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2015年1月アーカイブ

守屋純子オーケストラ2015年定期公演:ライブ情報 / LIVE INFO

ジャズの分野で最も権威のあるセロニアス・モンク・コンペティション作曲部門で優勝するなど、
輝かしい実績を持つピアニスト/作・編曲家の守屋純子。

毎年恒例となっている「守屋純子オーケストラ」の定期公演が今年も渋谷さくらホールにて行われます。

今回のテーマは「Big Band Plays Hard Bop!」。
昨年亡くなった偉大なピアニスト、ホレス・シルバーは、
ファンキーなハードバップナンバーを数多く生み出していたということもあり、
今回はハードバップの名曲をビッグバンドにアレンジしたナンバーを中心にお送りします。

日本を代表する素晴らしいミュージシャンが揃うこのオーケストラの演奏を、
音響効果の素晴らしい会場で是非堪能して下さい。


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【守屋純子オーケストラ2015年定期公演】
-Big Band Plays Hard Bop!-

<コンサートに向けてのメッセージ>
「2014年、偉大なピアニスト、ホレス・シルバーが亡くなりました。彼は演奏家としてのみならず、ハードバップ初期の代表的作曲家として、素晴らしい作品をたくさん残しています。ジャズが難解な方向に行きがちな今こそ、メロディーの美しさ・スイングの楽しさを存分に味わえるハードバップの曲を、改めてビッグバンドにアレンジしてみたいと思っています。また、2015年は徳川家康公顕彰400年の節目の年にあたり、岡崎市等からそれにちなんだ組曲制作の委嘱を受けております。<平和な国、日本>を誰よりも希求していた家康公を偲んで、この組曲の中からも新作を発表します。さくらホールは、音響効果の素晴らしい新しいホールです。ここにしかない音との出会い、どうかご期待ください。」 
守屋純子


<日時>
2014年2月20日(金曜日)18:00開場、19:00開演

<出演>
リズム:守屋純子(P, Arr)、納浩一(B)、広瀬潤次(Drs)、岡部洋一(Perc)
サックス:近藤和彦(AS, SS, FL)、緑川英徳(AS)、岡崎正典(TS)、アンディー・ウルフ(TS)、宮本大路 (BS)
トランペット:エリック・ミヤシロ、木幡光邦、奥村晶、岡崎好朗
トロンボーン:片岡雄三、佐藤春樹、東條あづさ、山城純子(B- TB)

<場所>
渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
(東京都渋谷区桜丘町23-21 渋谷駅より徒歩5分)

<料金>
一般:4500円(税込)学生:3000円(税込)
チケットぴあ、ローソンチケット、イープラス、CNプレイガイドなどで発売中。

<問合せ>
サンライズプロモーション東京 0570-00-3337

チケット購入(守屋純子オフィシャルサイト)


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【守屋純子】(ピアニスト/作・編曲家)
5歳からピアノを始め、早稲田大学「ハイソサエティーオーケストラ」でジャズを始める。卒業後渡米して、1993年ニューヨークのマンハッタン音学院の大学院卒業。2005年5月にオーケストラによる 「Points Of Departure」発表。2005年度ミュージック・ペンクラブ大賞(邦人ジャズアルバム部門)に選出される。2005年9月、2005年度セロニアス・モンク・コンペティション作曲部門で、東洋人初、女性としても初の優勝の栄誉に輝く。2006年12月、ルディー・ヴァン・ゲルダーの録音によりCD「Playground」発表。2008年 9月、米「モンタレージャズフェスティバル」に自己のカルテットで出演、その後、サンフランシスコ・ロサンザルスでも公演。11月にはパリを中心としたフランス・ツアーを行う。2009年1月にオーケストラによる「Grooving Forward」発表。2月にジャズに関するエッセイ集「なぜ牛丼屋でジャズがかかっているの?」(かもがわ出版)を発売。2010年1月、ショーン・スミス(B)、ビル・スチュワート(DRS)とのピアノトリオによるCD「Three And Four」、2012年1月にはオーケストラによる最新作"Into The Bright Decade"を発表。現在、都内のジャズクラブ・ジャズフェスティバル・コンサート・FM番組等を中心に活動中。また、尚美学園大学・昭和音楽大学・山野楽器等で後輩の指導にあたる他、「山野ビッグバンドコンテスト」「浅草ジャズコンテスト」等の審査員や、小中高生のためのビッグバンドの指導なども行なっている。また、「Jazz Life」「Jazz Japan」等の専門誌や一般誌において執筆活動もしている。


守屋純子オフィシャル・サイト

大塚広子 《PIECE THE NEXT》 JAPAN GUIDE GREAT RELEASE LIVE:ライブ情報 / LIVE INFO

新世代のジャズを集めたJAPAN GUIDEとして昨年末にリリースされたコンピ
『PIECE THE NEXT』が現在各所で好評を得ている大塚広子。

この『PIECE THE NEXT』に収録された彼女の手掛ける注目のユニット、RM jazz legacyの初ライブが2公演決定。
日本のJazz The New Chapter達による、グルーヴィーでスペシャルなライブを是非お見逃しなく!


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【PIECE THE NEXT MIXED BY HIROKO OTSUKA JAPAN GUIDE GREAT RELEASE LIVE】
今回『PIECE THE NEXT』に収録された RM jazz legacy の新曲「NightFlight」は、D'Angelo「Spanish Joint」のリズム、Donald Fagenの『Nightfly 』のベールを持ち、CDリリース間もなくInterFM "Jamie Cullum's Jazz Riot"(BBC Radio 2)のテーマ曲に抜擢される等、ジャズ/レゲエ/クラブミュージック/R&Bといった各ジャンル最高峰のミュージシャンからなる日本発のグルーヴィー・サウンドとして話題となっている。メンバーは、圧倒的な存在感のフロント類家心平、レゲエや多彩なジャンルからのグルーヴとプロデュース力に長けたベーシスト守家巧、菊地成孔の片腕としても知られ卓越した技量のベテラン・キーボーディスト坪口昌泰、HipHop以降のクラブシーンでのファーストコール・ドラマーmabanua、在米10年以上の経験でゴスペル、R&Bシーンを知るギタリスト田中"TAK"拓也。2月22日のLIVEでは東京ザヴィヌルバッハ、菊地成孔とのプロジェクトなど多くのLIVEに抜擢される若手最注目ギタリスト宮嶋洋輔が登場。最新の新曲を披露する。


【第一夜】

<日時>
2015年2月3日(火)19:00開場 19:30開演

<出演>
RM jazz legacy
類家心平(tp)
守家巧(b)
坪口昌恭(p)
mabanua(ds)
田中 "tak " 拓也(g)

DJ: 大塚広子(Key of Life+)

<場所>
六本木 Ark Hills Cafe
港区六本木1-3-40
アークヒルズ カラヤン広場 スペイン坂入口
Tel:03-6229-2666

<料金>
Entrance Free! Donation Charge


【第二夜】

<日時>
2015年2月22日(日)18:30開場
1st. stage 19:30開演
2nd. stage 21:00開演

<出演>
RM jazz legacy
類家心平(tp)
守家巧(b)
坪口昌恭(p)
mabanua(ds)
宮嶋洋輔(g)

DJ: 大塚広子(Key of Life+)

<場所>
JAZZ CLUB ALFIE ROPPONGI TOKYO
港区六本木6 - 2 - 3 5 ハマ六本木ビル5 F 日比谷線六本木一番出口出てすぐ右
Tel:03-3479-2037

<料金>
Charge 3,500 yen(1drink)



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【DJ大塚広子プロデュース 次世代ジャズ・コンピレーション】

■タイトル:『PIECE THE NEXT』
■Produce & Director:大塚広子(Hiroko Otsuka)
■発売日:2014年12月17日
■レーベル: Key of Life+
■製品番号:KOL1

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日本の新世代ジャズをいち早く取り上げた大塚広子新レーベル・キー・オブ・ライフ・プラス第一弾。未発表曲や自らの楽曲提供&プロデュース曲を含めた現在とこれからのJAPAN GUIDE。


[収録曲]

1 GL/JM / 類家心平 4 Piece Band
2 Tokyo Confidential / 挾間美帆 m_unit
3 Rockin' In Rhythm / Orquesta Libre + Suga Dairo + RONxII 
4 Shakey Jake / Takumi Moriya Black Nation
5 Regular / Yasei Collective feat.Shane Endsley (tp) Ben Wendel (ts) from Kneebody
6 Heavy Seas (Live) / Rumba On The Corner
7 grmethod / Kinetic(千葉広樹,服部正嗣)
8 Do Good/ Yasei Collective
9 Stakes Is High / JOSEI ACOUSTIC PIANO TRIO(丈青,秋田ゴールドマン,FUYU)
10 Ameeta / Bennetrhodes(佐野観)
11 Night Flight / RM jazz legacy(類家心平,(tp)守家巧(b),坪口昌恭(p),mabanua(ds),田中 "TAK" 拓也(g))
12 明日への光 / オンセン・トリオ (岩見継吾,栗田妙子,池澤龍作)
13 Rock Out / 西山瞳・トリオ"パララックス"
14 Strasbourg / St. Denis / element3(丈青,日野"JINO"賢二,FUYU)
15 Park / 橋爪亮督グループ


[収録曲の参加ミュージシャン]
丈青、日野"JINO"賢二、秋田ゴールドマン、FUYU、岩見継吾、栗田妙子、池澤龍作、千葉広樹、服部正嗣、類家心平、ハクエイキム、吉岡大輔、鉄井孝司、挟間美帆、スガダイロー、芳垣安洋、青木タイセイ、塩谷博之、藤原大輔、渡辺隆雄、ギデオン・ジュークス、高良久美子、鈴木正人、椎谷求、岡部洋一、スガダイロー、RON×II、坪口昌恭、守家巧、pepe福本、城戸絋志、沼 直也、mabanua、田中TAK拓也、佐野観、橋爪亮督、市野元彦、織原良次、橋本学、佐藤浩一、西山 瞳、坂崎 拓也、清水 勇博、馬場 孝喜、ヤセイコレクティブ (松下マサナオ/中西道彦/斎藤拓郎/別所和洋)、Kneebody(Shane Endsley/Ben Wendel)


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大塚広子 (DJ/ライター)

2004年以降、ワン&オンリーな"JAZZのグルーヴ"を起こすDJとして年間160回以上のDJ経験を積んできた。徹底したアナログ・レコードの音源追求から生まれる説得力、繊細かつ大胆なプレイで多くの音楽好きを唸らせている。渋谷の老舗クラブTheRoomにて13年目に突入した人気イベント「CHAMP」など日本中のパーティーに出演。また音楽評論家やミュージシャンを巻き込んだライブハウスやジャズ喫茶でのイベント・プロデュースなど、世代やジャンルの垣根を越えたその柔軟なセンスで音楽の様々な楽しみ方を提示している。日本のジャズ・レーベルである、「トリオ」(ART UNION)、「somethin'else」(EMI MusicJapan)、「DIW」(DISK UNION)、「VENUS」(Venus Record)のMIXCDと、スウェーデン・ジャズを中心とした、スパイス・オブ・ライフ・レーベルのコンパイル作品「Music For Reading」(ディスクユニオン)を発売。過去リリースCDの売上数は延べ1万枚を超える。2010年、スペインでのDJ招聘、「FUJI ROCK FESTIVAL2010」の出場。2012年、老舗ライヴハウス新宿PIT INNのDJ導入を提案し、菊地成孔と共演(TBSラジオ出演)。BLUE NOTE TOKYOにて日野皓正らとの共演。総動員数3万人に及ぶアジア最大級のジャズ・フェスティバル「東京ジャズ2012」にDJとして初の出演。2013年、ニューヨークでののDJ招聘等。「JAZZ JAPAN」等の雑誌でのアーティストインタビュー、レビュー執筆の他、web連載、ディスク・ガイドブックやCDライナー執筆など音楽ライターしても活躍中

大塚広子 Official Site

丈青《I See You While Playing The Piano》リリース・コンサート with J.A.M & 沖仁:ライブ情報 / LIVE INFO

昨年初のソロ・ピアノ作品をリリースしたSOIL&"PIMP"SESSIONSの丈青さん。

この作品はJJazz.Netスタッフが選ぶ2014年間ベストアルバムにも挙げさせて頂きましたが、
ソイルや菊地さんとのDCPRGとはまた違う、深遠なるピアノの音世界を堪能することができます。

そんなアルバムのリリースを記念したコンサートがスパイラルホールで行われます。
当日は実際使用されたコンサートグランドの名品「FAZIOLI F278」(滅茶苦茶音良いです)を運び入れ、
アルバムに収められた響きやその量感、余韻を再現。
またソイルのメンバーによるピアノトリオ、J.A.Mの他、スペシャルゲストとして、沖仁さんも登場します。

自由でクリエイティヴなサウンドを良い音で楽しむことができるオススメのコンサートです。


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【SPIRAL RECORDS presents
丈青《I See You While Playing The Piano》リリース・コンサート with J.A.M & 沖仁】

1部は丈青のアルバムからのレパートリーを中心としたソロピアノを。レコーディングが行なわれたスパイラルホールに、実際に使用されたコンサートグランドの名品、「FAZIOLI F278」を運び入れ、アルバムに収められた響きやその量感、余韻を再現。2部では丈青をリーダーとするSOIL&"PIMP"SESSIONSから派生したピアノトリオJ.A.M、そしてスペシャルゲストとして日本が世界に誇るフラメンコ・ギタリスト、沖仁をゲストに迎え、鮮烈なインプロビゼーションと色彩豊かなサウンドが、パッションあふれる演奏で展開される。世界を舞台に活躍するインストゥルメンタリストたちの夢の共演をお見逃しなく。

<日時>
2015年2月7日(土)開場:17:15 開演:18:00
※休憩含め120分程度、途中20分の休憩あり。

<出演>
丈青
J.A.M(piano trio from SOIL&"PIMP"SESSIONS)
Special Guest : 沖仁

<場所>
スパイラルホール(スパイラル3F)
東京都港区南青山5-6-23
http://www.spiral.co.jp/a_map/

<料金>
前売 ¥5,500/当日 ¥6,500(ともに税込・全席指定)
※定員を超えた際は、当日券の発券を行なわない場合がございます。

<チケット>
スパイラル (4Fオフィスフロア)11:00〜20:00まで(無休) 
※電話、メールでのご予約は承っておりません。ご了承ください。

ローソンチケット 2015年1月9日(金)発売 【Lコード:76512】

<詳細>
http://www.spiral.co.jp/e_schedule/detail_1343.html (スパイラル)

<主催>
株式会社ワコールアートセンター

<企画制作>
スパイラル

<協力>
ALT.NEU.Artistservice

<お問い合わせ>
スパイラル  Tel.03-3498-1171


【丈青 《I See You While Playing The Piano》リリース・コンサート with J.A.M & 沖仁】




『I See You While Playing The Piano / 丈青』

■タイトル:『I See You While Playing The Piano』
■アーティスト:丈青
■発売日:2014年10月8日
■レーベル:SPIRAL RECORDS
■製品番号:XQAW-1107

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[収録曲]

1. Friends are Comin'
2. One and Alone
3. Crazy Race
4. Blue in Green
5. My One and Only Love
6. We'll Be Together Again
7. Body and Soul
8. Miles' Mode
9. Myself
10. When I Was a Boy
11. Akatonbo
12. I See You While Playing The Piano


SOIL&"PIMP"SESSIONS, J.A.Mのメンバーとして世界的な活動を展開し、また、日野皓正、菊地成孔、鈴木勲、José James,らと共演、卓越した技術とクラシックからブラックミュージック、ポップスにまでおよぶ広汎な音楽への造詣、鋭敏な感覚により高い評価を獲得。次代のジャズを担う最重要人物のひとりとして国内外から注目されるピアニスト、丈青の初のソロピアノ・アルバム。スタンダード、バラード、オリジナルから完全即興にいたる多彩なレパートリーを掲げ、コンサートグランドの名品〈FAZIOLI F278〉をホールにて演奏、 DSD 11.2MHz/1bitにてマルチ・レコーディング。透徹した感受性と峻厳なまなざしにより自身のピアニズムを探究し、往年の名曲の秘められた側面を照射、オリジナル楽曲では清新でゆたかなイメージを描き、アルバムトータルでジャズのあらたな相貌を浮かびあがらせる。


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■丈青
ボーカリストである母の影響で、3歳からピアノにふれクラシックを学ぶ。また同時にブラックミュージックをはじめとする多岐にわたる音楽に親しみ、その語法を独学で習得。1997年に本格的にジャズピアニストとしての道を歩むことを決意。鈴木勲のバンドへの参加を機にジャズシーンに広くその名が知れわたり、一躍トップピアニストとしての地位を確立。2003年にはSOIL&"PIMP"SESSIONSに加入、メジャーデビューを果たす。Gilles Petersonに認められたことから活動が世界規模へと発展、2007年には同バンドから派生したピアノトリオJ.A.Mを結成、これまでに3枚のアルバムをリリースする。ソロとしての活動では日野皓正、菊地成孔らと共演し絶大なる支持と信頼を獲得。類い稀なるリズム、グルーヴへの感覚、幼年期より養われた広汎な音楽的造詣をもとにした清新なソングライティングや鮮烈なイメージを喚起するインプロヴィゼーション、クラシックを素地とする卓越したタッチは、José James, Jamie Cullum, Eric Harlandといったトップアーティストからも賞賛される。次代のジャズを担う最重要人物のひとりとして、世界的に注目される存在である。2014年10月、初のソロピアノ作《I See You While Playing The Piano》をリリース。
丈青 Official Web


■J.A.M(piano trio from SOIL&"PIMP"SESSIONS)
国内外で高い人気を博しているSOIL&"PIMP"SESSIONSのピアノの丈青、ベースの秋田ゴールドマン、ドラムのみどりんによる、ピアノ・トリオ。グループ名はそれぞれの頭文字をとって名づけられた。ヒップホップ、ハウス、ロックなど多少なジャンルのフィルターを通過した"今"のジャズを、トリオという最小限の編成で描き出す。都内のジャズ・クラブなどへ神出鬼没的に出演、2007年、2008年と《FUJI ROCK FESTIVAL》の「Field of Heaven」に連続出演するなど、SOIL&"PIMP"SESSIONSと並行して活動中。2008年発売の1stアルバム《Just A Maestro》がロングセラーを記録。続く2010年には2ndアルバム《Just Another Mind》をリリースし、《Billboard Japan Music Award 2010》で「優秀ジャズアーティスト賞」を受賞。そして2012年3rdアルバムとなる《Jazz Acoustic Machine》を発表した。
J.A.M Official Web


■沖仁
1974年生まれ。14歳より独学でエレキギターを始める。高校卒業後、カナダで一年間クラシックギターを学ぶ。その後、スペインと日本を往復し20代を過ごす。一時帰国中の1997年、日本フラメンコ協会主催新人公演において奨励賞を受賞する。2000年5月帰国。 2006年、3rdソロアルバム《ナシミエント~誕生~》でメジャーデビュー。同年12月には、NHK「トップランナー」に出演。2007年4月からNHK大河ドラマ「風林火山」紀行テーマ曲を担当。2010年7月、スペイン三大フラメンコギターコンクールのひとつ「第5回 ムルシア "ニーニョ・リカルド" フラメンコギター国際コンクール」国際部門で優勝。日本人として初の快挙を成し遂げた。同年9月にはデビュー10周年ベストアルバム「MI CAMINO――10年の奇跡」をリリース。同月、コンクールに挑む様子を密着取材したTBS系『情熱大陸』がオンエアされ大きな反響を呼ぶ。2013年9月に各界のトップ・アーティストを迎え、ジャンルを超えた音の対話を繰り広げたコラボ・アルバム《Dialogo(ディアロゴ)~音の対話~》をリリース。現在は東京を拠点にし、ソロ活動を中心に、国内外のアーティストとの共演、プロデュース、楽曲提供等を精力的に行っている。2014年11月にはライブDVD《Dialogo[ディアロゴ]〜Live at Orchard Hall〜》をリリース。
沖仁 Official Web

喜多直毅クアルテット・コンサート 2015 Winter in a Vision 〜幻の冬〜:ライブ情報 / LIVE INFO

タンゴの手法をとりつつも様々なジャンルを内包したそのスタイル、
そして秀逸なインプロバイザーということもあり、ジャズリスナーにも人気のヴァイオリニスト、喜多直毅。

その喜多直毅率いるクアルテットが昨年リリースしたアルバム
『Winter in a Vision』の発売記念コンサートが決定。

冬を彩る、美しくも激しい音世界、是非ご堪能下さい。


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【喜多直毅クアルテット・コンサート 2015 Winter in a Vision 〜幻の冬〜】

自由に、激しく空間を無尽に舞う弓、蛇腹。圧倒的な才能で未知なる音を開拓するヴァイオリニスト喜多直毅が、オリジナル曲を奏でる四重奏団。アルゼンチンタンゴの手法を貴重としつつフリージャズ、即興音楽、オルタナティヴロックなどの要素を融合した孤高のインストルメンタルミュージック。壮絶たる重み、激しさ、そして美しさ。

<日時>
2015年1月29日(木)19:00開場 19:30開演

<出演>
喜多直毅(ヴァイオリン)
北村聡(バンドネオン)
三枝伸太郎(ピアノ)
田辺和弘(コントラバス)

<場所>
東京オペラシティ・リサイタルホール(東京・初台)
東京都新宿区西新宿3-20-2

<料金>
前売り¥3,500 当日¥4,000

<予約>
東京オペラシティチケットセンター : 03-5353-9999
e+(イープラス)

<詳細>
http://www.songxjazz.com/news/2014/09/186.html (ソングエクス・ジャズ)

<主催>
株式会社ソングエクス・ジャズ/pianohouse.mmg

<協賛>
shin-ichi tokunaga

<総合問合わせ>
株式会社ソングエクス・ジャズ
tel 03-3257-3404 email : info@songxjazz.com


【喜多直毅クアルテット・コンサート 2015 trailer】




『Winter in a Vision / 喜多直毅クアルテット』

■タイトル:『Winter in a Vision』
■アーティスト:喜多直毅クアルテット
■発売日:2014年10月22日
■レーベル: SONG X JAZZ
■製品番号:SONGX023

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[収録曲]

1. 春 The Spring
2. 吹雪 Snowstorm
3. ふるさと My Hometown
4. 蒼穹 The Blue Sky
5. オスティナート Ostinato
6. 疾走歌 Speeding Song
7. 死人 The Dead
8. 酒乱 An Alcoholic
9. 轍 Ruts
10. 幻の冬 Winter in a vision
11. 残された空 Nothing Except The Sky


収録されている楽曲はすべて喜多のオリジナル作品であり、その出自とも言うべきアルゼンチン・タンゴからフリージャズ、即興演奏、現代音楽まで、様々な要素を呑み込んで再構築された比類なき音楽。4人のメンバーは、それぞれの楽器における国内屈指のタンゴ奏者と目されつつ、圧倒的な実力により、ジャンルを超えてシーンの最先端で 活躍している。この4人においてこそ実現する超絶なる表現が、聴衆の気魂を揺さぶり"ドゥエンデ "を呼び醒ます。


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【喜多直毅クアルテット】
2011年、ヴァイオリニスト喜多直毅によって結成された四重奏団。演奏される楽曲はすべて喜多のオリジナル作品であり、その出自とも言うべきアルゼンチン・タンゴからフリージャズ、即興演奏、現代音楽まで、様々な要素を呑み込んで再構築された、比類なき音楽だ。4人のメンバーは、それぞれの楽器における国内屈指のタンゴ奏者と目されつつ、圧倒的な実力により、ジャンルを超えてシーンの最先端で活躍している。この4人においてこそ実現する超絶なる表現が、聴衆の気魂を揺さぶり、"ドゥエンデ"
を呼び醒ます。


■喜多直毅[ヴァイオリン]
国立音楽大学にてヴァイオリンを専攻後、三年間に渡り渡英して作編曲とジャズ理論を学ぶ。そ
の後アルゼンチンにて、フェルナンド・スアレス・パス(vln)にタンゴ奏法を師事する。帰国後はタン
ゴ演奏を中心としながらも、その活動の軸足をタンゴ以外の分野へと移し、鬼怒無月(gt)率いる
「サル・ガヴォ」に参加。タンゴとアヴァンギャルド・ロックの融合を目指すこのグループは渡欧し好
評を博した。活動の範囲をヨーロッパの即興音楽シーンに広げる一方、出自とも言うべきアルゼン
チン・タンゴとこれまでの音楽的知識と体験を融合すべく、2011年、喜多直毅クアルテットを結成。
喜多直毅 Official Web


■北村聡[バンドネオン]
1979年生。関西大学在学中にバンドネオンに出合い、小松亮太に師事。アルゼンチンでフリオ・パ
ネ(Bn)のレッスンを受ける。03年レオポルド・フェデリコの日本公演に参加。10年オルケスタ・ア
ウロラでブエノスアイレス、モンテビデオのフェスティバルに出演し成功を収め、2011年にはピアソ
ラ没後20年記念公演「ブエノスアイレスの四季」でフェスティバル・オーケストラの一員として演奏
した。美しい音色と繊細な表現には定評があり、喜多直毅クアルテット・サウンドの要となっている。
北村聡 twitter


■三枝伸太郎[ピアノ]
2008年よりバンドネオン奏者、小松亮太氏のグループに参加。映画音楽『あぁ...閣議』『センチメンタルヤスコ』『Frog』『茜さす部屋』『ブーケガルニ』、演劇『人生はショータイム』『パパ・タラフマラの白雪姫』、ミュージカル作品として『Diary ―What your wish...?―』などを手がけるなど、各方面から注目を浴びている。喜多直毅クアルテットでは深く美しい演奏に徹する一方、内部奏法でも美音を極める。
三枝伸太郎 twitter


■田辺和弘[コントラバス]
東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て東京芸術大学を卒業。コントラバスを渡辺彰考、永島義男、ツォルト・ティバイに師事。オスバルド・ベリンジェリ、ビクトル・ラバジェン、ホセ・コランジェロ、ウーゴ・パガーノなどのアルゼンチンのタンゴアーティストとも多く共演している。最近では齋藤徹とのベースアンサンブルに参加し、それ以来即興演奏を交えた音楽にも興味をもち、喜多直毅クアルテットにも参加。深くも鋭いボトムを支えている。

bar bossa vol.41:bar bossa

bar bossa


vol.41 - お客様:白尾嘉規さん(DJ・選曲家。現代ポーランドジャズ専門レーベルCześć ! Records監修)


【中欧音楽と触れ合うまでの「5 Steps」】



いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

あけましておめでとうございます。

さて今回は『中央ヨーロッパ 現在進行形ミュージックシーン・ディスクガイド』を出されたばかりの白尾嘉規さんをゲストに迎えました。

林(以下H):こんばんは。白尾さん、このブログ、今回で2回目の登場ですね。よろしくお願いします。早速ですがお飲物はどうしましょうか?

白尾(以下S):白ワインで、さっぱりした感じのをお願いします。マンネリですみません(笑)

H:さっぱりですか。それではドイツのリースリングをお出ししますね。普通ドイツワインは甘いというイメージがありますが、これはトロッケンという辛口ワインです。

S:いただきます。

H:さて、オラシオさん、ワルシャワに行かれてたようですが、どうでしたか?

S:ワルシャワだけではなくて、計4都市行ったんですよ。ヴロツワフ、カトヴィツェ、クラクフ、ワルシャワ。今回のポーランド行きは、ポーランド広報文化センター、アダム・ミツキェヴィチ・インスティテュート、ジャズトパド・フェスティヴァルの3つの機関にサポートを受けて行くことになりました。具体的になにか目的があったわけではなくて「往復の旅費を出すので、とりあえず一度行って来い」的な感じでした。

H:何か出会いはありましたか?

S:出会いは・・・本当にたくさんありました。たぶん40~50人くらいのミュージシャンと会ったんじゃないでしょうか。フェイスブックを通じて知り合いだった人も多いので、ハグして大歓迎してくれて嬉しかったですね。ライヴ会場や街で偶然会った人もいました。空港に車で迎えに来てくれたりね。僕がポーランドのジャズにはまるきっかけになった伝説的ミュージシャンにインタヴューもできました。

H:40~50人!

S:特に嬉しかったのが、いくつかインタヴューをすることになって、現地在住の若い女性に通訳を頼んだのですが、彼女が最後に「白尾さんとお仕事して、ポーランドのジャズをもっとたくさん真剣に聴こうという気になりました」と言ってくれたことですね。たったひとりファンが増えただけですが、とても大事なことができたと思っています。

H:ああ、それは嬉しいですね。本の評判はどうでしたか?

S:本はまさに絶賛の嵐です。本場の音楽ジャーナリストでもこれだけのものは作れないだろうと言われました。特に、川畑あずささんによるブックデザインはみんな本を手に取った瞬間ほめるくらい評判良かったです。

H:ポーランド人にデザインをほめられたんですね。これも嬉しいですね。ところで最初は「ポーランドジャズの本を作る」というようなことを伺ってたのですが、全く違うものになりましたね。

S:それは、林さんのせいですよー(笑)。いつぞやお店にうかがってポーランドジャズの本を作りたいというようなお話をした時林さんが「ポーランドだけで、ジャズだけの本だったら僕は買わないですね」と仰ったのが強烈に響きましてね。どうしたらこのマーケティングの天才・林伸次に買わせるような本を作れるだろうか、と一生懸命考えました。

H:僕、そんなこと言ったんですね...

S:本を作るにあたってインスピレーションを与えて下さった方は何人かいらっしゃるのですが、林さんと、もうひとり、ポーランド映画祭を主催しているValeriaという会社の小倉聖子さんには特に強く影響を受けました。小倉さんは「映画とか演劇とか雑貨とか、ポーランドがらみのひとつひとつのイベントが点在しているだけで、全然つながっていない。それらを全部つなげる、もっと大きな何かをやりたい」と仰ってて。
その林さんと小倉さんの言葉を聴いたのが昨年の夏くらい。ほぼ同時期でした。自分自身もこのままポーランドジャズのファンだけに向けて書いていても先が続かないような予感はしていたので、中欧4ヶ国に範囲を広げて、ジャズ以外の音楽も紹介して、さらにカルチャー面にも踏み込んだ、ファン層も書き手も一気につながれるような本を作りたいと強く思ったんです。中欧の現地では国境もジャンルの違いも超えてすごく豊かに人脈がつながっているのに、その中欧文化が好きな日本の人たちがあまりつながっていないのは、もったいないし、自分自身が他の中欧関係の書き手の方ともっとお知り合いになりたいという気持ちがありました。

H:おおお! それは壮大で良いですね。執筆陣が多岐にわたりますが、どういう風に選んだのでしょうか。

S:執筆者選びはとにかく手当たり次第という感じでした。ジャズに偏らないようにするのも注意しなくてはいけない点でした。前からチェコ音楽を推してらした吉本秀純さん、友人でプログレドクターと世界中で評価されている祖父尼淳さん、ブログで積極的にハンガリーやスロヴァキアのミュージシャンを紹介していた岡崎凛さん、大学でポーランドのヒップホップについて卒論を書いたパウラさん、は最初からお願いすると決めていました。
お願いしたい方には可能な限り直接会ってご説明するようにしました。例えばShhhhhさんはメールだと難しい系の本だと感じたみたいで気乗りしなかったようなんですが、会って話したら10分くらいで「ぜひやりたい!」という話になって(笑)。直接話すのって大事ですね。

H:そうですね。会って話すってホント重要です。

S:そうそう、林さんのフェイスブックがきっかけで知り合った方に紹介していただいたのが原宿でAZ Finomというハンガリー料理店を経営していらっしゃる東孝江さん。ちょうどハンガリーの書き手を探している時でした。東さんにはコラムを書いていただいたりハンガリー大使館とのコンタクトを手助けしていただいたりして、そういう運の良い出会いもありました。AZ Finomのハンガリー料理、絶対日本人が好きな優しい味なので、みなさんぜひ。

H:え、僕のフェイスブックがきっかけですか? そういう繋がり方もあるんですね。AZ Finom、僕もチェックしますね。何か大変なことってありましたか?

S:この本は、僕の知らないこともたくさん取り扱うので、とにかくゴーサイン出すまでが大変で。自分が全部知っていれば「これは書いてください」とかできるんですけど。僕にも、どんな盤が何枚くらい挙がってくるのか全然わからないので、とにかく全員分情報が揃わないと構成がまとまらないという状況が長く続いたのが苦労と言えば苦労でしたね。あとは、名前の読み方をカナで書くことにしたので、正確なつづりがわからないとそれができません。校正の際に調べなおしたり何重にも手間がかかって、本当に地獄でした(笑)。

H:カタカナ表記問題って難しいですよね。

S:ただ、とにかく読みやすいものを、ということでは編集の筒井さんと完全に意見が一致していましたので、無理を言って「ですます」調で書いていただいたり字数を削ったり、その辺りは徹底しています。おかげで特に音楽のファンでない僕の友達なんかにも「楽しく読める」と評判が良いです。

H:確かに文章のトーンが統一されている感じはすごくしますね。タイトルはどうやって決めたんですか?

S:「中欧エヴァーグルーヴ」などタイトルはいろいろ案もあったのですが、あまり思い入れが強い特殊な言葉遣いだとマニアックなイメージになって敬遠する方もいるかと思い、完全に筒井さんに一任しました。ただ、英題のCentral European Music Steps Ahead !!についてはいくつか案を出した中から選んでもらいました。未来につながる感じのするいいタイトルが出来たと思っています。

H:ホント直球なタイトルで、後々の人たちが必ずチェックしなければいけない本って印象がありますね。ポーランド人にほめられたデザインはどういう経緯でしたか?

S:デザインは、本当にいい仕事をしてくださったのですが、レヴュー部分の大まかな案を伝えたくらいで、あとは筒井さん川畑さん とで自由にすすめていただきました。僕からは、女性も手に取りやすいようなものにしたい、と言ったくらいですね。

H:パッと見、女性二人が作った本って感じ伝わりますね。すごく正しい選択だと思います。ずばり、この本の「売り」は?

S:まず、90年代以降の中欧の音楽をまとめて紹介したものはこれまで皆無ということは最初にアピールしたいです。それと同時にこの本はあくまで「はじめの一歩」だということも言っておきたいですね。たぶんこの本に詰まっている情報だけでも数年は楽しめるんですが、その先もちゃんと用意しています。これまですごくたくさん質問された現地のウェブショップでの買い方とか、名前の読み方とかにも触れていますし、巻末の索引は索引としてよりもネット検索のための人名事典として役に立つと思います。本で触れられているよりももう少し先に進みたくなった方のためのガイドとしても機能すると思います。

H:ウェブショップでの買い方はすごく便利ですね。

S:ディスクガイドってだいたい「これ以上進みたい人は自分で調べてくれ」という感じで、ある意味その本の中で解決してしまっているでしょう?その後の「進み方」や調べる材料までフォローしたものがあってもいいんじゃないのかなとずっと思っていました。今はネットで何でも調べられるということになってますが、調べるスキルの成熟が情報量の増加に全然追いついていないということも前から気になっていまして・・・。カルチャーに関するコラムが入っているのもディスクガイドとしては斬新だと自負しています。

H:あのコラムもすごくバランスが良いです。

S:また、この本の最大の特徴はジャンルとか国とかアルファベットとか既存の分け方で章立てしていないことです。それぞれ独特のテーマを設けてStepと名付けた章は、読み進むごとにだんだん中欧音楽への理解が深まるように工夫してあるんですよ。流れというか、ストーリーがあります。僕自身がポーランドの音楽にはまっていったこの10数年間を疑似体験できると言いますか。Step5になると、ハンガリーとインド映画がつながってる!とか、すごいところまで踏み込んじゃってますが(笑)、最初から読むと無理なくそこまで歩いてこれるんです。Step1は林さんもほめてくださいましたよね?

H:最初に各国の美女歌姫4人というビジュアルにガツンときました。

S:このアイディアは、筒井さんと打ち合わせしててひらめいたんです。彼女が、それほどディープな音楽ファンでない読者は、本屋さんで手に取ったら律儀に目次から順にめくって読んでいくんだと言ったのにはかなり驚きました。自分だと、目次で興味あるところをチェックしてそこだけ読んで終わりですから。なので、最初から最後まで流れがあればいいのか、と考えたんです。もちろんどこから読んでいただいても面白いですが、新しいジャンルや切り口との出会いを楽しみながら、中欧音楽の森の中にゆっくり歩いて入っていくようにページをめくってもらえたらと思っています。

H:この本はどういう人に読んでほしいですか?

S:中欧の音楽やカルチャーに興味を持っている人はとてもたくさんいると思います。でも、情報が足りない。ご自分である程度中欧音楽を聴いてこられた方はこの本を読んで下さると思うので、できればそれ以外の「興味ある」くらいの気持ちの人たちに読んで欲しいですね。文章もデザインも、思い入れや情熱が入りつつ読みやすさにも気を配っていますので、「音楽を読む」楽しさをそういう人たちに知って欲しいという気持ちもあります。

H:「音楽を読む」楽しさ、なるほど。

S:僕は音楽ライターのかたわら図書館員として働いています。図書館員の最も重要な役割は情報と人をコネクトすることです。この本は僕のその経験も活かされた、いろんなつながりを作ることがテーマの本だと思っています。この本を読むことで、チェコの雑貨が好きな人がハンガリーのプログレに興味を持つかも知れない。スロヴァキアのロックが好きな人がポーランドのビールが飲みたくなるかも知れない。そういう、偶然の出会いを演出するためにたくさんの工夫をしている本なので、読者のみなさんはこの本を楽しむために「まだ知らない」という最高のアドヴァンテージを持っています。たくさんたくさん新しいものと出会ってください。
今は中欧音楽はマニアックと言われていますが、この本を手始めに点と点を大きな面に変えて行って、いつかはこの地域の音楽を聴くのは当然、みたいなことになれば良いなと思っています。実際情報が少ないだけでそれだけの素晴らしさは間違いなくありますから。ポーランドのジャズにはまって人生まで変わっちゃった僕が保証します(笑)!

H:(笑)。さて、それでは選曲に移りましょうか。

S:はい。テーマは【中欧音楽と触れ合うまでの「5 Steps」】です。本で設定した各Stepのかんたんな説明を交えつつ、レヴューを書いたアルバムの中から厳選した10曲を聴いて一気に中欧音楽と仲良くなっていただきたいです。どれも最初のイメージを楽しく裏切ってくれるものばかりだと思います。(曲名のあとにアルバムを紹介したページと場所を記しています)

H:本を買った人はそのまま楽しめそうですね。

S:【Step1 中欧音楽のキーパーソンたち】
各国から美女を集めました!と言うより、音楽がすごい人を本気で挙げたら自然とこうなりました。女性が最先端にいるって、ものすごく未来が明るい感じがしますよね。ちなみに4人全員にオフィシャルウェブサイトがあります。


Cichy zapada zmrok / Anna Maria Jopek(P11-1)

S:現代ポーランド最高のヴォーカリストのひとりアンナ・マリア・ヨペクとメセニーのピカソギターのデュオで、ポーランド民謡です。前にケペル木村さんに「オラシオさんはゲッツ&ジルベルトのポーランド版みたいなアルバムを決めてどんどん推していけばいいんじゃないかな」とアドヴァイスいただきましてずっと考えていたんですよ。この曲が収録されたアルバム『Upojenie』こそがそれです。本でも一番最初に紹介した作品です。この、メロディとポーランド語の響きの美しさがポーランド音楽の魅力だと思います。

H:なるほど。『ゲッツ&ジルベルト』のポーランド版ですか。すごくわかりやすい表現ですね。


Örvendezzünk / Szalóki Ági(P26-1)

S:ハンガリーのサローキ・アーギです。これはクリスマス・キャロルなんです。中欧はカトリックが主流ですから、ものすごく大事な伝統なんですね。でもこんなさわやかなアレンジになっちゃうのが面白い。普段「子どものための音楽」を積極的にやっている彼女は、個人的にはヴァニア・バストスとアドリアーナ・カルカニョットの中間くらいのセンスを感じていて、ブラジル音楽が好きな方にもオススメです。声も胸がしめつけられるようですばらしいですよね。ハンガリー語の「おまじない」というか「魔法の言葉」みたいな感じの響きも土の薫りがしていいです。

H:確かにブラジル音楽好きの僕にすごく響きます。こういう色んな国の美女を見ると「ふーん、ハンガリーはこういうルックスなんだ」ってところも楽しみの一つですね。


S:【Step2 名盤のオモテウラ】
図書館をぶらつくと売れ行きに関係なく過去から現在までの本が混在していて、どんどん気になる本に出会ってしまう。そういうイメージで作りました。完全にランダムに並んでいますのでたくさん偶然の出会いがある楽しいチャプターだと思います!


Logan / Paweł Kaczmarczyk Audiofeeling Band(P53-2)

S:今度はリズムが立ってるグルーヴィーなジャズチューンいってみましょうか。この曲はこれまで何度もDJでかけてるんですが、必ず食いつかれますね。中欧のジャズというと美メロってイメージが強いと思うんですが、実はそれはほんの一部で、こういうハイパーモダンな感じのもあります。クラクフでポーランド人の友達と街を歩いてたら、このアルバムのリーダー、ピアニストのカチュマルチクに偶然出会ってハグしてお互い大喜び!なんてことがありました(笑)。

H:お、これはDJでかけると食いつかれそうですね。でも街を歩いてて出会うってかなり小さい街なんですね。良いですねえ。


Kołysanka Rosemary / Julia Sawicka Project(P75-2)

S:これもDJで大人気の曲ですね。ポーランドの伝説的ジャズミュージシャン、クシシュトフ・コメダの代表曲で映画『ローズマリーの赤ちゃん』のテーマにヴォイチェフ・ムウィナルスキという有名な作詞家が歌詞をつけたものです。仄暗いムードがカッコいいですよね。ギターはチェコの若き天才ダヴィト・ドルーシュカ。山中千尋さんがバークリーで同期だったらしくて「顔はオタクみたいで気持ち悪いけど、演奏は間違いなく天才」(笑)って絶賛していたらしいです。

H:山中千尋さんがバークリーで同期ですか。なんだか世界って狭いんですね。世界のみんなが想像する暗いヨーロッパですね。

S:【Step3 「ある視点」部門】
本書の核となるチャプターです。ちょっと踏み込んで聴くと見えてくる中欧音楽の特徴の一例をいくつか挙げてみました。もちろんもっといろんな切り口があります。自分なりのテーマを見つけられるとグンと楽しくなりますよ。


Miałabych jo kawalera / Adam Oleś(P110-1)

S:「民謡アップ・トゥ・デイト」から一曲。チェリストのアダム・オレシがポーランド南西部シロンスク地方の民謡をカヴァーしたものです。先日出版記念トークイベントをやった際にこの曲をかけたのですが、とても評判が良かったです。素朴なメロディと凝りに凝ったアレンジのコントラストがいいんですよ。いつ聴いても胸が熱くなります。この、伝統的なムードの中にモダンがミクスチャーされてる感じって、ポーランドの街並みにも似ている気がしますね。俗に言うアメリカの音楽とヨーロッパの音楽の違いって、街並みの違いに象徴されていると個人的には思っています。

H:おおお、これはカッコイイですね。アレンジがホント、凝りに凝ってますね。聞く喜びがあります。街並みの違いですか。なるほど。


Goń latawce / Anna Serafińska(P126-1)

S:「詩が唄になる」からの曲です。ヨーロッパって日本人には想像もできないほど詩が盛んですよね。特にポーランドは、詩人の作品に曲をつけたり、作詞家じゃなくて詩人と作曲家がコラボして曲を作ったりするというジャンルがあるんですよ。これはアグニェシュカ・オシェツカという女性の大詩人・作家と、僕がポラジャズにはまったきっかけとなったジャズ作曲家、「ナミさん」ことズビグニェフ・ナミスウォフスキがコラボした1970年代のポップスのカヴァー。日本で言うなら、谷川俊太郎と渡辺貞夫が歌謡曲作ったようなものだと思ってください(笑)

H:そういう試みがアカデミック臭くならず、こうやってポップな響きに辿り着いているのが素晴らしいですね。羨ましい文化です。


S:【Step4 クラシックは中欧グルーヴの素】
これまで雑誌とか旅行ガイドで紹介されてきた「中欧の音楽」ってクラシックばかりなんです。この本のアイディアを練っている時に同僚や友達に中欧のイメージを訊いたら、やっぱりそういう答が多かった。なら今、現地でクラシックがどんな風に受け入れられているかを、「カヴァー」という切り口で紹介しようと思いついたチャプターです。


Wiosna / Anka Kozieł Quartet(P146-1)

S:これはショパンのめずらしい「17の歌曲集」という作品集からの「春」という曲のカヴァーです。現地の人にかかればこういうアレンジになっちゃうんですね、クラシックも。中盤のスロヴァキアのピアニスト、ミハル・ヴァニョウチェクのソロも切れ味がすばらしいです。

H:おお、確かに現地の人にかかれば、ですね。メロディが一度、身体の中に沁み込んでから、外に出ているのでしょうか。ソロもカッコイイです!


Hej,od Krakowa jadę / Marcin Olak Trio(P144-1)

S:ポーランドの現代音楽作曲家ルトスワフスキの「弦楽のための5つの小品」からの1曲です。演奏しているのは、僕が勝手に「ポーランドの藤本一馬トリオ」と呼んでるマルチン・オラクのトリオ。中欧は現代音楽の先進地域ですが、土壌が豊かだとこういうオーガニックなカヴァーも生まれてきます。ブラジルのギンガとかがお好きな方にもオススメです。現代音楽についてはStep3で「ジャケ買い現代音楽」(笑)という形でとりあげたかったのですが、見送りました。

H:なるほど、ポーランドの藤本一馬トリオですか。ギターが好きでギンガが好きな人という一定のジャンルの人たちがいますが、確実に受けそうです!


S:【Step5 中欧は世界の中心?】
これは最初から決めていたチャプターで、中欧のミュージシャンって実はけっこういろんなところに顔を出していて世界とつながっているんだ、と知っていただきたくて。でも情報もない状態でそのことがわかるまでには時間がかかるので、本で先に教えちゃおう!という感じです。


Under A White Tree / Mariia Graievska & Ethno Jazz Synthesis(P161-1)

S:これはウクライナの女性ヴォーカリストのアルバムからです。バックのギタートリオが全員ポーランド人で、歌っているのはみんなウクライナ民謡です。中欧や東欧はヘヴィメタとかパンクなんかもかなり盛んで、そうしたバックグラウンドが音にもにじみ出ていますね。アジアで言ったら韓国の民謡歌手と日本のメタルグループが一緒にジャズやっているような感じですかねー。

H:韓国の民謡歌手と日本のメタルグループが一緒にジャズ、すごくわかりやすい表現です。そう考えると、あのあたりのヨーロッパの人たちは横で繋がるのがアジアより簡単なんですね。羨ましいです。スキャットが可愛い...


Dry Cleaner From Des Moines / Monika Borzym(P171-2)

S:これはポーランド人ヴォーカリストのデビュー作からジョニ・ミッチェル曲のカヴァーなんですが、プロデュースがマット・ピアソンで、アーロン・パークス、ラリー・グレナディア、エリック・ハーランド、ギル・ゴールドスタインといったアメリカのジャズの最先端のミュージシャンが全面参加しているすごい作品なんですね。音楽留学でアメリカシーンとの人脈を作るというのが最近の主流だと思うのですが、それにしてもこの豪華さは並大抵の実力ではないです。こういうつながりを見ると、結局アメリカとヨーロッパも対立軸ではなくて、世界音楽というものすごく大きな流れの一部分なんだなと強く感じます。

H:すごい。確かに豪華ですね。やっぱり世界が小さくなってきてるんですね。いやあ、でもカッコイイです!


S:いかがでしたか。自分がレヴューを担当したものに限ってもこれだけヴァラエティ豊かなものが紹介できたので、本全体ではほんとうにたくさんのつながりや出会いが生まれると思います。「音の中欧旅行」をぜひ楽しんでください。本書はあなたの旅にお供するガイドブックです。

白尾さん、お忙しいところどうもありがとうございました。
みなさまも是非、『中央ヨーロッパ 現在進行形ミュージックシーン・ディスクガイド (ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリーの新しいグルーヴを探して)』チェックしてみてくださいね。

2015年が始まりましたね。
今年も良い音楽に出会えると良いですね。今年もよろしくお願いいたします。

bar bossa 林伸次


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白尾嘉規(オラシオ)
1974年神戸生まれ大阪育ち。現在青森市在住。 おもにポーランドをメインフィールドとする音楽ライター。DJ・選曲家。disk union発の現代ポーランドジャズ専門レーベルCześć ! Records チェシチ!レコーズ監修。 ライナー執筆のほか、ジャズ批評、CDジャーナル、intoxicate、会員制季刊俳誌『白茅』、 ポーランド映画祭パンフレットなどさまざまな媒体に記事を寄稿。Twitterアカウント:@poljazzwriter。Facebookページ「ポーランドジャズのはじめの一歩」運営。

●BLOG→ http://ameblo.jp/joszynoriszyrao/
●twitter→ https://twitter.com/poljazzwriter
●facebook(ポーランドジャズのはじめの一歩)→ https://www.facebook.com/Polajazz


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林 伸次
1969年徳島生まれ。
レコファン(中古レコード店)、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)、
フェアグランド(ショット・バー)を経た後、1997年渋谷にBAR BOSSAをオープンする。
2001年ネット上でBOSSA RECRDSをオープン。
著書に『ボサノヴァ(アノニマスタジオ)』。
選曲CD、CDライナー執筆多数。
連載『カフェ&レストラン(旭屋出版)』。

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