Title : 『ふるさと』
Artist : 佐藤洋祐✕ヤン・ラングレン
グレゴリー・ポーターのバンドで日本人がサックスを吹いているのを観た時は驚いた。
佐藤洋祐は東京都出身。いくつかの楽器を経て大学卒業後にアルトサックスに転向し、北海道でプロとして活動をスタートした。2008年には渡米しグレゴリー・ポーターのバンドに参加。数々のジャズフェスティバルに出演し、アルバムでは『Water』(2010)、『Be Good』(2012)、『Liquid Spirit』(2013)、『Take Me to the Alley』(2016)に参加と、まさにデビューからグラミー賞受賞までグレゴリーのキャリアに寄り添ってきた人物だ。現在はバンドを離れ、帰国。千葉県を中心に活動している。
今作はそんな彼がスウェーデンのピアニスト、ヤン・ラングレンとのデュオで録音した作品。「ヤシの実」、「ふるさと」、「ずいずいずっころばし」などの童謡から、多くの歌手にカバーされる財津和夫の名曲「切手のないおくりもの」など、誰もが聴いたことのある楽曲で構成された全9曲。モーダルにアレンジされた「かごめかごめ」、スウィングの「七つの子」などアレンジも豊富だ。
日本の楽曲を題材にしながら、ゲーム的なバップスタイルではなくメロディを重視して独自のラインを紡いでいく様子は、近年のヤン・ラングレンのスウェーデンのトラッドな音楽に着目している姿勢と上手くクロスしているようにも思える。雰囲気としてはノスタルジックでありながら、どんどん新しいハーモニーをつけていくヤン・ラングレンのピアノとそれに反応していく佐藤のサックスが溶け合っていく様には、熱量と美しさの両方を感じずにはいられない。
文:花木洸 HANAKI hikaru
●佐藤洋祐
●Jan Lundgren
音楽ライター柳樂光隆氏による人気のムック『Jazz The New Chapter 』の第4弾が2017年3月8日に発売。今回も花木洸が選盤などを担当しています。
■タイトル:『Jazz The New Chapter 4』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2017年3月8日
■出版社: シンコーミュージック
毎号重版を続ける話題のムック、第4弾が遂に登場!
今や現代の音楽シーンを左右する一大潮流となった"ジャズ"の最突端で今、何が起きているのかを、詳細なテキストと計150枚のディスク評で徹底検証。ジャズを活性化したネオソウルとの蜜月を改めて紐解く一方、ジャズを触媒として生まれた新たな潮流にも目を向け、脈打ち続けるジャズの「今」を深く掘り下げます。
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Reviewer information |
花木 洸 HANAKI hikaru 東京都出身。音楽愛好家。 |