vol.65 - お客様:林伸次さん(bar bossa)
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
あけましておめでとうございます。
今回は、2017年第一回目ということで、渋谷 bar bossaの林伸次さんをお迎えいたしました。
林A;こんばんは。早速ですが、お飲み物はどうしましょうか?
林B;では、シャンパーニュをグラスでお願いします。
林A;2016年を振り返りたいのですが、印象に残ったアルバムはありましたか?
林B;山本のりこさんの『Trem das Cores』ですね。ボサノヴァってまだまだ豊かな表現が出来るんだなあって思いました。
山本のりこ - Trem das Cores - Noriko Yamamoto
■タイトル:『Trem das Cores - 色彩の列車』
■アーティスト:山本のりこ
■発売日:2016年2月1日
■レーベル: office calor
林A;良いアルバムですよね。ブラジルで何か良いアルバムはありましたか?
林B;アンドレ・メマーリとアントニオ・ロウレイロの『メマーリロウレイロ・デュオ』です。
林A;林さん、その二人、聞くんですね。
林B;いやあ、このアルバムはすごいですね。こちらで聞けるのでちょっと聞いてみてください。
http://www.nrt.jp/andre_mehmari_antonio_loureiro/release_information_54.html
林A;ブラジルで他には何かありましたか?
林B;ジョアン・ドナートの新譜がすごいですね。
João Donato - Donato Elétrico [2016]
林A;ファンク・マスターすごいですね。これはビシーガ70というサンパウロのアフロビート・トロピカル・バンドが全面参加ということですね。
林B;はい。でも、やっぱりこれはドナートが大爆発していますね。
林A;2016年は他にはどういうのを聴いてましたか?
林B;ブロッサム・ディアリー!
林A;なぜ、今頃になって急にブロッサム・ディアリーなんでしょうか。
林B;なんとなく、中古レコード屋さんでアルバムを買って、突然わかったと言いますか、「ああ、ブロッサムって年齢を重ねてからじゃなきゃわからないんだな」って気づいたんです。
林A;年をとるとわかる音楽ってありますよね。
林B;はい。もうブロッサム・ディアリーばかり買ってました。
林A;おすすめのアルバムはありますか?
林B;うーん、どれもが好きなのですが... ブロッサムって1966年にロンドンに行って、当時のロンドンの空気にふれて「あ、こういうジャズもありなんだ」っていうターニングポイントのようなものがあったと思うんですね。で、1970年に『That's Just the Way I Want to Be』というズバリなタイトルのアルバムを録音しているんです。これ、ブロッサム、46歳なんです。僕が今、47歳なんで、ブロッサム、すごいなあ、自由だなあってすごく思ってて。こういう音楽なんです。聞いてみてください。
Blossom Dearie - Yesterday When I Was Young
林A;なるほど。林さんの熱い想いはわかりました。ブロッサムの本を書きたいという噂を聞きましたが。
林B;はい。色々と取材をして、ブロッサムの本を書いてみたいなって思ってます。
林A;林さんは韓国のインディーズ音楽も好きですが、何かありましたか?
林B;K-POPでも良いですか?
林A;インディーズじゃないんですね。良いですよ。
林B;TWICEという女性アイドルグループなんですけど、日本人が3人、台湾人が1人、加入しているんです。
林A;もちろん韓国語で歌ってるんですよね。
林B;はい。これが個人的にすごくはまりまして。こういう曲なんですけど。
TWICE(트와이스) "TT" M/V
林A;8千万回も再生されてるんですね。でもこういうの林さん、好きですよね。さて、林さんは2016年にコンピCDを出しましたが。
林B;あ、やっとその話ですね。そうなんです。『バーのマスターは「おかわり」をすすめない』という本を出しまして、その本のサントラというスタイルのCDを出しました。
林A;このCD、何かコンセプトのようなものはあったのでしょうか?
林B;はい。これ、ユニバーサル・ミュージックからなんですね。ユニバーサルって何でもあるんです。もうどんな選曲でも出来るんです。だから、ただただひたすら自分が好きな音楽、バーでこんな音楽がかかってたらすごくそのバーに通いたいなって感じの選曲にしました。
林A;なるほど。吉祥寺のカフェ・モイの岩間さんがこちらのブログ(http://moicafe.hatenablog.com/entry/2016/11/20/002445)でも書いてましたが、シンガーズ・アンリミテッドが収録されていませんね。
林B;そうなんです。今回のCDで一番残念だったのはシンガーズ・アンリミテッドが入れられなかったことなんです。MPSというレーベルがユニバーサルからビクターに移っちゃって。一曲目はこれって決めていたのですが...
Robert Farnon & The Singers Unlimited - I Loved You (Claus Ogerman / text: Alexander Pushkin)
林A;シンガーズ・アンリミテッドがクラウス・オガーマンの曲を歌ってるんですね。
林B;はい。2016年はクラウス・オガーマンが亡くなったので、その意味もこめて。
林A;クラウス・オガーマンが亡くなりましたよね。
林B;はい。アル・シュミットがFBで書いてましたね。クラウス・オガーマンの研究本や特集なんかが日本でも出たらいいなと思っているのですが。
林A;このCD、他にはどういう意図がありましたか?
林B;今回はディレクターの方から「ボサノヴァはなしで」という言葉がありまして、じゃあ自分が10代の頃からずっと好きだった、バカラックとかマンシーニとかオガーマンの曲で埋め尽くそうかなと思いました。
林A;ニック・デカロとかビーチボーイズも収録されていますが。
林B;はい。ジャズだけにはしたくなくて、実はこの曲を収録しようと思ってたんです。で、他にもミニー・リパートンとかスティービー・ワンダーとかも入れようかなと思ってたのですが、この曲も許可がおりなくて。
If I Ever Lose This Heaven - Quincy Jones ft. Minnie Riperton, Leon Ware, & Al Jerrau
林A;なるほど。これが収録されてたらずいぶんCDのイメージが変わってましたね。
林B;はい。でも、今となっては今出てるCDですごく「自分らしくて良かったかな」って思っています。
林A;CDは売れてるんですか?
林B;一応、アマゾンのジャズ・チャートで13位までいったことがありました。
林A;おお、すごいですね。
林B;でも、みなさん買ってください。
林A;こういう林さんが選曲したCDが売れると、林さんのところに印税みたいなのは入ってくるんですか?
林B;それ、みんなに聞かれるのですが、こういう選曲CDはとっぱらいです。僕に追加のお金は入ってきません。でも、CDが売れないと言われている今、もっと売れたらいいなって思ってまして。
林A;なるほど。そういうわけですか。みなさん、是非、買ってくださいね。
林B;あ、プレゼントとかにも良いかもです(笑)。
今回は林さん、お忙しいところどうもありがとうございました。
2017年も素敵な音楽に出会えると良いですね。
それではまた来月もこちらのお店でお待ちしております。
bar bossa 林伸次
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■Bar bossa林さんが選曲したコンピレーションアルバムが11/16リリース!
■タイトル:『Happiness Played In The Bar -バーで聴く幸せ- compiled by bar bossa』
■アーティスト:V.A
■発売日:2016年11月16日
■レーベル: ユニバーサル ミュージック
■品番:UICZ-1646
【収録曲】
1.Blossom Dearie / It Might As Well Be Spring
2.Bill Evans / Soiree
3.Paul Desmond / Emily
4.Bill Evans Trio / Elegia
5.Quincy Jones and His Orchestra / Dreamsville
6.Gerry Mulligan / Night Lights
7.Vince Guaraldi Trio / Great Pumpkin Waltz
8.Cal Tjader / Just Friends
9.Shirley Scott/Can't Get Over The Bossa Nova
10.Blossom Dearie / Give Him The Ooh-La-La
11.Burt Bacharach / I'll Never Fall In Love Again
12.NICK De CARO and orchestra / I'M GONNA MAKE YOU LOVE ME
13.Blossom Dearie / Sweet Surprise
14.Beach Boys / Caroline No
15.Burt Bacharach / Alfie
16.Milton Nascimento / Catavento
17.Earl Klugh / The April Fools
18.Danilo Perez/Another Autumn
【林 伸次 近著】
■タイトル:『バーのマスターは「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由』
■著者:林 伸次
■発売日:2016年9月9日
■出版社: DU BOOKS
■金額:¥1,728 単行本
「このビール、ぬるいんだけど」とお客さまに言われたら、あなたならどう対応しますか?
その都度悩んで、自ら回答を見つけてきた渋谷のバーのマスターの約20年。
楽しく経営を続けられたのには理由がある!
「バーの重たい扉の向こうには、お客さま、店主、お酒......その他たくさんの物語が詰まっています。ぜひ、あなたもその物語に参加してみてください。」
――本文より
・vol.1 「モニカ・サウマーゾ」 ・vol.2 高木洋介 ・vol.3 「クリスマス・ソングのボサノヴァ」 ・vol.4 柳樂光隆 ・vol.5 「1960年代当時のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.6 松原繁久 ・vol.7 「1970年代から1980年代までのブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.8 中村ムネユキ ・vol.9 「現代のブラジルのボサノヴァ女性シンガー特集」 ・vol.10 江利川侑介 ・vol.11 「エレンコ・レーベル」 ・vol.12 田仲昌之 ・vol.13 「ルミアール・ヂスコス」 ・vol.14 定成寛 ・vol.15 寺田俊彦 ・vol.16 白尾嘉規 ・vol.17 「畠山美由紀『rain falls』 プロデューサー中島ノブユキ インタビュー」 ・vol.18 山本勇樹 ・vol.19 「ジノンさん ルシッド・フォールについて」 ・vol.20 大場俊輔 ・vol.21 「ブラジル人と演奏しているアメリカのジャズ・ミュージシャン特集」 ・vol.22 武藤サツキ ・vol.23 「Lucid Fall (The Best of)」 ・vol.24 筒井奈々 ・vol.25 「THE PIANO ERA2013」 ・vol.26 山上周平 ・vol.27 ジノン ・vol.28 東野龍一郎 ・vol.29 林伸次 ・vol.30 中村智昭 ・vol.31 齊藤外志雄 ・vol.32 染谷大陽 ・vol.33 稲葉昌太 ・vol.34 小嶋佐和子 ・vol.35 石郷岡学 ・vol.36 原田雅之 ・vol.37 松本研二 ・vol.38 塚田耕司 ・vol.39 岩間洋介 ・vol.40 中村信彦&真理子 ・vol.41 白尾嘉規 ・vol.42 田仲昌之 ・vol.43 山本勇樹 ・vol.44 新川忠 ・vol.45 川嶋繁良 ・vol.46 田村示音 ・vol.47 山崎雄康 ・vol.48 上川大助 ・vol.49 町田和宏 ・vol.50 林下英治 ・vol.51 シュート・アロー ・vol.52 高橋悠 ・vol.53 沼田学 ・vol.54 庄野雄治 ・vol.55 山本のりこ ・vol.56 渡部徹 ・vol.57 小栗誠史 ・vol.58 相澤歩 ・vol.59 土田義周 ・vol.60 榎本善一郎 ・vol.61 町田洋子 ・vol.62 影山敏彦 ・vol.63 花田勝暁 ・vol.64 宮川泰幸
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林 伸次 1969年徳島生まれ。 レコファン(中古レコード店)、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)、 フェアグランド(ショット・バー)を経た後、1997年渋谷にBAR BOSSAをオープンする。 2001年ネット上でBOSSA RECRDSをオープン。 著書に『ボサノヴァ(アノニマスタジオ)』。 選曲CD、CDライナー執筆多数。 連載『カフェ&レストラン(旭屋出版)』。 bar bossa ●東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F ●TEL/03-5458-4185 ●営業時間/月~土 18:00~24:00 bar time ●定休日/日、祝 ●お店の情報はこちら |