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JJazz.Net Blog Title

2024年12月アーカイブ

曽根麻央 Monthly Disc Review2024.12_Frank Sinatra : Sings for Only the Lonely:Monthly Disc Review

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Title : 『Sings for Only the Lonely』
Artist : Frank Sinatra


みなさんこんにちは、ピアノとトランペットの曽根麻央です。
今日は寒い日にゆっくり家で過ごしたい時、少しばかりセンチになってみたい時にぴったりな名作を紹介します。


今日はフランク・シナトラの『Sings for Only the Lonely』を紹介します。
この作品は1958年に録音・発売されたアルバムです。


編曲は最高のアレンジャーであるネルソン・リドル。そして録音は1956年に誕生したばかりの当時最先端、なおかつ、今だに現役で有名なレコーディング・スタジオCapitol Studioでレコーディングされました。
Capitol Studioは当時シナトラの名盤を数多く収録したのはもちろんのこと、ナット・キング・コールやザ・ビーチ・ボーイズなど当時の一流のアーティストが使用したことでも有名です。
それだけでなくチェンバー・リバーブを自然に作り出すためだけの部屋が確保されていることでも知られていて、現在ではその部屋を模倣したデジタル・リバーブもプラグイン(パソコンで音を編集するときに使用するもの)として販売されていたりします。


この時代はモノラルとステレオの転換期でもあり、複数の録音機を用いてモノラルとステレオの両方で収録したそうです。
現在私たちが配信等で聴けるものはステレオの再販(おそらくリミックス&リマスター)されたものですのでモノラル・レコードのクオリティーがどの程度であったか私は知らないのですが、恐らく素晴らしいものだったことでしょう。
現状、私が持っているCDや配信版を聴いていても、当時の録音技術の高さを思い知らされます。


文献によると当時Capitol Recordではオーケストラに8つのマイクをあてて、3つのテープマシンを使って録音していたそうです。なので完璧なマイク配置によってでしか正しいオーケストラの音のバランスは得られません。
またそれはミュージシャン一人一人の演奏力の高さも物語っています。
この時代はシナトラの歌とオーケストラは同時録音ですから、差し替えが効きません。「ミスのない演奏」をしなければいけない緊張感もあり、しかしそれを個々の技術力と表現力で完璧な作品とするマンパワーすら感じます。


別のアルバムではありますが、YouTubeにいくつかシナトラのレコーディング映像も上がっていまして、ヘッドフォンすらつけず、譜面とひたすら睨めっこしながら歌詞と音に真剣に向かい合う姿に感動します。
輝かしいエンターテイメントの世界に生きていたイメージの強いシナトラですが、その根底はやはり完璧主義者のアーティストであります。
このアルバムの収録時シナトラは43歳ほどです。若々しくも低音の美声だったミュージカルやトミー・ドーシー・ビッグバンド時代の声ではなく、いわゆるみんなが想像する少し枯れたあのシナトラの歌声で、それがとても心に響くアルバムです。


アルバム全体はバラード曲集、しかも失恋の歌を中心にテーマを定めています。
それはシナトラの離婚や、アレンジャーのネルソン・リドルの母の死などが同時に重なり、このアルバムに結果として行き着いたとリドルも語っているそうです。

シナトラの歌唱はとても感傷的で、掠れるところが痛みにも感じられます。そして普段よりソフトに歌っている箇所もたくさんあり、ダイナミックスでの表現の幅が一段と広いアルバムではないかと思います。


そしてリドルのアレンジもやはり一流であり、シナトラやナット・キング・コールを支えたサウンドとアイディアはこのアルバムでも輝きを発しています。
ネルソン・リドルはクラシック的なストリングスや木管に、ジャズやポップスを中心としたオールマイティーに演奏できる金管奏者、そしてリズムセクションの、いわゆるスタジオや映画音楽のような編成のアレンジの名手で、歴代最高のアレンジャーの一人です。
また彼の書くイントロはまたそれぞれユニークで、各曲の個性を一層引き出す力があります。
またリドルのシナトラ用のアレンジでは良くあることなのですが、トロンボーンがフィーチャーされている曲が多く、これはトミー・ペダーソンという名手が吹いています。
彼のシナトラに寄り添うような演奏もこのアルバムの聞きどころの一つでもあります。




文:曽根麻央 Mao Soné



Recommend Disc

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Title :『Sings for Only the Lonely』
Artist : Frank Sinatra
LABEL : Capitol Records
発売年 : 1958年



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【SONG LIST】

01.Only The Lonely
02.Angel Eyes
03.What's New
04.It's A Lonesome Old Town
05.Willow Weep For Me
06.Good-Bye
07.Blues In The Night
08.Guess I'll Hang My Tears Out To Dry
09.Ebb Tide
10.Spring Is Here
11.Spring Is Here
12.One For My Baby




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「Monthly Disc Review」アーカイブ曽根麻央
2020.04『Motherland / Danilo Perez』2020.05『Color Of Soil /タイガー大越』2020.06『Passages / Tom Harrell 』2020.07『Inventions And Dimensions / Herbie Hancock』2020.08『Birth Of The Cool / Miles Davis』2020.09『Chet Baker Sings / Chet Baker』2020.10『SFJAZZ Collective2 / SFJAZZ Collective』2020.11『Money Jungle: Provocative In Blue / Terri Lyne Carrington』2020.12『Three Suites / Duke Ellington』2021.01『Into The Blue / Nicholas Payton』2021.02『Ben And "Sweets" / Ben Webster & "Sweets" Edison』2021.03『Relaxin' With The MilesDavis Quintet / The Miles Davis Quintet 』2021.04『Something More / Buster Williams』2021.05『Booker Little / Booker Little』2021.06『Charms Of The Night Sky / Dave Douglas』2021.07『Play The Blues / Ray Bryant Trio』2021.08『The Sidewinder / Lee Morgan』2021.09『Esta Plena / Miguel Zenón』2021.10『Hub-Tones / Freddie Hubbard』2021.11『Concert By The Sea / Erroll Garner』2021.12『D・N・A Live In Tokyo / 日野皓正』2022.1『The Tony Bennett Bill Evans Album / Tony Bennett / Bill Evans』2022.2『Quiet Kenny / Kenny Dorham』2022.3『Take Five / Dave Brubeck』・2022.4『Old And New Dreams / Old And New Dreams』2022.5『Ella Fitzgerald And Louis Armstrong / Ella And Louis』2022.6『Live from Miami / Nu Deco Ensemble & Aaron Parks』2022.7『Oscar Peterson Trio + One / Oscar Peterson Trio Clark Terry』2022.8『Ugetsu/ Art Blakey & The Jazz Messengers』2022.9『Sun Goddess / Ramsey Lewis』2022.10『Emergence / Roy Hargrove Big Band』2022.11『Speak No Evil / Wayne Shorter』2022.12『The Revival / Cory Henry』2023.1『Complete Communion / Don Cherry』2023.2『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles / Brad Mehldau』2023.3『Without a Net / Wayne Shorter』2023.4『LADY IN LOVE / 中本マリ』2023.5『Songs Of New York / Mel Torme』2023.6『Covers / James Blake』2023.7『Siembra / Willie Colón & Rubén Blades』2023.8『Undercover Live at the Village Vanguard / Kurt Rosenwinkel』2023.09『Toshiko Mariano Quartet / Toshiko Mariano Quartet』2023.10『MAINS / J3PO』2023.11『Knower Forever / Knower』2023.12『Ella Wishes You A Swinging Christmas / Ella Fitzgerald』2024.01『Silence / Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins』2024.02『Rhapsody in Blue Reimagined / Lara Downes』2024.03『Djesse Vol. 4 / Jacob Collier』2024.04『Voyager / Moonchild』2024.05『Evidence with Don Cherry / Steve Lacy』2024.06『Quietude / Eliane Elias』2024.07『Alone Together / Lee Konitz, Brad Mehldau, Charlie Haden』2024.08『The Rough Dancer And The Cyclical Night (Tango Apasionado) / Astor Piazzolla』2024.09『Potro De Rabia Y Miel / Camarón De La Isla』2024.10『Calle 54 / Various』2024.11『Trumpets Of Michel-ange / Ibrahim Maalouf』



Reviewer information

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曽根麻央 Mao Soné

曽根麻央は2018年にジャズの二刀流として、 2枚組CD『Infinite Creature』でメジャー・デビュー果たしたトランペッター、ピアニスト、作曲家。

 幼少期よりピアノを、8歳でトランペットを始める。9歳で流山市周辺での音楽活動をスタートさせる。18歳で猪俣猛グループに参加し、同年バークリー音楽大学に全額奨学金を授与され渡米。2016年には同大学の修士課程の第1期生として首席(summa cum laude)で卒業。在学中にはタイガー大越、ショーン・ジョーンズ、ハル・クルック等に師事。グラミー賞受賞ピアニスト、ダニーロ・ペレスの設立した教育機関、グローバル・ジャズ・インスティチュートにも在籍し、ダニーロ・ペレス、ジョー・ロバーノ、ジョン・パティトゥッチ、テリ・リン・キャリントン等に師事、また共演。
 これまでにニューポート、モントレー、モントリオール、トロント、ドミニカ等の国際的なジャズ・フェスティバルに出演。
2017年には自己のバンドでニューヨークのブルーノートやワシントンDCのブルース・アレイ等に出演。2018年メジャー・デビュー。2019年には故・児山紀芳の代役でNHK-FM「ジャズ・トゥナイト」の司会を担当。また2020年公開のKevin Hæfelin監督のショート・フィルム「トランペット」の主演・音楽を務めるなど、演奏を超えて様々な活動の場を得ている。

 曽根は国際的に権威ある機関より名誉ある賞を数々受賞している。
2014年度フィラデルフィア『国際トランペット協会(ITG)ジャズ・コンペティション』で優勝。
同年『国際セロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション』にて13人のファイナリストに世界中の応募者の中から選出。
2015年に地元・流山市より『ふるさとづくり功労賞』受賞。
2016年アムステルダム『"Keep An Eye" 国際ジャズアワード』にて優勝。

曽根麻央Official Site

My First Jazz Vol.81-Shingo Suzuki:My First Jazz

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Title : 『Bags' Groove』
Artist : Miles Davis


ベーシスト、コンポーザーのShingo Suzukiです。


僕が初めてのジャズに選ばせていただいたアルバムは、Miles Davis『Bags' Groove』です。
この『Bags' Groove』は、1954年に録音されたMiles Davisのリーダー作でBags'というのは Milt Jacksonのニックネームだそうです。
曲はスタンダードが入っています。「Airegin」や「Oleo」などが収録されていますね。
一曲目に「Bags' Groove」はMilt Jacksonの作曲で、ブルースのフォーマットを持った曲です。ジャズを初めて聴く、初めて演奏する人にとって、ブルースは基本中の基本なのでとても良いのではと思っています。


アルバムの最後には「But Not For Me」というGeorge Gershwinの曲が収録されていてこれはジャズのスタンダードで歌モノですが、美しいコードの流れに則ったものでとても聴きやすいものになっています。


Miles Davisは、その時代における素晴らしいミュージシャンを起用し自分のバンドを作り、レコーディングをしてきたミュージシャンで彼の音楽を聴いていくと、おのずとジャズの歴史の一部が垣間見れるのではないかなと思います。
特に1950年代というのはバップ全盛の頃なので、ジャズのスタンダードと言える曲が沢山あります。
ジャズの基本を楽しむ、学ぶ上でも、楽しい一枚ではないかと思います。


Shingo Suzuki



My First Jazz

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Title : 『Bags' Groove』
Artist : Miles Davis
LABEL : Prestige
RELEASE : 1957年



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【SONG LIST】
01.Bags' Groove (Take 1)
02.Bags' Groove (Take 2)
03.Airegin
04.Oleo
05.But Not For Me (Take 2)
06.Doxy
07.But Not For Me (Take 1)




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オルタナティヴ・ジャズシーンに彗星の如く登場した"L.Y.P.S"によるフルアルバム!

OvallのベーシストShingo Suzukiの新たなプロジェクトとしてオルタナティヴ・ジャズシーンに彗星の如く登場した"L.Y.P.S"によるフルアルバム完成 !
5lack、Kojoe、Nenashiといった強力なラッパー/シンガーが参加、さらに寺久保伶矢、Fuyu、渡辺翔太、守真人などのJAZZシーンの最注目ミュージシャンを迎え、圧倒的な センスとテクニックが融合した、東京の新たなJAZZを提示した快作が誕生。






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Shingo Suzuki   
HIP-HOP、JAZZ、SOULのグルーヴを軸に、卓越した演奏力と唯一無二のサンプリングセンスを持ち合わせたベーシスト、トラックメーカー、プロデューサー。
1stアルバム『The Abstract Truth』は日本のみならずフランス、デンマークなどヨーロッパのHIP-HOPチャートでTOP10入り。
世界中のLo-Fi Hip-Hopファンの間で話題になった「Night Lights with thirdiq」は累計300万回を超えるストリーミング再生数を記録。
また、mabanua、関口シンゴと共にバンド、Ovall(オーバル)としても活動。
フランスの国民的HIP-HOPバンド、HOCUS POCUSやIAM、フィリピンの人気バンド、UDDのボーカルArmi、青葉市子、SIRUPなど世界中のアーティストを招き音源をリリース。さらにヒップホップグループ GAGLEとのコラボ GAGLE×Ovallや、田島貴男(Original Love)とのジョイントプロジェクトなど様々なスタイルのコラボレーションを展開。
FUJI ROCK FESTIVAL 、GREENROOM FESTIVAL、RISING SUN ROCK FESTIVAL、Sunset Liveなど日本全国の大型フェスや、台湾、フィリピンなどアジアツアーも成功させる。
プロデューサー、ベーシストとしてもBTS (防弾少年団)、矢野顕子、七尾旅人、さかいゆう、20syl(HOCUS POCUS)など世界中のアーティストをサポート。
さらに多数のCM楽曲やジングル、ドラマや映画の劇伴などを手がけている。
2024年Shingo Suzukiの音楽に共鳴したアーティスト達が楽曲ごとに集結し、ジャズやソウルを軸にしながらも型にハマらないサウンドメイクで楽曲を表現するソロプロジェクト「L.Y.P.S(Liquid Yellow Portraits)」を始動した。



Latest Album

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Title : 『Liquid Yellow Portraits』
Artist : Shingo Suzuki
LABEL : origami PRODUCTIONS
RELEASE : 2024年10月30日



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【SONG LIST】
01.You don't know (what life is)
02.Backwards
03.All in your palms
04.Miss you already
05.Interude I
06.HARIUSU I
07.HARIUSU II
08.New morning
09.Flower dance
10.Interlude II
11.Your journey goes on as my journey continues
12.Love is word-less beat





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【KKBOX Podcast「My First Jazz」】
JJazz.Netとの連動によるオリジナルコンテンツ。
ジャズ・ミュージシャン本人の音声コメントをお届けしています。
KKBOX Podcast


KKBOX
500以上のメジャー・ローカル音楽レーベル様や権利者様と提携し、9,000万曲の楽曲を配信。
なかでも世界最大数を誇るC-POPを取り揃えているアジア大手の音楽聴き放題サービス。
2022年より日本でも音声コンテンツ/ポッドキャストの提供がスタート!


夜ジャズミーティング2024:スタッフの声 / FROM STAFF

その年を振り返りつつベストディスクを発表する年末恒例企画
「夜ジャズミーティング」

松浦俊夫さん、沖野修也さん、そして須永辰緒さん
ジャズDJ3人がそれぞれ選ぶ、2024年のベスト3作品をご紹介します。

詳しくは番組でお楽しみください。


■夜ジャズ.Net#195 - 夜ジャズミーティング2024
https://www.jjazz.net/programs/yorujazz/
配信期間:2024年12月18日(17:00)~2025年1月22日(17:00)


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【2024 年間BEST3アルバム】


selected by 沖野修也


2024年は、レジェンドの逝去が相次ぎ、過去作品を振り返る事がいつも以上に多かった年でした。
そのせいか、アルバムの評価基準が高くなり、年間ベストを選ぶのに苦労しました。
自分を含め、現行+若手は、アルバムのクオリティーをもっと上げる必要があると思います。
勿論、良い作品が沢山リリースされたので刺激を受けましたし、音楽業界の不振が嘆かれる中、多くのアーティストが創作のモチベーションを失っていない、むしろ、量産してさえいる事は"希望"かもしれません。そんな中でも僕が愛聴した3枚を選びました。


『You'll This Later / Alvin Cobb Jr.』
アトランタ在住で、自身のトリオはシカゴを拠点とするドラマー、Alvin Cobb Jr.のデビュー作。グラスパーの登場で盛り上がるUS現行JAZZシーンでは、個人的にカマシ以来の逸材だと思う。打ち込みドラムの人力による再現が、先端でなくなった現在、ジャズにおける先鋭性を模索した意欲作。透明感と神秘性のあるボーカルをフィーチャーした現代版のスピリチュアル・ジャズの一例でもある。


『Wave Theory / Tamil Rogeon』
Harvey Sutherland's Bermudaのメンバーでもあり、Aloe Blaccから、 Allysha Joy作品にまで参加するバイオリン奏者Tamil Rogeon。70年代のMichał UrbaniakとUrszula Dudziakを彷彿とさせる楽器と歌声のコンビネーションにシンパシーを感じた。オーガニックなサウンドでありながらフューチャリスティックな世界観にも共感していたら早速彼からコラボのオファーが舞い込み、共作曲の構想を膨らませている。


『The Glass Frog / Greg Foat』
UKのピアニスト、Greg Foatの2024年7月に出た新作(と思いきや11月にはニュー・アルバムをリリース)。サントラ的スタイルを得意とする作曲家でもあるが、彼のフュージョン的な音使いが気に入っている。シネマティックな音像とハンコック風のインプロビゼーションの組み合わせがありそうでなく、同世代を生きるクリエーターとして大いに触発されている。それにしても彼の多作ぶりには脱帽。












Years Best -沖野修也-

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Title : 『You'll This Later』
Artist : Alvin Cobb Jr.
LABEL : ACJ Records
RELEASE : 2024.5.3





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Title : 『Wave Theory』
Artist : Tamil Rogeon
LABEL : BBE
NO : BBE642ALP
RELEASE : 2024.10.4





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Title : 『The Glass Frog』
Artist : Greg Foat
LABEL : Blue Crystal Records
RELEASE : 2024.7.26






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【沖野修也 (KYOTO JAZZ MASSIVE / KYOTO JAZZ SEXET)】

音楽プロデューサー/DJ/選曲家/作曲家/執筆家/ラジオDJ/The Roomオーナー。2000年にKYOTO JAZZ MASSIVE名義でリリースした「ECLIPSE」は、英国国営放送BBCラジオZUBBチャートで3週連続No.1の座を獲得。これまでDJ/アーティストとして世界40ヶ国140都市以上に招聘された国際派。2015年、ジャズ・プロジェクトKYOTO JAZZ SEXTETを始動。名門をブルー・ノートよりアルバム『MISSION』をリリース。2021年、Kyoto Jazz Massive 2ndアルバム『Message From A New Dawn』を19年振りに発表。2022年からは、Kyoto Jazz Massive with Echoes Of A New Dawn Orchestra名義でバンドとしてヨーロッパ・ツアーを敢行している。著書に、『DJ 選曲術』や『クラブ・ジャズ入門』、自伝『職業、DJ、25年』等がある。2024年、Kyoto Jazz Massiveがデビュー30周年を迎えた。6月に30周年記念EP、『KJM EOANDO』をリリース。iTunes Dance album chart No.1、収録曲'Impulisive Procession"が、Traxsource Broken Beat/Nu-Jazz chartでNo.1を獲得。12月に『KJM COVERS - Kyoto Jazz Massive 30th Anniversary Compilation 』 をリリース。来年1月にはKJM 30周年記念ライブ・ツアーも決定している。
http://www.kyotojazzmassive.com
https://ameblo.jp/shuya-okino


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selected by 松浦俊夫


やれることを、一つずつ積み重ねた2024年。
ふと顔を上げれば、次の景色が広がっていた。
2025年も、この道を、ただ真っ直ぐに進んでいく。
「我が道を、行こう。」サントリー。


『天使乃恥部 / 菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール』
本作は、聖なるものと俗なるもの、純潔と堕落という二律背反を音楽という形で鋭く描き出しています。
その芸術的野心と挑戦的な姿勢は、まさに唯一無二。
聴く者に深い感銘を与えると同時に、音楽の枠を超え、人間存在の矛盾に迫る問いかけを投げかけています。


『Y'Y / Amaro Freitas』
アマゾン流域の都市マナウスでの経験からインスピレーションを得た本作は、ブラジル音楽の伝統と現代ジャズを融合させた意欲的な作品です。
アフロ・ブラジリアンのリズムや先住民の文化を探求しながら、フレイタスはアルバム全体を通じて自然との深い結びつきや人類のルーツへの回帰を音楽的に描き出しました。


『Electric Rider / 馬場智章』
全曲を馬場が書き下ろし、共同プロデューサーにBIGYUKIを迎えて紡ぎ出した本作は、まさに現在進行形の音を体現した傑作です。
伝統的なジャズの精神を受け継ぎながら、新たな音楽的視座を加えたアプローチは、本作の最大の魅力と言えるでしょう。
その鮮やかな昇華は、国内外で高く評価され、特に先日行われたジャズフェスティバルでも大きな注目を集めました。












Years Best -松浦俊夫-

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Title : 『天使乃恥部』
Artist : 菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
LABEL : ビュロー菊地レーベル
RELEASE : 2024.9.21





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Title : 『Y'Y』
Artist : Amaro Freitas
LABEL : PSYCHIC HOTLINE
NO : PSY037CD
RELEASE : 2024.4.26

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Title : 『Electric Rider 』
Artist : 馬場智章
LABEL : Universal Music
NO : UCCJ2236
RELEASE : 2024.9.4

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【松浦俊夫】

1990年にUnited Future Organization (U.F.O.)を結成し、5作のフルアルバムを世界32ヶ国で発表、高い評価を得る。
2002年にソロ活動を開始後、国内外のクラブやフェスティバルでDJとして活躍。
イベントのプロデュースやホテル、インターナショナル・ブランド、星付き飲食店など、感度の高いライフスタイル・スポットの音楽監修も手掛ける。
2013年、現在進行形のジャズを発信するプロジェクト「HEX」を始動し、Blue Note Recordsからアルバム『HEX』をワールドワイドにリリース。2018年には、
イギリスの若手ミュージシャンらをフィーチャーした新プロジェクト「TOSHIO MATSUURA GROUP」のアルバムをリリース。
2024年、その作品がイギリスBrownswood Recordingsよりアナログ盤として再リリースされた。

「TOKYO MOON」(interfm 金曜 23:00 / One Jazz UK 金曜15:00)好評オンエア中。
http://www.toshiomatsuura.com  


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selected by 須永辰緒


国内外問わず新世代のジャズは新たな多様性とそもそもの演奏力を得た本物を実感することを確認できる一年でした。
彼らは「誰それっぽい」「誰それの影響下」を離れてオリジナリティと新しいアプローチを獲得したし、新進ボーカリストも続々とデビュー。
圏外でもネオECM的な良質作も多く今年は悩んだー。
フィジカル・リリースが待たれる2025年も益々楽しみになりそうです。


『Place Between Us / OKVSHO』
スイスのチューリッヒからはこの兄弟DUOをピックアップした。ヒップホップリスナーにも届くような
エレクトロニックとオーガニックが融合した作品。背景が分からないのでアレですが今後も活躍
が期待できるユニットかと思います。コンテンポラリー作品としてもエレクトリックマイルスを
彷彿させるような雰囲気もあり多くのジャズリスナーにも紹介したい。


『Flower Of The Soul / LIONA FLORES』
友人たちの間で話題になったイギリス系ブラジル人のソングライターによる1st.アルバムは名門Verveからのリリース。
ボサノヴァを基調としながらもSSWやインディ・ポップもアレンジ、デヴューアルバムながら、既に大物感を感じる。
2024年、このアルバムからは2曲をヘビープレイしました。早くも次回作が楽しみです。


『True Story / MALCOLM JIYANE TREE-O』
南アフリカの若手トロンボーン走者・鍵盤奏者マルコム・ジヤネの2nd.アルバムをピックアップしました。
メンバーには現在の南アフリカの若手奏者を揃え、アットホームなセッションで作り上げたそうです。
特にピアノのンコシナティ・マトゥンジャ(Nkosinathi Mathunjwa)は今後注目すべきプレイヤー。ラップともポエトリーとも言えぬ「声」もセッションで録音され、シーンの熱気も伝わってきます。
もはや全世界にアンテナを張っておかないとカバーできませんね。












Years Best -須永辰緒-

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Title : 『Place Between Us』
Artist : OKVSHO
LABEL : CURRENT MOVES
NO : CM001
RELEASE : 2024.6.12

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Title : 『Flower Of The Soul』
Artist : LIONA FLORES
LABEL : Verve
NO : 6551524
RELEASE : 2024.6.28

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Title : 『True Story』
Artist : MALCOLM JIYANE TREE-O
LABEL : New Soil
NO : NSIL692
RELEASE : 2024.6.14



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【須永辰緒 プロフィール】

Sunaga t experience =須永辰緒によるソロ・ユニット含むDJ/プロデューサー。 DJプレイでは国内47都道府県を全て踏破。また各国大使館と連動して北欧諸国=日本の音楽交流に尽力、欧州やアジア、アメリカなど世界各国での海外公演は多数。 MIX CDシリーズ『World Standard』は12作を数え、ライフ・ワークとも言うべきジャズ・コンピレーションアルバム 『須永辰緒の夜ジャズ』は20作以上を継続中。国内や海外レーベルのコンパイルCDも多数制作。国内外の多数のリミックスワークに加え自身のソロ・ユニット"Sunaga t experience"としてアルバムは7作を発表。最新作は「STE with J.Lamotta Suzume/Re Blue」(Flower)。主宰する音楽レーベル「DISC MINOR」からはヴァイナルのみの内外ライセンス作品のリリースも活発化させる。多種コンピレーションの 監修やプロデュース・ワークス、海外リミックス作品含め関連する作品は延べ250作を超えた。加えて企業ブランディングや商品開発、音楽や料理などの著作、連載も多数携わる。また出身地である栃木県足利市の「あしかが輝き大使」として地域でも活動中。

http://sunaga-t.com  


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