音楽という黄金の宝を頑なに守護しながら、その発展に努めたレーベルが存在したのですが、今回スタートした『ムジカノッサ・グリプス』(MUSICAÄNOSSA GRYPS)という新たなレーベルと、コンピレイション『Bar Music 2013』はそれらの解釈を柔軟に拡げ、現代におけるアップデイトを目指すものなのです。それは決して、ノスタルジーではありません。つまりは、薄らぎ失われつつある価値観を共有し大切に守りながら、常に新たな航路を模索し、前に進み続けることを意味します。現在、水面下でいくつかの企画が進行中です。日常のアクセントとなる良質な音楽をよりみなさんにご紹介きるよう頑張りますので、おつき合いいただければ幸いです。」

H「おおお、壮大なコンセプトですね。素敵です。実は僕の妻が中村さんの選曲がすごく好きで、今回のオフィシャルなコンピレイション・アルバムはもちろん、いくつか頂いたプライヴェート用に作られたCD-Rも、自宅の食事のときのBGMとしていつもかかってるんです。では、選曲の方に移っていただけますか? テーマは何なのでしょうか?」

N「『Bar Musicと共にある2010年代の定盤─その中の名曲たち』です。今回のコンピレイションには収録されていない楽曲から選んでみますね。」

H「では、一曲目は何でしょうか?」


1.Rhye / Open(2013年)

N「2012年末に届けられた先行シングル『The Fall』、そしてアルバムの冒頭を飾るこの『Open』。それらのドラマ仕立ての美しいヴィデオクリップとその後のリミックスも含めて、一連のプロジェクトに胸が躍りました。物語、または一夜の始まりに相応しい一曲かと。あと、アルバム未収録となる『The Fall』のアコースティック・ライヴ・ヴァージョンも必聴です。」

H「ヴィデオクリップもすごく良いんですよね。物語の始まりにふさわしい...良いですねえ。次は?」


2.King Creosote & Jon Hopkins - Bats In The Attic (Unravelled)(2011年)

N「コールドプレイのコラボレーターにして、ブライアン・イーノの愛弟子としても知られる天才クリエイター/ピアニストのジョン・ホプキンスと、スコットランド出身のシンガー・ソング・ライターであるキング・クレオゾート。『First Watch』『John Taylor's Month Away』、そして『Bats In The Attic』と連なるA面に、何度針を落としたかわかりません。丁寧に編み込まれたニットのような温かさを感じる、一生大切にしたい最高のコラボ作品です。」

H「なるほど。中村さんの選曲のキーワードの一つに『温かさ』というものがありますよね。次は?」


3. Balmorhea / Masollan(2012年)

N「米国テキサスの6人組が得意としてきたポストクラシカル的な手法に、ロックのダイナミズムも加わった5thアルバム『Stranger』。2枚組全4面の中でも、Bar Musicでは特にこの『Masollan』を含むA面をセレクト。静寂のギター・アルペジオと美しいストリングス・アンサンブルが導く、圧巻の感動絵巻。名曲『San Solomon』を含む『Rivers Arms』もフェイヴァリット。」

H「良いですねえ。こういう混ぜ方というかバランスのとり方が中村さんの腕の見せ所ですよね。さて次は?」


4. Grey Reverend / Everlasting(2013年)

N「シネマティック・オーケストラへの参加を足がかりにしたデビュー作『Off The Days』、さらには記憶に新しいボノボ『The North Borders』への印象的な客演──これらの全ては、あまりに素晴しい本作への布石であったようにさえ思えます。過度な装飾の一切ない極めてシンプルなサウンドは、ホセ・ゴンザレスやエリオット・スミスへの情景をことごとく純化し、希望の光を放つ。強度の高い音楽を誠実に創るというのは、きっとこういうことなのです。」

H「おおお! 『強度の高い音楽を誠実に創るというのは、きっとこういうこと』! すごい名言が飛び出て来ましたねえ。『音楽に対しての誠実さ』というのも中村さんの大切にしているキーワードのように思います。次はどうでしょうか?」


5. José James / Come To My Door(2013年)

N「ホセ・ジェイムズがアルバム『No Beginning No End』のとてもパーソナルな試聴会をBar Musicで開いてくれたのは、2012年2月23日のことでした。一曲再生を終えるごとに満たされる空気。自然に湧き起る拍手と、彼の柔らかな笑顔。この曲を聴く度に、あの時間を憶うことができる幸せ。音楽の神様に感謝です。」

H「試聴会やられたんですよね。良い話ですね。お店やっている人間ならではの幸せな瞬間ですね。次は?」


6. Teebs / Verbena Tea with Rebekah Raff(2011年)

N「画家であり、フライング・ロータスのレーベルBrainfeederのクルーでもあるティーブス。どこかスタルジックな世界観、そして日常に馴染むほどにやわらかな音でありながら、うねりを帯びた先鋭的なビートとエフェクト──『このレコードを聴くために、今週末プレイヤーを買いに行ってきます』──とあるお客さまは、そう言われてBar MusicでLPを喜々として購入されていきました。『EPでもフル・アルバムでもない』という『Collections 01』には、それだけの魅力が詰っています。」

H「そんな良い話があったんですか。お店冥利につきますね。お店って誰かの背中を押す瞬間が良いんですよねえ。次は?」


7. Kuniko Kato / Electric Counterpoint(2011年)

N「パット・メセニーの演奏で知られるスティーヴ・ライヒ代表作の一つ『Electric Counterpoint』を打楽器用に編曲し、自身のマリンバやスティールパン、ヴィヴラフォンの多重録音のみで完璧に奏でる日本人女流パーカッショニストの加藤訓子さん。3つの楽章のトータルは当然原曲と同じく17分に及ぶのですが、このライヴ映像は4分半程度にエデットされています。かのライヒも大絶賛したそうですよ。」

H「へええ。こんな日本人女性がいるんですね。勉強不足で全然知りませんでした。良いですねえ。次はどうでしょうか?」


8. Alexandre Andrés / Ala Pétalo de(2012年)

N「ブラジルやアルゼンチンの作品も普段からよく耳にしているのですが、それらを代表してアレシャンドリ・アンドレスの『Macaxeira Fields』を。 アンドレ・メマーリ、タチアナ・パーハ、アントニオ・ロウレイロ、アカ・セカ・トリオのフアン・キンテーロといったシーンを牽引する若き音楽家達による、現代の"クルビ・ダ・エスキーナ(街角のクラブ)"。ビートルズ『Blackbird』を下敷きにしたアルバム・タイトル曲『Macaxeira Fields』の動画を探したのですが見当たらなかったので、ヴィデオクリップのある『Ala Pétalo de』を。」

H「この周辺、面白いですよね。中村さんの提唱するムジカノッサのコンセプトと重なりますね。次は?」


9. Ballake Sissoko & Vincent Segal / Chamber Music(2010年)

N「西アフリカの伝統楽器であるコラによる独特の旋律と、フランスの天才チェリストによる知性。民族音楽でもなく、クラシックでもない、洗練のインプロヴィゼーションが展開されます。ヴィクトワール・ド・ラ・ミュージック(仏版グラミー)賞を獲得した本『Chamber Music』の続編となる、バラケ・シソコのソロ名義『At Peace』に収録されたルイス・ゴンザーガの名曲『Asa Branca』のカヴァーも、大変に素晴しいです。」

H「うわあ、すごく良いですね。中村さんが選曲するのって独特の張り詰めた空気感というかトーンの低いクールさのような雰囲気がありますね。さて、次が最後の曲ですが。」


10. Francesco Tristano / J.S. Bach : Aria (BWV 988)

N「ルクセンブルクの貴公子、フランチェスコ・トリスターノ。アルバム・タイトルであるオリジナル『Long Walk』をレコードでよくプレイしているので、今回の選曲のアウトロとしてご紹介したかったのですが、残念ながらYouTubeで見つからず......。なので普段聴いているアナログだとそのC面で続く最終曲として一緒に収録されているバッハの『Aria (BWV 988)』を。アウトロのアウトロという感じでしょうか。彼は大の親日家としても知られていて、この録音は京都で行われたそうですよ。」

H「これまた中村さんらしい選曲ですね。ただのBGMにならないというか、耳がはなせない空気の音を選ぶんですよね。素敵です。」


●中村智昭web site→ http://www.musicaanossa.com/

●中村智昭twitter→ https://twitter.com/TomoakiNakamura

●Bar Music web site→ http://barmusic-coffee.blogspot.jp/

MUSICAANOSSA第一弾コンピレーション『Bar Music 2013』

中村さん、今回はお忙しいところどうもありがとうございました。
これを読んでいる方も是非、お店の方に足を運んでみてください。

東京はめっきり寒くなりましたね。みなさん、風邪などひいてないでしょうか?
それではまた来月、こちらのお店でお待ちしております。

bar bossa 林 伸次


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林 伸次
1969年徳島生まれ。
レコファン(中古レコード店)、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)、
フェアグランド(ショット・バー)を経た後、1997年渋谷にBAR BOSSAをオープンする。
2001年ネット上でBOSSA RECRDSをオープン。
著書に『ボサノヴァ(アノニマスタジオ)』。
選曲CD、CDライナー執筆多数。
連載『カフェ&レストラン(旭屋出版)』。

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●東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
●TEL/03-5458-4185
●営業時間/月~土
12:00~15:00 lunch time
18:00~24:00 bar time
●定休日/日、祝
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