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JJazz.Net Blog Title

2023年4月アーカイブ

My First Jazz Vol.61-仲野麻紀:My First Jazz

Title : 『Music On Canvas』
Artist : Slawek Jaskulke

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「初めてのジャズアルバムというより、こういうのも今のジャズとして紹介されるべきだなと思いピックアップしました。

ポーランドのピアニスト、スワヴェク・ヤスクウケ。2021年のアルバム『ミュージック・オン・キャンパス』です。これを聴いた時、次元をトリップするような感覚を得ました。

その理由の一つは調律。ピアノは一般的には440 Hz、あるいは442Hzで調律されるものなのですが、彼はこのアルバムを428Hzで調律して演奏しているんです。この摩訶不思議な音空間に私は衝撃を受け、中毒性を持つその音楽にやられてしまいました。

そして、この作品は、ポーランド現代美術シーンで最先端を走り続ける、ラファウ・ブイノフスキが作った連作のnocturne。この絵に対しての共作的な作品としてこのアルバムが出来上がったということです。

この作品を聴く時、意外と車の中や列車の中というのが多いんです。車窓とリンクするような音楽性、そして流動性。本当に惚れ惚れするような音の連なりで、彼の場合はピアノですが、私もこういう音楽をサックスでいつか演奏できるようになりたいなと思った1枚です。」

仲野麻紀



My First Jazz

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Title : 『Music On Canvas』
Artist : Slawek Jaskulke
LABEL : コアポート
発売年 : 2021年



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【SONG LIST】
01.Music on canvas I
02.Music on canvas II
03.Music on canvas III
04.Music on canvas IV
05.Music on canvas V
06.Music on canvas VI




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【POLISH PIANISM Concert】

quietな世界観で多くのファンを持つTHE PIANO ERAと
良質なサウンドを届ける日本のレーベルCORE PORTが共同企画コンサートを開催。

「POLISH PIANISM Concert」ということで、
ポーランド・ピアニズムを体現する二人のピアノ音楽家が出演。
どこまでも透明で美しい、POLISH PIANISM に浸る一日です。

【日時】
2023年5月13日(sat) 16:30open/17:30start

【出演】
スワヴェク・ヤスクウケ/横山起朗

【場所】
めぐろパーシモンホール 大ホール
〒152-0023 東京都目黒区八雲1-1-1
(東急東横線【都立大学駅】より徒歩7分)

詳細(JJazz.Net)






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【渋谷毅×仲野麻紀、夢の共演!】
2023年3月18日『アマドコロ摘んだ春~ Live at World Jazz Museum 21』発売

パリを拠点に日欧で活躍するサックス奏者仲野麻紀の積年の夢であった渋谷毅との共演が実現しました。伊香保温泉近郊ワールド・ジャズ・ミュージアム 21での2022年10月9日のライヴ録音です。仲野の影武者(fx)を従えたアルト・ソロによる<ジムノペディ>、渋谷のピアノ・ソロによる<ラヴァー・マン><グッドバイ>(板橋文夫、<夜>(浅川マキ)、渋谷と仲野のデュオによる<イスファハン>(エリントン)、仲野のヴォーカルが楽しい<デルフィーヌの歌><ウスクダラ>、二人のデュエットによる<アマドコロ摘んだ春>など聴きどころ満載です。


【渋谷毅&仲野麻紀 「アマドコロ摘んだ春-リリースツアー-」】
4/27 at 京都 SOCO
4/28 at 名古屋 Jazz inn Lovely
4/29 at 下北沢 Lady Jane





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仲野麻紀 (sax, metal clarinet)
2002年渡仏。自然発生的な即興、エリック・サティの楽曲を取り入れた演奏からなるユニット「Ky」(キイ)、ブルキナファソ&コートジボアール&フランス&日本の音楽家たちに よる多国籍バンド「Bala Dee」(バラ・デー)、モロッコ スーフィー教団楽士+フリージャズのプロジェクトなどを並行し、ジャズとワールドミュージックを横断。演奏活動の傍ら2009年から音楽レーベル、コンサートの企画・招聘を手がけるopenmusic を主宰。
フランスではアソシエーションArt et Cultures Symbiose(芸術・文化の共生)を設立、日本文化の紹介に従事。今までに作家夢枕獏、ドリアン助川、発酵デザイナー小倉ヒラク、庭師石川佳 等様々な分野の講演会、ワークショップを企画。
自ら構成、DJを務め月の満ち欠けで放送するインターネット・ラジオ openradioは200回を超えて続行中。
音の生まれる空間、トラッド・ミュージシャンたちとの演奏を綴った『旅する音楽』(せりか書房 2016年)で第4回鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞。神社仏閣、田畑農場、図書館、山頂、様々な場所で演奏行脚中。多重録音による初のソロ・アルバム『openradio』をリリース。最新作は渋谷毅(P)とのライブ録音『アマドコロ摘んだ春』。ふらんす俳句会友。


openradiohttps://www.mixcloud.com/makinakano









Latest Album

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Title : 『アマドコロ摘んだ春~ Live at World Jazz Museum 21』
Artist : 渋谷毅/仲野麻紀
LABEL : Nadja21/King International
NO : KKJ9023
RELEASE : 2023.3.18



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【SONG LIST】
01. イスファハン D.Ellington& B.Strayhorn
02. デルフィーヌの歌(ロシュフォールの恋⼈たち) J.Demy&M.Legrand
03. 芍薬 仲野麻紀
04. ジムノペディN゚1 E.Satie
05. ⾬の中の兵隊 H.Mancini
  -グッドバイ 板橋文夫
 -夜 浅川マキ
 -ラヴァー・マン J. Davis, R.Ramirez & J.Sherman
06. 星のためらい 仲野麻紀
07. ウスクダラ Trad.
08. ニューヨーク19 J.Lewis
  -ラヴ・ミー J.Lewis
09. アマドコロ摘んだ春 西尾 賢






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【KKBOX Podcast「My First Jazz」】
JJazz.Netとの連動によるオリジナルコンテンツ。
ジャズ・ミュージシャン本人の音声コメントをお届けしています。
KKBOX Podcast


KKBOX
500以上のメジャー・ローカル音楽レーベル様や権利者様と提携し、9,000万曲の楽曲を配信。
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曽根麻央 Monthly Disc Review2023.4_中本マリ : LADY IN LOVE:Monthly Disc Review

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みなさんこんにちは、マルチインストゥルメンタリストの曽根麻央です。
今日は日本を代表するジャズ・シンガー、中本マリさんのアルバムをご紹介しようと思います。

今、世界的に空前のブームとなっているシティー・ポップ。その流れを組みつつも全曲英語のオリジナルで勝負したマリさんの81年の意欲作『Lady In Love』をご紹介しようと思います。
時代を超えて、ジャンルを超えて支持される名盤だと思います。


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Title : 『LADY IN LOVE』
Artist : 中本マリ



実は私は個人的にマリさんとご縁があり、マリさんのピアノ奏者、アレンジャーとして去年から仕事をご一緒にするようになりました。その中でマリさんが今までオリジナルの曲をもう何十年と歌っていないし譜面も消失してないのだけれど、僕ともう一度再構築してライブで歌ってみたいと言っていただきました。

そして改めて譜面を書き起こすために音源を探していてこのアルバムに出会いました。全ての楽曲の完成度の高さ、アレンジの良さ、そして音の良さに驚愕し、こんな素晴らしいアルバムが日本発であったのかと驚愕しました。

ソングライターにはRoberta Flackの音楽監督を勤めたことでも有名なBarry Milesを主に迎え、リズムセクションにもAbraham Laborielなど強力なミュージシャンを集めたアルバムになっています。
またBarry Milesのシンセサイザーがストリングスと上手に絡まり、まるでオーケストラの一因のようなアンサンブルの役割を果たす箇所も多くあり斬新です。楽器の構成も様々な楽器がミックスされていて奥深い作品です。
オーケストラやバンドの厚みを超えてこちらに飛んでくるマリさんの歌唱も素晴らしいレベルで収録されており、聴く人を圧巻させます。ミックスなどの音作りも最高な一枚です。



Vocal - Mari Nakamoto
Drums - Alex Acuña
Electric Bass - Abraham Laboriel
Electric Guitar - Michael Sembello
Percussion - Steve Forman
Piano, Synthesizer [Mini Moog] - Barry Miles
Guitar - Tim May
Tenor Saxophone - Gary Herbig
Flute - Arthur Hoberman, Gary Herbig, Susan Stockhammer
French Horn - Henry Sigismonti
Harp - Gayle Levant
Percussion - Steve Forman







01. Sing Our Song Together

マツダのCMにもなった曲なのでお耳馴染みの方も多いでしょう。





Barry Milesの書いた美しいバラード曲でアルバムの幕が開けます。マリさんの抜ける歌声で聴く人を魅了します。マリさんの歌はリズムが正確で心地よいのが特徴で、曲のアプローチに対する努力や研究が伺えます。本人がお話しされた時にこれらの曲は全て初演になるのでデモがあったわけでもなく、ただただ譜面と向き合って曲を覚えて歌い方を工夫していったそうです。また録音も当時は一発録りが主流ですのでこのアルバムも例に漏れず「イッセーの」で録っているわけです。ですからマリさんや参加しているスタジオ・ミュージシャンの集中力は想像を絶するものと思います。
Barry Milesのシンセソロも抑揚と歌心があり聞き応えが満点です。


02. The Lady's In Love

アルバムのタイトルソングです。ラテン/フュージョンの曲でいろんなテイストが入っています。マリさんの代表曲の一つでライブでもいまだに人気が高い曲です。
Aセクションはシンプルな雰囲気のあるメロディーですが、Bセクションは細かく転調し、その構成はとても見事です。
途中マリさんとBarry Milesのスキャットとシンセユニゾンが曲にユニークなカラーを与えています。


03. You Gave To Me

Barry Milesの書いたバラード曲。他の曲よりもオーケストレーションが豪華に聞こえる作品です。


04. Loved You So Long

斬新でモダンなコード進行が特徴の一曲。斬新だけれどコード進行が非常に美しいのもBarry Milesの作品の特徴ですね。今聴いても古さを感じさせないセンスが素晴らしいと思います。


05. Benjamin

こちらは作家が変わりDon Grusinの曲になっています。繊細なニュアンスとピッチ感が求められるバラード曲だと思います。マリさんの幅広いレンジとハスキーな歌声を堪能できる一曲になっています。


06. Oops!

こちらもDon Grusinの書いたポップでファンキーな曲。技巧的なイントロにはっとさせられます。珍しい構成の曲で1回目のAが8小節、2回目のAが9小節、Bが9小節、Cが5+7小節で展開されています。独特の構成美で聴く人を魅了します。


07. We're Gonna Make Love Tonight

ここから再びBarry Milesの作品に戻ります。繰り返し演奏されるリフとメロディーが聴く人を自然と踊らせる曲です。


08. Don't Be Afraid Of Love

美しいバラード曲。AABAのシンプルな構成です。特にBからAに戻る瞬間のマリさんの歌声には感動してしまいます。マリさんの歌唱力を思い知らされる一曲になっています。


09. Is This The End?

美しいワルツの曲。繰り返される転調でカラーがコロコロと変わりますが美しく解決する見事なコード進行と流れる美しいメロディーが特徴の曲です。オーケストレーションもクラシカルで映画音楽のようです。


マリさんはもう10年近く新譜を出されていませんが、今も現役で人々に感動を与えています。今後のライブ活動やアルバム制作にも期待が寄せられているアーティストです。是非聴いてみてください。

それではまた次回。


文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

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Title : 『LADY IN LOVE』
Artist : 中本マリ
LABEL : JVC
発売年 : 1981年

アマゾン詳細ページへ

【SONG LIST】

01.Sing Our Song Together
02.The Lady's In Love
03.You Gave To Me
04.Loved You So Long
05.Benjamin
06.Oops!
07.We're Gonna Make Love Tonight
08.Don't Be Afraid Of Love
09.Is This The End?




【曽根麻央LIVE INFO】

4/20 (thu.) Peter Center Stage supported by Blue Note Tokyo
The Peninsula Tokyo (日比谷)
Member: 曽根麻央 (pf)

・19:00-, 19:50-, 20:40- (各20分)
・東京都千代田区有楽町1-8-1
・ご予約はこちら/Reservations

5/3 (wed.) 高槻城公園芸術文化劇場 南館 太陽ファルマテックホール
Member: 曽根麻央(pf)

・高槻市野見町6番8号
・時間: 7pm~​​

曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

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「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』

Reviewer information

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曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

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