またまた、同じメンバーの1月のライブをJJazz.Net内の番組「Jazz Today」で約1ヶ月間聴くことができます!この機会をお聴き逃しなく!
「JazzToday - MAO SONÉ Brightness Of The Lives LIVE」
(放送期間2021年4月14日~2021年5月12日(17:00まで))
リンク▶︎ https://www.jjazz.net/programs/jazztoday
今週は1989年録音の、Buster Williamsの『Something More』というアルバムを取り上げていきます。この『Something More』で特に「I Didn't Know What Time It Was」はまさに歴史的な名演であると思います。14分30秒ほどに渡る長めの演奏ですが、メンバーの各々が完璧なソロ、タイム、グルーヴを僕らに聴かせてくれます。その上そのプレイには自由が感じられます。
まずはいつも通りメンバーを見ていきましょう
Buster Williams (b)
Herbie Hancock (p,key)
Wayne Shorter (ts,ss)
Shunzo Ohno (tp)
Al Foster (ds)
このようなカルテットの面々。ただいまからお話しする「I Didn't Know What Time It Was」には トランペッター・大野俊三さんは参加しておらず、Buster Williams (b) Herbie Hancock (p,key) Wayne Shorter (ts,ss) Al Foster (ds)による演奏になっています。
Busterの最高の音色で奏でられるベースのイントロに寄り添うように、Al Fosterが徐々に加わりドラムを演奏します。しばらくするとHerbieのユニークなハーモニーが加わり曲のカラーが見えてきます。少し遠くから聞こえるWayneのソプラノの音がゆっくりと力強くなり「I Didn't Know What Time It Was」のメロディーが聴こえてきます。Vampで使われていたベースラインはメロディーの後ろで徐々に変化し、聴く人の興味を引きつけます。
この楽曲のメロディーはAABAフォームと言って、最初のメロディー(A)が二回、その後に続く違うメロディー(B、またはブリッジといわれる部分)が一回だけ演奏され、その後Aに戻るというジャズを代表する曲の形式です。「A列車で行こう」や「Nearness Of You」などの多くのスタンダード曲がAABAフォームで書かれています。
01. Air Dancing
弓のベースの音からシンセの音、ミュート・トランペットとソプラノサックスが心地よくブレンドして導入されます。90年代に近づくにつれ、シンセサイザーが自然にアコースティック楽器にブレンドする音源が多くなりますね。Busterのソロはオーバーダブ(重ね録音)なのか、2人のBusterが心地よく絡まり合う感じに仕上がっています。このHerbieのソロの上でもAl Fosterのランダムなスネアの動きを多く聴くことができます。
02. Christina
Busterのオリジナル曲で最も有名で美しい曲の一つです。メロディーの時のWayneの音色とHerbieのハーモニーが本当に美しいので聴いてみてください。
04. Something More
タイトルソングで落ち着いた雰囲気のワルツ。これもやはりWayneのサウンドに圧倒されるトラック。Wayneは本当に音域が上から下まで幅広く、しかも最高の音色で演奏するので、全ての音に意味があるように聴こえてきます。4:17からのエンディングでのAl Fosterのシンバルの使い方、びっくりします!
06. Sophisticated Lady
Herbieの美しいイントロに続き、Busterがメロディーを弾きます。一曲目のソロの時のように、一人のBusterは伴奏に徹し、もう一人がメロディーを弾くように重ね録音されています。Busterのように音程の良いベーシストでなければ困難な技でしょう。Herbieのシンセの音色のチョイスも挑戦的で興味深いです。