1曲目の「Deep-Sea Fish Waltz」から全体を通してアーロン・チューライと石若はかなり自由度が高く、アンサンブルの中に色を散りばめ、須川のベースがそこに1本軸を通すように鳴ることもあれば、よりアグレッシブにフロントと反応しあう場面もありという全員が提案しつつ、反応しつつ繰り広げられるメンバー間のインタープレイはかなり聴きもので、聴きながら思わず感嘆をもらすような場面がどの曲にもある。コンテンポラリーな楽曲が続く中で、「The Mystery Of Onion Rings」では4ビートのブルースという伝統的な枠を使いながらも、それぞれの解釈で現代的にアップグレードされた新しい音を使って良い意味で遠慮のない会話がなされる。
このバンドの一番の魅力は何と言ってもこの遠慮の無い「会話」であるように感じた。「Nostalgic Farm」での美しいサックスにからむ端正なサウンドから次曲、「Sabaku No Akari」でバンドサウンド全体が大きな生き物のように唸って魅せる爆発力。このコントラストに代表されるように、バンドメンバー全員の楽曲への理解、イメージの共有のレベルが尋常ではない。この一時間近いアルバムのレコーディングを1日で終えたことがそれを物語っている。一分の隙も油断もなく次々に展開されるこのバンドサウンドは、今も日々ライブで磨きがかかっていっていることは間違いない。是非ライブに行ってその目で確かめて欲しい。
東京都出身。音楽愛好家。
幼少期にフリージャズと即興音楽を聴いて育ち、暗中模索の思春期を経てジャズへ。
2014年より柳樂光隆監修『Jazz the New Chapter』シリーズ(シンコーミュージック)
及び関西ジャズ情報誌『WAY OUT WEST』に微力ながら協力。
音楽性迷子による迷子の為の音楽ブログ"maigo-music"管理人です。
そして貴重な出会いもあった。ジャズクラブKitanoのジャムセッションで共演したシンガーMs. Blu。ブルージーでパワフルな彼女の歌、楽しく歌う姿、ブルーの衣装がとても印象的だった。私のライブにたまたまいらっしゃって、一曲バンドと一緒に歌っていただいた。その後まもなく、彼女のバンドのメンバーとして演奏を始めた。彼女はあたたかくピュアな心を持っていて、音楽をとても愛している。ライブ中のMCで、涙を流しながら話すMs. Bluを観ていると、このショーをいいものにしようという気持ちになる。信頼できる方で、"I'm here for you."と言ってくれるお友達。
つらいときに、
"I really want you to know that whatever is going on that upset you and keeps you sad from time to time you can confide in me. I am a good friend and I don't repeat anything that someone tells me in confidence I'm here for you."
"I feel like I've always known you. You have a beautiful heart!"
タイトルの"A Ray of Light"は、直訳すると「一条の光」という意味ですが、自分の中で一本筋が通っている状態、目標に向かって一本光がまっすぐに伸びているイメージを表したいと思って付けました。収録されているオリジナル曲は、タイトル曲ほか、勇敢に闘っている様子や、迷いながらも進んでいく様子を表現したものなど。皆様にはどのように感じていただけるのか、感想をお聞きするのが楽しみです。ジャズのスタンダード曲も、オリジナルバージョンとはだいぶ違った雰囲気にアレンジしているので、ぜひ一度チェックしていただきたいです。アルバムを聴いたMs. Bluは、"The arrangements are Rocking! I have not heard any new jazz material that I could fall in love with until NOW!" とメッセージをくれて、すごく嬉しい。
今年の5月のNYは、爽やかな日が多かった印象です。深夜4時になってもまだ近隣から大音量でラテンミュージックが聴こえるWest Harlemのアパートで、Broadway沿いの小さなカフェで、Bryant Park横のNew York Public Libraryで、日本に向かう飛行機の中で、6回に渡るこのコラムを書きました。
4歳でピアノを始め、ヤマハ音楽教室でクラシック演奏や作曲、アンサンブルを学び、幼少時代より作曲で多くの賞を獲得。大学を卒業後、趣味でアルトサックスを手にしたことをきっかけに、ジャズと出会う。
ジャズ・ライブに足繁く通う中、「ピアノでジャズ演奏を学びたい」と、ジャズ・ピアニスト今泉正明に師事する。バークリー音楽大学より奨学金を獲得後、2009年に渡米。2011年、「Professional Music Major Achievement Award」を受賞。ボストンで演奏活動を開始し、地元ラジオ局等に出演。多数の著名プレイヤーと共演する。ジャズだけでなく、クラシックのコンサートやミュージカルでも演奏。2011年卒業後、拠点をニューヨークに移し、北川潔、E.J. Strickland、Gilad Hekselmant等トップクラスのミュージシャンをバンドメンバーに迎え、ライブ活動を行う。2012年9月にはTomi Jazzの「Artist of the Month」に選ばれ、2013年1月には週刊NY生活に特集記事が掲載される。様々なジャンルのバンドでサイドマンとしても活躍。2014年4月には、所属するGregory McDowellバンドでの演奏の様子がNew York Timesに掲載される。その他、音楽学校でピアノやフルートの講師として、また教会でオルガン奏者としても活躍している。2013年、TBSドラマ「潜入探偵トカゲ」のサウンドトラックに、自身でアレンジしたソロピアノ演奏が収録される。日本テレビ音楽のミュージック・ライブラリーの楽曲、スマートフォンアプリのBGM等の演奏、またドラマ、映画、CMの音楽のアドバイザーを務めるなど、日本の音楽シーンへも活動の幅を広げる。2014年、初の帰国ライブを行い、大好評を博した。2015年、ニューヨークにて自己のバンドでレコーディングした1stアルバム「A Ray of Light」をリリースする。
ホセ・ジェイムスとのデュオ作品『For All We Know』で注目を集め
今年1月のシドニー・フェスティバルでは、現地の"ジャズグルーヴ・マザーシップ・オーケストラ"に、
マリア・シュナイダー(指揮)と共にスペシャルゲストとしてフィーチャーされた、ジェフ・ニーヴ。
新作を引っさげての日本ツアーが決定しました!
ベルギーで最も有名なジャズミュージシャンであるトゥーツ・シールマンスに続く存在として期待されているピアニスト、ジェフ・ニーヴがモーション・ブルー・ヨコハマに初登場を果たす。2003年のデビュー作以来、発売するアルバムは国内のジャズチャートで常に1位を獲得。レマンス音楽院でジャズと室内楽を学び、クラシック分野でもフランドル放送管弦楽団のためのピアノ・コンチェルトを書き下ろすなど幅広く才能を発揮している。ホセ・ジェイムスとのデュオ作品『For All We Know』は、後にホセがブルーノート・レーベルからデビューしたことで再注目されることになった。今年の豪州ツアーでは、現地のビックバンドにマリア・シュナイダー(指揮)と共にピアニストとしてフィーチャーされ絶賛を博した。ジェフ自身が「これまでの録音のなかで、最もチャレンジングだった」と語る新作『One』を携えての本公演。ピアノ一台で美しくドラマティックな世界を表現する。
そのBar Music中村さん選曲によるコンピレーションAL
『Bar Music × CORE PORT Precious Time for 23:00 Later』が、5/20にリリースとなりました。
この作品は、世界中の良質なサウンドを次々と送り出す素敵なレーベル
CORE PORTの音源の中からセレクト。
テーマは" Precious Time for 23:00 Later"、夜の音楽です。
【Bar Music × CORE PORT特別企画】
Precious Time for 23:00 Later "JAZZ"
ここでは特別企画として中村 智昭(Bar Music)さんと高木洋司(CORE PORT)さんのお二人に
"Precious Time for 23:00 Later"のジャズ編として、
夜11時以降にオススメ、夜に聴きたいジャズナンバーを3曲ずつセレクトしていただきました。
いずれも夜に聴くと色んなストーリーを生み出してくれそうです。
Title : 『Bar Music 2013 Love Spartacus Selection』from Love Light(Enja)
Artist : V.A
LABEL : Musicaanossa Gryps(MNGP-1)
RELEASE : 2013.10.23
「The Lamp Is Low / Carmen Lundy」
今回コンピレイションCD『Bar Music × CORE PORT-Precious Time for 23:00 Later-』に、カーメン・ランディの「Grace」という最高の楽曲を収録することができたが、彼女との出会いはここから。アンディー・ポッター&デヴィット・エリック・ティルマンの2枚のアルバムへの客演・楽曲提供を経て85年にリリースされた処女作で、慈愛に満ちたこの「The Lamp Is Low」は、無敵のグルーヴィー・チューン「Time Is Love」と共にキャリアを代表する名曲。アーティストとして持つイマジネイションとヴォーカリストとして持つ資質が、見事なまでに実を結ぶ。
[収録アルバム]
Title : 『MUSICAANOSSA 3 Sienna Jazz Lounge』from Good Morning Kiss(Justin Time)
Artist : V.A
LABEL : Rip Curl Recordings(RCIP-124)
RELEASE : 2008.12.4
「Anyway? What Did You Think It Was That Needed To Be Loved〜The Police / Mitchel Forman」
01 エミ/トリオセンス
Emi (Bernhard R.Schüler) / triosence
From "One Summer Night " (CORE PORT RPOZ-10003) 2014 [Germany] 02 ティレリー/ベッカ・スティーヴンス・バンド
Tillery (Becca Stevens) / Becca Stevens Band
From "Perfect Animal " (CORE PORT RPOZ-10005) 2014 [U.S.A.] 03 ペドロ&リス/ジェニフェル・ソウザ
Pedro & Lis (Jennifer Souza / Artênius Daniel / Ludmila Fonseca) / Jennifer Souza
From "Impossível Breve " (CORE PORT RPOP-10006) 2013 [Brasil] 04 青い蝶/アカ・セカ・トリオ&ディエゴ・スキッシ・キンテート
Panambí Jovhé (Ramón Ayala)/ Aca Seca Trio + Diego Schissi Quinteto
From "hermanos" (CORE PORT RPOP-10003) 2014 [Argentina] 05 ふたり/ダニエル・ミル
Tous les deux (Daniel Mille / Jean-Christophe Maillard) / Daniel Mille
From "Les heures tranquilles " (SARAVAH / CORE PORT) 1995 [France] 06 ブレリアス・エルマノス/アルマディージョ
Bulerias Hermosas (Nino et Nanasso Baliardo) / Armadillo
From "Armadillo " (SARAVAH / CORE PORT) 1991 [Spain] 07 ノ・ノルチ・ド・ポロ・スル/ナナ・ヴァスコンセロス、ネルソン・アンジェロ、ノヴェリ
No Norte Do Pólo Sul (Nelson Angelo) / Nana Vasconcelos, Nelson Angelo, Novelli
From " Nana Nelson Angelo Novelli " (SARAVAH / CORE PORT) 1974 [Brasil] 08 マフィーンに捧ぐ歌/チック・ストリートマン
Ode To Maffen (Chic Streetman) / Chic Streetman
From "Growing Up " (SARAVAH / CORE PORT) 1975 [U.S.A.] 09 小さな森/ジャック・トリーズ
Le petit bois (Jack Treese) / Jack Treese
From "me and company " (SARAVAH / CORE PORT) 1970s [U.S.A.] 10 ルールケリー/ル・コック
Rourkerie (le coq) / le coq
From "interludes " (SARAVAH / CORE PORT) 2002 [France] 11 ドゥー・ユー・シング/ル・コック
Do Your Thing (Louis Hardin) / le coq
From "Tête de gondole" (SARAVAH / CORE PORT) 2005 [France] 12 良いときも 悪いときも/ジョー・バルビエリ
Nel Bene E Nel Male (Giuseppe Barbieri) / Joe Barbieri
From "Cosmonauta Da Appartmento" (CORE PORT RPOP-10008) 2015 [Italy] 13 シークレット・ハート/ライラ・ビアリ
Secret Heart (Ron Sexsmith) / Laila Biali
From "Live In Concert " (CORE PORT RPOZ-10006) 2014 [Canada] 14 去りゆく恋人/クリスティーン&リアム
So Far Away (Carole King) / Christine Tobin & Liam Noble
From "Tapestry Unravelled " (Christine Tobin) 2010 [Ireland] 15 グレイス/カーメン・ランディ
Grace (Carmen Lundy, Simphiwe Dana) / Carmen Lundy
From "Soul To Soul" (CORE PORT RPOZ-10004) 2014 [U.S.A.] 16 そして今は/ライラ・ビアリ
And So It Goes (Billy Joel) / Laila Biali
From "Tracing Light " (Laila Biali) 2010 [Canada] 17 チルドレンズ・プレイソング/ヒルデ・ヘフテ
Children's Playsong (Bill Evans) / Hilde Hefte
From "memory suite" (CORE PORT RPOZ-10002) 2014 [Norway]
Original From "playsong the music of Bill Evans" (Hot Club Records) 2001 18 カム・サンデイ/ノーマ・ウィンストン
Come Sunday (Duke Ellington) / Norma Winstone
From "London in the Rain" (CORE PORT RPOZ-10001) 2014 [U.K.]
Original From "Like Song, Like Weather" (Enodoc Records) 1998
Bar Music
コアポート──2014年の東京で産声をあげた新たなレーベルの名は、「その核となる揺るぎない音楽性を有したアーティストや作品が集う港とする」という発足理念に由来する。わずかに一年の履歴においてすでにアメリカ、イギリス、フランス、アルゼンチン、ブラジル、イタリア、ドイツ、カナダ、日本から届いた様々なスタイルの良質な音楽を、僕たちリスナーに紹介している。さらにはフランスの吟遊詩人、ピエール・バルーが60年代から現在に至るまで手掛け続けるレーベル、"サラヴァ"の膨大なカタログを有することも、特色の一つである。
「Bar Musicの23時あたりの雰囲気をイメージしたコンピレイションを、コアポートの音源で」という依頼を頂戴したのは、まだ寒さも厳しい折りの、やはり終電を目の前にしたころだっただろうか。これまでDJの現場やUSENの選曲の中で繰り返しプレイしてきたベッカ・スティーヴンス「Tillery」やジェニフェル・ソウザの「Pedro e Lis」、デビュー時からのファンであるヨーロッパ・ピアニズムの至宝、トリオセンスのライヴ盤の存在もすぐに脳裏を過った。カーメン・ランディの「Grace」に至っては、僕のレーベル"ムジカノッサ・グリプス"からリリース予定のBar Music最新コンピレイションにリストアップしたところで、ライセンスの申請をまさにコアポートにお願いするタイミングでもあった。そうしてヒルデ・ヘフテによるビル・エヴァンス「Children's Playsong」の美しいカヴァーへと最終的に着地するような選曲イメージも、すぐに湧き上がったのだった。何より、おそらく多くのコラボレーションのアイデアがある中で、まっ先にBar Musicを指名してくれたことが嬉しかった。
CORE PORT
真夜中、静かに頭が覚醒していく時間がある。リラックスはしているのだが、ただ弛緩しているのではなく、何ものかに導かれながら自分の中にあるノイズが薄まっていく時間。本来の自分など勿論たいしたものではないが、それでもその本来の自分を取り戻していく貴重な時間だ。そんな時間をたびたび渋谷のBar Musicで経験した。この渋谷の一角にあるお店で、店主の中村さんがセレクトして流れる音はひたすら心地良い。上っ面の心地良さであればそれは通り過ぎていくだけだが、その場と時間をひとつの物語にしてしまうような意志ある選曲によってこのBar Musicという森に包まれていくような快感がある。リラックスしながらも絶妙な刺激があり、細胞をゆっくりと揉みほぐし、この時間帯の覚醒を助長してくれる。
【SONG LIST】
01. Anne Blomster Sang
02. Periph
03. Sector 1
04. Clear
05. Dangerous Paths
06. Within The House Of Night
07. No-nonsense
08. Beija Flo
09. Disclosure
10. Sector 2
11. Charlie Haden
田村;小学4年の時にエレクトーンを止めてから、音楽の授業以外に楽器を演奏することは無くなったのですが、大学に入って突然にクラシック・ピアノの愛好会に入りました。そこには親切な先輩がいて、初歩から指導してくれたんですね。サークルでは年2回の演奏会があって、そこで弾く曲を決めて練習していくのだけど、さすがに「エリーゼのために」を大学生の演奏会で弾くのもちょっとなぁ、ということで、エリック・サティの「ジムノペティ」、「グノシエンヌ」、「彼の鼻眼鏡」、ドビュッシーの「小さな羊飼い」、「雪の上の足跡」など、「音数が少なくて、弾けそうな曲」を探して弾くようになりました。そうした演奏会で自作の曲も混ぜて弾くようになったのが、いまの the sleeping beauty の萌芽になっています。
田村;ミニマル・ミュージックといえば、フィリップ・グラス、テリー・ライリー、スティーブ・ライヒが有名ですね。個人的に一番良く聴くのはスティーブ・ライヒなのですが、このアフリカの音楽家によるテリー・ライリー「In C」は、映像、音ともに最高で、40分間、どっぷりと楽しめます。昔、トーキング・ヘッズの「ストップ・メイキング・センス」、ローリー・アンダーソンの「0 & 1(Home of the Brave)」など、ライブ映像を収めた映画を映画館で観る、ということがありましたが、これは、そうやって映画館の大画面、音響設備で観てみたい作品です。
■タイトル:『auguries』
■アーティスト:the sleeping beauty
■発売日:2008年11月17日
■レーベル: Madeleine Records
■製品番号:MARE-008
[収録曲]
1. prairie home suite - part 1
2. prairie home suite - part 2
3. prairie home suite - part 3
4. prairie home suite - part 4
5. clock
6. á la musique
7. till it comes
8. in the park
ピアノの響きが空気に漂い、声、アコーディオンとサックスが流れを起こす。春や秋の訪れを知らせる、柔らかい空気。霧雨の向こうから聴こえてくる鳥や虫たちの声。遠くで遊んでいる子どもたち。そんな、日常のささやかな存在に気付かせてくれる音楽。「エコール・ド・坂本龍一」入賞後、カフェ、ギャラリー、美術館等で演奏を続けてきたthe sleeping beauty。2008年春、森岡書店にて行われた高木やよいの個展で限定発売され好評を博したCDを、susanna 等の仕事で知られるボブ・カッツがリマスタリング。NHK「世界美術館紀行」、NHK Hi Vision「岡本太郎~全身で過去と未来を表現した男~」などで使用され、ミュージアム・ショップを中心にロングセラーになった前作『liv』同様、日常生活の様々な場面で繊細な感覚を呼び覚ますBGM としてだけでなく、ソファに沈み込んで聴く喜びも味わえるアルバムに仕上がっている。