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JJazz.Net Blog Title

2022年7月アーカイブ




世界のジャズライブを発信するサブスクリプションサービス(Oh!Jazz)が日本公開!


"Oh! Jazz"
https://www.ohjazz.tv/japan


配信サービスの普及により、自宅にいながらジャズライブを観ることは日常的になりつつありますが、世界中の代表的なクラブで開催されるジャズのライブコンサートを、直接放送、観ることができるオンデマンド・ストリーミング・プラットフォーム、"Oh! Jazz"がこの度、日本公開されました。

このプラットフォームは、元Fox Networks Europe & Africa社長がジャズに惚れ込み立ち上げた世界基準のジャズ番組で、映像技術にこだわったライブ配信と様々なコンテンツが揃っています。

また"Oh! Jazz"は世界各国のジャズクラブとパートナーシップを結んでおり、東京は「Body & Soul」、ロンドン「606 Club」、マドリッド「Cafe Berlin」、メルボルン「TheJazzLab」、シドニー「Foundry 616」、オースチン「The Parker Jazz Club」といったジャズクラブからのライブをリアルタイム&アーカイブで見ることができます。

日本語による説明、紹介もありますので安心して利用できることも魅力。
ジャズを愛する人達でつながる新しいジャズライブの楽しみ方といえる"Oh! Jazz"。

興味ある方は是非どうぞ。



Oh! Jazz Reel from Oh! Jazz on Vimeo.





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【プラットフォーム名】
Oh! Jazz
https://www.ohjazz.tv/japan


【概要】
世界中の代表的なクラブで開催されるジャズのライブコンサートを、
直接放送するオンデマンド・ストリーミング・プラットフォーム。


【料金】
月額:3,300円
または年額:33,000円で加入でき、
ライブやオンデマンドのコンテンツを無制限に視聴することができます。

購読の変更・解約も簡単に行えます。


【その他】
・iOSとAndroidの両方を含むあらゆるデバイスでストリーミングが可能。
・最新の公演カレンダーはウェブサイトに掲載されています。


【SNSアカウント】
Facebook @ohjazztv
Instagram @ohjazztv


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NYを拠点に活躍するピアニスト、海野雅威さん。
3月にリリースした新作『Get My Mojo Back』を引っさげてのツアー第二弾がスタート!




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『Get My Mojo Back』発売記念ツアー


海野雅威 - piano
吉田 豊- bass
海野 俊輔 - drums


総合Info.:https://www.tadatakaunno.com/


2022年7月26日(火) 函館 spAce ICHIGoICHIe
北海道函館市弁天町16-2
前売6,500円/当日7,000円
詳細・予約:space151e.hakodate@gmail.com


2022年7月27日(水)、28日(木) 札幌 ジャムジカ
北海道札幌市中央区北4条西28丁目1-16 ラ・ワイスビルB1F
2set 入替制 前売6,500円
詳細・予約:www.jamusica.jp


2022年7月30日(土) 根室 サテンドール
北海道根室市大正町1-24
※こちらの公演はコロナ感染蔓延予防の為キャンセルとなっています。


2022年7月31日(日) 釧路 北海道立釧路芸術館 アートホール
北海道釧路市幸町4丁目1番5号
前売6,000円 / 当日7,000円
詳細・予約:喫茶BROS 0154-41-6822 (16:00-20:00)


2022年8月2日(火) 旭川 Mokera Mokera
北海道旭川市旭岡2-12-11
前売6,500円 / 当日7,000円
後援 旭川市教育委員会
詳細・予約:mokerayoyaku@yahoo.com


2022年8月6日(土) 魚津 UO!JAZZ 2022 5th
海の駅蜃気楼「風の地平線 蜃気楼」モニュメント前
富山県魚津市村木町 定坊割2500-2
詳細:魚津まつり実行委員会
0765-22-1200 https://star-uozu.jp/uo-jazz


2022年8月7日(日) 飛騨高山 日下部民藝館
岐阜県高山市大新町1-52
詳細・予約:日下部民芸館 0577-32-0072


2022年8月8日(月) 神戸 100BANホール
兵庫県神戸市中央区江戸町100番地
入替制 (2ndのみ配信あり)
詳細・予約:100ban.jp hall@100ban.jp


2022年8月9日(火) 岡山 Cafe SOHO
岡山県岡山市北区今4丁目4-8
前売6,500円/当日7,000円
詳細:090-4140-8386 (担当:岡崎)


2022年8月10日(水) 防府 アスピラート
山口県防府市戒町1-1-28
前売5,500円/当日6,000円
詳細・予約:海野雅威トリオ 防府実行委員会 090-1359-9310


2022年8月11日(木) 岡崎 図書館交流プラザ りぶらホール
静岡県岡崎市康生通西4丁目71番地
詳細・予約:グルーヴィングジャミ jazz-ami@nifty.com


2022年8月13日(土) JAZZ ON A SUMMER'S DAY
akiko × 海野雅威 TRIO
Park Hyatt Tokyo 39F ボールルーム
OPEN 18:30 / START 19:30
https://jazz-on-a-summers-day.peatix.com

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【海野雅威】(ピアニスト)
1980年、東京生まれ。
4 歳からピアノを弾き始め、9 歳でジャズ・ピアノを始める。

東京藝大在学中の18 歳からミュージシャンとして活動を始める。鈴木良雄、伊藤君子、大坂昌彦らシーンを支える多くのミュージシャンと共演し若い世代の旗手的存在であったが、さらにジャズのルーツや文化に触れる為、2008年にニューヨーク移住。
ゼロから新たにスタートした新天地でもトップミュージシャンに認められ、 故ジミー・コブ(ds)、クリフトン・アンダーソン(tb)、ウィナード・ハーパー(ds)、故ロイ・ハーグローヴ(tp)、ジョン・ピザレリ(g, vo)、ジャズメイア・ホーン(vo)等のバンドでの活動の他、自身のトリオでも演奏を行っている。

2013年にはヴィレッジ・ヴァンガードでジミー・コブ・トリオのピアニストとして日本人初出演。その一週間公演は、オーナーであった故ロレイン・ゴードンをはじめ、耳の肥えた地元ジャズ・ファンを唸らせ本場ミュージシャンの仲間入りを果たす。

2014年、敬愛する名ジャズ・ピアニスト、故ディック・モーガンのトリビュートコンサートのピアニストに推挙され、古くからの地元ファンに歓迎された。以降ワシントンD.C.を中心にかつてのディック・モーガンのバンド・メンバーと共に演奏活動も行っている。

2016年6月、ジミー・コブ・トリオのレコーディングで訪れた伝説のヴァン・ゲルダー・スタジオで、レコーディング・エンジニアのパイオニア、ルディ・ヴァン・ゲルダー(当時91歳)にその才能を称賛される。その二ヶ月後、8月25日に惜しくも逝去され、ヴァン・ゲルダー氏の生涯最後のレコーディング・ピアニストとなる。
同年10月、現代の音楽界を支える多くのミュージシャンを輩出している名門ロイ・ハーグローヴ・クインテット日本人初のレギュラー・メンバーに抜擢され、ロイが亡くなるまでの2年間世界各地を回るツアーを行う。

2020年9月27日、コロナ禍のニューヨークにてアジア人ということだけで襲われ、重傷を負う。緊急手術後に一時帰国し、約半年に及ぶ治療を行った後、アーティスト活動を再開すべく、2021年に再度ニューヨークへ渡航。8月にブルーノート・ニューヨークにおけるジョン・ピザレリ・トリオの公演で演奏に復帰、秋には日本でも「奇跡の復活ツアー」を敢行し、ブルーノート東京で千秋楽を迎える。差別や暴力に屈せず、混沌とした時代だからこそ音楽の力を信じる姿は、NHKスペシャル「素晴らしき世界~分断と闘ったジャズの聖地~」でも取り上げられ、大きな反響が寄せられる。

また、惜しまれつつ世を去った日本の名ジャズ・ピアニスト世良譲、ジャズ・ピアノの巨匠ハンク・ジョーンズ、テナー・サックス&フルートの巨匠フランク・ウェスが、晩年最も期待を寄せていたピアニストでもあり、CDでの共演の他、音楽のみならず人生の師として交流を深めていた。
2010年5月16日、世界中のジャズ・ファンに愛され最期まで音楽への情熱を燃やし続けたハンク・ジョーンズが91年間の人生に幕を閉じる時、その最期に立ち会う。師の志を受け継ぎ、自己の音楽を追求することで本分を全うしていきたいと強く感じている。

https://www.tadatakaunno.com

パーク ハイアット 東京が、一夜限りのジャズ・クラブに!

ジャズヴォーカル、akikoとNYを拠点に活躍するピアニスト、
海野雅威 率いるトリオの演奏を「パーク ハイアット 東京」という
最高のロケーションで楽しむことができるスペシャルなライブ。

これ以上贅沢なひとときはめったにないハズ。
東京を代表するラグジュアリー空間での、"真夏の夜のジャズ"。
是非ご堪能ください。



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いつの時代も世界中の人々を魅了し続けてきた、東京を代表するラグジュアリーホテル、パーク ハイアット 東京。2022年夏、パーク ハイアット 東京が一夜限りのジャズ・クラブに変身します。


Verve初の日本人女性ジャズシンガーとして国内外で活躍し、毎年クリスマスにはパーク ハイアット 東京でディナーショウを開催する他、ファッションやライフスタイルでも注目を集める人気アーティスト [akiko] と、2年前、ニューヨークの地下鉄でアジアンヘイトの悲惨な暴行事件に遭い大怪我を負いながらも、世界中のサポートと期待を受け奇跡的な復活を遂げた話題のピアニスト [海野雅威] のトリオの、エクスクルーシブな共演が実現します。


39階からの美しい夜景と、この日のためだけに特別に用意されたドリンク、フィンガーフードとともに、真夏の夜のジャズをお楽しみください。


【イベント名】
JAZZ ON A SUMMER'S DAY


【日時】
2022年8月13日(土)
OPEN 18:30 / START 19:30


【出演】
akiko×海野雅威トリオ


【場所】
パーク ハイアット 東京 39階 ボールルーム
東京都新宿区西新宿3-7-1-2 TEL:03-5322-1234
https://tokyo.park.hyatt.com
*JR新宿駅南口より徒歩12分 / 都営大江戸線都庁前駅より徒歩8分
*新宿西口エルタワー横よりホテルまで無料送迎シャトルサービス(定員9名)を運行


【チケット】
1名様 15,000円 (2ドリンク+フィンガーフード、ショー、サービス料、税込)
*ドリンク内容:New York Bar オリジナル エスプレッソマティーニ、ビール、白ワイン、赤ワイン、ウィスキー、ソフトドリンク
2人とパーク ハイアット 東京に所縁のあるNew Yorkをイメージして、New York Barオリジナル エスプレッソマティーニをご用意してお待ちしております。
チケットの購入はこちら(Peatix)


【注意事項】
*今後の新型コロナウイルス感染症の感染状況、政府・自治体からの要請等により、時間及び内容を変更する場合がございます。あらかじめご了承ください。
*お席は予約先着順の全席指定とさせていただき、ご希望は承っておりません。あらかじめご了承ください。
*ご入金後のキャンセル及び返金はご容赦ください。
*乳幼児・未就学児童のご入場はご遠慮いただいております。
*ショー中の写真撮影及び録画、録音は固くお断りいたします。
*会場内は全席禁煙となります。


【お問い合わせ】
パーク ハイアット 東京
TYOPH-Events@hyatt.com
新型コロナウイルス感染症に対応した予防的措置については、公式ウェブサイト(Hyatt.com)をご覧ください。


【詳細】
https://jazz-on-a-summers-day.peatix.com




My First Jazz Vol.52-Kan Sano:My First Jazz

Title : 『Monk's Music』
Artist : Thelonious Monk

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「僕の初めてのジャズアルバムはずばり、セロニアス・モンクの『Monk's Music』です。

このアルバムを初めて聴いたのは高校1年生の時。それ以前は日本のポップスだったりビートルズみたいな洋楽のロックだったり 、割とポップスを聴いていたんですけれども、ピアノを結構弾くようになって、もっと上達したい、もっとアドリブができるようになりたい、もっとコードを覚えたい、という気持ちが強くなりジャズに興味を持ち始めました。

ただ周りにジャズを聴いている人はほぼおらず、何を聴いたらいいのか全く分からなくて。それで地元の CD ショップに行ったらジャズのコーナーにフリーペーパーのカタログが置いてあり、そこにモダンジャズの"名盤" 、"巨匠"といわれているようなアーティストがいっぱい紹介されていて、そこに載っていたのがマイルス・デイビスやジョン・コルトレーン、 ビル・エヴァンス、セロニアス・モンク、ソニー・ロリンズなどでした。

実を言うと僕は最初にマイルス・デイビスに興味を持っていて『Bags' Groove』というアルバムを買ったのですが、よく分からなくて。なんだこの地味な音楽はと思ったんです。今聴くとかっこいいんですけど、当時は全く分からなくて。それで、もう1枚買ってみようと思い、そのカタログに載っていた『MONKS MUSIC』を 買いました。

セロニアス・モンクってジャズ・レジェンドの中でも異端児と言うか、かなり個性的で変わった人で ピアノの音色とか弾き方とか あんまり他にいないタイプですよね 。ジャケットもおしゃれで他のジャズのアルバムと違っていてそこがかっこいいなと思いました。

このアルバムから1曲選ぶとすれば2曲目の『Well, You Needn't』です。

当時僕は MD でこのアルバムをよく聴いてたんです。 高校に向かう通学中によく聴いていたので、このアルバムを聴くと今だによくその時のことを思い出します。

だから僕にとって本当にジャズの原体験と言うか、自分にとってのジャズのベースになっている、そんな作品です。」

Kan Sano


My First Jazz

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Title : 『Monk's Music』
Artist : Thelonious Monk
LABEL : Riverside Records
発売年 : 1957年



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】
01.Abide With Me
02.Well, You Needn't
03.Ruby, My Dear
04.Off Minor
05.Epistrophy
06.Crepuscule With Nellie








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Kan Sano
キーボーディスト/プロデューサー。
バークリー音楽大学ピアノ専攻ジャズ作曲科卒業。
ビートミュージックシーンを牽引する存在である一方、ジャズとクラシックを融合したような独自のスタイルでピアノ一本の即興演奏もおこなう。バンドセットのライブではトランペット、ベース、ドラムも演奏し、会場を熱狂させる。
リリースした楽曲「On My Way Home」「DT pt.2」「Sit At The Piano」それぞれの再生回数が1,000万回を突破。日本人音楽家としての存在を確立する中、イギリスの名門レーベル Decca Recordsから日本人として初リリース。また、Tom Mischが「Kan Sanoのファンだ」と公言し、自らの日本・韓国公演のオープニングアクトに指名するなど国内外で活躍。
さらに、プロデューサー、キーボーディスト、リミキサーとして、Chara、UA、平井堅、絢香、m-flo等、多数のアーティストのライブやレコーディングへも参加、CM音楽や劇伴も数多く担当している。
"Kan Sano" の名は、様々なシーンに破竹の勢いで浸透中。







Latest Album

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Title : 『Tokyo State Of Mind』
Artist : Kan Sano
LABEL : origami PRODUCTIONS
NO : OPCA-1051
RELEASE : 2022.4.27



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】
01. I MA feat.dosii
02. image
03. Tokyo State Of Mind
04. 逃飛行レコード (98bpm)
05. My One And Only Piano
06. いかれたBaby
07. Play Date feat.ともさかりえ
08. Make It Better
09. Good Sign
10. Natsume
11. おやすみ





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【KKBOX Podcast「My First Jazz」】
JJazz.Netとの連動によるオリジナルコンテンツ。
ジャズ・ミュージシャン本人の音声コメントをお届けしています。
KKBOX Podcast


KKBOX
500以上のメジャー・ローカル音楽レーベル様や権利者様と提携し、9,000万曲の楽曲を配信。
なかでも世界最大数を誇るC-POPを取り揃えているアジア大手の音楽聴き放題サービス。
2022年より日本でも音声コンテンツ/ポッドキャストの提供がスタート!


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みなさんこんにちは。トランペットとピアノの曽根麻央です。
まず最初にお知らせがあります。

先日7/13(水)より シングル「Days of Wine and Roses(酒とバラの日々)」が配信されました。
是非聴いてください!

これは私、曽根麻央が数々の名曲をピアノソロ中心に録音した"Plays Standards"シリーズの一環で、このシリーズは今月から12月までの間、毎月2曲ずつ配信していきます。注目しておいてください。


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【Days of Wine and Roses / 曽根麻央】(各配信サイト)
https://ultravybe.lnk.to/thedaysofwineandroses


まだ一曲のみですが計12曲にも及ぶのでこちらのSpotifyプレイリストに随時まとめていく予定です。




そして東京の丸の内コットンクラブではこれに先駆けて配信を記念したライヴを開催します。
会場でお会いしましょう!



【MAO SONÉ "Plays Standards" with DAVID BRYANT & TAKANA MIYAMOTO】





"ジャズ二刀流"と称される若き才能と2人のピアニスト
スタンダード曲の数々を贅沢な内容で届ける一夜


【SCHEDULE】
2022 9.2 fri.
[1st.show] open 5:00pm / start 6:00pm
[2nd.show] open 7:45pm / start 8:30pm


【MEMBER】
曽根麻央 (p,tp)
【Guest】
デヴィッド・ブライアント (p,key)、 宮本貴奈 (p,key)


【詳細】
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/mao-sone/

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Title : 『Oscar Peterson Trio + One』
Artist : Oscar Peterson Trio Clark Terry


【オスカー・ピーターソン&クラーク・テリーによる巨匠の名演】

さて今回はピアノの名手オスカー・ピーターソンと、ジャズ・トランペットの神様、クラーク・テリーの共演した名盤『Oscar Peterson Trio + One』を聴いていきましょう。

このアルバムは1964年のもので、ピーターソンが39歳、クラーク・テリーが44歳と、丁度中堅に差し掛かり心地よいジャズを演奏するのにちょうど良い年齢に達した二人の巨匠の名演集ともいえる作品です。

クラーク・テリーという名前に馴染みがない方はすぐにでも覚えてほしい。この人ほどトランペットという楽器をここまで高度に操れた人は過去にはいないのです。
技術だけなのかというとそうではなく、この人ほどトランペットを自身の声として扱うことに長けていた人はいないでしょう。プレイヤーとしてでなく94歳で亡くなる2015年まで教育者としても尊敬されていた人です。

1920年に生まれ、カウント・ベイシーとデューク・エリントン・オーケストラというジャズ界の歴代2大ビッグバンドのソリストとして活躍し、ソロ活動も精力的に行なっていました。またマイルス・デイヴィスのメンター(ただの楽器の先生としての意味合いではなく生き様を見せることで後進の指導をするような人の意)として有名です。ウィントン・マルサリスやクインシー・ジョーンズといった一流のアーティストも彼のことをメンターとして挙げています。ジャズのシーンだけでなくNBCなどのTVミュージシャンとしても活躍したマルチ・タレントです。

そんな彼のトランペットの音は、立ち上がりがよく、艶やかでリズミカル。まるで彼自身の声を聴いているかのようです。このアルバムでも収録されている「Mumbles」でクラーク・テリー自身のスキャットも聴けます。ぜひ彼のトランペットと歌の共通点を見つけてみてください。






Clark Terry - trumpet, flugelhorn, vocal
Oscar Peterson - piano
Ray Brown - double bass
Ed Thigpen - drums



オスカー・ピーターソンの最も有名なトリオにクラーク・テリーが乗っかったアルバムです。このコラボはツアーなどで以後も続いていきます


01. Brotherhood of Man

早速、心地よい快速なスウィングの曲で始まります。クラーク・テリーはプランジャー・ミュートという、いわゆるトイレのスッポンのゴム部分を使用しており、これをトランペットのベルのところで開けたり閉めたりすることで、まるで喋るような、歌詞を歌っているかのような演奏を聴かせてくれます。エリントン・ビッグバンドのアレンジによく登場する奏法です。このプランジャーを使った演奏は彼の得意技で、他の追随を許しません。ぜひ楽しんで聴いてください。


02. Jim

少しゆったりとしたスウィングの曲。ピーターソントリオで1コーラステーマを演奏し、テリーに引き継がれます。テリーに引き継がれると、トランペットの音を変化させ彼がまるで二人に分身したかのように掛け合いで演奏を始めます。実は右手にフリューゲルホルン、左手にハーマン・ミュートをつけたトランペットを持っていて、それをパートによって吹き分けています。これもテリーの芸の一つで、トランペットを左手でも持てるように取り外し式のピンキーフックを楽器に装着し使っています。2人のジャズの巨匠が掛け合いをしてるようでとても楽しいトラックです。ちなみにクラーク・テリーのハーマン・ミュートの音が後にマイルス・デイヴィスに影響を与えたと言われています。


03. Blues For Smedley

Abのシンプルなブルース。一曲目と同じくプランジャー・ミュートを駆使しています。テリーの音は全てのレンジで立ち上がりが素晴らしく、ハリのある音色でジューシーです。そして何よりスウィングしますね!特にこのトラックではピーターソンだけでなくレイ・ブラウンのソロも聴くことができます。


04. Roundalay

ようやくテリーのオープンなトランペットサウンドが聴けます。今までと少し毛色の違う寂しげな曲。オープンなトランペットサウンドでとても真のある音にも関わらず、柔らかく人々の耳を決して痛めることのない優しさのある音だと思います。彼の速いフレーズを吹くときに注目すれば、彼のトランペットが恐ろしくクリーンでクリアであることに気づかされます。なぜ他のジャズ・トランペッターが憧れたかがわかるでしょう。


05. Mumbles

テリーの「芸」はプランジャーやフリューゲルとの持ち替えだけではありません。ここでは巧みなスキャットを披露します。" Mumbles"と人々が呼ぶそれはまるで南部訛りの男性が話しているかのように展開されます。しかし言葉に意味はありません。そこにはただソウルとリズムがあり、その全てがテリーのトランペット演奏に反映されています。


06. Mack The Knife

有名なジャズスタンダード。ここでテリーはバケットミュートという棉の詰まったミュートを使用しています。このアルバムには様々なミュートが登場します。この時代はエフェクターがないのでミュートを変えたりフリューゲルに持ち変えることで曲調に合う音色を探していたことがわかりますね。正直この曲のテリーのソロは神業です。歯切れ良い丁寧な3連音符。それと対となるようなスピード感ある16分音符。世界最高のトランペッターの軽い本気が聴けます。


07. They Didn't Believe Me

ピーターソンのソロから始まるバラードの曲。この曲ではテリーはフリューゲルを使用しています。実はテリーは稀に見るフリューゲルの名手としても有名で、ハイノートや激しい演奏など、通常フリューゲルでは難しいとされていることも何気なくこなしてしまいます。そのテイクではテクニカルな一面は封印して、歌心あるメロディープレイに集中しています。


08. Squeaky's Blues

速いテンポのブルースの曲。こちらもバケットミュートを使用しています。テリーのアーティキュレーションの綺麗さが際立つ一曲です。このタイプの演奏スタイルは現在ではウィントン・マルサリスが継承していて、彼の演奏を聴きに行けば今でも体感することができます。このテンポはピーターソンも得意とするところで輝くようなタッチで軽やかに演奏しています。


09. I Want A Little Girl

プランジャーを使ったバラード曲。通常プランジャーを使う場合左手はプランジャー操作で忙しくなるので楽器自体は右手のみで持つことになります。このためとても楽器の演奏自体が困難になるのですが、テリーはダイナミックスまでも見事につけてトランペットを完璧に操っています。4:37以降のエンディングは圧巻です!


10. Incoherent Blues

再びテリーの"mumbles"をスローブルースで聴くことができます。よりしゃべっている感覚が伝わってくると思います。これが実にジャズという音楽でアートなのです。

それではまた次回。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

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Title : 『Oscar Peterson Trio + One』
Artist : Oscar Peterson Trio Clark Terry
LABEL : Mercury
発売年 : 1964年

アマゾン詳細ページへ

【SONG LIST】

01.Brotherhood Of Man
02.Jim 
03.Blues For Smedley
04.Roundalay
05.Mumbles
06.Mack The Knife
07.They Didn't Believe Me
08.Squeaky's Blues
09.I Want A Little Girl
10.Incoherent Blues 




【曽根麻央LIVE INFO】

7/20 (Wed) @ Body & Soul, Shibuya
Takana Miyamoto & Mao Sone
​​
7/22 (Fri) @ Cotton Club, Tokyo
Saku Yanagawa "Time To Standup at COTTON CLUB Tokyo"
​​
7/23 (Sat) @ Kanze Nohgakudo, Ginza
Edo Jazz
​​
7/24 (Sun) @ Cabin, Honatsugi
Mao Sone SOLO

7/25 (Mon) @ Apple, Yokohama
Yuya Wakai & Mao Sone
​​
7/26 (Tue) @ 104.5, Ochanomizu
Good Jam Session
​​
7/27 (Wed) @ TBA
Secret Event
​​
7/28 (Thu) @ Alfie, Roppongi
SkyFloor (feat. Hiro Suzuki, Shota Watanabe, Shunya Wakai & Mao Sone)

8/6(Sat) @ Naru, Yoyogi
Ayana, Mao Sone, Nori Shiota
​​
8/11(Thu) @ Nardis, Kashiwa
Mao Sone Trio (feat. Yuji Ito & Hiro Kimura)
​​
8/12 (Fri) @ Body & Soul, Shibuya
Mao Sone, Taka Nawashiro, Shin Sakaino, Kazu Odagiri

​​8/14 (Sun) @ No Room For Squares, Shimokitazawa
Ryo Miyachi
​​
8/20 (Sat) @ Nagareyama-city Shogai Gakushu Center
Mizuki Shikimachi & Mao Sone

​​8/21 (Sun) @ Cabin, Hon-atsugi
Mao Sone, Yoshiki Takahashi, Hayato Yamazaki


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

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「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』

Reviewer information

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曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

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SUGIZO(LUNA SEA、X JAPAN)率いるサイケデリック・ジャムバンド・SHAG。
結成20年目にして待望の1stアルバム『THE PROTEST JAM』を7月1日にリリース。

SHAGはSUGIZOが2002年に結成したジャムバンドで、2020年、リリース半世紀記念となるマイルス・デイヴィスの金字塔『Bitches Brew』リスペクトをコンセプトに、よりドープで過激なインタープレイを展開するべく12年ぶりに再始動。

SUGIZO(G, Violin)をリーダーにメンバーは、今や日本を代表するベースヒーロー KenKen(Ba)、SUGIZOの15年来のセッションメイトで、現代ジャズ・シーンの先頭を走る屈指のインプロヴァイザー 類家心平(Tp)、元Yasei Collectiveの鬼才であり、SGZのオリジナルアルバム『ONENESS M』にも客演した別所和洋(Key)、SUGIZOソロライヴでもお馴染み、SGZが最も信頼を寄せる多彩なパーカッショニスト よしうらけんじ(Per)、そして2020年の再生SHAGに抜擢され、話題となった新世代の超絶技巧ドラマー 松浦千昇(Dr)。

この1stアルバムは、SHAG再始動以降の全ての公演の録音から選りすぐりのテイクをSUGIZO自身がエディットし、日時も場所も異なる数々のテイクを混在させた音源を使用。その上で各メンバーの必要なオーバーダビングをスタジオで追加するという'60〜'70年代のエレクトリック・マイルス作品や往年のフランク・ザッパ作品における手法を、現代のテクノロジーにてより優れた効率で表現。

レコーディングとミックスダウンは日本ダブ界の重鎮 Dub Master X氏と、SUGIZOやLUNA SEA作品を数多く手がける大野順平氏 (STUDIO SOUND DALI)が担当。

今年の話題の1枚になることは間違いありません。
アルバムより「Rebellmusik」のミュージック・ビデオが公開!






アルバム情報

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Title : 『THE PROTEST JAM』
Artist : SHAG
LABEL : SEPHIROT
NUMBER : SPTC-1011
RELEASE : 2022.7.1



アマゾン詳細ページへ


【SONG LIST】
01. ANTI-WAR I
02. THE CAGE
03. Initiation of Rebellion
04. FATIMA
05. RebellmusikRebellmusik
06. Round Midnight
07. Jam in the Plandemic
08. ANTI-WAR II




【江戸Jazz 2022】 2022年7月23日(土)17:00~ @観世能楽堂(GINZA SIX地下3階):ライブ情報 / LIVE INFO

能の舞台「銀座 - 観世能楽堂」で「江戸ジャズ 2022」開催!

プロデュースは和田明(vo)。渡辺翔太(p)、鳥越啓介(b)、山田玲(d) をホストバンドに、
スペシャルゲストとして石川紅奈(b&vo)、井上銘(g)、小西遼(sax) 、曽根麻央(tp)と
JJazz.Netでもおなじみの素晴らしい面々が出演します。

次世代ジャズを牽引するミュージシャンのライブをこのロケーションで観られる貴重な機会です。



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アメリカで生まれ100年以上の歴史を持つJazzは、世界中のアーティストたちの多様なルーツを受け入れ、愛され続けてきました。国境も世代も言語も超越するコミュニケーション・ツールとして、今なお世界中で進化を遂げています。
未知を受け入れリスペクトするJazzの自由で逞しい精神は、日本の若いアーティストたちの心にも根ざし、力強く芽を伸ばし続けています。 私たちは、その精神こそが窮屈な時代を生きる現代人を励ましてくれる存在だと信じています。

2022年夏、江戸Jazzは、日本古来の伝統文化である能の舞台「観世能楽堂」でJazzライブを開催いたします。
その日、その場所、オーディエンスで曲が形を変えていくJazzのライブ。唯一無二の組み合わせは、奇跡的なパフォーマンスを生み出します。そこで生まれた作品たちは、空気に溶けて感動と余韻だけを残していきます。 日本の伝統的な空間を包み込む、デジタルでは味わえないJazzの世界に全身で浸ってみませんか。 生きたJazzならではの感動を、注目の若手アーティストたちによるインタープレイを通じてお楽しみください。


【イベント名】
江戸Jazz 2022


【日時】
2022年7月23日(土)17:00~19:30
(16:30 開場 17:00~17:15 オープニングアクト)


【出演】
和田明(vo) / 渡辺翔太(p) / 鳥越啓介(b) / 山田玲(d) / 石川紅奈(b&vo) / 井上銘(g) / 小西遼(sax) / 曽根麻央(tp)


【場所】
観世能楽堂
東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 地下3階


【チケット】
SS席-8,800円 S席-6,600円(税込)
チケットの購入はこちら(チケットぴあ)


【問い合わせ先】
江戸ジャズ実行委員会 03-5542-0865


https://edojazz.jp




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