feed markRSS
JJazz.Net Blog Title

2021年12月アーカイブ

My First Jazz Vol.45-市野元彦:My First Jazz

Title : 『Eden』
Artist : Everything But The Girl

eden_EBTG500.jpg


「ジャズのアルバムではないのですが、初めて"ジャズ"テイストの音楽に触れた一枚です。Everything But The Girlのファーストアルバム。

姉がレンタル屋だか友達だかにLPを借りて来てカセットテープにダビングしたものを聴かせてくれて、ジャジーなインスト曲でアルバムが始まるのが洒落ているなーと繰り返し聴いていました。マイナーセブンス・フラットファイブ(というコード)を初めて耳にしたアルバムかも知れない。その後ジャズに興味を持って色々と聴き始めたのでした。

ちなみにその10年後ぐらいにCD盤を入手して初めて分かったのですが、実はジャジーなインスト曲で始まるのはLPのB面で、私が聴いていたテープには何故だかA面B面が逆にダビングしてあったのでした。つまりインストはアルバムの中盤だった、ということでイメージがガラッと変わってしまいました。昭和エピソード、、、。」

市野元彦


市野元彦 Official



My First Jazz

eden_EBTG200.jpg

Title : 『Eden』
Artist : Everything But The Girl
LABEL : Blanco Y Negro
発売年 : 1984年



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】
01.Each And Every One
02.Bittersweet
03.Tender Blue
04.Another Bridge
05.The Spice Of Life
06.The Dustbowl
07.Crabwalk
08.Even So
09.Frost And Fire
10.Fascination
11.I Must Confess
12.Soft Touch



夜ジャズミーティング2021:スタッフの声 / FROM STAFF

その年を振り返りつつベストディスクを発表するという年末恒例企画「夜ジャズミーティング」。
今年も恒例のお二人。ジャズDJの松浦俊夫さん、沖野修也さんと一緒にZOOMで収録しました。

2021年も良作多し。BADBADNOTGOODやSTR4TA、Floating Points & Pharoah Sandersのようなマストアイテムも!

詳しくは番組でお楽しみ頂くとしまして、ここでは恒例、皆さんの年間ベスト3作品をご紹介。


■夜ジャズ.Net#159 - 夜ジャズミーティング2021
https://www.jjazz.net/programs/yorujazz/
配信期間:2021年12月15日(17:00)~2022年1月19日(17:00)


3shot_600.jpg

是非購入のご参考にして頂ければと思います。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


【2021 年間BEST3アルバム】


selected by 沖野修也

2021年も2020年に引き続き、アルバム単位で音楽を楽しむ事の多い1年でした。
DJもやる作曲家を公言しているので、常に大量の曲はチェックしてますが、去年の音楽体験からアルバムを通して聴ける作品のハードルが更に上がっているので、満足出来る作品に遭う確率が減ったような(苦笑)。それでも!素晴らしい作品は少なくなく、制作意欲が刺激されましたね。中でも、よく聴いた3枚をご紹介したいと思います。
 
まずは、Pharoah Sanders & Floating Points。若き才人と生けるレジェンドの邂逅。僕もPharoah SandersとSleep Walkerのコラボのプロデュースをした事がありますが、全く違うアプローチに驚かされました。下の世代のダンス・ミュージック・クリエーターの最新モードと上の世代のアンビエント感覚が見事にブレンドされ、自分が何をやるべきなのかを改めて考えさせられました。

Gilles PetersonとBlueyのSTR4TAにも驚かされましたね。重鎮の共作がこんなに若々しいサウンドになるとは!GillesのセンスとBlueyの作曲能力が合体すれば悪い訳がない!!でも、僕の想像を遥かに超えて来ましたよ。ちなみに、Blueyに憧れていた少年が大人になって共演を果たし、完成に至るプロセスで息子さんに何度も感想を求めたそうです。素晴らしいストーリー・ライン。だから懐古的でないのかもってのもありますね。息子のLuke君はDeep Houseを回すDJですからね。

最後は、新人の初アルバム!ビート系と認識していたEmma-Jean Thackray。アルバムは生音で、中々アップ・リフティングな内容に。ゴスペルやスピリチュアル・ジャズとの相性も良く。一体彼女に何があったのか・・・と興味も掻き立てられました。Sun Ra〜Alice Coltrane〜 Helmet Pascolなんかのぶっ飛び感を漂わせつつ、ポップに仕上げるセンス。この先恐ろしい成長を遂げるんじゃないかと超期待しています。






Years Best-沖野修也-

floating_pharoah300.jpg

Title : 『Promises』
Artist : Floating Points & Pharoah Sanders Feat. London Symphony Orchestra
LABEL : P-VINE
NO : PCD94026
RELEASE : 2021.3.26

アマゾン詳細ページへ




Str4ta300.jpg

Title : 『Aspects』
Artist : STR4TA
LABEL : Brownswood
NO : BRC663
RELEASE : 2021.3.26

アマゾン詳細ページへ




emma300.jpg

Title : 『Yellow』
Artist : Emma-Jean Thackray
LABEL : Movementt
NO : BRC676
RELEASE : 2021.7.2

アマゾン詳細ページへ





okino2021.jpg


【沖野修也 プロフィール】

選曲家/作曲家/作詞家/執筆家/ラジオDJ。

KYOTO JAZZ MASSIVE名義でリリースした「ECLIPSE」は、英国国営放送BBCラジオZUBBチャートで3週連続No.1の座を日本人として初めて射止めた。これまでDJ/アーティストとして世界40ヶ国140都市に招聘されただけでなく、CNNやBILLBOARD等でも取り上げられた本当の意味で世界標準をクリアできる数少ない日本人音楽家の一人。音楽で空間の価値を変える"サウンド・ブランディング"の第一人者として、映画館、ホテル、銀行、空港、レストラン、インテリア・ショップ等の音楽プロデュースも手掛けている。

2009年にはインテンショナリーズが設計したユナイテッド・シネマ豊洲の音楽監修でGOOD DESIGN賞を受賞。2015年、ジャズ・プロジェクトKYOTO JAZZ SEXTETを始動。ファースト・アルバムをブルー・ノートよりリリース。2016年1月にPop Up専門の書店、Jazzy Booksを設立。2017年6月、KYOTO JAZZ SEXETのセカンド・アルバム『UNITY』を発表。同年フジ・ロック・フェスティバル~Field Of Hevenステージにも出演。2018年7月にはDJとして名門モントルー・ジャズ・フェスティバルにも出演を果たした。2019年には店内音楽の選曲を担当した代々木上原のレストランSioが、ミシュランの一つ星を獲得している。著書に『DJ 選曲術』や『クラブ・ジャズ入門』、自伝『職業、DJ、25年』等がある。

現在、有線放送内I-12チャンネルにて"沖野修也 presents Music in The Room"を監修中。World Wide FM~WWKyoto(毎月第二月曜放送)レギュラー。GQ Japanオフィシャル・ブロガー。
2020年12月23日に渋谷ストリーム1FにオープンしたThe Room COFFEE & BARのクリエイティヴ・ディレクターでもある。

http://www.kyotojazzmassive.com
https://ameblo.jp/shuya-okino


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


selected by 松浦俊夫

ステイホームで1日中、365日音楽を聴き続け「次」がなんとなく見えてきた2021年。
他にもSecret Night Gang、Cande y Paulo、Kurt Elling、Emma-Jean Thackray、Mndsgn、Nala Sinephro、佐瀬悠輔などベテランから新鋭までたくさんの音楽家が素晴らしい音を奏でてくれました。その中でも特に印象に残った3作品を紹介します。


Pino Palladino And Blake Mills
Notes With Attachments
ジェフ・ベック、エリック・クラプトンといった大ベテランからディアンジェロ、エリカ・バドゥ、RHファクターらの90年代ネオソウル・アーティスト、そしてジャズ・ヴォーカリスト、ホセ・ジェイムズまで幅広いフィールドでその才能を発揮してきたイギリス・カーディフ出身のベーシスト、ソングライター、プロデューサーピノ・パラーディーノ、キャリア初のアルバム。敏腕プロデューサー、ギタリストのブレイク・ミルズとの共同プロデュースでクリス・デイブ、ラリー・ゴールディングス、サム・ゲンデルらを迎えて作り上げたセッション・アルバム。"いぶし銀"とはこの作品のためにあるような言葉だと思う。

Floating Points & Pharoah Sanders Feat. London Symphony Orchestra
Promises
スピリチュアル・ジャズ・マスター、ファラオ・サンダース尊師と博士号を持つイギリスのエレクトロニック・ミュージックの腕利き、フローティング・ポインツことサミュエル・シェパードによる奇跡的なコラボレイション。ワールド・ミュージック、ジャズ、ロック、ソウルなどユニークかつクリエイティビティ溢れる作品を30年以上に渡りリリースし続けるデヴィッド・バーンが設立したレーベル、Luaka Bopが米英そして新旧の才能を結び付けた架け橋となって始動したプロジェクトはジャズ、アンビエント、クラシックの要素が混じり合い2021年を代表するアルバムとして結実した。ちなみに同レーベルは90年代に私が所属していたU.F.O.に誰よりも早くレコード・ディールを持ちかけてくれた。


BADBADNOTGOOD
Talk Memory
カナダ・トロントの同じ大学に通う仲間だった3人によって結成されたBadBadNotGoodの5作目のオリジナル・アルバム。当初、ジャズの音楽性とヒップホップのプロダクションの視点を兼ね備えたどことなくインディーロック・バンド風な荒削りな印象が強かったが、前作『IV』で大学のブラジルやサイケデリックミュージックの影響が強く感じられるシネマティックなサウンドに舵を切り、本作でストリングスのアレンジメントにブラジルの至宝、アルトゥール・ヴェロカイを迎え、作品の五分でフィーチャーしシネマティック路線を拡大した形となった。メンバー全員が30代に入ったばかりとは思えない奥行きを感じるサウンドにハッとさせられること間違いなし。






Years Best-松浦俊夫-

pina300.jpg

Title : 『Notes With Attachments 』
Artist : Pino Palladino & Blake Mills
LABEL : Caroline International
NO : 3553604
RELEASE : 2021.3.12

アマゾン詳細ページへ




floating_pharoah300.jpg

Title : 『Promises』
Artist : Floating Points & Pharoah Sanders Feat. London Symphony Orchestra
LABEL : P-VINE
NO : PCD94026
RELEASE : 2021.3.26

アマゾン詳細ページへ




BBNG300.jpg

Title : 『Talk Memory』
Artist : BADBADNOTGOOD
LABEL : BEAT RECORDS / XL Recordings
NO : XL1176CDJP
RELEASE : 2021.10.8

アマゾン詳細ページへ





matsuura2021.jpg


【松浦俊夫 プロフィール】

1990年、United Future Organization (U.F.O.)を結成。
5作のフルアルバムを世界32ヶ国で発表し高い評価を得る。
2002年のソロ転向後も国内外のクラブやフェスティバルでDJとして活躍。
またイベントのプロデュースやホテル、インターナショナル・ブランド、
星付き飲食店など、高感度なライフスタイル・スポットの音楽監修を手掛ける。
2013年、現在進行形のジャズを発信するプロジェクトHEXを始動させ、Blue Note
Recordsからアルバム『HEX』をリリース。
2018年、イギリスの若手ミュージシャンらをフィーチャーした新プロジェクト、
TOSHIO MATSUURA GROUPのアルバムをワールドワイド・リリース。
最新作は2021年夏にリリースしたTOSHIO MATSUURA GROUP「Pina」。
InterFM897と Worldwide FMでオンエア中の "TOKYO MOON"は22年に13年目を迎える。

http://www.toshiomatsuura.com  
https://www.mixcloud.com/toshiomatsuura  


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


selected by 須永辰緒

2021年はクラブはおろかバーラウンジでのプレイさえ失われてしまいましたが、夏以降は各方面の尽力により、毎週金曜日には日本で初めて著作権をクリアし全ての権利を守る音楽配信番組「JAPAN DJ Net Online」(とはいえ邦楽原盤しかプレイできませんが配信音楽環境を取り巻くグレイゾーンをクリアできたという意味では快挙だと思っています)に救われました。但し↑上記のような決まり事もあるので買うレコードは和ジャズを中心とした邦楽が多く、しかしまたその反動で輸入盤も片っ端から買ってしまうという結果、トータル過去最大額のレコードを買った年にもなりました。現場主義がそのまま音楽生活にも反映してしまうベスト3枚がこちらになります。

STR4TAはDJには別格の一枚。日本人には今ひとつ馴染みの薄かったブリット・ファンクを洗練されたものとしてリロード。ディスコ・ファンク・ニューウェーブ・ジャズフュージョンをミックスしたそのブリット・ファンクはその当時からUKを中心として沸き起こったムーブメントとして後々の萌芽として大事なのですが、斬新なサウンドとしてあらためてそれを提示してくれた。僕のDJ個人史においてもLEVEL42やLIGHT OF THE WORLD、FREEZらは重要なのですが今ひとつ再評価に上がらず、でもその80'sの決して大きくないシーンを再浮上させ脚光を浴びせてくれたことが痛快でした。

デビュー作から地味に追いかけていたストックホルムの妖精、リサ・エクダールがついにアナログLPをリリース。ついでに旧作もアナログ化されるという盆と正月が一度に来た喜びに沸きました。最新作はカバーアルバムですが、この機会にぜひ日本のリスナーに彼女の存在を知って欲しい。ブロッサム・ディアリーを更に10倍甘くした歌声、北欧ジャズ然としたクールな演奏スタイルにはスウェーディッシュ・ジャズ・シーンの精鋭が集結しているところにも注目。A.1『WISH YOU WERE GAY』は言わずと知れたビリー・アイリッシュのヒット曲。

現代N.Y.のリアルジャズシーンのトップ・ボーカリスト、グレッチェン・パーラトの11年振りの新作もまた素晴らしかった。格となるバンドにはカマシ・ワシントンやミゲル・アトウッド・ファーガソンなどと共演している経験豊富なミュージシャンを配置。そして彼らはブラジル音楽の下地を持っているので、L.A.の最新ジャズ〜ボサノバ(サンバ)という一連の流れが綺麗に調和して完璧に僕好みの音楽となっていた。アニタ・ベイカーの名曲「スイート・ラブ」は5拍子ながら不思議と違和感を感じさせず、これが「風格」なんだなぁと思いました。詩の世界観を完全に自分のものとしている。本来ボーカリストとしてはこうあるべきなんですよね。

番組でも触れましたが2021年はジョニ・ミッチェルの名盤『BLUE』がリリースされてから50年を迎えました。年末にはEP盤で「All I Want」をリリースしましたが、本格的にレコーディングに着手、2022年の冬までには『BLUE』丸ごとカバーしたアルバム『RE:BLUE』をリリースします。ボーカルにはジョニ・ミッチェルを愛してやまないイスラエルのボーカリスト、J-ラモッタすずめをメンバーに加え「STE with J-Lamotta すずめ」これはSunaga t experienceとして7枚目のアルバムとなります。2022年のYear's Bestとして堂々と選出できるように全力を尽くします。









Years Best-須永辰緒-

Str4ta300.jpg

Title : 『Aspects』
Artist : STR4TA
LABEL : Brownswood
NO : BRC663
RELEASE : 2021.3.26

アマゾン詳細ページへ




lisa300.jpg

Title : 『Grand Songs』
Artist : Lisa Ekdahl
LABEL : Masterworks
NO : 19439920662
RELEASE : 2021.10.8

アマゾン詳細ページへ




gretchen300.jpg


Title : 『Flor』
Artist : Gretchen Parlato
LABEL : コアポート
NO : RPOZ-10064
RELEASE : 2021.3.3

アマゾン詳細ページへ


sunaga600.jpg


【須永辰緒 プロフィール】

Sunaga t experience =須永辰緒によるソロ・ユニット含むDJ/プロデューサー。 DJプレイでは国内47都道府県を全て踏破。また北欧=日本の音楽交流に尽力、世界各国での海外公演多数。

MIX CDシリーズ『World Standard』は12作を数え、ライフ・ワークとも言うべきジャズ・コンピレーションアルバム 『須永辰緒の夜ジャズ』は20作以上を継続中。国内や海外レーベルのコンパイルCDも多数制作。国内外の多数のリミックスワークに加え自身のソロ・ユニット"Sunaga t experience"としてアルバムは5作を発表。アナログ啓発活動としてヴァイナルのみのリリース•シングルなども続く。最新作は 『VEE JAYの夜ジャズ』(ビクター)『Sunaga t experience DIGS CHIEKO KINBARA~Jazz Remixies~』(CAPOTE)『BETHLEHEMの夜ジャズ』(ULTRA VIVE)『クレイジーケンバンドのィ夜ジャズ』(UNIVERSAL SIGMA)『Sunaga t experiencec/STE』(BLUE NOTE)等。多種コンピレーションの 監修やプロデュース・ワークス、海外リミックス作品含め関連する作品は延べ200作を超えた。加えて企業ブランディングや商品開発、音楽や料理などの著作も多数手がける。

http://sunaga-t.com  


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

曽根麻央 Monthly Disc Review2021.12_ 日野皓正_D・N・A Live In Tokyo:Monthly Disc Review

mdr1.jpg


DNA LIVE IN TOKYO500.jpg


Title : 『D・N・A Live In Tokyo』
Artist : 日野皓正



【トランペットとの一体感あるグルーヴィーなリズムセクション】


皆さんこんにちは。トランペッター&ピアニストの曽根麻央です。今日は日本を代表するミュージシャン、日野皓正さんのライブ音源『D・N・A Live In Tokyo』をご紹介します。本当に素晴らしいトランペットの演奏と、一体感あるグルーヴィーなリズムセクションがマッチして素晴らしいアルバムになっています。 


その前に一つ宣伝です。本日情報公開されました!
私、曽根麻央のセカンド・アルバム『Brightness of the Lives』が来年2月9日に発売決定いたしました!





アルバム・タイトルでもる『Brightness of the Lives』とは、僕のバンド名でもあります。参加しているアーティスト、井上銘(ギター)、山本連(ベース)、木村紘(ドラムス)と共に育てて来たバンドサウンドが見事に凝縮された作品と なっています。

ゲストには世界的に活躍するパーカッショニスト二階堂貴文を迎えてワールドミュージック的な幅の広い音楽性になっております。また、トランペットの音色に合う様に選曲や曲作りにこだわりました。カヴァー・ソングにはマイケル・ジャクソンの「You Are Not Alone」や、パッと・メセニーの「Always And Forever」といった美しい曲をピックアップして、トランペットやフリューゲルホルンを駆使して収録しています。是非聴いていただきたい一枚です。宜しくお願いいたします。




brightnessofthelives.jpg


1. Prelude / 2. Luminous / 3. Drum Hero / 4. Home / 5. Quiet Cinema / 6. Air / 7. Lives / 8. You Are Not Alone (R. Kelly) / 9. Gathering At Park Drive / 10. Always And Forever (Pat Metheny)
All songs written by MAO SONÉ except where indicated


【リリース・スケジュール】
1/2 6 /2022 アルバム先行配信 「Luminous」 配信
2/9/ 2022 『Brightness of the Lives』発売 サブスク 配信 /CD 流通 開始

さて本日ご紹介する日野皓正さんのアルバム『D・N・A Live In Tokyo』は2001年10月9日にBunkamura オーチャードホールでライブ録音されたものです。
さてメンバーを見ましょう



日野皓正 - trumpet
Sir ローランド・ハナ - piano
ロン・カーター -bass
ジャック・ディジョネット - drums




最高に豪華な組み合わせです。
実際にリズムセクションはグルーヴのキープ力と、音楽的爆発力を併せ持っていて、聴いていてあまりのスリルに自然と耳が奪われて体が揺れていきます。ローランド・ハナのベースラインの音域まで侵入してまで低音を使う独特なヴォイシングの隙間を華麗に縫いつつ音楽を前進させるロン・カーター。ジャック・ディジョネットの持つ破壊力をピアノのはじからはじまで使ってより大きな世界観へと聴き手を誘うローランド・ハナ。ロン・カーターのベースと最高のコンビネーションを発揮するジャック・ディジョネットのグルーヴ感。

3人がお互いに支えあうことにより、他に類を見ないリズムセクションとなっています。またその上に乗っかる日野皓正さんのトランペットも明るくて迫力のある音色と高度なテクニック、そして歌心で圧倒してきます。日野さんの音色は全体を通して、全てを貫く光線の様に、他の楽器の音の壁を貫いてこちらの耳に届きます。まるでマイルスのミュートプレイの様な鋭さが、トランペットそのままの状態でもある感じとでも言えます。


01. It's There
日野皓正さんの弟、日野元彦さんの楽曲。原曲はファンキーな曲ですがここではスウィング・ヴァージョンでの演奏です。
イントロから出現するロン・カーターのベースラインとそれに呼応するローランド・ハナのフレーズが曲全体を支配しています。ロンのベースラインは毎回ちょっとずつ変化があり、半音と半音の間の音などもあり実際になんの音を弾いているのかわからない箇所が結構あるのですが、それがまた音楽全体で聴くと緊張感だったり無重力感だったりと言ったものを感じさせてくれます。まさにマエストロのなせる技でしょう。

日野さんの特徴のあるエネルギッシュな音色がメロディーと共に出現します。ソロセクションはBb7とDb7を交互に演奏するスタイルで、この繰り返しの中を日野さんはトランペットの上から下までの音域を自由自在に行き来してソロを撮ります。これはトランペッターから見て凄まじいテクニッックで、しかも通常こんなにこのエネルギー感を持続させて吹き続けることは困難ですがそれを楽々とやってのけてしまいます。続くローランド・ハナのソロもダイナミックなソロになっていてジャック・ディジョネットとの駆け引きが素晴らしいです。まるでピアノ・コンチェルトを聴いているかの様な迫力のある箇所も沢山ありピアノファンの必聴ソロです。


02. Lori
ゆったりしたスウィングの日野さんオリジナル曲。ロン・カーターのベースラインが全体を通してクリエイティブで素晴らしいものになっています。まるでブギウギピアノの左手の様なベースラインが奥出現します。ハーモニックス(元の倍音列を使用した奏法)で通常のベースの音域にはない高音もベースラインの一部として使用していてベースの特殊奏法の可能性を聴く事ができます。ベースソロも圧巻です。とてもインタラクティブなロンのベースラインとも相性が抜群なジャックのドラムがグルーヴをゆったりと支えます。


03. For Toddlers Only
ロン・カーターの軽快なスウィングのポスト・ビバップのスタイルの曲。日野さんの音を張った時のテンションと、それがリリースされた時の柔らかな音色の対比を聴くのが非常に楽しい曲です。


04. Black Jack
日野さんのオリジナル曲。3拍子の曲で、とても特徴的なトランペットのメロディー・ラインで始まります。私の小学生の頃は日野さんの演奏を聴きに行くと必ずこの曲を演奏していたのを覚えています。一度聴いたら忘れないインパクトがある曲だなと思います。この曲のソロでも日野さんの圧倒的な馬力とテクニックを聴く事ができ必聴テイクになっています。


05. Up Jumped Spring
トランペットとドラムだけの曲。日野さんとジャック・ディジョネットのフリー・インプロヴィゼーションから始まります。ジャックはアフリカのトーキング・ドラムの様なフレーズから始まり、日野さんもまるで民族楽器の様な音を出しています。二人ともダイナミックスのレンジが広いので聴いていてびっくりさせられると思います。その後フレディー・ハバードの「Up Jumped Spring」のメロディーが聴こえて来ますがここでは激しい高速スウィングのバージョン。フレディーのオリジナルは3拍子の少し可愛らしいスウィングの曲です。この演奏は9分を超えていますが日野さんは本当にずっと吹き続けて音楽をリードしていきます。ジャックも美しいドラムの音色と、独特なプレイで音楽に変化をつけさせデュオなのに人々を飽きさせません。


06. Candy
リー・モーガンの演奏でも有名なスタンダード曲。ここではゆったりとしたブルースっぽいフィーリングで演奏されています。


07. Autumn Leaves
言わずと知れたシャンソンの名曲「枯葉」。ある意味各演奏者の個性を一番出しているトラックかもしれません。日野さんの全てを貫く様な音色はもちろん、ローランド・ハナの独特なパーカッシブなピアノ・プレイ、その合間を縫う様に存在感を出すロン・カーター、そして全体を大きなビートで包みゆったり感を与えつつ「ここぞ」というタイミングで起爆剤に着火してゆくジャック・ディジョネット。この4人のライブにふさわしいエンディングですね。


さて2021年のDISC REVIEWもお楽しみいただけましたか?おかげさまでDISC REVIEのコーナーも21回目をこうして迎える事ができました。今後ともみなさんと共に音楽を楽しみ成長して参りますので、応援のほどよろしくお願いいたします。
それではまた次回。


文:曽根麻央 Mao Soné



【曽根麻央LIVE INFO】

12/22 (Wed)
Open 18:30 | Start 19:00
MAO SONÉ Trio @ Velera 赤坂
<出演>
​曽根麻央 - trumpet & piano
伊藤勇司 - bass
木村紘 - drums
<ご予約・お問い合わせ>
TEL: 03-6277-8772


12/29 (Wed)
Open 19:30 | Start 20:30
MAO SONÉ Trio @ Nardis 柏
<出演>
​曽根麻央 - trumpet & piano
伊藤勇司 - bass
木村紘 - drums
<ご予約・お問い合わせ>
TEL: 04-7164-9469


12/31 (Fri)
Open 14:00 | Start 15:00
MAO SONÉ Solo @ Cabin 本厚木
<出演>
​曽根麻央 - trumpet & piano
<ご予約・お問い合わせ>
TEL: 046-221-0785


1/10 (Mon)
Open 19:30 | Start 20:30
MAO SONÉ Trio @ Nardis 柏
<出演>
​曽根麻央 - trumpet & piano
伊藤勇司 - bass
木村紘 - drums
<ご予約・お問い合わせ>
TEL: 04-7164-9469


1/11 (Tue)
Open 18:30 | Start 19:30
MAO SONÉ TRIO @ Body & Soul 渋谷
<出演>
​曽根麻央 - trumpet & piano
伊藤勇司 - bass
木村紘 - drums
<ご予約・お問い合わせ>
TEL: 03-6455-0088


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ



Recommend Disc

DNA LIVE IN TOKYO200.jpg


Title : 『D・N・A Live In Tokyo』
Artist : 日野皓正
LABEL : ソニー・ミュージックレーベルズ
発売年 : 2002年



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】

01. It's There
02. Lorl
03. For Toddlers Only
04. Black Jack
05. Up Jumped Spring
06. Candy
07. Autumn Leaves




□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央

2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil / タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The Miles Davis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』




Reviewer information

maosona_A.png

曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

アーカイブ