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2023年12月アーカイブ

夜ジャズミーティング2023:スタッフの声 / FROM STAFF

その年を振り返りつつベストディスクを発表するという年末恒例企画「夜ジャズミーティング」。

詳しくは番組でお楽しみ頂くとしまして、ここでは恒例、ジャズDJ3人が選ぶ年間ベスト。
松浦俊夫さん、沖野修也さん、そして須永辰緒さんによる2023年ベスト3作品をご紹介します。


■夜ジャズ.Net#183 - 夜ジャズミーティング2023
https://www.jjazz.net/programs/yorujazz/
配信期間:2023年12月20日(17:00)~2023年1月24日(17:00)


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【2023 年間BEST3アルバム】


selected by 沖野修也

2023年はおそらくコロナ禍に制作されたであろう作品が続々とリリースされた年ではなかったでしょうか?いい曲やアルバムが沢山リリースされましたが、僕が愛聴したのは、チルでクワイエットでビューティフルな作品でした。やはりコロナでリスナーだけでなくクリエーターも音楽に対する考え方が変わったんでしょうね。

『Les Jardins Mystiques, Vol. 1 / Miguel Atwood-Ferguson』
制作10年の三部作からまず一枚目がリリース。ジャズ、アンビエント、ポストクラシカルを混在させた荘厳で華麗な音絵巻。こんな作品を出されたらクリエーターとして手も足も出ません。先鋭的レーベル、Brain Feederから出た意味も大きいと思います。エッジとは何か?また、音楽とは何かを考えさせられました。個々の曲も良いのですが、DJという職業を離れて全体を楽しむ感覚は、2023年の個人的なモードでした。


『An Ever Changing View / Matthew Halsall』
次々と良質な作品をリリースするGondwana Recordsから、主宰者Matthew Halsallの待望の新作が登場。現行のスピリチュアル・ジャズと括られる事の多かったmatthewが、アンビエントを視野に入れ、よりチルアウトな方向にシフトした素晴らしい作品。牧歌的なコンポージングは、殺伐とした世界の現実と真逆に繰り広げられた理想郷のサウンド・トラック。聴く度に心洗われ、癒されました。


『Late Again / Sven Wunder』
サントラやラウンジ感覚を伴う音楽のリバイバルというだけでなく、まさに今の時代のチル感にフィットした作品。オーケストラ的なアレンジとフュージョン的な音使いが僕の好みにフィットしました。匿名的でありながら、ユニークなスタイルと盲点を突くようなオリジナリティーが、一部の愛好家に刺さったのではないでしょうか?決して大ブレイクしないのは残念ですが、密かな楽しみに耽る優越感を与えてくれましたね。












Years Best-沖野修也-

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Title : 『Les Jardins Mystiques, Vol. 1』
Artist : Miguel Atwood-Ferguson
LABEL : Brainfeeder
NO : BRFD134
RELEASE : 2023.11.10

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Title : 『An Ever Changing View』
Artist : Matthew Halsall
LABEL : Gondwana Records
NO : GONDJCD062
RELEASE : 2023.10.28

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Title : 『Late Again』
Artist : Sven Wunder
LABEL : Piano Piano
NO : PP1004
RELEASE : 2023.9.29

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【沖野修也 プロフィール】

音楽プロデューサー/選曲家/作曲家/執筆家/ラジオDJ/The Roomオーナー。2000年にKYOTO JAZZ MASSIVE名義でリリースした「ECLIPSE」は、英国国営放送BBCラジオZUBBチャートで3週連続No.1の座を日本人として初めて射止めた。これまでDJ/アーティストとして世界40ヶ国140都市に招聘されただけでなく、CNNやBILLBOARD等でも取り上げられた本当の意味で世界標準をクリアできる数少ない日本人音楽家の一人。2015年、ジャズ・プロジェクトKYOTO JAZZ SEXTETを始動。名門をブルー・ノートよりリリース。2017年6月、KYOTO JAZZ SEXETのセカンド・アルバム『UNITY』を発表。同年フジ・ロック・フェスティバル〜Field Of Hevenステージにも出演。2018年7月にはDJとして名門モントルー・ジャズ・フェスティバルにも出演を果たした。2021年にはKyoto Jazz Massiveの2ndアルバム『Message From A New Dawn』を19年振りに発表。2022年にはジャズ・レジェンド森山威男氏をフィーチャーしたKyoto Jazz Sextetの3rdアルバム『SUCESSION』を引っ提げ、5年ぶりにFUJI ROCK FESTIVALにも出演。2022年から2023年にかけて、Kyoto Jazz Massive with Echoes Of A New Dawn Orchestra名義でバンドとしてヨーロッパツアーを敢行している。著書に、『DJ 選曲術』や『クラブ・ジャズ入門』、自伝『職業、DJ、25年』等がある。現在、InterFM『Tokyo Crossover Radio』にて番組ナビゲーターを担当中(毎週金曜日22時)。有線放送内I-12チャンネルにて"沖野修也 presents Music in The Room"を監修。2024年にKyoto Jazz Massiveがデビュー30周年を迎える。

http://www.kyotojazzmassive.com
https://ameblo.jp/shuya-okino


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selected by 松浦俊夫

「多種多様な音楽をいかに日々聴き続けることが出来るか」をテーマに過ごした2023年。
ステイホームが制限から必然に変容し、より深いところへ進むことが出来たような気がします。
2024年はさらにアウトプットを増やしていき、ふと耳にした音楽がその人の人生を大きく変えてしまうような事象が増えるようにしていこうと思います。


『The Omnichord Real Book / Meshell Ndegeocello』
名門ブルーノートに移籍し、5年ぶりに発表したミシェル・ンデゲオチェロのニューアルバム。コロナ禍に自宅の屋根裏部屋に80年代初期に開発された電子楽器"オムニコード"を持ち込んで曲作りをし、それをジェイソン・モラン、アンブローズ・アキンムシーレ、ジョエル・ロス、ジェフ・パーカー、ブランディ
ー・ヤンガー、ジュリアス・ロドリゲスらといった精鋭を迎えて作り上げた重量級の作品。必聴。


『Nova / Terrace Martin』
2023年、BMGとパートナーシップを結み、自身のレーベルSounds Of Crenshawでから立て続けに作品を発表し続ける八面六臂の活躍を見せたマルチ奏者/プロデューサー、テラス・マーティン。どの作品もクオリティが高く、いよいよグラミー獲りか。その中でもSSW/プロデューサーJames Fauntleroyと共演した『Nova 』に収録の「Sir Fauntleroy」は旅情を誘う90年代の空気感があるダンサブルなトラ
ック。


『Children Of The Sun / Andy Hay』
サックス奏者ナット・バーチャルへの作品への参加でも知られるイングランド・チェスターのドラマー、アーティスト 、アンディ・ヘイの4作目。ハンドペインティングによるアートワークのスリーヴに収録された「I Believe in Love」を始めとする楽曲群はまさに現代のスピリチュアル・ジャズ。












Years Best-松浦俊夫-

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Title : 『The Omnichord Real Book』
Artist : Meshell Ndegeocello
LABEL : Blue Note Records
NO : UCCQ1187
RELEASE : 2023.6.16

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Title : 『Nova』
Artist : Terrace Martin & James Fauntleroy
RELEASE : 2022.8.25





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Title : 『Children Of The Sun』
Artist : Andy Hay
RELEASE : 2023.1.17






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【松浦俊夫 プロフィール】

1990年、United Future Organization (U.F.O.)を結成。
5作のフルアルバムを世界32ヶ国で発表し高い評価を得る。
2002年のソロ転向後も国内外のクラブやフェスティバルでDJとして活躍。
またイベントのプロデュースやホテル、インターナショナル・ブランド、星付き飲食店など、高感度なライフスタイル・スポットの音楽監修を手掛ける。
2013年、現在進行形のジャズを発信するプロジェクトHEXを始動させ、Blue Note Recordsからアルバム『HEX』をワールドワイド・リリース。2018年、イギリスの若手ミュージシャンらをフィーチャーした新プロジェクト、TOSHIO MATSUURA GROUPのアルバムをワールドワイド・リリース。2024年にはGilles Petersonが主宰するBrownswood Recordingsより再リリース予定。
2023年にラジオ番組「TOKYO MOON」(interfm 金曜 23:00) の3作目となるコンピレイションをリリースした。
https://linktr.ee/toshiomatsuura  


http://www.toshiomatsuura.com  
https://www.mixcloud.com/toshiomatsuura  


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selected by 須永辰緒

2023年は(ようやく"現場"が戻ってきたなぁ)と感じる年でもあったと同時に、様々なベニューで音楽を鳴らせるようになった事、更には音楽との向き合い方のスタイルの変化によって、我々DJは必ずしも踊らせなくてはいけないという呪縛から物理的に解放された年でもあったと思います。よりキュレーター的な役割が求められるというか。そういう意味で今年色んな現場でプレイした決して踊る事を目的としないアルバムから女性ボーカルをテーマに選んでみました。


『Bewitched / LAUFEY』
サブスクで聴いた瞬間からずっと頭の中をリフレインしていた「From the start」という曲が白眉ですが、全体がコンセプトアルバムのような流暢な組み立てになっていて結果2023年のベストアルバムとして選出しました。会う人全てに勧めていたような気がします。


『Crisis & Opportunity / MYELE MANZANZA』
ニュージーランド出身でロンドンで活躍するドラマーによる3部作からの一枚。ネオ・ソウルやエレクトロ、ヒップホップを消化したジャズ、といういまどきの紹介はどうでもいいとして大事なのはアルバムにfeat.されているRosie Frater-Taylorという女性ボーカリスト。昨年リリースしたソロアルバムも好きで今でもレコードバッグに入っています。現在は形を変えつつあるいわゆるSSWですがこのアルバムでも素晴らしいパフォーマンスを披露しています。


『Drunk On A Flight / ELOISE』
日本在住の友人ロシア人でマリア・ゴロミトバという女性カメラマンが居ますが(多くのミュージシャンは皆さん知り合いの筈です)ジャケット映る被写体の女性が彼女にしか見えず、というか本人かと思ったくらい似ていて思わずジャケ買いしたところ、内容も最高のネオソウル。クレバーなシンガーなのでしょう。世界観やトラックメイキングも今年の空気感に寄り添っていた。









Years Best-須永辰緒-
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Title : 『Bewitched』
Artist : LAUFEY
LABEL : Laufey - AWAL
NO : LAULP003CD
RELEASE : 2023.10.27

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Title : 『Crisis & Opportunity』
Artist : MYELE MANZANZA
LABEL : Deepmatter
NO : DPTT151
RELEASE : 2023.12.15

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Title : 『Drunk On A Flight』
Artist : ELOISE
LABEL : Harbour Artists & Music
NO : HRL017A
RELEASE : 2023.4.14

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【須永辰緒 プロフィール】

Sunaga t experience =須永辰緒によるソロ・ユニット含むDJ/プロデューサー。 DJプレイでは国内47都道府県を全て踏破。また各国大使館と連動して北欧諸国=日本の音楽交流に尽力、欧州やアジア、アメリカなど世界各国での海外公演は多数。 MIX CDシリーズ『World Standard』は12作を数え、ライフ・ワークとも言うべきジャズ・コンピレーションアルバム 『須永辰緒の夜ジャズ』は20作以上を継続中。国内や海外レーベルのコンパイルCDも多数制作。国内外の多数のリミックスワークに加え自身のソロ・ユニット"Sunaga t experience"としてアルバムは7作を発表。最新作は「STE with J.Lamotta Suzume/Re Blue」(Flower)。主宰する音楽レーベル「DISC MINOR」からはヴァイナルのみの内外ライセンス作品のリリースも活発化させる。多種コンピレーションの 監修やプロデュース・ワークス、海外リミックス作品含め関連する作品は延べ250作を超えた。加えて企業ブランディングや商品開発、音楽や料理などの著作、連載も多数携わる。また出身地である栃木県足利市の「あしかが輝き大使」として地域でも活動中。

http://sunaga-t.com  


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My First Jazz Vol.69-西口明宏:My First Jazz

Title : 『Prime Time』
Artist : Count Basie And His Orchestra

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ジャズサックス奏者の西口明宏です。
僕の初めてのジャズ・アルバムは、Count Basie And His Orchestraの『Prime Time』というアルバムです。


1977年にリリースされたこのアルバムは、カウント・ベイシーの伝統的なスタイルとは少し異なるサウンドが特徴的です。
特に「Bundle O' Funk」という曲は、アコースティック・ベースではなく、エレキベースを使用した、当時のカウント・ベイシーには珍しいファンク・ナンバーです。
当時、グレン・ミラーをはじめとするスウィング・ジャズしか聴いたことのなかった自分には、とても衝撃的だったのを覚えています。


中学時代、ビッグバンドの魅力に惹きこまれたことが、僕がサックスを始めるきっかけとなったのですが、ビッグバンドといっても吹奏楽の一環としての演奏で、ジャズのアドリブという概念は全く知りませんでした。
でも、ある日学校の文化祭で、突然先輩がこの「Bundle O' Funk」という曲で、急に聴いたことのないソロをアドリブで吹き出したのです。
当時、コピーしたソロや譜面に書いてあるソロしか吹いたことのなかった自分には衝撃的で、その興奮は今でも鮮明に覚えています。
そのことがきっかけで、ジャズにはアドリブがあって、譜面通りでなくて良いこと、そして多彩なソロ・プレイヤーが存在することを知りました。


今でもこの『Prime Time』は僕のお気に入りのアルバムなのですが、そのシンプルで明快な曲構成、カウント・ベイシー楽団の洗練されたスウィングは、自分の音楽のルーツとなっていて、このアルバムは自分の大好きなジャズのかっこいいところが凝縮されたアルバムだと思います。
そして、サックス奏者としても多くのインスピレーションを得たアルバムです。


皆さんぜひ、聴いてみてください!


西口明宏






My First Jazz

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Title : 『Prime Time』
Artist : Count Basie And His Orchestra
LABEL : Pablo
発売年 : 1977年



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【SONG LIST】
01.Prime Time
02.Bundle O' Funk
03.Sweet Georgia Brown
04.Featherweight
05.Reachin' Out
06.Ja-Da
07.The Great Debate
08.Ya Gotta Try




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JAZZシーンの「今」を突き走る3人のテナー・サックスプレイヤーが結集したスーパーグループ
"Tenors In Chaos" 黒田卓也が立ち上げたaTak Recordから堂々デビュー!!!



自身のグループFOTOSとしての活動の傍ら、JAZZミュージシャンからの絶大な信頼を得ている西口明宏、バークリー音楽院を主席卒業し、MISIAや大西順子との共演から自身が作編曲するアンサンブルでの活動まで多岐にわたる活躍を見せる陸悠、アニメーション映画『BLUE GIANT』で主人公 "宮本大" の演奏を担当し、その名を轟かせた馬場智章、この多彩な3人のサックスプレイヤーが集まった正にカオスなグループだ。
2021年12月に神戸で行われたライブイベント「The BUNDLE」で結成され、その3人の美しく、ダイナミックな演奏が大きな評判を呼んだ。"Tenors In Chaos"の名付け親でもあるトランペッター黒田卓也の号令のもと、2023年1月にアーティスト写真を渋谷で撮影。そして、"Tenors In Chaos" のためにそれぞれが新たにつくった楽曲を持ち寄り、5月に都内スタジオにてレコーディングを行なった。カオスな3人のサックスプレイヤーを支えるのは、デヴィッド・ブライアント(p)、須川崇志(b)、小田桐和寛(ds)という気鋭のミュージシャンたち。そして遂に、そのデビューアルバム『Chaos』が、11月1日に黒田卓也が立ちあげたレーベルaTak Record(エイタック レコード)から発表されることが決定した。代表的なスタンダードからメンバー各々のオリジナル楽曲を、ジャズの代名詞でもあるテナーサックス3本が真正面からストレートに熱い音を届ける。










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西口明宏
兵庫県西宮市出身。中学入学と同時にビッグバンドジャズに出会い、テナーサックスを始める。
2006年にバークリー音楽院を卒業後、ニューヨークを活動の拠点として、自身のグループによるライブハウスでのレギュラー演奏や映像、ダンスなどの他ジャンルとの共演を行いながら、多数のミュージシャンとのセッションを重ねる。2010年の帰国後、ブルーノートの75周年記念ライブメンバーに選ばれ、日野皓正、山中千尋、Ron Carter、Gene Jacksonらと共にブルーノート東京での演奏を好評で終える。2017年、自身のサックストリオ(須川崇志、石若駿)でデトロイトジャズフェスティバルに参加。これまでアメリカ、台湾、ルクセンブルクなど多数の国内外ジャズフェスティバルに出演する。
現在は、自身のグループ「FOTOS」を中心に、黒田卓也(tp)、加藤真亜沙(pf.comp)、中林薫平(bass)、馬場智章(sax)、古谷淳(pf)、秩父英里(pf.comp)などのグループにも参加、自らのプロジェクトで丸の内コットンクラブで公演を行うなど、精力的に活動を展開している。
これまでに「Tre agrable」(2010年)、 「PINGO」(2013年)、 「FOTOS」(2020年)、そして「Something in Red」(2023年)と、計4枚のアルバムをリリース。




Latest Album

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Title ︓『Chaos』
Artist : Tenors In Chaos
LABEL : aTak Record
RELEASE : 2023.11.1


【SONG LIST】
01.Moment's Notice
02.Chaos
03.Midway
04.Bang a Gong
05.My Ideal
06.Giant Steps
07.Ringtone
08.BAKKI BAKI
09.Yes Or No
10.St. Thomas





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【KKBOX Podcast「My First Jazz」】
JJazz.Netとの連動によるオリジナルコンテンツ。
ジャズ・ミュージシャン本人の音声コメントをお届けしています。
KKBOX Podcast


KKBOX
500以上のメジャー・ローカル音楽レーベル様や権利者様と提携し、9,000万曲の楽曲を配信。
なかでも世界最大数を誇るC-POPを取り揃えているアジア大手の音楽聴き放題サービス。
2022年より日本でも音声コンテンツ/ポッドキャストの提供がスタート!


みなさんこんにちは、ジャズ二刀流ことマルチインストゥルメンタリストの曽根麻央です。
今日、私はBlue Note Beijingへのソロ出演のため北京へ来ています。こちらは氷点下続きでとても寒いです。
こんなに寒いですが、心温まるホリデーシーズンにぴったりなジャズアルバムがあります。今日はそのアルバムを皆さんにご紹介しようと思います。


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Title : 『Ella Wishes You A Swinging Christmas』
Artist : Ella Fitzgerald


『Ella Wishes You a Swinging Christmas』は、ジャズの歴史に永遠にその名を刻むエラ・フィッツジェラルドと名プロデューサー、ノーマン・グランツとのコンビが生んだ名作です。
アレンジはFrank De Volという作曲家・アレンジャー(俳優という肩書きもある方)が書いていています。
彼はナット・キング・コールやトニー・ベネットと行ったアメリカを代表するシンガーたちのアレンジを担当していたことで有名です。「Nature Boy」のアレンジが彼の代表的なアレンジです。

 
このアルバムでメロディーの歌い回しとアレンジが密接に関わっていますのでアレンジャーとエラで念密な打ち合わせと練習があったことが予想されます。

最初の2曲「Jingle Bell」や『Santa Claus Is Coming To Town」は子供から大人まで誰でも知っているクリスマスソングなので、自分の知っているメロディーと、ジャズシンガーであるエラが歌う歌い回しの違いに注目しても面白いかもしれません。
そしてその変更されたメロディーが伴奏のアレンジにも大きく関わっていて、使い回されたホリデーソングを新鮮なものにしてくれます。





エラの歯切れよいリズムと、ライトにシャウトするかの様な高音が心地よく本当に楽しい気分にさせてくれます。そしてビブラートが本当に美しい。
おそらくこの時代ですとバンドと一緒に一発録音でしょうし、シンガーとして技量がとにかく必要だった時代です。

「The Christmas Song」などはそもそも跳躍が激しので歌唱が難しい曲ですが、そう言った難しさは一切聴衆に感じさせずただただ美しく完璧、そしてその中に彼女の人生があり抑揚がしっかりとあります。





エラのピッチ感は全体的にややフラット(やや低め)なのですが、それが本当に気持ち良いのです。人間味があるというか、暖かさがあるというか、ナチュラルというか。全てを完璧にしてしまう現代のレコーディングではなかなか聴くことができない持ち味ですね。
特に「Sleigh Ride」ではエラの絶妙に低いピッチ感が心地よく味わえるトラックだと思います。





アレンジの幅は広く、ベイシー風とホリデーを思わせるコーラスがかけ合わさった様なアレンジから、「Good Morning Blues」ではブルース風のアレンジもあったりします。
「Have Yourself A Merry Little Christmas」はクリスマスの名バラード曲ですがここでは心地よいゆったりとしたスウィングで演奏されています。ジョージ・シアリング風のアレンジがとても良いです。





「What Are You Doing New Year's Eve?」はピアノからのデュオで始まるバラード曲です。
現代のレコーディングと比べるとピアノが小さいのかなと思うのですが、小さい音量でもはきり聴こえてくるので絶妙なバランス感覚だなと驚きました。
長時間聴いても耳が疲れない的音量とバランスになっているアルバムです。





録音としては全体的にとてもよいバランスで収められていると思いました。
特にエラがきちんとフロントでフィーチャーされるのに十分な音量でいるためにオケやコーラスやドラムが若干小さめにミックスされていますが、それであっても物足らなさはなく、それどころかエレガントに聴こえます。車や部屋で流して聴いていて最高に心地よいミックスです。
執筆するために本気で集中リスニングをするのにオーディオスピーカーで聴くと、ベースとドラムのパンが右側に極端によっており、この時代のステレオ・ミックスにありがちではありますが、私はモノラル・ボタンをこちらのプレイヤーで押してモノラル再生で聴く方が好みでした。

ただ先程も言った通り、もっと広い空間や部屋で流して聴くのには最高の音でしたので、音楽の用途とミックスはとても親密な関係にあって興味深いなと改めて思いました。


『Ella Wishes You a Swinging Christmas』この冬是非皆さんに聴いていただきたい一枚です。
SpotifyやApple Musicにもありますので、慌ただしい年の瀬ではありますが、アルバムを聴く50分、ひとときの息抜きをこの時期に暖かい部屋の中で得られるのはとても幸せなことではないかなと思います。


それでは今年も沢山CD Reviewを読んでいただきありがとうございました。また来年もよろしくお願いいたします。

良いお年をお迎えください。



文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

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Title :『Ella Wishes You A Swinging Christmas』
Artist : Ella Fitzgerald
LABEL : Verve Records
発売年 : 1960年



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【SONG LIST】

01.Jingle Bells
02.Santa Claus Is Coming To Town
03.Have Yourself A Merry Little Christmas
04.What Are You Doing New Year's Eve?
05.Sleigh Ride
06.The Christmas Song
07.Good Morning Blues
08.Let It Snow, Let It Snow, Let It Snow
09.Winter Wonderland
10.Rudolph, The Red-Nosed Reindeer
11.Frosty The Snow Man
12.White Christmas



曽根麻央『プレイズ・スタンダード』

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トランペット/ピアノの"ジャズ二刀流"として話題の曽根麻央がソロピアノで紡ぐスタンダードソング集が全国発売決定!
往年のジャズの名曲をフレッシュな感性で解釈。
抒情性と気品に彩られた曽根のジャズ・ミュージシャン、ピアニストとしてのアティテュードが表現されている作品に仕上がった。


曽根麻央『プレイズ・スタンダード』


1.Reflections in D
2.Serenade
3.In Your Own Sweet Way
4.The Star-Crossed Lovers
5.Wave
6.Stella by Starlight
7.All The Things You Are
8.Luminous (Piano Solo Ver.)
9.I Loves You, Porgy
10.Lady Luck11.Danny Boy
12.Home (Piano Solo Ver.)
13.Some Other Time
14.Ask Me Now
15.The Days of Wine And Roses
16.What A Wonderful World

Mao Soné (piano, trumpet)


曽根麻央のその他情報はウェブサイトへ

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「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』2023.10『MAINS / J3PO』2023.11『Knower Forever / Knower』

Reviewer information

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曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

森田真奈美ビッグバンド with 市川愛 2024年1月7日(日)@Billboard Live YOKOHAMA:ライブ情報 / LIVE INFO

ピアニスト、作曲家として精力的な活動を続ける森田真奈美が率いるビッグバンドが横浜ビルボードに初登場!

ボーカリスト市川愛を迎えレギュラー化している今回のステージは、1stステージと2ndステージにおいて異なったテーマでお届け。
新年早々、プレミアムな一夜を是非お見逃しなく!!







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【森田真奈美ビッグバンド with 市川愛】


「報道ステーション」のOPテーマなどでも知られるコンポーザー/ジャズピアニスト森田真奈美が、ビッグバンド、ボーカリスト市川愛を率いて初登場。森田真奈美は2005年米国バークリー音楽院に留学中より、欧米のコンペで数々の賞を獲得するほか、2011年〜2016年までのテレビ朝日系「報道ステーション」テーマ曲"I am" 、ラジオニッポン放送「おしゃべりらぼ 〜しあわせSocial Design」テーマ曲、ラジオドラマ、コマーシャル等のサウンドトラックなども手がける。以降、自身のジャズのルーツでもあるビッグバンドを率いてのコンサートを行っている。市川愛もバークリー音楽院を卒業・帰国後、菊地成孔プロデュースによりメジャーデビュー。その声質を生かし、ドラマ挿入歌の歌唱や作詞、CMナレーションで活躍。レギュラー化している森田真奈美との今回のステージは、1stステージと2ndステージにおいて異なったテーマでお届け。定評あるビッグバンドとの、プレミアムな一夜を是非お見逃しなく。

【日時】
2024年1月7日(日)
[1st.show] Open 15:00 / Start 16:00 ※1stはお子様連れやご家族でのご来場可能です
[2nd.show] Open 18:00 / Start 19:00


【出演】
森田真奈美 (pf/comp/arr)
市川愛 (vo)
八巻綾一 (sax)
中園亜美 (sax)
石川周之介 (sax)
吉本章紘 (sax)
宮木謙介 (sax)
張替啓太 (tb)
大田垣"OTG"正信 (tb)
上杉優 (tb)
山口隼士 (tb)
村上基 (tp)
赤塚謙一 (tp)
谷殿明良 (tp)
石川広行 (tp)
寺尾陽介 (b)
工藤明 (ds)


【場所】
Billboard Live YOKOHAMA
〒231-0003 神奈川県横浜市中区北仲通5丁目57番地2 KITANAKA BRICK&WHITE 1F
0570-05-6565


【料金】
Service Area ¥6,800 / Casual Area ¥6,300


【予約/詳細】
Billboard Live YOKOHAMA



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森田真奈美(Manami Morita)

1984年埼玉県さいたま市生まれ。4歳よりクラシックピアノを始め、中学生のときにジャズと出会う。ミシェル・カミロ、ミシェル・ペトル チアーニ、小曽根真などから影響を受ける。上智大学外国語学部英語学科入学後、 2005年に米国バークリー音楽院に留学。在学中からアジアや欧米のコンペで数々の賞を受賞。エスペランサ・スポルディングやホーザ・パッソスなど世界的ミュージシャンとも共演。同校2009年卒業後、自主制作アルバム「COLORS」が、大手レコード店で記録的なセールスとなる。 2011年〜2016年までのテレビ朝日系「報道ステーション」テーマ曲" I am" をはじめラジオニッポン放送「おしゃべりらぼ〜しあわせSocial Design」テーマ曲、ラジオドラマ、コマーシャル等のサウンドトラックなども手がける。2016年より自身のジャズのルーツでもあるビッグバンドを率いてのコンサートも行っている。

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