Title : 『PLANKTON』
Artist : 甲田まひる a.k.a. Mappy
数年前、このJJazz.Netで石若駿にインタビューしたときには、まさかこんなに早く彼よりも年下のミュージシャンを紹介することになるなんて思いもしなかった。
甲田まひるは現在17才のピアニスト。Mappyの名でファッショニスタ、インスタグラマーとしても知られている。ファッション方面で注目されることが多いものの、バド・パウエルとセロニアス・モンクを愛し、多くのミュージシャンを輩出してきた高田馬場の「イントロ」でセッションホストをつとめ、新宿ピットインに出演するなど、ある種日本のジャズの王道を歩んでいると言えよう。
メンバーはドラマーに石若駿、ベーシストにKing Gnuでも活躍する新井和輝。アルバムトラックには彼女のオリジナルの他に、「ウン・ポコ・ローコ」、「クレオパトラの夢」、「インディアナ」、「セリア」、「テンパス・フュージット」などバド・パウエルの演奏で知られるナンバーや、「ルビー・マイ・ディア」、「アスク・ミー・ナウ」のセロニアス・モンクのコンポジションが並ぶ。
王道のピアノトリオのプレイが続く中で明らかに異色なのがオリジナルの「マイ・クラッシュ」。アルバムの最後に置かれてはいるものの、音色からプレイまでヒップホップに寄せたこの曲がアルバムの肝のように思えてしかたない。反復するピアノフレーズのしたで暴れるビートと、フェーダーを操作するようにクロスフェードしていく感覚に、石若駿と新井和輝というメンバーにもここで納得がいった。日本のジャズの新譜は片っ端から聴いているけれど、ここまで振り切ったピアノトリオの録音を僕は知らない。
最年少が一番攻めている。この状況に、日本のジャズもまだま面白くなりそうな予感がしている。
文:花木洸 HANAKI hikaru
甲田まひる a.k.a. Mappy 『クレオパトラの夢』
●甲田まひる a.k.a. Mappy
音楽ライター柳樂光隆氏による人気のムック『Jazz The New Chapter 』の第4弾が2017年3月8日に発売。今回も花木洸が選盤などを担当しています。
■タイトル:『Jazz The New Chapter 4』
■監修:柳樂光隆
■発売日:2017年3月8日
■出版社: シンコーミュージック
毎号重版を続ける話題のムック、第4弾が遂に登場!
今や現代の音楽シーンを左右する一大潮流となった"ジャズ"の最突端で今、何が起きているのかを、詳細なテキストと計150枚のディスク評で徹底検証。ジャズを活性化したネオソウルとの蜜月を改めて紐解く一方、ジャズを触媒として生まれた新たな潮流にも目を向け、脈打ち続けるジャズの「今」を深く掘り下げます。
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Reviewer information |
花木 洸 HANAKI hikaru 東京都出身。音楽愛好家。 |